黒鷲旗全日本男女選抜(黒鷲旗)3日目、早大はグループ戦の最終カードとして、富士通カワサキレッドスピリッツ(富士通)と戦った。双方グループ戦での敗退が決まった状態での対戦であったが、富士通にこの黒鷲旗で引退を表明している選手が多いこともあり、コートには楽しみながら明るく送り出す空気が満ちていた。序盤から早大のペースで進み、セット後半には下級生も多く出場機会を得た。グループ戦突破とはならなかったものの、Vリーグのチームと戦う貴重な経験を積んだ早大。セットカウント2-0(25-17、25-17)で勝利し、グループ3位で大会を終えた。
第1セットはリベロ荒尾怜音(スポ4=熊本・鎮西)の綺麗なキャッチから、MB伊藤吏玖副将(スポ4=東京・駿台学園)のクイックにつながり先制。OH水町泰杜主将(スポ4=熊本・鎮西)のノータッチサービスエースもあり上々な滑り出しとなったが、両チームにサーブミスが続き乗りきれない。ここで、相手の伸びたレシーブを水町がダイレクトに叩くと思いきや、セッター前田凌吾(スポ2=大阪・清風)へパス。前田が再び水町に戻し、クロスに決める鮮やかなプレーでチームを勢いづけた。中盤以降はどこからでも打てるMB麻野堅斗(スポ1=京都・東山)のクイックやOH山田大貴(スポ4=静岡。清水桜が丘)の鋭いスパイク、OP畑虎太郎(スポ2=福井工大福井)のブロックなどで点を重ねる。大幅にリードして後半に差し掛かると、馬渕純(スポ3=岐阜商)らがコートに送られた。リベロ布台駿(社4=東京・早実)の二段トスから水町が決め23-15。また、ミスにはなったものの、馬渕と菅原啓(教1=山形南)のコンビも見られ、今後に期待が高まる。最後は麻野のブロックポイントでセットを奪った。
サーブを打つ麻野
後がなくなった富士通が、ギアを一段上げてきた第2セット。黒鷲旗で引退する栁田百織(富士通)の鋭いライトスパイクなどで2-4と先行される。しかし、すぐに前田のサーブを起点に反撃。水町1枚によるブロックポイント2本を含む、5連続得点で7―4とする。中盤、前田がファーストタッチとなった際には、水町が畑へとセットするオールマイティーさを見せた。畑も畑で、昨日からの勢いそのままに、ノータッチサービスエースを獲得し、タイムアウトを取らせる。タイムアウト明けもエースとなり、リザーブのメンバー含め、チームは大きく盛り上がった。試合終了間際にはミスの少なさに定評のある佐藤遥斗(スポ1=東京・駿台学園)がリリーフサーバーとしての起用に応え、ブレイクに貢献。そして、伊藤のクイックで有終の美を飾った。
布台のつなぎ
第1戦、第2戦と思い通りにいかないことも多かった早大だが、最後の最後で勝利を収めることができた。しかし、今日が終われば2日挟んでまた春季関東大学リーグ戦の後半戦が始まる。後半戦は、昨年秋リーグで上位の成績を収めたチームとの厳しい戦いが続くことが予想される。まずは、今季1部に返り咲き東海大に勝利したほか、筑波大とフルセットに及ぶ接戦を見せ、波に乗る慶大との戦い。コンディション調整など難しさはあるに違いないが、この黒鷲旗での経験を活かしながら、全員で戦い抜きたいところだ。
(記事 五十嵐香音、写真 新井沙奈)
セットカウント | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 2 | 25-17 25-17 |
0 | 富士通カワサキレッドスピリッツ |
スタメン | ||||
アウトサイドヒッター 水町泰杜(スポ4=熊本・鎮西) アウトサイドヒッター 山田大貴(スポ4=静岡・清水桜が丘) ミドルブロッカー 伊藤吏玖(スポ4=東京・駿台学園) ミドルブロッカー 麻野堅斗(スポ1=京都・東山) オポジット 畑虎太郎(スポ2=福井工大福井) セッター 前田凌吾(スポ2=大阪・清風) リベロ 荒尾怜音(スポ4=熊本・鎮西) リベロ 布台駿(社4=東京・早実) |
||||
途中出場 | ||||
馬渕純(スポ3=岐阜商) 板垣慧(政経2=京都・洛南) 安食浩士(スポ1=宮城・東北) 佐藤遥斗(スポ1=東京・駿台学園) 菅原啓(教1=山形南) 布台聖(スポ1=東京・駿台学園) |
コメント
麻野堅斗(スポ1=京都・東山)
――今日の試合の振り返りをお願いします
1日目、2日目と落としている中で気持ちの切り替えは難しいですが、最後は学生らしく楽しんでやろうと4年生から言われたので、それができたかなと思います。
――3日間戦ってきた中で、課題は見つかりましたか
チームとしては、レセプションのところで相手のサーブに押されてしまったことでレフトの打数が多く、ブロックで引っ掛けられて切り返されてしまうことがたくさんありました。前に出る短いボールへの対策やレセプションはチームの課題だと思います。個人としては黒鷲旗全体を通してブロックポイントがなかなか出なかったので、サイドへの寄りのスピードという面で全然できていないと感じました。あとはクイックの時に若干落とし気味に打ってしまっていて、ブロックに掛かるケースが多いので、今日のように奥に打って掛けられないようにしていきたいです。
―― Vリーグのチームと戦ってみて、感じたことはありますか
大学生と違ってVリーグのチームは組織として強いと感じました。ブロックとレシーバーの連携がうまくとれていて、自分たち大学生よりチームとしての総合力がすごく高いです。勝つのはなかなか難しいなと改めて感じました。
――すぐに春リーグが再開しますが、コンディションなどはいかがですか
1年生の仕事などもあって、試合と仕事で両立できていないのでコンディション的にはあまり良くはないと思います。ですが出させてもらうからには活躍しないといけない ですし、しっかり整えていきたいと思っています。
――春リーグ後半戦に向けて意気込みを聞かせてください
これからどんどん上位チームと当たっていくことになります。今日の東海大と近大がすごくいい試合をしていたので、あんなふうに観客の方が楽しめるような試合をしていきたいです。