頂点まであと一つ! 準決勝は盤石の試合運びで中大にストレートの快勝を収める

男子バレーボール

 今年の全日本大学選手権(全日本インカレ)もいよいよ大詰めを迎えている。今月1日の2回戦から3試合を戦い、セットを失うことなく勝利を積み重ねてきた早大は4日、中大との準決勝に臨んだ。5連覇を目指す上で絶対に負けられない重要な一戦だったが、それを感じさせないほど見事に攻守がかみ合い、盤石の試合運びをもってセットカウント3−0(15−13、25−18、25−19)のストレート勝ちを収めた。進出を決めた明日の決勝では、優勝候補とされた日体大と筑波大を破り勢いに乗る順天堂大と相対する。

 第1セットは序盤から大塚達宣副将(スポ3=京都・洛南)が躍動した。ブロックやネット際の競り合いでさすがの強さを見せ、7−3と順調なすべり出しを演出する。その後はリベロの荒尾怜音(スポ2=熊本・鎮西)を中心に献身的なブロックカバー、フェイントボールの処理を徹底し、ボールを簡単に落とさない姿勢から幅広い攻撃を展開した。中でも伊藤吏玖(スポ2=東京・駿台学園)の高さと俊敏さを兼ね備えた速攻は効果的で、ブロックの注意をセンターに引きつけることによって、前衛・後衛を問わず大塚らの決定力が増した。セット後半はサーブもよく走り、岩本大吾主将(スポ3=兵庫・市立尼崎)のサービスエースが決まるとスコアは16−8。続けて大塚の相手コート奥を突く技ありのプッシュ攻撃で17点目を奪う。佐藤玲(社3=東京・早実)のサービスエースを含む5連続得点で22−11とすると、最後は伊藤が冷静にブロックを決め、25−13でセットを先取した。

 

サービスエースを決めて喜ぶ佐藤

 第1セットの勢いのままに勝利を決定づけたい第2セットだったが、中大もネット際での上手さを見せ、序盤に決定的なリードを奪うことはできない。しかし6−7の場面から岩本のクイックで追いつくと、大塚が再三クロスに強いスパイクを打ち込んだ。重藤トビアス赳(スポ3=神奈川・荏田)と水町泰杜(スポ2=熊本・鎮西)のバックアタックも相手コートに突き刺さり、13−9と先行する。佐藤がプレーと声で活発にチームを鼓舞する中、重藤はブロックでも得点して雄叫びを上げ、第1セットでスパイクのアウトが目立った水町も軌道を徐々に修正してチームの勢いを加速させた。二人の活躍で点差は段々と広がり、22−16。貫いた堅い守備が焦りの色の見え始めた中大のミスを誘い、25−18でこのセットも収めた。

 第3セットも、早大が自力で流れを引き寄せる。水町の粘り強いスパイクレシーブから重藤がバックアタックを決め、2−1。互いにサイドアウトを取り合う緊迫した展開の中にあっても、サーブに向かう伊藤に佐藤が「ゆっくりでいいよ」と声をかけるなど自分たちのペースで戦った。8−7の局面から水町にサーブが回ると、2本のサービスエースを含む実に7連続得点で15−7とし、セットの主導権を握る。中大のライト攻撃を大塚がブロックでシャットアウトすると、スコアは18−10。終盤には途中交代でコートに入った上條レイモンド(スポ4=千葉・習志野)にトスを集めて得点を重ねた。マッチポイントとした直後、重藤のブロックが鮮やかに決まり、25−19でストレートでの勝利を決めた。

 

ネット際の攻防を制した大塚

 頂点、そして偉業と言える5連覇まであと一つとした。この準決勝でもストレート勝利を収め、失セット0での完全優勝も見えてきた早大。しかし、セッターの佐藤による「自分たちのバレーができたので、いい試合ができた」「純粋にバレーボールを楽しめている」という試合後の振り返りが全てだろう。今日体現した、基本への忠実さに裏打ちされた、崩れることのない力強いプレーを貫けばおのずと結果はついてくるはずだ。時を同じくして隣のコートで行われたもう一方の準決勝では、フルセットの末に順天堂大が筑波大に劇的な勝利を収め、明日の決勝に駒を進めた。準々決勝の日体大戦、そして今日の戦いを見るに、流れに乗せると怖い相手であることは間違いないが、早大のやることは変わらない。熱い心で、しかし冷静に。一年の集大成として全てを出し切り、今年も王者として有終の美を飾る。

(記事 平林幹太 写真 西山綾乃)

セットカウント
早大 25-13
25-18
25-19
中大
スタメン
アウトサイドヒッター 大塚達宣(スポ3=京都・洛南)
アウトサイドヒッター 水町泰杜(スポ2=熊本・鎮西)
ミドルブロッカー 岩本大吾(スポ3=兵庫・市立尼崎)
ミドルブロッカー 伊藤吏玖(スポ2=東京・駿台学園)
オポジット 重藤トビアス赳(スポ3=神奈川・荏田)
セッター 佐藤玲(社3=東京・早実)
リベロ 荒尾怜音(スポ2=熊本・鎮西)
コメント

佐藤玲(社3=東京・早実)

――今日の試合を振り返っていかがですか

すごく足が動きました。ちゃんと相手に対応しつつ、自分たちのバレーができたので、いい試合ができました。相手には4年生がいて、気を抜いたら流れを渡してしまうというのはみんなで話していました。全カレは4年生の力が発揮される試合だと思うので、自分たちは余裕を持たず、全部出しきらないといけないと思っていました。

――今までの試合で一番力を出し切れたように見えました

そうですね。勝っても負けても残り二試合ということで、試合前は何も考えずにやりきることしか意識していませんでした。結果的にそういうふうに見えていたのなら良かったと思います。

――全日本インカレは緊張しますか

楽しいです。

――リーグ戦のときから変わりましたね

(コートに立てるのは)これが最後だと思っていました。この先どうなるのかは、自分も周りも分からないと思ってプレーしています。緊張もありますが、それよりも全部出し切って純粋にバレーボールを楽しめているかなと思います。

――トスの調子はいかがですか

完ぺきではないと思いますが、悪くはないです。

――決勝に向けて意気込みをお願いします

勝ちたい気持ちはありますが、この代でバレーボールができるのは残り1試合なので、この舞台を楽しんでそれがいい結果につながれば良いと思います。あとは全部やり切るだけです。

水町泰杜(スポ2=熊本・鎮西)

――今日の試合を振り返っていかがですか

チームの中で一番大事としていた準々決勝を勝ち抜いて準決勝に来ました。今できるプレーを全力でやろうと思っていました。

――1セット目はスパイクがアウトになる場面が見受けられましたが、2セット目からは徐々にミスが減っていきました。どのように修正したのですか

修正もあまりできていませんでしたが、玲さん(佐藤)がうまくトスを分散してくれたこともあって、いい状態で打てました。でも、攻撃よりも守備でチームに貢献できるように努めていました。

――バックアタックがすごく良かったですね

今日は多く入りましたね(笑)。入らないものも何本もありましたが。

――先ほど高校時代の先輩である鍬田憲伸選手(中大)と話されていましたね

最後に対決することができたことがうれしかったですし、久々にあったので話しかけに行きました。

――決勝に向けて意気込みをお願いします

今できることを精一杯やって、最後は4年生にいいかたちで終わってもらえるように頑張りたいなと思います。