両者ともに譲らない激闘の末、東海大に惜敗

男子バレーボール

 常に緊張感が張り詰める、熾烈(しれつ)な戦いとなった。春季関東大学リーグ戦(春季リーグ戦)も終盤に差し掛かり、現在8勝1敗で優勝の可能性を残している早大は、9勝1敗の東海大と対戦した。第1セットから両者ともに譲らない一進一退の攻防が繰り広げられる。強気のサーブやパイプ攻撃(※1)でポイントを挙げるが、相手も強烈なサーブと安定した守備をみせ、なかなか主導権を握ることができない。第1セットを落とし、迎えた第2セット。ともに2連続以上のブレイクを許さない意地と意地とのぶつかり合いに。早大が多彩な攻撃で果敢に攻め、なんとかブレイクを取ると、このセットを奪った。その後の第3、第4セットはともに点差の開かない拮抗(きっこう)した展開となるが、あと一歩及ばず。セットカウント1ー3(21-25、25-21、23-25、23-25)で敗戦となった。

 

 第1セット序盤から早大は攻撃的に仕掛ける。水町泰杜(スポ3=熊本・鎮西)が強烈なサーブで攻め、相手の陣形を崩す。また3枚でしっかりと壁を築き、相手のスパイカーにプレッシャーを与えることで相手のミスを誘った。そして立ち上がりは5ー2とリードした。だが相手の粘り強いブロックに止められ、なかなか試合の主導権を握ることができない。岩本大吾主将(スポ4=兵庫・市立尼崎)のノータッチサービスエースなど、流れを引き寄せるようなプレーも見られたが、中盤で相手にブレイクを許し、9ー10と逆転されてしまった。ここからサイドアウトを取り合う展開となる。しかし樋内竜也(東海大)の強烈なサーブに苦しめられ、レセプションが乱される。樋内のサーブから3連続ブレイクされてしまい、14ー17と点差をつけられてしまった。終盤でもサーブで崩しブロックで仕留める早大らしさは見られたものの、点差を詰めることができず。21ー25でこのセットを落とした。

 

 

強烈なサーブをみせた水町

 

 第2セットは開始から競り合いとなる。パイプ攻撃で水町が得点するが、相手も安定したサーブレシーブから速い攻撃を展開。両者ともに一歩も譲らない。7ー8と早大が追いかけるかたちとなったが、ここで重藤トビアス赳(スポ4=神奈川・荏田)がスパイクとサービスエースを決め、9ー8とブレイクに成功する。そして再びサーブ権が移動する接戦に。ここで荒尾怜音(スポ3=熊本・鎮西)が、ここまで苦しめられた速いテンポのクイックをレシーブし、山田大貴(スポ3=静岡・清水桜が丘)が決めた。これがブレイクポイントとなり、13ー11と点差を広げた。中盤にも伊藤吏玖(スポ3=東京・駿台学園)が強烈なクイックをレシーブするファインプレーをみせ、徐々に点差をつける。最後は山田がスパイクを決め、25ー21でセットを取り返し、試合を振り出しに戻した。

 

 先に2セットを奪い、有利に立ちたいところ。第3セットは開始から重藤と伊藤がブロックでポイントを挙げるなど、ブロックが光った。そして水町、山田を中心にサイドとセンターでの攻撃を使い分け得点をあげる。9ー5と早大が序盤に大量リードし、流れに乗りかけたところで東海大がタイムアウトを要求。その後、流れをつかんだ東海大がスパイクやサーブで積極的に仕掛け、10ー9と追い上げられた。追いつきたい早大、攻めの姿勢で得点を挙げるが、自らのサーブミスで痛手となる。終盤まで、どちらがこのセットを取得するのかわからない緊迫した試合展開となるが、逆転することができず。第3セットを奪われた。第4セットも同じく手に汗握る試合が繰り広げられた。両者ともに粘り強くレシーブしつなぐ。ブロックアウトやサーブ、バックアタックなど多彩な攻撃で攻め続けた。しかしここでも自らのミスが痛手となり、勝負どころで相手に得点を与えてしまった。終始接戦となったが、あと一歩が届かずに敗戦となった。

 

 

トスを上げる前田凌吾(スポ1=大阪・清風)(右)とおとりとなる伊藤

 

 

 春季リーグ戦の優勝がかかった大一番、第3、第4セットを2点差で落とす接戦となった。「自分たちでミスを吐き出しているところがあった」と岩本主将は振り返るが、勝負どころでも失敗を恐れることなく強気に攻める姿勢は、「気持ちで負けない」という意志を感じさせるものであった。劣勢に陥っても、守りに入るのではなく『攻め続けた』姿からはこれまでに挙げられていた「向かっていけなかった」という課題からの進化がみられた。4月に開幕した春季リーグ戦も残り2試合。今日の敗戦から再び立て直し、残りの対戦を勝利で飾りたい。

