ストレート勝利で優勝! 全カレに向け課題も浮き彫りに

男子バレーボール

 伝統の全早慶明定期戦2試合目、全早大は全明大と対戦した。第1セットは2連続のブロックポイントや、サイドアタッカー陣の活躍が光り、序盤に広げた点差のまま後半へ。その後一度は追いつかれてしまったが直後に6連続得点で一気に突き放し、セットを先取した。2セット目は中盤まで互いに1点を取り合う展開の後、全早大がじわじわと点差を広げていく。勝利まであと1点というところで全明大から追い上げられるが、OP重藤トビアス赳(スポ4=神奈川・荏田)が強烈なスパイクをコートに叩き込み試合終了。セットカウント2-0(25-18、25-23)で勝利した。

 試合はOH大塚達宣(スポ4=京都・洛南)のレシーバーの間を狙ったスパイクで始まった。MB岩本大吾主将(スポ4=兵庫・市尼崎)を中心として、立て続けに相手のスパイクを2本シャットアウトし試合の流れを手繰り寄せる。その後はOH水町泰杜(スポ3=熊本・鎮西)を中心に、サイドアタッカー陣にボールを集めて着実に得点を重ねていった。しかし3枚ブロックを破られるスパイクやサービスエースを決められると、17-17の同点とされてしまう。ここで大塚副将がレシーブからそのままスパイクを決め切り、反撃の口火を切る。ブロックを利用した攻撃で全明大を攻め立て、相手のミスを誘い6連続得点で23-17と大きくリードを奪った。その後途中出場した中野博貴(OB、平30教卒=東京・早実)がスパイクを決め25-18で全早大が第1セットを先取した。

サーブを打つOH大塚副将

 第2セットはMB伊藤吏玖(スポ3=東京・駿台学園)をおとりに水町がアタックを仕掛けるパイプ攻撃がはまり、第1セットに続き全早大のポイントからスタートした。セッター前田凌吾(スポ1=大阪・清風)が、アンダーハンドでセットしたボールを大塚副将が決め切り、5-2としたがここから試合は膠着(こうちゃく)状態に。全早大はリベロ荒尾怜音(スポ3=熊本・鎮西)が懸命にボールを拾い続け、全員でつなぎ、重藤や水町らがポイントにしていった。しかし両チームとも連続得点がないまま、13-10まで試合が進む。ラリーが続いたところで、大塚副将がレシーブからすぐさま回りこんで、そのままスパイクでブレイクし14-10とした。試合終盤には何人かの選手を途中出場させ、OH山田大貴(スポ3=静岡・清水桜が丘)は高さを生かした力強いスパイクを見せる。前田に代わって入ったセッター馬渕純(スポ2=岐阜商)はその山田や岩本主将にスムーズにトスを通していく。終盤に4連続得点を許すなど危ない場面もあったが、最後は重藤が強烈なスパイクを決め、25-23でゲームセット。全早慶明定期戦の優勝が決まった。

パイプ攻撃でチームを引っ張るOH水町

 3年ぶりの開催となったこの定期戦には、各校の関係者を含め多くの観客が集まり選手たちの表情もどこかリラックスしていた。しかし場の雰囲気を楽しみつつ、インカレに向けての調整という面も忘れてはいない。特に本試合では散見されたもったいないミス。全日本学生選手権(インカレ)ではそうしたミスを見逃さない強敵たちと対戦していくことになる。ミスをはじめとして、それぞれの選手が自身とチームに対する課題をこの定期戦で見つけただろう。その課題を克服しどんな姿でインカレに臨むのか、集大成に向けて早大は一歩ずつ歩み出している。

(記事 新井沙奈、写真 山田彩愛、荒井理沙)

 

3年ぶりの全早慶明定期戦

 

セットカウント
早大 25-18
25ー23
明大
スタメン
アウトサイドヒッター 大塚達宣副将(スポ4=京都・洛南)
アウトサイドヒッター 水町泰杜(スポ3=熊本・鎮西)
ミドルブロッカー 岩本大吾主将(スポ4=兵庫・市尼崎)
ミドルブロッカー 伊藤吏玖(スポ3=東京・駿台学園)
オポジット 重藤トビアス赳(スポ4=神奈川・荏田)
セッター 前田凌吾(スポ1=大阪・清風)
リベロ 荒尾怜音(スポ3=熊本・鎮西)
途中出場
中野博貴(OB、平30教卒=東京・早実)
山田大貴(スポ3=静岡・清水桜が丘)
前田真治(OB、平30政経卒=京都・洛南)
馬渕純(スポ2=岐阜商)
布台駿(社3=東京・早実)
 
