誰もが全力を尽くした学生最後の集大成 順大にストレート勝利し、王座奪還と「四冠」達成!

男子バレーボール

 大学日本一を決める全日本大学選手権(全日本インカレ)の決勝。この日はセンターコートで試合が行われ、多くの観客と共に早稲田の大応援団も駆けつけた。対するは順大。秋季関東大学リーグ戦(秋リーグ)では、フルセットの戦いとなったのが記憶に新しい。当時は個の力が突出する早大に対し、組織力の高い順大という構図が見え、「自分たちがチームとしての連携を強めることができれば、全日本インカレに向けても、もっと強くなれる(山田)」と語っていた。実際、この決勝の日は誰か一人の力に頼ることなく、秋リーグが終わってから強化してきた関係性や連携の部分で早大が上回った。主導権を握らせず、セットカウント3―0(25-17、25―14、25―15)と圧倒的なスコアで勝利。王座奪還と大学四冠を達成した。

 やや硬いスタートとなった第1セットだが、OH水町泰杜主将(スポ4=熊本・鎮西)が、最初のサーブでサービスエースを取る。一気に、試合に出ているメンバーのみならず、会場全体の雰囲気を持っていった。順大の粘り強いつなぎでラリーは長くなるが、早大は力を入れてきたブロックでしっかりと相手スパイカーをマークし、プレッシャーをかける。OH山田大貴(スポ4=静岡・清水桜が丘)の強烈なサーブで崩れた順大の守備。レフトへ二段トスが上がり、鋭いスパイクが打ち込まれるが、OP畑虎太郎(スポ2=福井工大福井)がぎりぎりで避けてアウト判定とし、10―5。中盤は山田と畑の勢いが止まらず、大きく先行する。ここで、「俺も忘れるな」と言わんばかりな、水町のインナースパイクが決まり、20点台に乗せた。山田とMB麻野堅斗(スポ1=京都・東山)の高い壁がライトからの攻撃を阻み、セットポイントを握ると、25-17で第1セットを先取。

MIPを受賞した山田のサーブ。滞空時間が長く、姿勢が美しい

 続くセットは、序盤から4年生の活躍が光った。MB伊藤吏玖副将(スポ4=東京・駿台学園)のクイックや山田のバックアタック、水町のサービスエースで一気に流れをつかむ。セッター前田凌吾(スポ2=大阪・清風)と麻野のブロックポイントで9-3とし、タイムアウトを取らせた。その後、早大のスパイクミスでブレイクされることはありながらも、主導権は一切渡さず着実にサイドアウトを取る。リベロ荒尾怜音(スポ4=熊本・鎮西)の二段トスから、水町がスパイクを打ち込み13-6。終盤にかけては、ブロックで相次いでブレイクし、最後は麻野の足の長いクイックでセットを奪った。

 序盤から、前田のサーブのローテーションで連続得点した第3セット。リベロ布台駿(社4=東京・早実)のブロックワンタッチカバーから、畑のスパイクへとつなげる。続くプレーで水町・伊藤・畑のブロックポイントがあった。中盤は、粘りを見せる順大が早大の攻撃をよくつなぎ、一度で決まらない場面もあった。しかし、ライトを効果的に使いながら多彩な攻撃が展開され、20―11と大幅にリードして大詰めへ。順大は染野輝にボールを集め、エースの意地を見せる彼が早大ブロックから点をもぎ取っていく。しかし22-14の場面、伊藤と前田のブロックが染野を阻む。最後は相手のスパイクミスで早大の優勝が決まった。

固く抱き合う選手たち。優勝が決まった瞬間、リザーブメンバーもスタッフも、一気にコートになだれ込んだ。

  優勝が決まった瞬間、笑顔と涙があふれた。昨年とは違う、嬉しさと安堵からの涙を流す4年生。それを笑顔で支える後輩たち。各々、抱き合って喜びをかみしめた。主将の水町は、試合後のインタビューで「出る幕がなかった」と笑いながら述べた。昨年の準決勝、自分の連続被ブロックが「4年生を終わらせてしまう」と責任を背負い込んでしまった彼を、今年こそ支えるんだと、新体制が始まってすぐから何度も何度も口にしてきた、伊藤・山田をはじめとするメンバーたち。確かに、誰か一人に頼っていたのではない、まぎれもなく全員でつかんだ大勝であり、4年生の集大成にふさわしい勝利だった。これにて大学生の大会は閉幕し、残すのは天皇杯全日本選手権のみ。水町が率いる現体制の最後に、社会人やVリーガー、そして観客に、どこまで早稲田のバレーを魅せられるか。のびのびと自分らしく大胆に、心からバレーボールを楽しんで、大学バレーを引退する彼らを見届けたい。

「W」ポーズで集合写真をとる早稲田

(記事 五十嵐香音、写真 町田知穂、渡辺詩乃)

 

セットカウント
早大 25-17
25-14
25―15
順大
スタメン
アウトサイドヒッター 水町泰杜(スポ4=熊本・鎮西)
アウトサイドヒッター 山田大貴(スポ4=静岡・清水桜が丘)
ミドルブロッカー 伊藤吏玖(スポ4=東京・駿台学園)
ミドルブロッカー 麻野堅斗(スポ1=京都・東山)
オポジット 畑虎太郎(スポ2=福井工大福井)
セッター 前田凌吾(スポ2=大阪・清風)
リベロ 荒尾怜音(スポ4=熊本・鎮西)
リベロ 布台駿(社4=東京・早実)
途中出場
浅野翼(スポ3=宮城・東北)
板垣慧(政経2=京都・洛南)
安食浩士(スポ1=宮城・東北)
佐藤遥斗(スポ1=東京・駿台学園)
菅原啓(教1=山形南)
布台聖(スポ1=東京・駿台学園)
個人賞
優勝監督賞 松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)
最優秀選手賞 水町泰杜(スポ4=熊本・鎮西)
サーブ賞 水町泰杜(スポ4=熊本・鎮西)
レシーブ賞 水町泰杜(スポ4=熊本・鎮西)
リベロ賞 荒尾怜音(スポ4=熊本・鎮西)
セッター賞 前田凌吾(スポ2=大阪・清風)

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