強敵・日体大に勝利! 春季リーグ戦通しての成長をみせた

男子バレーボール

 昨季苦戦した相手から挙げた大きな1勝となった。春季関東大学リーグ戦も後半に入り、迎えた第8戦。早大は、日体大と対戦した。第1セットは終盤まで競り合う展開が続いたが、流れを引き寄せられずにセットを落としてしまう。しかしここで早大は慌てることなく対応することができた。その後の第2、第3セットは盤石の試合運びで、どちらのセットも日体大を20点台に乗せずに取り返した。第4セットでは終始点を取り合うかたちとなったが、早大がじわじわと点差を広げていくと、そのまま流れを渡さずに試合終了。セットカウント3-1(23-25、25-17、25-15、25-19)で勝利した。

 

 試合は水町泰杜(スポ3=熊本・鎮西)の鮮やかなサービスエースで始まった。その後、互いにサイドアウトを取り合う展開となる。先に10点台に乗った早大は、岩本大吾主将(スポ4=兵庫・市立尼崎)のクイックで2回目のブレイクに成功し、11-8とリードを奪った。しかし早大のスパイクが相手ブロックに連続でシャットアウトされ、すぐに同点に追いつかれてしまう。以降も早大が連続得点する場面はみられたものの、点差を大きく広げるには至らず。日体大のペースに乗せられ、だんだんと追い上げられていく。そして相手にサービスエースを許し、21-22と逆転された。その後タイムアウトを取って立て直しを図ったが、日体大の勢いを止めきることができず。最後はスパイクを決められ23-25で第1セットを失った。

 

クイックを打つ岩本(左)とトスを上げた前田凌吾(スポ1=大阪・清風)

 

 1セット目からの流れを断ち切りたい第2セットだが、ブロックにつかまり2連続失点。しかしここから早大が攻守で強さを発揮し、主導権を握る。水町の強烈なサーブで崩して相手の攻撃を絞り、守備を固める。攻撃でもセッターの前田凌吾(スポ1=大阪・清風)を中心に多彩な攻撃を展開していく。相手のミスも絡み、ここで5点を連取し5-2とした。これ以降も伊藤吏玖(スポ3=東京・駿台学園)のクイック、水町と山田大貴(スポ3=静岡・清水桜が丘)のスパイク、前田のツーアタックなどで攻め、点差を広げていく。また、大きく陣形を崩された場面でも全員でボールをつないで、ラリーを耐え抜く粘り強さもみせた。荒尾怜音(スポ3=熊本・鎮西)がしっかりコースを読んでスパイクをレシーブすると、山田のブロックアウトで長いラリーを制し、20点目を奪う。一気に早大のボルテージが上がったところで、山田がサービスエースを決め、流れを完全に引き寄せた。21-12で日体大はタイムアウトを使い切り、ここで早大は山田に代わって布台駿(社3=東京・早実)を投入する。その後大きく追い上げられることなく確実に点を重ねてこのセットを取り、試合を振り出しに戻した。

 

 

サーブを打つ伊藤

 

 3セット目は序盤に3連続失点する。だがその直後に伊藤を中心としたブロックや、岩本のサーブがネットインするなどで6連続得点。11-6として引き離した。それ以降はサイドアウトの取り合いとなったが、ここで前田と伊藤のコンビが冴(さ)えわたった。伊藤のクイックで14点目を挙げると、相手のミスも重なり7連続得点に成功、20-9とする。この間には伊藤がレシーバーの手前にボールを落としてサービスエースを決めるなど、サーブで崩す場面も。点差を詰められることなく、25-15で第3セットも連取した。第4セットに入っても早大の勢いは止まらない。重藤トビアス赳(スポ4=神奈川・荏田)の強烈なスパイクとサービスエースで6-2と点差を広げる。その後に大量連続得点ははなかったものの、着実にブレイクを重ね、点差を縮めさせない。早大がブロックで相手にプレッシャーをかけ、ミスを誘う場面も多くみられた。最後は水町がブロックにあてたボールを日体大が拾い切れず、25-19でゲームセット。自分たちのバレーを貫き通して、日体大に勝利を収めた。

 

 「結果としては良かったと思うが、内容としてはあまり良くなかった」(伊藤)。この言葉通り、第1セットは悪い流れを断ち切ることができずに、セットを落としてしまった。しかし第2セット以降は修正し、自分たちのペースに持ち込んで戦うことができていた。ここまでの試合の中でもチームとしての成長が見られるが、選手たちの言葉からは自分たちの力はこんなものではない、まだまだ成長できるという意識を強く感じる。その意識のもと磨きをかける技術、そしてチーム力。成長に貪欲に励む選手たちがこれからどのようなバレーを見せてくれるのか。期待は膨らむばかりだ。

