接戦を勝ち切ることができず 順大に敗北を喫した

男子バレーボール

 春季関東大学リーグ戦(春季リーグ戦)5戦目は順大と対戦した。第1セットは全員の活躍が光り、手堅く先取する。その後、相手のクイックとブロックに苦しみ第2セットを奪われたが、第3セットを粘り強くつなぎ取り返す。早大有利な展開となったものの、第4セットの競り合いで勝ちきることができず。ゲームはフルセットにまでもつれ込んだ。第5セットは順大のブロックに攻撃を封じられ逆転を許すと、そのまま追い上げられなかった。接戦の末、セットカウント2ー3(25–19、22–25、25–22、23–25、15–13)で春季リーグ戦初黒星となった。

 

 第1セットは重藤トビアス赳(スポ4=神奈川・荏田)が存在感を発揮する。重藤が空いたスペースへフェイントや鋭いスパイクを決め、序盤に5連続得点。その後もサーブで崩しチャンスを生み出すと、自らのスパイクで得点する活躍をみせた。また伊藤吏玖(スポ3=東京・駿台学園)が早いテンポでのクイックを決めるなど、攻めのバレーを展開した。守備でも岩本大吾主将(スポ4=兵庫・市立尼崎)と伊藤のミドルブロッカーを中心として、相手のスパイクをシャットアウト。そのまま第1セットを先取する。第2セットに入ってからも、水町泰杜(スポ3=熊本・鎮西)、山田大貴(スポ3=静岡・清水桜が丘)を中心に攻撃を重ね、中盤まで早大がリードした。しかし、15ー9の局面から順大にクイックやブロックを決められ、ブレイクを許してしまう。一方の早大はなかなかブレイクを取ることができない。そのまま点差を縮められると17ー17の同点に。ここから逆転を許し、第2セットを献上した。

 

 

サーブを打つ重藤

 

 第3セットは、序盤から相手に連続得点をされる。相手に流れが傾きかけていたが、水町が力強いバックアタックを打ち込む。これを皮切りに早大は一気に6連続ブレイク。6ー4と逆転に成功する。このセットも相手が粘り強くブロックに付くが、ブロックに当たり甘く返ってきた球を岩本がダイレクトで叩き込むなど、相手ブロックからのチャンスを生かすことができた。リベロの荒尾怜音(スポ3=熊本・鎮西)もブロックフォローで懸命につなぐ献身的なプレーをみせる。そして序盤でのリードを守り切り、第3セットを奪った。続く第4セット、序盤からサイドアウトの取り合いが繰り広げられる。この均衡を破ったのは順大、ブロックを中心に点数を重ねブレイク。9ー12と順大にポイントを先行される。中盤再びサイドアウトの取り合いとなるが、早大はビハインドを背負ったまま、なかなかブレイクを取ることができない。そのままこのセットを落とし、勝負は第5セットに突入した。

 

 

レシーブを上げる荒尾

 

 迎えた最終第5セット。水町、山田、重藤などを中心としたサイドからの攻撃で攻める。6ー5の局面で連続でトスを託された水町だったが、相手ブロックに阻まれ、一気に4連続失点。ここで早大はタイムアウトを要求し、悪い流れを断ち切ろうと試みる。この後岩本、重藤ら4年生の活躍でブレイクに成功する。しかしここで相手もタイムアウトを要求。流れをつかみかけた早大であったが、なかなか点差を縮めることができない。「相手のやりやすいバレーを(早大が)してしまった」(岩本)。スパイクが相手ブロックに捕まり、思うように攻撃することができず、13ー15。フルセットにもつれ込む接戦を制することができず、敗戦となった。

 

 黒鷲旗全日本男女選抜で惜しくも決勝トーナメント進出を逃してから、気持ちが沈んだままだった。そんな中迎えた順大戦、「負けるべくして負けた試合」だと松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)らは振り返る。今日の試合ではサイドアウトの取り合いの中で、相手にブレイクされてしまった。さらに早大らしさを発揮できず、自らがブレイクを重ねることができなかった。だが「当たり前のことがしっかりとできているセットとできていないセットで勝ち負けが分かれた」と荒尾が反省点を挙げるように、敗戦から得た気づきも多いはず。「この敗戦をどう生かすか」(岩本)が次戦に向けてのテーマとなるだろう。今日の敗戦を成長の糧として、まだまだ貪欲に。更なる進化を追い求めていく。

 

(記事 山田彩愛、写真 落合俊)

 

 

