フルセットにもつれこむ激闘の末、日体大に勝利!

男子バレーボール

 春季関東大学リーグ戦(春リーグ)第7戦で、早大は昨年の全日本大学選手権第4位の日体大と対戦した。第1セットを大差で奪ったものの、サーブや速い攻撃に差し込まれ、早大側のミスが多くなり、第2、3セットを献上する。後がなくなった早大は、OH水町泰杜主将(スポ4=熊本・鎮西)、OH山田大貴(スポ4=静岡・清水桜が丘)両エースを軸に攻撃を展開。要所でのMB麻野堅斗(スポ1=京都・東山)のブロックも光った。苦しい戦いを制し、セットカウント3-2(25-17、23-25、20-25、25-23、15-10)で勝利した。

  リベロ荒尾怜音(スポ4=熊本・鎮西)のレシーブから、MB伊藤吏玖副将(スポ4=東京・駿台学園)のクイックで幕を開けた第1セット。水町の二段トスから山田が決めたのを皮切りに、山田のサービスエース2本を含む5連続ポイントで流れをつかむ。中盤にはOP畑虎太郎(スポ2=福井工大福井)のアタックや水町のサーブで再びブレイクし、17-11とした。21―16の場面では、山田のディグやセッター前田凌吾(スポ2=大阪・清風)のカバーでボールを落とさず、非常に長いラリーになる。そこを山田が決めきり、貴重な1点にした。最後は麻野のクイックでこのセットを奪取。

アタックライン付近から、前田の強気なバックトス

 続くセットは、池城浩太朗主将(日体大)の強力なサーブで幕を開け、リードされる苦しい立ち上がりとなった。その中でも伊藤のブロックや畑のするどいクロススパイク、縦横無尽にコートを駆け回る前田のセットアップで食らいつく。一時は先行もしたが、終盤相次いで強サーバーに押され、23-25で惜しくもこのセットを落とす。第3セットは畑に代わり、OP佐藤遥斗(スポ1=東京・駿台学園)がコートへ。この佐藤のスパイクや、水町のサービスエースなどで10―7とする。しかしここで再び池城(日体大)や一条太嘉丸(日体大)のサーブにより相次いでブレイクを許し、13-19まで離された。終盤にはサーブミスもあり、思うように反撃できず、このセットも献上した。

 後がない第4セットは一進一退の攻防が繰り広げられた。最初の分岐点となったラリーは5-5の場面。水町のフェイクトスから佐藤が打ち込むも、日体大の守備は落とさない。長いラリーを山田がストレートに決めきり、早大に流れを引き寄せた。以降両エースを中心に得点を重ね18―15とするが、3連続早大のミスがあり同点に。水町のインナースパイクやブロックで一歩前に出ると、なんとかこのリードを守り切り、25-23で試合を振り出しに戻した。ファイナルセットは、山田が躍動したほか、相手の中央からの攻撃に対し麻野が1枚でブロック。8-5で先行し、折り返した。後半は、2本のブロックポイントもあり、ブロックで一気に流れをつかんだと言える。13―10まで追い上げられたが、タイムアウトを取って一度仕切り直した早大。山田がレシーブから助走に入り、自分でバックアタックを決めてマッチポイントを握る。最後も山田のスパイクで締めくくった。

麻野のブロックポイントで盛り上がる選手たち

 ここまで春リーグでは圧倒的強さを見せていた早大だが、黒鷲旗全日本男女選抜と同様、サーブで攻められ自分たちのバレーボールに持ち込めない苦しい戦いとなった。しかし、ここで勝ちきれたことは間違いなく大きい。現状全勝を守り、1位を独走している早大。次週は春リーグ暫定2位の筑波大と、3位の専大との対戦で、事実上の優勝決定戦となるであろう。チームとしての目標は勝ち負けにこだわらず、『大胆』にやるということが第一にあるが、「負けたくはないので、絶対全部勝つつもりやる」(伊藤)という言葉が思い出される。「自分たちの良さをしっかり出し切ることが優勝に近づく」(松井監督)というように、まずは攻める気持ちを忘れず主導権を握り、その結果として勝ち星を重ねたいところだ。

(記事、写真 五十嵐香音)

 