コメント

OH水町泰杜(スポ3=熊本・鎮西)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 松井先生 (松井泰二監督、平3人卒=千葉・八千代)がいなかったので僕たち自身でちゃんと声を掛けあってやろうという話をしていました。上手くコミュニケーションを取れたのかなと思います。

――自分のプレーで良かったところと課題点などはありますか

 ハイボールで(ブロックが)3枚きた時、打ち方を工夫して打てたのが良かったと思います。(課題点としては)終盤、レセプションを崩された部分があったので集中してきっちり質の良い返球をできたら良かったと思いました。

――難しい場面でボールが上がることが多かったですが、今日のプレーの出来はいかがでしょうか

 ハイボールでライン側の選手の右手を狙って当て出し(ブロックアウト)とかできたので、やってきたことが少し出て良かったと思います。

――フェイクセットは結構練習していたのですか

 いや、全然してないです(笑)。(練習)してなかったら普通にミスりました。その前に(自分が)打ったのでブロックがついているかなと思ったのですが、(ブロックがつかなかったので)そのまま打ったら良かったと思いました。

――パイプ攻撃が増えた気がしますが、セッターとの連携は上手くできていますか

 特にパイプを増やしてと言ったわけではないのですが、明大戦では真ん中の選手がミドルに圧をかけてきていたので、パイプがちょっと増えたのかなと思います。少しずつ凌吾(前田凌吾)ともトスが合ってきていると思うので、インカレ(全日本学生選手権)に向けてもう一段階ギアを上げていけるようにしたいです。

――インカレに向けてどのように調整しますか、また意気込みもお願いします!

 インカレまでここから1ヵ月、一気にチーム全体の技量が上がったりすることはないと思うので、関係性やコミュニケーションをしっかり取りたいです。レセプションのノータッチエースやラリー中のセッターとスパイカーのコンビミスをなくすというところをもっと詰めていけたらなと思います。

 

セッター馬渕純(スポ2=岐阜商)

――今日の試合の振り返りをお願いします

 チーム全体としては、秋リーグ(秋季関東大学大学リーグ)で負けた時にうまくいかなかったライトを凌吾(前田凌吾、スポ1=大阪・清風)が積極的に使っていたのが印象にあります。慶大との2セット目や、明大戦で僕が入った時は結構危ないところもありましたが、それ以外ではナイストライができたと思います。逆に言えばそういった危ないところを締めて勝ち切らないといけないと思うので、頑張らないとなという感じでした。自分が出た感想で言うと、緊張はしました(笑)。緊張はしましたが、今までよりはアットホームというか、コートの中にいるのもだいぶ慣れてきました。OBの方に決めていただきたいという気持ちが強く出すぎてしまって、危うくセットを取られそうになりましたが、楽しくできました。インカレ(全日本大学選手権)はスタートで出られるかは分かりませんが、凌吾がケガをしたら自分が試合に出ることになるので、今日(試合に)出させていただけたのは次につながる部分があったと思います。

――ご自身のプレーの手応えは

 トス自体で見ると、今までは焦ってドリブルなども多かったですが、今日はそんなになかったので良かったと思います。ただOBの方に上げるのが1本多くて危うくという展開になってしまったので、もちろん最後に決めていただきたいという気持ちはありましたが、この段階まで来たらデッドラインだというところの判断が甘かったかなと思いました。その後も大貴さん(山田大貴、スポ3=静岡・清水桜が丘)が入ってきてないのにボールを上げてしまったことなど、経験のなさが出てしまったかなと思います。たとえぎりぎりの状態になってしまったとしても、次に確実に決め切る状態を作っていくのが僕の役割だと思うので、途中交代だろうがスタートから出ようがそういうセッターの役割というところをもう一度自分で見直していきたいです。

――馬渕選手のトスから岩本主将のクイックがきれいに決まった部分に関してはどう考えていますか

 自分の良さは高さだと思っていて、少しパスが近かったのですがこれはいかないとだめだなと思って、センターを使いました。あそこからレフトやライトに上げる選択肢もありましたが、(岩本主将とは)結構合わせていて仲もいいので、「頼むわ(笑)」って感じでした。天皇杯予選ではクイックを気持ちよく決めさせられなかったので、決めてもらえてよかったです。僕は高さが取り柄で、ミドルの使い方は凌吾と同等かそれ以上じゃないとだめだと自分の中で思っているので、僕が出たらミドルが生きるバレーを展開していきたいと思っています。

――インカレに向けて意気込みをお願いします

 昨年はメンバー外でしたが、今年はこのままうまくいけばメンバーに入らせてもらえて、セッターとしてコートに立たせてもらえるかもという感じです。初めての舞台なので緊張は絶対すると思うのですが、その緊張も楽しみつつ、自分の中での1年の締めくくりになるので、「今年はこれだけ自分が頑張ってきたんだぞ」というのを発揮できるようにしたいです。