セットカウント
早大 25-19
22-25
25-22
23-25
13-15
順大
スタメン
アウトサイドヒッター 水町泰杜(スポ3=熊本・鎮西)
アウトサイドヒッター 山田大貴(スポ3=静岡・清水桜が丘)
ミドルブロッカー 岩本大吾主将(スポ4=兵庫・市立尼崎)
ミドルブロッカー 伊藤吏玖(スポ3=東京・駿台学園)
オポジット 重藤トビアス赳(スポ4=神奈川・荏田)
セッター 前田凌吾(スポ1=大阪・清風)
リベロ 荒尾怜音(スポ3=熊本・鎮西)
 

 

コメント

岩本大吾主将(スポ4=兵庫・市立尼崎)

――敗戦となりました、今の率直なお気持ちは

 チームとしても個人としても、やるべきことをやり切ることができなかったと思います。正直、松井監督(松井泰ニ監督、平3人卒=千葉・八千代)から「負けるべくして負けた試合」とありましたが、まさにその通りだなと試合を終えて率直な感想として思います。

――今日の試合内容を振り返っていかがですか

 あまりフルセットでのゲームがなかった中で、順天堂大学さんは常に(早大に対して)向かってきていて、それに対して自分たちがずっと受けてしまいました。その中で雰囲気やプレーも自分たちらしくなかったと感じます。5セットの中で、全部ごちゃごちゃになってしまって。僕たちがただやられるだけの展開になっていたなと思います。

――順大のブロックに苦しまれている印象を受けました、その部分振り返っていただけますか

 それに関しては相手のやりやすいバレーを(早大が)してしまったというだけです。相手がどうこうの前に、自分たちが(相手の)やりやすい形にしてしまったというところで、もっと先手先手でやるべきことがあったのではないかと捉えています。

――今日の敗戦から次の試合に向けて意識的に変えていきたいところはありますか

 この敗戦をどう生かすか、僕たち4年生がチームを持っていくところまで持っていかなければならないです。それだけじゃなくて、チーム全体でも詰められるところはまだあると思うので、来週の2連戦に向けて今週1週間、この負けを無駄にしないようにまたやっていきたいと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

 正直、今日の敗戦は個人的にはダメージが大きいです。でもここで終わってしまうチームではないと思っているので。僕たちは全日本インカレ(全日本学生選手権)での優勝を目標にやっているので、次の試合からまた立て直して、自分たちの良さをしっかり出し切れるように調整していきたいと思います。

 

荒尾怜音(スポ3=熊本・鎮西)

――春季リーグ戦初の敗戦となりましたが、今のお気持ちは

 相手にやられたことよりも、自分たちのやるべきことができなかった試合でした。監督(松井泰ニ監督、平3人卒=千葉・八千代)にも言われたのですが、負けるべくして負けた試合だったのかなと思います。

――具体的にできなかったこととは

 春リーグはレセプションアタックからの展開で、サイドアウトをしっかりと取ることを課題にしていました。しかしサイドアウトがなかなか取れず、取れたとしてもブレイクチャンスがあった時に2段トスの精度が悪かったり、ブロックのコールもあやふやになったりして、取れる点数が取れませんでした。その点がダメだったのかなと思います。

――ブロックフォローに入られていた印象を受けました

 順大はブロックが良いチームなので、リバウンドからの展開やスパイカーがしっかりと最後まで振り抜けるようにしました。結果としてはフォローが全然上がっていなかったのですが、その姿を見せることで、チーム全体としてフォローの意識を上げたり、スパイカーが少しでも楽になったりしたらという思いでしていました。

――試合中声をかけられている姿が印象的でしたが、どのような声かけをしていたのですか

 セッターが1年生(前田凌吾、スポ1=大阪・清風)です。(前田は)高校での経験は豊かですが、高校と大学ではバレーが違ってきます。そこのギャップに自分自身が1年生の時に苦しんだので。前田も苦しんでるのではないかと思い、少しでも楽になったらと声かけをしていました。具体的には、ラリー中のトスのスピードがスパイカーと合っていなかったので、そこの部分での声かけをしました。自分が点数取れない分、チームの安定性を上げるのがリベロの役割だと思います。自分の役割を果たすためにも声かけをしています。

――この試合での反省点は

 自分たちが勝ってる試合やセットでは、サーブが入ったり、こぼれ球を拾ってからの展開がしっかりとできています。そういう当たり前のことがしっかりとできているセットとできていないセットで、勝ち負けが分かれています。上級生がもっと映像を見て、自分の課題だけでなく、下の学年やチームのカラーをもっと理解するべきなのかなと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

 負けるべくして負けたので、次はしっかりと準備をして臨みたいです。プレーを見ていて感じたと思うのですが、みんな足が動かなかったり、声が出ていなかったりと、(黒鷲旗全日本男女選抜からの)疲労があったことを隠せていませんでした。しっかりと明日休んで、火曜日からの練習でしっかりと雰囲気をつくって、もう一度やるべきことを明確にしたいです。1週間で変わることは少ないと思うので、パス1本への意識などをチームとしてあげていけたらいいなと思います。