大接戦を粘り切り、最終戦をストレート勝利で飾った! 

男子バレーボール

 4月に開幕した春季関東大学リーグ戦(春季リーグ戦)も最終戦を迎え、早大は中大と対戦した。スターティングメンバーを水町泰杜(スポ3=熊本・鎮西)から、中島明良(法4=京都・洛南)に替え、さらに重藤トビアス赳(スポ4=神奈川・荏田)をアウトサイドヒッターとして起用。ポジションやメンバーを変えての一戦となった。試合は第1セットからデュースにもつれ込む接戦となる。相手にサイドからスパイクを打ち込まれるが、ブロックとフロアの息のあった堅い守備をみせた。相手ブロックに苦しめられていたアタックにも徐々に勢いが加わり、拮抗(きっこう)した展開を粘り切った。その後の第2、第3セットも両者ともに譲らない競り合いが続く。早大は攻守のかみ合ったプレーで苦しい時間を我慢し続け、セットカウント3ー0(33ー31、25ー22、34ー32)のストレート勝利で春季リーグ戦を終えた。

 

 立ち上がり、中大のスパイクに押されブレイクを重ねられると6ー11と点差をつけられてしまう。だがここから中島と伊藤吏玖(スポ3=東京・駿台学園)が立て続けにブロックを決め、早大に流れが傾く。重藤のバックアタックや岩本大吾主将(スポ4=兵庫・市立尼崎)のクイックなどによって追い上げ、5点あった点差をひっくり返した。16ー15となり、ここからサイドアウトの奪い合いに。ブロックが効果的に働いたことで荒尾怜音(スポ3=熊本・鎮西)が相手の強烈なスパイクをレシーブするなど、堅い守備をみせた。互いに攻守で引かず、1本では決まらない長いラリー戦となる。気づけば点数は24ー23。点数を取っては取られ、お互いになかなか2点差をつけることができない。その後点数は30点に及んだ。31ー31となり、ここで重藤が空いたスペースへのプッシュを決める。その直後、伊藤と中島が相手のスパイクをブロック。我慢の時間を耐え抜き、33ー31で第1セットを先取した。

 

久しぶりのスターティング出場となった中島

 

 第2セットに入ってからも第1セットの終盤のように、サイドアウトを取り合う一進一退の攻防が繰り広げられる。岩本のクイック、中島のスパイク、山田大貴(スポ3=静岡・清水桜が丘)のブロックアウトや重藤のバックアタックなど攻撃を分散させ得点を重ねたが、相手も強気のスパイクで抗戦し、試合は拮抗(きっこう)する。中盤に相手に3ブレイクを許し、一時は中大を追いかける展開となった。だが終盤に山田のサーブを起点に反撃をみせ、今度は早大が3連続得点に成功する。これで早大が20ー19と形勢逆転。この後も山田のアタックが光り、早大が再びブレイクを重ねると24ー22でセットポイントを握った。最後は中島と伊藤の二人がブロックを決め、連続でセットを奪った。

 

サーブでチームを勢いづけた重藤

 

 第3セットは重藤のサービスエースで幕を開けた。第3セットも立ち上がり点差は開かず、8-7。ここで重藤にサーブ権が回ってくる。中島がスパイクを決めた後、重藤がチームを勢いづけるサービスエースを2連続で決め、一気に3連続ブレイクする。11-7と序盤に奪ったリードを保ったまま、試合は終盤に突入した。このまま逃げ切りたい早大であったが、終盤に勢いに乗ったのは中大。中大に細かくブレイクを重ねられ、序盤の点差を詰められると24ー25、今度は早大が終盤に追い上げられた。再び試合は均衡を保ち、第1セット終盤のような苦しい時間が続く。どちらがセットをとってもおかしくない手に汗握る激闘となり、点数は30点を超えた。31ー30から中大に立て続けにブロックアウトを決められ、31ー32。中大がセット獲得へと近づく。だがここから、山田のバックアタック、相手のスパイクミスと連続得点し33ー32で早大がマッチポイントを迎えた。最後は重藤が力強いスパイクを打ちきり、ゲームセット。苦しい展開とはなったが、全員で戦い抜き最終戦をストレート勝利で締めくくった。

 

 中大戦では、2セットでデュースが繰り返される大接戦となった。我慢し続ける時間が続き、早大にとって苦しい試合となったが、それでも気持ちを切らさず勝ち切ることができた。春季リーグ戦で敗戦を喫した順大、東海大との対戦では、ともに2点差とあと一歩が届かなかった。今日の勝利は「2点差の試合を勝ち切る」(中島)という課題からの成長を、結果で示すようなものとなっただろう。松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)が「可能性を秘めているチーム」と述べるように、敗北からの短期間での修正と成長からは、早大の更なる伸びしろを感じる。春季リーグ戦は閉幕となったが、6月下旬には東日本大学選手権が控えている。目標とする日本一へ、まだまだ成長の階段を駆け上がっていきたい。

(記事 山田彩愛、写真 是津直子)

 

