フルセットの末、中大に敗北　惜しくも全勝優勝を逃す　　

　ついに秋季関東大学大学リーグ（秋季リーグ戦）最終戦を迎え、早大は中大と『全勝優勝』をかけた一戦に挑んだ。早大はサーブが走り、これを端緒として勢いに乗る。だが中大もブロックタッチを取り、粘り強さを発揮した。両校ともに譲らず、１セットずつを奪う展開に。その後の第３セットでは終盤でも同点になるなど、拮抗（きっこう）した戦いが続いた。だが早大はサーブで均衡を破ると逃げ切ることに成功する。続く第４セットもシーソーゲームとなるが、中大が土壇場で逆転しフルセットへ。最終セット、中盤に相手がブロックで早大のスパイクミスを誘うと、ここで３連続ブレイクを許してしまう。これが勝負の明暗を分け、セットカウント２－３（23-25、25-16、25-22、23-25、11-15）で惜しくも敗れ、10勝１敗の２位で秋季リーグ戦を終えた。

 

　秋季リーグ戦を通し、終盤に勝負強さを発揮してきた早大、本試合でも勝負どころでの得点が光った。第１セット序盤、４連続得点で先に中大が優位にたった。だが早大もＭＢ秋間直人（スポ４＝愛知・桜台）のＡクイックとサイドからの力強いスパイクを中心として得点を重ねていき、徐々に差を詰めよっていく。20－23となり、ここで早大が反撃の狼煙を上げる。ＯＨ大塚達宣副将（スポ４＝京都・洛南）のパイプ攻撃で１点を返すと、途中出場のＯＰ山田大貴（スポ３＝静岡・清水桜が丘）が角度のあるサーブで相手のレセプションを乱し、早大は２連続でダイレクトスパイクを叩き込む。23－23と同点になり、中大が堪らずタイムアウト。この後勢いのまま取り切りたい早大であったが、中大が意地をみせ23－25で第１セットを奪われた。第２セットに入り、今度は早大が序盤に先行する。ＯＨ水町泰杜（スポ３＝熊本・鎮西）のパイプや大塚のスパイクで３－０に。ここからサイドアウトを取り合う展開となるが、９－６の場面で中大のミスを誘い、再び４連続ブレイクすると点差を広げた。そして安定感のある試合運びをみせ大きくリードすると、最後は大塚の２連続サービスエースで第２セットを奪い返した。

 

強気のサーブを打つ重藤

　第３セットはリベロ荒尾怜音（スポ３＝熊本・鎮西）の安定したレセプションから、大塚がコースを上手く打ち分けたスパイクや、サービスエースなどを決めるなどの活躍を見せた。10－10、ここでＭＢ伊藤吏玖（スポ３＝東京・駿台学園）のサーブを起点として、秋間のプッシュや水町のダイレクトで早大は４連続ブレイクに成功。その後は中大ブロックにワンタッチを取られ、なかなか気持ちよく決めさせてもらえない状況が続いたが、長いラリーになってもしっかり攻撃を組み立てて決め切る場面も見られた。一時は20－20と同点に追いつかれたものの、重藤の強気のサーブからしっかりとディグにつなげ、自分たちの得点に結びつけた。最後は水町が相手のブロックを利用したスパイクを打ち込み、25－22で第３セットは早大の手に。

円陣を組む選手たち

 

　続く第4セット、早大は自らのペースで攻撃できず、リードされる状況が続く。15－12となり、水町がサービスエースを決めサーブから流れを引き寄せた。そしてなかなか止められなかったブロックでもポイントを挙げると、16－15と逆転。勢いのまま早大が試合を制するか、と思われた。だが22－21の緊迫した場面で、苦戦を強いられていた佐藤篤裕主将（中大）にサーブが回ってくる。このサーブから今度は中大が流れを手繰り寄せ、３連続ブレイクと逆転を許してしまった。早大は１点を返したが、中大に25点目をしっかりと決め切られ、23－25。勝負はフルセットへともつれこんだ。勝負の第５セット、しっかりとＡパスを上げ、クイックや大塚のスパイクで攻めた。重藤のサービスエースも決まるが、相手に速い攻撃を展開され試合は均衡を保つ。だが８－８と折り返しの場面から、早大にミスが続いてしまった。その直後に水町のバックアタックが相手ブロックに捕まり、シャットアウトされるなど、３連続失点と劣勢に追い込まれる。それでも大塚がブロックアウトを、水町がバックアタックを決め反撃の姿勢を崩さなかった。しかし逆転から勝利とはならず、敗北した。

 

