まさに総力戦 全員の力で挙げた明日へとつながる1勝

男子バレーボール

 東日本大学選手権2日目、早大は山形大と対戦した。試合開始から多彩な攻撃でブレイクを重ね、勢いのまま第1、第2セットを手堅く連取する。その後の第3セットは、スターティングメンバーを大幅に入れ替えて挑んだ。試合経験の浅いメンバーで組まれたため慌てる場面も見られたが、4年生を中心として得点を挙げると、デュースにもつれ込む展開を粘り切る。そしてセットカウント3ー0(25-19、25-16、32-30)で勝利し、ベスト8進出を決めた。

 

 第1セットはクイックやバックアタックなど、センター線での攻撃を中心として得点を重ねた。3ー3の場面、ブロックで相手にプレッシャーをかけ、相手のミスを誘い4連続ブレイク。序盤に点差を広げた。その後もセッター前田凌吾(スポ1=大阪・清風)が幅広い攻撃を引き出し、全員が得点に貢献する。リードしたまま第1セット終盤に突入するが、ここでミスが相次ぎ19ー18と追い上げられた。だが、ここでサーブが回ってきた岩本主将がサービスエースを2本決める活躍を見せ、流れは早大に。この場面で5連続ポイントし、そのまま25ー19で第1セットを先取した。

 

スパイクを打つ山田大貴(スポ3=静岡・清水桜が丘)

 

 第2セットに入ってからも山田、重藤トビアス赳(スポ4=神奈川・荏田)のサイドからのスパイクやバックアタックなどを中心に得点を重ねていく。17ー11と早大が大幅にリードしたところで、水町泰杜(スポ3=熊本・鎮西)に変わり、芳賀雄治(商4=山形南)が投入される。その後も伊藤に変わり秋間直人(スポ4=愛知・桜台)、重藤に変わり中島明良(法4=京都・洛南)がコートに入るなどメンバーを大幅に替えていく。メンバーを入れ替えてからも中島のフェイントなどで得点し、リードを守り切った。そして25ー16と大差をつけて第2セットを奪った。

 

 第3セットはスタートからメンバーに変更がみられた。前田に代わり、馬渕純(スポ2=岐阜商)が新たに投入され、秋間と芳賀はそのままコートイン。重藤が再びコートに戻り、4年生中心のメンバーとなった。序盤、重藤のスパイクや岩本主将のクイック、芳賀のブロックで確実に得点を奪う。9ー10となり、ここで山田に代わり、中島が再びコートへ。その後、リベロ荒尾怜音(スポ3=熊本・鎮西)に代わって浅野翼(スポ2=宮城・東北)も投入され、新たなメンバーで終盤を迎えた。だが試合経験が豊富なメンバーがコート外に出たことで、慌てる場面がみられ、相手に逆転を許してしまった。確実に第3セットを取り切りたいところ。ここで4年生が意地をみせ、得点を奪う。そして点差を大きく離されることなく試合はデュースへともつれ込んだ。ここからしばらくサイドアウトの奪い合いが繰り広げられる。その中でも攻守で粘りを発揮し、30点に及んだセットをなんとか逃げ切ることができた。そしてストレート勝利で準々決勝進出を決めた。

 

緊張しながらも第3セットを戦い抜いた馬渕

 

 積極的にメンバーを入れ替え、全員の力でつかみとった1勝。結果はストレート勝利だが、「意思統一ができてなかった」と荒尾が振り返るように、チームはまだまだ完全な状態とはいえない。だが、それだけに『磨けば光るチーム力』を秘めているといえるだろう。明日は、準々決勝そして準決勝が行われるタフな日程となっている。決勝への切符を勝ち取るべく、負けられない2連戦。だからこそ「シンプルに大胆にバレーボールを楽しむこと」(荒尾)。もう一度初心に帰り、明日待ち構えているハードな試合を楽しみながら乗り切りたいところだ。

 

(記事 山田彩愛、写真 玉置理沙子)

 

 

セットカウント
早大 25-19
25-16
32-30
山形大
スタメン
アウトサイドヒッター 水町泰杜(スポ3=熊本・鎮西)
アウトサイドヒッター 山田大貴(スポ3=静岡・清水桜が丘)
ミドルブロッカー 岩本大吾主将(スポ4=兵庫・市立尼崎)
ミドルブロッカー 伊藤吏玖(スポ3=東京・駿台学園)
オポジット 重藤トビアス赳(スポ4=神奈川・荏田)
セッター 前田凌吾(スポ1=大阪・清風)
リベロ 荒尾怜音(スポ3=熊本・鎮西)
途中出場
芳賀雄治(商4=山形南)
秋間直人(スポ4=愛知・桜台)
中島明良(法4=京都・洛南)
布台駿(社3=東京・早実)
浅野翼(スポ2=宮城・東北)
馬渕純(スポ2=岐阜商)
 
