日大と極限の一戦 激闘の果てに勝利を掴む

男子バレーボール

全日本大学選手権/3回戦 11月28日 東京体育館メインアリーナ

 全日本大学選手権(全カレ)3日目、早大は日大と対戦した。秋季関東大学リーグ戦では勝利を収めている相手だが、負ければ終わりの全カレにかける思いと緊張感から、第2、第3セットと連取され先行される展開に。試合はフルセットのデュースまでもつれる激戦となったが、セットカウント3―2(25―22、26―28、18―25、25―16、17―15)で早大が制し明日へつないだ。

 第1セット序盤からMB菅原啓(教2=山形南)やOP畑虎太郎(スポ3=福井工大福井)がブロックで得点を挙げる順調な展開で試合を進める。OH徳留巧大(スポ1=長野・松本国際)のサービスエースやMB麻野堅斗(スポ2=京都・東山)のクイックでリードを維持したまま中盤を迎えるも、相手のブロックや早大のミスで逆転を許し17―19。しかし、徳留が2本目のサービスエースを決めると、その後の相手のミスを見逃さない。リリーフサーバーとして投入された伊東昌輝(商2=山梨・日本航空)のサーブで勢いを加速させ、相手のスパイクをブロックにかけ切り返して得点し、終盤に相手を突き放す。最後は徳留のサーブレシーブから麻野がクイックを決め25―22でセットを取った。

早大に勢いをもたらした伊東のサーブ

 第2セット、菅原のクイックで得点し続け、徳留や畑がスパイクを決め、またも先行した展開でゲームを進行する。OH佐藤遥斗(スポ2=東京・駿台学園)の一枚ブロックや、セッター前田凌吾主将(スポ3=大阪・清風)がブロックの手を引いてスパイクミスを誘う駆け引きを成功さる。さらに麻野が自らサーブレシーブを行いそのままクイックを打ち切るといった高度なプレーを要所で発揮した。しかし、終盤に相手のクイックや早大のミスで追いつかれるとデュースに突入し、最後は相手のブロックポイントで26―28でセットを失った。

 迎えた3セット目。2セット目を取り切って大きく盛り上がる相手のクイックを中心とした勢いのある攻撃に対応しきれず、8―13と序盤から大きくリードを許す。畑や佐藤がスパイクで奮闘し前田がツーを落とし込むなど対抗するも、相手の守備が早大の攻撃に対応し差を縮めることができない。次第に早大にミスが出始めさらに点差を広げられ、18―25でこのセットを落とした。

佐藤のスパイク

 後がない第4セット、しかし早大は決して萎縮することなくスタートから3連続で得点し、先ほどのセットから切り替えたプレーを発揮。苦しめられたクイックにリベロ布台聖(スポ2=東京・駿台学園)がディグで対応する。ラリーで粘って得点をする展開が増え、徐々に早大のテンポに。第3セットの苦しめられたイメージを払拭するかのように、菅原がクイックやサービスエースで得点を量産。前田や麻野、畑のブロックポイントなど、今度は早大が相手の攻撃に対応し、最後は菅原がクイックを決め25―16でセットを取り、試合はフルセットへ。

 運命の第5セット、先に前に出たのは早大。前田のディグから布台が上げたトスを畑が打ち切り連続得点。しかし、日大も早大にコンビミスが出た瞬間を逃さず強烈な攻撃でブレイクするが、畑のスパイクが止まらず8―6と先行した状態で日大がタイムアウトを要求。その後相手のクイックや早大のミスなどでブレイクを許すも、反対に早大も相手のミスでブレイクし返すなど、極限まで攻めた展開の中、互いに一進一退の状態が続き試合はデュースへ。ここで日大にミスが続いたところを逃さなかった。最後は畑のサーブで乱して返ってきたチャンスボールを前田が麻野に託しクイックを決め、17―15で勝利を掴んだ。

勝利を決めた瞬間、喜びを分かち合う馬渕と布台

 秋リーグを全勝優勝した早大にとって、この試合は全カレには何が起こるかわからないということをまさに示した試合ではないかと思う。現にこの全カレ3日目にして、第2シードの中大、第3シードの東海大が姿を消すなど、日本一への道は大波乱となっている。そのような中、負ければ終わりという極限の状態で勝ち切ることができたことは、早大の大きな自信につながったのではないだろうか。明日は会場を変え、対戦機会の少ない関西の天理大との対戦。また明日からも何が起こるかわからない試合が続くが、早大らしさを貫き勝利を掴んでほしい。

(記事 井口そら、写真 五十嵐香音、指出華歩、町田知穂)

 

