全日本インカレで早慶戦が実現 相手の粘りを断ち切り準々決勝へと駒を進めた!

男子バレーボール

 全日本大学選手権(全日本インカレ)3回戦目は、今年6回目となる慶大との対戦だった。相手の粘り強い守備とパワーあるサーブに流れが傾き、1セット目を落とす。その後のセットも粘りを見せる相手であったが、早大も粘り強く攻撃を続け、点差を広げていった。3、4セット目は一度もリードを許すことなくものにし、セットカウント3-1(20-25、25-18、25-11、25-15)で準々決勝へと駒を進めた。

クイックを決め、ガッツポーズをする伊藤

 1セット目、MB伊藤吏玖(スポ4=東京・駿台学園)のクイックで先制点を取るも、相手もパワーあるサーブで早大を崩し、点を重ねていく。序盤はそのまま取っては取られと均衡状態が続いた。中盤、3枚ブロックで相手アタックを止め14ー14となるも、早大のミスもあり4連続得点を許す。セッター前田凌吾(スポ2=大阪・清風)のツーアタックや、両エースとOP畑虎太郎(スポ2=福井工大福井)のバックアタックなど多彩な攻撃で攻めるが、相手のスパイカー陣も攻めの姿勢を崩さない。そのまま中盤についた点差を縮められず、20-25でこのセットを落とした。2セット目も相手の勢いは止まらず、開幕から4連続得点。しかし早大もMB麻野堅斗(スポ1=京都・東山)、伊藤のクイックで攻めていく。1セット目からマークされていたOH水町泰杜主将(スポ4=熊本・鎮西)がバックアタックで2連続得点し同点に追いつくと、続けて畑がサービスエースを決め10ー9と早大が抜け出す。中盤、早大ブロックの圧で相手スパイクのアウトを誘い、3点差がついたところで相手がタイムアウトを要求。その後も畑の鋭すぎるアタック、伊藤のクイックで、6点差をつけ20点代へ。相手も攻めのサーブを見せるが、多少乱れたレシーブをものともしない前田の修正力あるトスで得点へとつないでいく。最後は相手主将の鋭いアタックに乱され、コート外まで飛んだボールをリベロ布台駿(社4=東京・早実)が走っていってつなげ、水町が打ち切り、攻めの姿勢でセットをとった。

勝負の分け目となった第2セットを取り、抱き合う水町と布台

 3セット目は、前セットの流れのまま5-1と好調な滑り出しを見せる。OH山田大貴(スポ4=清水桜が丘)のアタックが決まり、11ー5になったところで相手が2度目のタイムアウト。しかしその後も畑がサーブで崩し続け、生まれたチャンスボールをすかさず麻野のクイック攻撃にセット。10点差をつけた。山田の鋭いアタックを拾い攻撃につなげるなど、相手も意地を見せるが、早大も前田がコート外からトスをあげ、それに応えて山田がバックアタックを決めきり21-9に。途中交代で入った安食浩士(スポ1=宮城・東北)のアタックでセットポイントをとり、最後は伊藤のクイックで25ー11と点差を大きくつけて第3セットを取った。

 迎えた第4セット、クイックを麻野がシャットアウト。前田がサーブで崩し、ダイレクトで返ってきたボールを水町がすかさず打ち込み6ー3に。相手も落とせないセットだけに粘り強さを見せるが、このセットも前田が乱されたボールからクイックを上げるなど、攻めの姿勢を続け14-9と5点差をつける。中盤も山田がブロックアウトを取るなど冷静に点を重ね早大リードで試合を進めた。22-13の場面では、早大のディグがコート外に飛ぶほど鋭いアタックを打ち意地を見せる慶大。しかし、コースを突く相手の鋭いアタックにリベロ荒尾怜音(スポ4=熊本・鎮西)が片手レシーブで飛びつき、山田がバックアタックを決めてセットポイントを握る。最後は相手のミスで25-15と10点差をつけ、3回戦目の勝利を決めた。