セットカウント
早大 33ー31
25-22
34-32
中大
スタメン
アウトサイドヒッター 重藤トビアス赳(スポ4=神奈川・荏田)
アウトサイドヒッター 山田大貴(スポ3=静岡・清水桜が丘)
ミドルブロッカー 岩本大吾主将(スポ4=兵庫・市立尼崎)
ミドルブロッカー 伊藤吏玖(スポ3=東京・駿台学園)
オポジット 中島明良(法4=京都・洛南)
セッター 前田凌吾(スポ1=大阪・清風)
リベロ 荒尾怜音(スポ3=熊本・鎮西)
 
コメント

松井泰二(平3人卒=千葉・八千代)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

 今日はベストメンバーがそろっていない中でも、早大らしく全員で活躍するという練習はしてきたので、それができたというのは非常に大きな収穫だったと思います。

――リーグ戦全体を通しての課題はありますか

 まだ4年生のリーダーシップが足りないことや、自分たちの基礎基本の力です。なんでもないようなボールで点数を取られてしまうところが課題でした。負けた試合は2点差で負けた試合が多かったので、この先強く練習していかないといけないと思っています。

――今のチームの状態や完成度はいかがですか

 完成度はまだ30パーセントいっていないくらいですね。ですから可能性を秘めているチームでもありますので、これからがすごく楽しみなチームだと思います。

――東日本学生選手権(東日本インカレ)に向けて、目標と意気込みをお願いします。

 このリーグ戦でできなかったことをもう一度修正して、自分たちができることを試す場でもあると思うので、いいところが出せるように。今は受けになってしまったり、ネガティブになってしまったり、気持ちの揺らぎがあるチームなので、少しずつ落ち着いて、良いところが出せることを期待しています。

 

岩本大吾主将(スポ4=兵庫・市立尼崎)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 最終戦ということで、「チーム全体でしっかりと応援をしよう」という話をしていました。今日は、今までやってきたのとは少し違うポジションとなりました。それがマイナスになることなく、序盤はリードされるところがありましたが、しっかりとチームで流れを修正して最終戦を勝ち切れたというのは良かったと思います。

――勝ち切れた要因はなんだと思いますか

 終始中大の両サイドのストレートに対して対応できていなかった部分はありましたが、それを試合の中で少しずつ修正することができました。今日はこちらのミスが少なかったと思うので、むこうにプレッシャーをかけ続けられたのかなと思います。

――ディフェンスが良かったように感じますがいかがでしたか

 そうですね。「しっかりセッターを見てブロックもディフェンスも入ろう」という話はしていたので、サーブからの連携が取れていたのかなと思います。あとは相手の攻撃に対する対応が少し遅かったので、そこは今後試合が続きますが対応できるようにしていきたいと思います。

――リーグ戦を通して成長を感じた部分はありますか

 メンバーそれぞれに課題はあると思いますが、チーム全体として良い時はいいですが悪い時は悪いというのが顕著にあるので、それは僕たち上級生が引っ張っていかないといけないと思っています。いい時はいいプレーが出ているのは、雰囲気や気持ちが乗れば大丈夫ということなので、そこに向けてそれぞれが気持ちのつくり方を学べたかなと思います。僕個人としては、長いリーグ戦ではあったのですが、コンディションの面で高いパフォーマンスでやり続けることができなかったので、しっかりケアするなり、バレーボール以外の重要性をすごく感じました。

――東日本インカレに向けて、目標と意気込みをお願いします

 連戦でかなりタフな日程になると思います。トーナメントで負けたら終わりなので、1戦1戦大事に戦っていかなければと思います。僕は東日本インカレに出るのが1年生以来になります。3年前は序盤でやられてしまったので、東日本ではしっかり優勝できるように、チーム全体としてチャレンジャー精神を持って頑張りたいと思います。

 

中島明良(法4=京都・洛南)

――久しぶりのスタメン出場はいかがでしたか

 課題がたくさん見つかったので良かったと思います。課題は特にアタック面です。オポジットに入っているので、もっと攻撃面で貢献したいと思います。

――バレーボールの感覚は戻ってきましたか

 まだ戻ってきてから2週間ほどなので、まだ戻っていないです。

――今日の調子はいかがですか

 良くはなかったです。戻ってから時間がたっていないこともあってスパイクが打てないのと、スパイク以外は妥当なプレーだったなと思います。

――セッター前田凌吾(スポ1=大阪・清風)選手との連携はいかがですか

 前田くんはすごくいいトスを上げているのですが、100パーセント僕のミスでしたね(笑)。

――今日のチームとしての試合内容を振り返っていかがですか

  チームの課題として2点差の試合を勝ち切るというのがあって、これまでのリーグ戦で競った時に負ける展開が多かったのですが、今日は競った試合を取ることができたので、そこはチーム的には大きな収穫でした。両サイドが良く打ってくれたのと、ミドルが機能しているというのが理由として挙げられます。

――東日本インカレに向けて意気込みをお願いします。

 リーグ戦で出た課題をつぶして、東日本インカレで負けた相手にリベンジを果たすというのもそうですが、自分たちが目標としているバレーを達成できるような東日本インカレになればいいなと思っています。