　ここまで全勝と順調に勝ち続けてきた中で、フルセットの末に敗北してしまった。しかし、松井泰二監督（平３人卒＝千葉・八千代）「しっかりと先を見つめて、課題が出たのでそこを詰めて行ければ」と早大は決して下を向いてはいない。秋季リーグ戦で表出した課題を克服するべく、再び鍛錬の時間が始まる。また、このチームでの戦いも残すところ、全日本学生選手（全カレ）のみとなった。掲げてきた『全カレ６連覇』に向かって、ここからさらに洗練されていくであろう早大のバレー、約１カ月後にはどんなチームが出来上がっているだろうのか。磨きこまれていく『早稲田バレー』に期待が高まらずにはいられない。

（記事　山田彩愛、写真　町田千穂、山田真由）

 

 

コメント

松井泰二監督（平３人卒＝千葉・八千代）

――フルセットの末に敗れてしまいましたが、今その結果をどのように受け止めていらっしゃいますか

　バレーは２点差で勝ち負けが決まることが多いです。その中でやはり勝負の世界なので、今日は基本的な部分ができずに勝敗が分かれてしまいました。そこは選手たちにも真摯に受け止めてもらいたいなと思いますね。

――今日の試合を振り返って

　昨日（東海大戦）と今日（中大戦）の２試合は、大塚（達宣副将、スポ４＝京都・洛南）が戻ってきたばかりなので、インカレ（全日本大学選手権）に向けてどれくらいフィットできるかなというところを見ていました。そこで課題がでれば、それをインカレまでに修正していけば良いということに重きを置いていたので、勝ち負けにはこだわっていませんでした。チーム全体としても勝ったから負けたからといった雰囲気はないと思いますね。しっかりと先を見つめて、課題が出たのでそこを詰めて行ければいいなと思います。

――中大ブロックによくワンタッチを取られ、なかなか決められなかった場面が見られましたがそちらについてはいかがですか

　今日は中大にブロックを絞られてしまったので、よくブロックでワンタッチを取られてしまいました。うちが単調な攻めになってしまったので、そこは課題ですね。

――秋季リーグ戦全体を振り返って

　ひとつは大塚がいないという状況でどこまでやれるかということについては、選手たちが主体的となって、夏から頑張ってきていたのでその成果は出たのかなと思います。（大塚が）合流してからの２試合も、合わせていない中でも３－１、フルセットの試合をできたということで、チームとしても良いリーグ戦になったのではないかと思っています。

――来週の天皇杯予選（天皇杯全日本選手権関東ブロックラウンド）に向けての意気込みをお願いします！

　今日できていなかった基本的なことをもう一度見直して、その上で試合に臨みたいと思います。

 

ＯＰ重藤トビアス赳（スポ４＝神奈川・荏田）

――今日の試合を振り返っていかがですか

　昨日と一緒で１セット目の僕の出だしが悪くて代えられてしまいました。そこから２、３（セット目）は立て直すことができましたが、４、５（セット目）には泰杜（水町泰杜、スポ３＝熊本・鎮西）と達宣（大塚）ばかりに（トスが）集まってしまったのが良くなかったなと思います。

――20点以降の終盤でも攻めたサーブをしっかりコートに入れていましたが、その手応えはいかがですか

　スパイクが全然良くなかったので、貢献できるとしたらブロックとサーブとディフェンスかなと思っていました。その１つであるサーブを頑張ろうと思って、良かったのかなと思います。

――チームとしてブロックが機能していない場面もあった印象でしたが、振り返っていかがですか

　予想よりも（中大の）クイックの打数が多かったというのもあります。ですがそれよりも中大のスパイカーの打ち方が良くて、（ブロックで）タッチが取れない方向に飛んでいってしまうことがありました。これから手の出し方を修正していけばいいのかなと思います。

――チーム全体のアタックについては

　自分が不甲斐ないので、両レフトの比重が多くなり相手もマークしやすくなってしまいました。自分がもう少し機能したら、ブロックも割れて、両レフトの決定率も上がってくると思うので、そこを詰めていければと思います。

――全日本大学選手権（全日本インカレ）に向けてチームとして力を入れていきたいところはありますか

　達宣が帰ってきてまだ１週間と少ししか経っていないなかで、戦えた方ではあると思います。クイックと自分の攻撃をどのようにラリー中やファーストブレイクから組み込んでいくかというのが大事だと思います。

――全日本インカレに向けての意気込みをお願いします

　今年、早稲田は（リーグやインカレで）１回も優勝していないです。全カレでは（５年連続で）優勝しているというやりづらいなかではありますが、全カレに向けてピーキングをして、しっかり６連覇を果たせるように。全部出して、それが良い結果につながればいいなと思います。