スパイクを打つ畑

 今年6戦目となる早慶の対戦。5戦全勝だった早稲田だが、相手4年生の全日本インカレへの執念に圧倒され、やはり一筋縄ではいかない試合となった。しかし早大も修正力を見せ、その後のセットは大差をつけ勝ち切ることができた。明日は、関西リーグ1位の近畿大との対戦。「まずは自分達のやることを徹底して」(伊藤)1セット1セット早稲田のバレーを展開したい。

(記事 芦刈れい、写真 五十嵐香音、小川ゆりえ)

 

セットカウント
早大 20-25
25-18
25-11
25―15
慶大
スタメン
アウトサイドヒッター 水町泰杜(スポ4=熊本・鎮西)
アウトサイドヒッター 山田大貴(スポ4=静岡・清水桜が丘)
ミドルブロッカー 伊藤吏玖(スポ4=東京・駿台学園)
ミドルブロッカー 麻野堅斗(スポ1=京都・東山)
オポジット 畑虎太郎(スポ2=福井工大福井)
セッター 前田凌吾(スポ2=大阪・清風)
リベロ 荒尾怜音(スポ4=熊本・鎮西)
リベロ 布台駿(社4=東京・早実)
途中出場
浅野翼(スポ3=宮城・東北)
佐藤遥斗(スポ1=東京・駿台学園)
菅原啓(教1=山形南)
安食浩士(スポ1=宮城・東北)
コメント

松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)

――昨日までの2戦を振り返っていただけますか

 全日本インカレということで、4年生は少し緊張した面持ちで。下級生も少し不安げな顔で、やはり独特の雰囲気を感じながらの試合だったので、 1、2回戦は、慣れようということでやっていました。その分はしっかり慣れた部分では良かったんじゃないかなと思いますけどね。

――今日はやはり慶大相手ということもあり、難しいスタートになったと思いますが、振り返ってみていかがですか

 彼らも関東一部のチームだということでちょっと意識はしすぎていました。このチームのちょっと弱点は、勝つことを目標にしてるということで、やはりそうなってしまうと、自分たちの良さが出なくなって1セット押し切られてしまうということがあると思います。途中からは良くなってきましたけどもね。

――去年の全日本インカレで、あまり序盤にトントン拍子に進んでってしまうと、ちょっと怖いみたいなお話を伺ったと思います。今日、こういう中で勝ち切れたことっていうのはいかがですか

 1セット目は硬かったです。相手が思い切ってやってきて、やはり受けちゃうんですよね。2セット目は0ー4までいってるのですのが、タイムを取ってなにか変えるとことではなくて、自分たちの中で 変えなさいということで、普通はタイムアウトのタイミングなんですけど、取らずにいきました。やはり自分たちの中で解決したので、力はあるんじゃないかなというのは、今日見ていて思いました。

――今の時点で、プレー面で課題は

 スパイクの精度がもう少しですね。ブロックが良くなってきたので、そこで点が取れているものの、取りたいというときにスパイクで取れない部分がありました。今日見ても、やはりスパイカーが慌てています。秋のときにそうでしたが、今のところ完全には解決できてないかなという感じが見受けられますね。

ーー次戦に向けて選手たちに話したことはありますか

 先ほどのミーティングでは、やはり全日本インカレというのはこういうもので、どのチームもうち向かってくると。その中で受けちゃったり、余計なことを考えてるのではなくて、やはり自分たちの良さを全部出すということに徹すれば、おのずと良い形になります。だから、相手とか勝つではなくて、全部出そうという話をしました。

伊藤吏玖(スポ4=東京・駿台学園)

――今日の試合をチームとして振り返っていかがですか

 慶大と定期戦で戦うときにいつも相手がガンガン攻めてきて、どうしても自分達が受け身になってしまう展開が多くて、1セット目は同じようになってしまって。相手が攻撃してくるのに対して自分達が後手に回ってしまうことが多くて、そこは一つ反省です。2セット目の序盤もそういう感じだったんですけど、後半からは修正できたので、いいところと悪いところがあったのかなと思います。

――1、2セット目はブロックアウトを取られることも多かったですが、3セットから整ってきた印象を受けました。いかがですか

 1セット目は、とにかくブロックに当たってレシーブがどうしようもないボールが多かったのです。2セット目ぐらいからブロックに当たったボールも2本目につながることが多くなったので、2セット目からはブロックからのデイフェンスが良かったと思います。

――ブロックアウトが多くなっていたのは、やはり相手スパイカーの技術力でしたか?