コメント

荒尾怜音(スポ3=熊本・鎮西)

――今日の試合を振り返って

 良いところも悪いところもしっかり冷静に見てわかった試合でした。良いところよりも悪いところの方が多かったですが、トーナメント戦なのでまずは勝てて良かったかなと思います。

――具体的に悪いところとは

 レセプションアタックの精度や切り方において、チームがまとまっていないなと思うところがあります。まだチームとして何がしたいのかや、困ったらどうするかといったルールみたいな(共通認識が)まだ足りていないので、そういう意思統一ができてなかったのかなと感じています。

――守備の総評は

 サーブレシーブが全体的に良くなくて、(サーブレシーブが)返ったとしても軌道や高さが悪くて、そういうところで1年生のセッター(前田凌吾、スポ1=大阪・清風)に負担がかかっているのかなと思います。特にレセプションの質が全体的に悪かったかなと思います。ディグやフリーボールの精度についても、今大会は上がっていなくて、もっと改善の余地があるのかなと思います。

――ブロックとの関係はいかがですか

 そうですね。ブロックが止めにいこうとしすぎて、出される場面はまだまだ見られます。良い意味でいうと積極的に止めにいけているのですが、それがマイナスに出てしまっていて止めなければいけないところを弾かれてしまったり、拾わなきゃいけないところに入ってなかったりしています。それを次の試合から冷静に分析して、誰が拾うのか止めるのかを明確にできれば、もっとトータルディフェンスが良くなるのかなと思います。

――今のチームの状態は

 正直そんなに良くないですね。ただたった一つの小さなことで変われるチームだと思っています。その一つの小さな(きっかけ)をみんな見つけようとしているのですが、なかなか見つけることができなくて。みんな考えすぎなのかなって思うくらい考えているので、もっとシンプルに大胆にバレーボールを楽しむことでチームが伸びるのかなと思います。そういうところを大切にして、連戦を戦い抜きたいと思います。

――明日の試合に向けた意気込みを!

 明日は大学に入って初めて、1日に2試合があります。それは自分たちの学年も経験したことがないですし、1つ上の学年もレギュラーで出ていたのは達宣さん(大塚達宣副将、スポ4=京都・洛南)だけだったので、全員が初めて経験することになります。ひとつひとつのプレーを大切にして、今までのように相手のミスに助けられるのではなく、しっかりと自分たちの力で勝てたらいいなと思います。

 

馬渕純(スポ2=岐阜商)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

  セットのスタートから出る試合が、大学に入ってから初めてだったので、最初はめちゃくちゃ緊張してしまって。体が動かずチームに迷惑をかけてしまいました。中盤も緊張から自分本来のプレーができなくて、今まで練習でやってきたことがあまり出せなかったので、そこは課題だ思います。ただ大学に入ってから初めての経験だったので、本当に良い経験をさせてもらったなと思います。

――3セット目からの出場となりましたが、どのような気持ちでコートに入りましたか

  こうやってチャンスを貰えるのが貴重な機会だと思っていたので、いかに今まで練習してきたことを出せるか楽しみにしていました。出せるところは全部出そうと思いました。

――レギュラーに食い込んでいくために、必要だと思うことや課題はありますか

  前田とか佐藤主務(佐藤玲、社4=東京・早実)とかと同じセッターなのですが、二人と違うのはやっぱり高さだと思います。自分は二人よりも身長があるので、僕が他の二人よりブロックポイントを上げられれば、自分の強みになっていくと思います。あとは高いセットアップでもっとセンター線使ったり、サイドに向かったりということをすれば、他の二人とも勝負していけるのかなと思います。今日のような貴重な機会で、今日は本来の力を出すことはできなかったのです。今度からはもっと自分の力を発揮して、自分がセッターとしてチームを支えられるように頑張りたいと思います。

――明日に向けての意気込みをお願いします!

  明日また出られるかはわからないのですが、交代で出させていただいたときや、ベンチでの自分の役割を確認していきたいと思います。明日からレギュラーたちはハードスケジュールなので、チーム一丸となって戦っていきたいです。