「いつも通り」を発揮できず、ジェイテクトに悔しいストレート負け

男子バレーボール

 V1、V2、大学、高校と各カテゴリーから選抜されたチームで行われる黒鷲旗全日本男女選抜(黒鷲旗)が開幕した。3セットマッチのグループ戦上位2チームが決勝トーナメントに進む今大会で、早大はV1所属の強豪ジェイテクトSTINGS(ジェイテクト)、パナソニックパンサーズ、V2所属の富士通カワサキレッドスピリッツと当たる激戦区に入った。1戦目となるこの日の相手は、早大出身選手も多いジェイテクト。相手の強力なサーブや、虚をつく軟打に翻弄(ほんろう)され、「いつも通り」が発揮できない。2セット先取という試合の短さもあり、立て直すことができず、セットカウント0-2(16-25、18-25)で敗戦した。

試合前に円陣を組む選手たち

 第1セットは、OH山田大貴(スポ4=静岡・清水桜が丘)のクロススパイクがコート奥深くに突き刺さり、好調な滑り出し。リベロ荒尾怜音(スポ4=熊本・鎮西)の華麗なレシーブから、OP佐藤遥斗(スポ1=東京・駿台学園)の攻撃につなげ5-5とした。OH水町泰杜主将(スポ4=熊本・鎮西)が、コート外からうまくアンテナ内に通す返球や、相手の逆をつくターン打ちのバックアタックなど器用なプレーを見せ、互角な攻撃の応酬を繰り広げる。しかしここから、相手のサーブが牙をむき始めた。強力なサーブによって伸びたレシーブを強打で叩き込まれたかと思いきや、前に落とすようなサーブ、ラリー中でのフェイントなど前後に揺さぶる攻撃に苦しむ。ネットを越えそうなレシーブをセッター前田凌吾(スポ2=大阪・清風)がネット際で競り合い、片手でセットすると、MB麻野堅斗(スポ1=京都・東山)が決めきり12-16とした。それでも、相手のサーブは衰えることがない。藤中優斗(平31スポ卒=現ジェイテクト)の大きく曲がるサーブが決まり14-23。コートに送られた畑虎太郎(スポ2=福井工大福井)のパイプ攻撃で食らいつくが、16-25でセットを取られた。

 2セット先取、3セットマッチということで後がない第2セット。序盤は1セット目よりも相手のサーブミスが多く、5―3と一時先行する。しかし、都築仁(ジェイテクト)や柳田将洋(ジェイテクト)の巧みな攻撃で徐々にリズムが狂い始める。相手は柳田へと集める長いラリー中、早大は前田の多彩なトス回しでバランスよく配分すると、最後は水町が決めきり10―12と詰め寄る。中盤以降水町のサーブが効果的に働きブレイクもあったが、いかんせん立て直すには時間が足りず。18―25でストレート負けを喫した。

サーブを打つ水町

 昨年の黒鷲旗でJTサンダーズ広島を破る戦いを見せ、早大の選手たち自身も本気で「勝って決勝トーナメントに進む」ことを意識していただけに、「いつも以上のことを格上相手にはやらないと駄目という気持ちが勝ってしまって」(水町)いたのかもしれない。春季関東大学リーグ戦ではこれまで盤石の試合運びを見せていた早大が、久々に自分たちのリズムで攻撃ができないという、V1チームの強さを実感した試合となった。決勝トーナメントに進むには、明日の試合ももちろん落とせない。同じくV1所属のパナソニックパンサーズが相手の厳しい試合になることが予想されるが、「いつも通りが僕らのいい形」と水町が述べたように、私たちの見ている「いつも通りの早稲田」の牙は必ず届くはず。今日が不完全燃焼になってしまったという分、爆発力のあるプレーで金星を挙げたいところだ。

(記事 五十嵐香音、写真 渡辺詩乃)

 

セットカウント
早大 16-25
18-25
ジェイテクトSTINGS
スタメン
アウトサイドヒッター 水町泰杜(スポ4=熊本・鎮西)
アウトサイドヒッター 山田大貴(スポ4=静岡・清水桜が丘)
ミドルブロッカー 伊藤吏玖(スポ4=東京・駿台学園)
ミドルブロッカー 麻野堅斗(スポ1=京都・東山)
オポジット 佐藤遥斗(スポ1=東京・駿台学園)
セッター 前田凌吾(スポ2=大阪・清風)
リベロ 荒尾怜音(スポ4=熊本・鎮西)
リベロ 布台駿(社4=東京・早実)
途中出場
畑虎太郎(スポ2=福井工大福井)
安食浩士(スポ1=宮城・東北)
 
コメント

水町泰杜主将(スポ4=熊本・鎮西)

――春リーグの真っ只中ですが、チームとしてこの黒鷲旗をどのような位置付けで捉え、どのような気持ちで臨みましたか

 春リーグの中盤にカテゴリーの上の相手とできる機会なのでしっかりできることを全部やって、向かっていく姿勢を忘れないことをチームで話しながら試合に臨みました。

――チームの目標はどのように設定していましたか

 予選突破して4日目に残ることを目標にして、そのためにもこの1試合目は非常に大切だったので不完全燃焼というかもやもやしています。

――水町選手は緊張している感じはあまりなかったですが、チームの雰囲気は

 格上の相手ということもあって、いつも以上のことを格上相手にはやらないと駄目という気持ちが勝ってしまって、いつも通りが僕らのいい形なのに、いつも通り以上を出そうとして逆にそれが空回ってしまいました。いつも行かないボールに手を出したり、いつもできていることができなかったり、いつもしないことをやろうとしたりとか、そういったことがちょっとあったのかなと思います。明日はいつも通りということを忘れずに、まずは僕らの形を出すことを意識したいです。

――今日の試合内容を、詳しく振り返って

 かなりジェイテクトさんのサーブに押されて、まずパスが返らなかったです。やっぱり軟打のボール、ゆるいボールがあるという話はしていたんですけど、試合になると取れないことなどを通して、ほんとに一つ上のカテゴリーのレベルの違いを感じた試合でした。

――V1所属のチームということで全てのレベルが高いと思いますが、一つ大学との大きな違いを挙げるとするならどこを挙げますか

 今日の試合で言うなら、やはりサーブの差ですかね。

――1セット目先取されてから2セット目までの間はどういった話をしましたか

 気持ちが上がってしまっていたのでとりあえずいつも通りのことをやろう、サーブはしっかり打つという風に話してましたが、3セットマッチということもあって立て直す暇もなかったです。最初の1、2セット目もそれでは大学でも通用しないので良い課題になったと思います。

――2セット目の最初から気持ちは切り替えられていましたか

 そうですね、切り替えてはいました。とりあえず2セット目はサーブに気合を入れて打ちました。

――明日のパナソニックパンサーズ戦に向けて、意気込みをお願いします

 とりあえず、自分たちらしいというか大学生らしいフレッシュさを忘れずに、なおかつ自分たちがやってきたことを出すということで、それ以上もそれ以下もないと思います。まずはいつも通り自分たちの力を出すことを意識して、パナソニックさんのことというよりも、自分たちのことをしっかり意識してやりたいと思います。