 相手のスパイカーがかなりパワー型っていうのもあるんですが、こっち側のブロックの出し方とか位置取りがまだまだという部分があります。

――今年、慶大との対戦は6度目になりますが、変わった点などはありますか

 やはり全日本インカレという舞台で、負けられない相手というのを意識してしまって、そこは気持ち的に難しい試合でした。自分達の中ではプレッシャーとか、かけないようにしているんですが、無意識に負けられない相手と認識してしまって、またやはり早慶という関係もあって難しい試合でした。

――ご自身のプレーを振り返っていかがですか

 全体的に特別いいわけでも、特別悪いわけでもなくという感じで、1セット目から4セット目まで続いたかなと思います。1セット目の終盤でレセプションアタックからクイックミスを炸裂してしまったのと、22―18あたりでスパイクのミスをしてしまったのでそこは反省点だと思います。後は基本的なチームルールがまだ徹底できていないのでそこですね。

――守備についてはいかがですか

 ブロックについては、1セット目から相手を見て、もっと絞り込みでがきたんじゃないかと思います。

――エースへのマークがきつくなる中で、ご自身のクイックが効果的に働いていました。振り返っていかがですか

 全日本インカレで、絶対に水町(泰杜主将、スポ4=熊本・鎮西)と山田(大貴、スポ4=静岡・清水桜が丘)にマークが来るのは分かっているので、自分達がトーナメントの中で頑張っていかなきゃいけないとは思っていたんですけどやはり、サーブで押され始めてしまうとどうしても攻撃に参加できなかったです。サイドに頼ってしまっていたので、自分が声を掛けたりとか、もっと自分が決め続けないとセッターも使いにくいと思いますし、そこは序盤からしっかり決めたいと思います。

――サーブミスがチーム全体としてあったと思いますが、どうでしょうか

 相手に押される展開で、ジャンプサーブはやはり攻めないと、相手を崩すこともできないですし、攻めることによって相手も崩れてブロックしやすくなりますし、ジャンプは攻めた結果だと思います。フローターサーブについては、どうしてもこうジャンプのミスをコントロールしようとしてミスという展開があったと追うので、そこは若干プレッシャーを感じてによるミスだったと思います。

――次戦にむけて、意気込みをお願いします

 相手の分析もそうですけど、まず自分達のやることを徹底してやっていけば自ずから結果が出てくると思うのでそこをしっかりやっていこうと思います。

畑虎太郎(スポ2=福井工大福井)

――自身にとって、スタメンとして出場する初めての全日本インカレですが、今日までの3戦を振り返っていかがでしたか。

初戦はけっこう緊張していて何もできなかったのですが、昨日からは普段通りのプレーを取り戻せたと思うので、このまま続けたいと思います。

――今日の試合では第2セットの畑選手のサービスエースからかなり流れが良くなりました。第3セット以降の活躍も大きかったと思います。ご自身のプレーの振り返りをお願いします。

今日は大貴さんの調子があまり良くありませんでした。そんな中で、普段頼りきりな分、自分が今日は頑張らなければと思ってプレーをして、それが結果に出たことは良かったと思います。守備の面では、チームでマークすると決めていた攻撃をしっかりマークして上げられたから、第2セットのような結果に繋がったと思います。

――今、自分が感じている課題はありますか。

調子の波が激しく、いつでも良いプレーができるようにしていきたいと考えています。

――次戦への意気込みをお願いします。

決勝はまだ遠いのですが、一戦一戦を大切に戦っていけたらなと思います。