(記事 山田彩愛、写真 西山綾乃氏)

 

(※1)パイプ攻撃…前衛の選手をおとりにして、後衛がバックアタックを打つこと

 

セットカウント
早大 21-25
25-21
23-25
23-25
東海大
スタメン
アウトサイドヒッター 水町泰杜(スポ3=熊本・鎮西)
アウトサイドヒッター 山田大貴(スポ3=静岡・清水桜が丘)
ミドルブロッカー 岩本大吾主将(スポ4=兵庫・市立尼崎)
ミドルブロッカー 伊藤吏玖(スポ3=東京・駿台学園)
オポジット 重藤トビアス赳(スポ4=神奈川・荏田)
セッター 前田凌吾(スポ1=大阪・清風)
リベロ 荒尾怜音(スポ3=熊本・鎮西)
 
コメント

岩本大吾主将(スポ4=兵庫・市立尼崎)

――今日の試合を振り返って

 2点差で負けてしまったのは、シンプルに力が足りなかったと感じています。順天堂大学戦でも2点差で負けていて、そこからチーム的にももう一度立て直してきましたが、本当の意味で全員が理解できていなくて、修正しきれなかったかなと思います。

――自分たちのプレーは出せたと思いますか

 ブロックでプレッシャーを与えるとかの部分では自分たちのプレーは良かったと思います。ですが、サーブミスとか結局自分たちでミスを吐き出しているところがあったので、そういう悪いところが負けに繋がったのかなと思います。

――敗因はミスの多さということですか

 優勝が懸かったような大事な試合で、常に相手が向かってきたところを自分たちが上回れなかったのが一つだと思います。相手がサーブを打ち込んできているのに対して、僕たちが状況を上手く判断できなくてミスをするなど、いらない失点が中盤にあって、自分たちがしんどいようにやってしまったかなと思います。

――昨日の青学大戦では気持ちで負けていたというお話を聞きましたが、今日は気持ちの面ではいかがでしたか

 自分たち的には気持ちの面で引いてしまったという思いはなくて、それ以上に東海大学さんの向かってくる気持ちが強かったのだと思います。

――チーム全体のアタックの部分振り返っていただけますか

 相手がブロックの良いチームだったので、(ブロックを)どう分散させていくかというところで攻撃に関してはすごく良かったと感じています。真ん中の攻撃はできていましたが、ミドルの攻撃が良くなかったというところが攻撃に関しての課題だと感じています。

――ディフェンスはいかがですか

 ディフェンスに関しては、相手のレセプションが非常に良かったので、(サーブに対して)Aパスを返されて向こうのやりたいバレーをさせてしまいました。サーブは自分たちのストロングポイントのひとつでもあるので、相手を崩しきれずそこから相手のやりたいバレーをさせてしまって。フロアディフェンスの面でも連携が上手く取り切れずに、相手の得意コースをそのまま決めさせてしまった場面もところどころありました。もっとアナリストやスタッフが出してくれるデータをもとに、できる準備や先手で仕掛けることができたのではないかと思います。

――最後に次戦に向けての意気込みをお願いします

 今日は負けてしまいましたが、(春季リーグ戦)もまだ終わりではないので、残りの2戦をチーム全員で戦い抜きたいと思います。頑張ります。

 

水町泰杜(スポ3=熊本・鎮西)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 厳しい戦いになると想定していましたが、最後の1点、2点が取りきれなくて力負けしたような感じでした。

――東海大強かったですね

 そうですね。実質春リーグ優勝をかけた試合だったので、東海から「ここは勝つ」という思いがひしひしと伝わってきました。

――水町選手の今の状態はいかがですか

 プレーに関しては、春なので攻めるサーブを意識しています。サーブレシーブもそんなに悪くないですね。あとは、劣勢になったときにチームがバラバラになってしまうことがあるので、そこで声を出したりしてチームをまとめられたらよかったなと思います。

――今日はあまり声が出ていなかったといいますか、盛り上がれなかったという感じだったのですか

 東海大に勢いがあってそれに押されてしまったと思います。昨日のゲームがすごく悪かったので、切り替えていい雰囲気で試合に臨もうという話はしていました。それ以上に東海大が良い試合をしていたと思います。

――今日は昨日よりも気持ちを全面に出して臨めていましたか

 そうですね。昨日よりはチームの勝利に向かってまとまっていたと思います。

――現在大塚達宣選手(スポ4=京都・洛南)不在の中ですが、プレッシャーを感じたり、あるいはご自身の中で「こんなプレーがしたい」という思いはありますか

 チームが苦しいときに得点して元気を与えられるプレーがしたいと思っています。

――次戦に向けて意気込みをお願いします

 春リーグが残り2試合なので、自分たちの課題を改善した上で臨みたいと思います。