セットカウント
早大 25-22
26-28
18-25
25-16
17-15
日大
スタメン
アウトサイドヒッター 佐藤遥斗(スポ2=東京・駿台学園)
アウトサイドヒッター 徳留巧大(スポ1=長野・松本国際)
ミドルブロッカー 麻野堅斗(スポ2=京都・東山)
ミドルブロッカー 菅原啓(教2=山形南)
オポジット 畑虎太郎(スポ3=福井工大福井)
セッター 前田凌吾(スポ3=大阪・清風)
リベロ 布台聖(スポ2=東京・駿台学園)
途中出場
伊東昌輝(商2=山梨・日本航空)
コメント

前田凌吾主将(スポ3=大阪・清風)

――今日の試合を振り返って

 個人的に秋リーグの試合を見ていた中でも、日大さんは本当にやりにくい相手というか、いいチームという印象でした。やりにくさはあったんですけど、今日やっぱりそれが出て。1セット目は自分たちのやろうとしたことが少しできましたが、それ以降うまくできなかったので、もっともっと修正しないとダメですね。まだまだ自分たちの良さが出てないなと思いながらやっていました。

――どのようなところがやりにくかったですか

 フロアディフェンスがいいので、しつこく粘ってきてやりにくさがありました。あとはサーブですね。特にサーブがすごく良いチームなので、それはちょっとやりにくいなと思いながらやっていました。

――3セット目は大差で取られてしまいましたが、要因は

 もうサーブで押されたというのと、こちらがサイドアウト取れなかったという、それに尽きますね。

――後がない第4セットの前に、監督からどのようなお話があったのでしょうか

 もうやるしかないというのと、もっと向かっていかないとダメというところを言われました。僕も焦りながらやってはいたのですが、下級生多いチームでありながら、しっかりそのセットを取れてよかったなと思います。

――自分自身では、なにかメンバーに声かけなどしましたか

 自分も正直、自分のことでいっぱいだったところもあったのですが、やらないといけないと思っていたので、しっかり声かけはしていました。ただ個人的にもチーム的にもパッとしてない部分があったので、もっと声をかける必要はあったかなと思います。

――4セット目は良い流れでしたが、どこに変化がありましたか

 真ん中が通ってきて、他のスパイカーも結構決まり始めていましたね。真ん中が通らないのが1番致命的なので、いかにパターン作っていくかをもう1回明日考えないとダメかなと思います。

――フルセットになったとき、どのような気持ちでしたか

 フルセットは秋リーグでやってきてなかったので、ちょっと怖さあったんですけど、5セット目入って悪くはないなと思いながら入って。接戦でも取れれば良いかなと思っていました。接戦でも強かったのでやばいなと思いつつ、まあまあできたかなとは思います。

――終盤はあまりに接戦でした。デュースの最中の率直な気持ちは

 もうやばいと思っていました。仮にオーバーネットやタッチネットが取られていたら負けていたし、全カレはそういう1点で勝ったり負けたりするので、自分たちもスタートから気を引き締めてやらないといけないなと思いました。

――最後はサイドではなく、ミドルの麻野選手で決めました。そこを選択した理由はありますか

 フリーボールが返ってきて、堅斗で行くしかないなと一択でした。堅斗と目があったし、託すという気持ちであげて決めてくれたので、終わり方は良かったかなと思います。

――明日以降もしっかり勝っていくために必要なこと

 まだ難しい試合が続きますけど、明日体育館移動になるので、とりあえず今日は東京体育館で勝って終えられたのはよかったです。ここで勝ちと負けでは全然違うので、本当によかった。船橋でも、反省点を活かしてもう少し自分たちらしさを出していこうと、チームに言いたいなと思います。

――明日への意気込みをお願いします

 もっとチーム引っ張るという意味でも、みんなをまとめる必要があります。プレーどうこうより、僕がその姿勢をチームに見せることができたらもっと良くなるなと思うので、頑張っていきたいと思います。

伊東昌輝(商2=山梨・日本航空)

――今日の試合をチームとして振り返って

 今日も簡単な試合ではないとチームとしても監督からも言われていて、向かっていく姿勢が大事だとチームで意識していたのですが、日大さんの雰囲気にのまれてしまう部分もありました。ですが、夏合宿などで準備してきたそれを跳ね返す力をしっかりと発揮できたので良かったと思います。

――1、2セット目のリリーフサーバーで出場した際、ブレイクポイントありました。サーブを振り返っていかがですか

 自分の中では良いコンディションで全日本インカレに挑めていて、サーブ1本でも全力でやることを意識していたので、それがブレイクに繋げられたのかなと思います。

――守備面は

 触ったボールを返せなかった場面があったことが今日の反省点で、もし次の出場があれば、自分でしっかり上げて、次につなげられるようなプレーができるようにしたいです。

――最後のデュースは、どのような気持ちでコートを見ていましたか

 安田さん(安田治揮、商4=新潟第一)に呼ばれて、自分が出るかもしれないという場面だったのですが、どのタイミングでも実力が発揮できるように、頭の中では、冷静に準備をしていました。

――明日への意気込み

 明日も難しい試合になると思うので、チーム一丸となって4年生のために頑張りたいと思います。