 

(記事 新井沙奈、写真 山田彩愛)

 

 

セットカウント
早大 23-25
25-17
25-15
25-19
日体大
スタメン
アウトサイドヒッター 水町泰杜(スポ3=熊本・鎮西)
アウトサイドヒッター 山田大貴(スポ3=静岡・清水桜が丘)
ミドルブロッカー 岩本大吾主将(スポ4=兵庫・市立尼崎)
ミドルブロッカー 伊藤吏玖(スポ3=東京・駿台学園)
オポジット 重藤トビアス赳(スポ4=神奈川・荏田)
セッター 前田凌吾(スポ1=大阪・清風)
リベロ 荒尾怜音(スポ3=熊本・鎮西)
 
コメント

伊藤吏玖(スポ3=東京・駿台学園)

――今日の試合を振り返って

 1セット目は相手にやられたことに対して、自分たちが対応しきることができなかったです。2セット目からは、相手の特徴を見てブロックを飛ぶことができたので、それがブレイクにつながったのかなと思います。1セット目からそれができれば良かったのですが、2セット目からというスタートになってしまいました。結果としては良かったと思うのですが、内容としてはあまり良くなかったです。

――第1セットを先取されてから、チーム内でどのような話をして立て直しましたか

 決して自分たちの調子が悪いというわけでなかったので、やることを明確にして自分たちの持っている力を発揮できたのが良かったのかなと思います。

――黒鷲旗男女選抜(黒鷲旗)でクイックがあまり決まらないというお話をされていましたが、リーグ戦通して変化はありましたか

 セッターの凌吾(前田凌吾、スポ1=大阪・清風)とも良くコンビのことについて話し合っています。黒鷲旗の時よりはコンビの精度も上がってきたと思います。

――今日はサーブでも崩されていましたが、サーブはいかがでしたか

 1発目のサーブでリベロに打ってしまい、Aパスで返されてクイックを決められてしまいました。そこでリベロに向かって打つのはダメだなと感じて、サーブで狙う場所を変えました。そんなに打ち込まなくても(相手を)揺さぶることができたので、ストレスなくサーブを打ち込めたかなと思います。

――次戦への意気込みを

 まだ残りの試合も残っているので、来週も気を抜かずにチーム一丸となって戦っていきたいと思います。

 

前田凌吾(スポ1=大阪・清風)

――試合を振り返って率直な気持ちは

 今週の2戦は緊張した良いゲームができて、そこで勝てたというのはとても大きいことだと思います。今日の試合は1セット目ああいうかたちで取られてしまいましたが、2、3、4(セット)と自分たちがやるべきことをしっかりとできました。まだまだだと感じる部分もあるのでもっと頑張らなければいけないなと思います。

――まだまだと感じる部分は

 春リーグの目標として『ファーストサイドアウト』を練習の中でもやってきました。少しずつできつつはありますが、ラリーの中で少し慌ててしまう部分もあり、そこがセッターとして足りていない部分だと思っています。春リーグ期間(春季関東大学リーグ戦)にやると決めたことをしっかりチームとしてもやっていきたいと思います。

――以前課題として挙げられていたクイックのコンビネーション、いかがでしたか

 今日は、打数も多く合ってたところもありました。パイプがあまり使えなかったことは(反省では)ありますが、クイックがよく通せたので、今日は良いゲームができたかなと思います。

――クイックとのコンビネーションは改善できていますか

 やっぱりコースの打ち分けはできてきているのですが、まだ幅がないと感じています。Bクイックなど思い切ってあげられていない部分もあるので、1年を通して全日本インカレ(全日本学生選手権)につなげられるように、改善していけたらと思います。

――タフな2日間となりました、この2日間のご自身のプレー振り返って

 やっぱり1年生だからと先輩たちに良くしていただいていますが、1年生だからではなく、もっと自分が引っ張っていくことをやっていかないといけないなと思います。この2試合勝ちきれたことは大きいことですが、来週も優勝のためには勝たなければいけません。そこに向けて弾みとなる試合ができたのではないかと思います。

――スパイクも決められていましたが、スパイクも練習されてたのですか

 あれはたまたま決まったって感じでした(笑)。

――次戦に向けての意気込みを

 1年生で入っているからには、ルーキーらしく思い切ってプレーしたいです。先輩たちに気を使わせないように、相手に勝負する気持ちで自分たちがやってきたことを出すことができれば勝てると思うので、1年生らしくやることを大事にやっていきたいです。