セットカウント
早大 25-17
23-25
20-25
25-23
15-10
日体大
スタメン
アウトサイドヒッター 水町泰杜(スポ4=熊本・鎮西)
アウトサイドヒッター 山田大貴(スポ4=静岡・清水桜が丘)
ミドルブロッカー 伊藤吏玖(スポ4=東京・駿台学園)
ミドルブロッカー 麻野堅斗(スポ1=京都・東山)
オポジット 畑虎太郎(スポ2=福井工大福井)
セッター 前田凌吾(スポ2=大阪・清風)
リベロ 荒尾怜音(スポ4=熊本・鎮西)
リベロ 布台駿(社4=東京・早実)
途中出場
佐藤遥斗(スポ1=東京・駿台学園)
菅原啓(教1=山形南)
 
コメント

松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)

――まずは黒鷲旗全日本男女選抜(黒鷲旗)の総括をお願いします

 3試合やって、1試合目のジェイテクト戦は卒業生がだいぶいる中で、「本気でやりますからね」ときていたりね、向こうもそういう準備をしてきていたのと。こちらももう少し向かっていく感じがあってもよかったのではないかなと思います。諦めてはないのだけど、自分たちらしさが出なかったっていうのがあって。それがチームの弱いところでもありますね。一方パナソニック戦は、1セット目はそんな感じだったのが、自分たちが持っているものを全部だそうということでやりはじめると2、3セット目みたいになるので。そういう意味では今回の黒鷲旗では、自分たちのやってはいけないスタイルと、うまくいくっていう両方の形ができたので、進むべき方向が見えた大会ではないかなと思います。

――今日は苦しい試合になりましたが振り返っていかがですか

 春というのは安定しないので、今日は1セット目うまくいきましたが、2、3セット目受けてしまっている感じがありましたね。1セット目勝てたから安心しているわけではないと思うけれども、まだまだチーム作ってそんな時間が経っていないので、もう少しきゅっと自分たちの良いものを出していかないといけないと思いますね。

――2セット、3セットを落としてしまった具体的な要因は

 サーブに対して少し対応ができなかったのと、苦しい状態での攻撃が良くなかったですね。ミスを出してしまったり、難しいボールを打ちにいってアウトになったり。相手に点を取られているわけではないんですよね。相手に点をあげてしまって。それが修正しないといけない点でした。

――日体大は粘り強いと言われますが、攻撃も強いですよね

 そうですね、いいと思いますね。やはりディフェンス型のチームではありますが、思い切ってやってくるチームなので、今日は思い切りの良さが攻撃にもでていましたね。

――取られたセットの間や、最終13ー10に追い上げられた場面、どういった声をかけられましたか

  慌てない、だね。ひとつひとつ基本をもう一回やろうねということです。ああなってしまうとどうしても、勝ちたいとかうまくやりたいとかなってしまって自分のプレーができなくなってしまうので。

――畑選手と佐藤選手は違うタイプだからこそ使い分けられていると思うのですが、監督の目からみてそれぞれどういった選手ですか

 畑は攻撃力があるのでそこが魅力でもありますね。遥斗は畑に比べたら攻撃力では劣りますが、全体のバランスがいいですね。なのでそういう使い方をしています。

――ブロックに関してはいかがですか

 ブロックは畑も佐藤も大学レベルではまだまだ物足りなさを感じますので、そこが良い方がスターティングメンバーになっていくんじゃないかなって感じがしますね。

――今日は山田選手がレシーブに参加していて、自分で拾って自分で打ってという姿が印象的でした

 4年生らしく自分でやろうという気持ちが見えましたね。でもレシーブに入っていくとどうしてもアタックのことを忘れてしまうんじゃないけども、疎かになってしまう部分があります。2つのことを同時にできないので、レシーブ外してアタックだけにしたりもするのですが。Vリーグに行くにしても、どっちもできないといけないことを今日実感したのではないでしょうか。

――今日の試合の収穫を改めて教えてください

 やはり自分たちの良さ、足りないところが黒鷲旗と同じような形だったので、ますます鮮明になって練習課題やチームの進むべき方向が出てきました。試合ですから負けてはいけないのですが、勝って反省が出たというところはよかったです。

――来週が事実上の優勝決定戦になりそうですが、どのように戦っていきますか

 かもしれませんね。勝ち負けも大事ですが、春なので豪快に、点数を取りにいく姿勢を忘れずに。自分たちの良さが出て、それで相手が上だったらしょうがないので。結果はどうであれ、自分たちの良さをしっかり出し切ることが優勝に近づくのではないかなと思います。