【連載】全日本大学選手権直前特集『DO THE BEST』第2回 水町泰杜×荒尾怜音×伊藤吏玖×山田大貴

男子バレーボール

 2回目の今日は水町泰杜(スポ2=熊本・鎮西)、荒尾怜音(スポ2=熊本・鎮西)、伊藤吏玖(スポ2=東京・駿台学園)、山田大貴(スポ2=静岡・清水桜が丘)。2年生ながら攻守でともにチームの中心的存在となっている。秋季関東大学リーグ戦の振り返りと全日本大学選手権(全日本インカレ)に向けた取り組みについて伺った。

※この取材は11月16日に行われたものです。

オンオフのギャップがある(水町)

他己紹介を受ける水町

――他己紹介をお願いします

山田 泰杜はバレーボールをやっているときとやってないときのギャップがすごいなっていうのを、1年半ぐらい一緒にいて思いました。やっぱりバレーボールしているときは目つきも変わって真剣に取り組んでいるので、一緒に練習している仲間として見ていてもすごいなと思うところがあります。でもバレーで見せる大人の部分がある反面、プライベートのときは無邪気な子供みたいです(笑)。

――一緒に生活される中での新しい発見や意外な一面はありましたか

山田 家事とかしっかりこなしますね、泰杜は。

水町 見てないやん(笑)。

一同 (笑)。

山田 水町は今寮を出て一人暮らしなので、そういうところはできる男だなと尊敬のまなざしで見ていますね(笑)。

水町 バレーのときの大貴の良さは高さだと思うので、高いときは外国人選手を見ているみたいでただぼうぜんと、高いなと思うときはあります。バレー以外のときはよく遊びに行ったりするのですが、どうでもいいことにも付き合ってくれる印象です。自分が意味のないことを結構やっちゃうんですけど、そういうことにも嫌がらず付き合ってくれて、面倒見がいいというか人付き合いはうまい方だと思います。

伊藤 怜音は私生活のことで言うと、とにかくうるさいです。訳の分からないことをひたすら喋って、たまにヒットするやつはあるのですが、ほぼ空振り三振みたいな発言ばっかりです。最初聞いているうちは「うんうん」と思うんですけど、たまにすごくうるさいなと思うときはあります。あとは韓国系のアイドルがすごく好きで、そういうオタク活動みたいなことをしています。

山田 マイナスなことしか言ってなくない?(笑)

荒尾 うるさいオタクみたいな(笑)。

一同 (笑)。

伊藤 そういう趣味に没頭しているところはすごいなと思います。

荒尾 上から(笑)。

伊藤 そういう感じなのにバレーのときになるとすごくストイックだし、うまくて。やっぱりプレーヤーとしては他の選手とはレベルの違うものを持っているので、そこは尊敬しています。

荒尾 (伊藤選手は)私生活は自分を持っている印象です。暇があったら携帯を見て(笑)。

伊藤 どこが自分を持ってるんだよ。

一同 (笑)。

荒尾 漫画とかマージャンとかを見たりしていろいろな社会勉強をしていて(笑)、そういうところは自分に無いところなので大学生活になじんでいるなと思っています。あとはちゃんと考えて面白いことを言うので、あんまり滑らないタイプなんです。だからうるさすぎないけどノリもしっかりしているっていう、とてもいい性格の持ち主だなと思っています(笑)。

一同 (笑)。

荒尾 バレーについてはユースの時から知っているのですが、高校の時に春高(全日本高等学校選手権)で当たって、(その後大学で)同じチームになったら頼りがいがあります。レシーブの最初(のポイント)はブロックなので、そこで意見交換のときに指摘するとしっかり聞いてくれて、(スパイクのコースを)絞ることができます。バレーの頭も自分たちには無いようなものもあるので、そういうところは私生活からは考えられないような、めちゃめちゃかっけえ男です。

伊藤 雑な気がする(笑)。

――伊藤選手は一昨日(11月14日)お誕生日でしたが、何かお祝いなどありましたか

伊藤 泰杜の家に集まって、みんなでわーっと。ほんの数時間ですが、わーっとやりましたよね? 

荒尾 そうだね。

伊藤 お酒も飲んで。

――2年生が1年生の教育係をされると聞いたのですが、今年はどなたが担当しているんですか

水町 大貴と布台駿(社2=東京・早実)君の二人でやってもらいました。

――やることになったきっかけは何ですか

山田 一つ上の3年生の方たちの指名で決まりました。

――教育係をやる上で気をつけていることはありますか

山田 仕事を教えていく上で、なんでも否定するのではなく、できているところはしっかりできていると言いました。それからできなかったところを一年生たちに考えさせてどう改善させるかという言葉選びを、駿と僕は結構考えましたね。

――水町選手は夏ごろに1年生の馬渕純選手(スポ1=県岐阜商)と一緒にビーチバレーの大会に参加されていましたが、ビーチバレーをやってみて感じたことを教えてください

水町 まだ2回しかやったことないのですが、まず砂では全く跳べないです。自分では跳んでいるつもりなので、インドアと同じ感覚でやってネット下段に打ち込むみたいなのは、二人で合わせて2、30本くらい一日でやったと思います(笑)。レシーブは結構砂にはまっちゃって下半身が動かないのですが、下半身が固定されていると真正面の強打とかには強いと思ったので、そういうところはインドアに生かせると思いました。

――他の方はビーチバレーに興味はありますか

伊藤 1回やったのですが、僕はシンプルに身体能力が低すぎて「ここじゃ無理だ」と思って、あんまり好きじゃないですビーチは。

山田 僕も1回やって、今泰杜が下半身が固定されてレシーブしやすかったって言っていましたが、全然そんなこと関係なくて普通にレシーブできなかったです。

一同 (笑)

山田 普通にレシーブできなくてサーブ打たれて終わったんで、ちょっといいかなって(笑)。

荒尾 遊びでやったのですが、(片方のコートに)二人しか入らないからどこが空いているかをしっかり見るっていう能力は、インドアでも生かせるんじゃないかなって思いました。

 

車の免許を取りたいと話す山田

ーー大学で受けてみて面白かった授業や、受けてみたい授業はありますか

山田 授業自体の面白さというよりも、競走部監督の磯先生(磯繁雄監督、昭58教卒=栃木・大田原)がかっこよすぎた(笑)。年取ったらああいう大人になりたいなって(笑)。

――水町選手は心理学の授業を受けてみたいと言っていましたが、実際に受けましたか

水町 そうですね。スポーツ心理学と教職課程の心理学を取りました。教育心理学はところどころ面白いなと思うところはありました。聞いていくと自分が体験したことで確かになと思うこともあるし、あの時のあれはこういう現象だったのかみたいなことも分かりました。人をコントロールするとかじゃないですが…(笑)。

一同 (笑)。

荒尾 怖い怖い(笑)。

水町 ある意味で人をうまく動かすということにも使えると思うので、教員や指導者になる上で大切かなと思います。

荒尾 挙げるならコーチング心理学の授業で、目標を立ててそこから逆算してどうやっていくかを考えることがあって、いいなと思いました。

――バレー以外で今興味があることや、はまっていることはありますか

荒尾 自分はもともとTWICEという韓国のグループが好きだったのですが、今はJO1というグループを最近よく見ています。あとはユーチューブだったら平成フラミンゴっていうユーチューバーがいるのですが、その人たちを見て仲濱陽介さん(スポ4=愛知・星城)と一緒に練習前に真似したりして、二人だけで盛り上がって「練習頑張ろう」みたいな感じになりますね。最近自分の中では結構その二つが強いです。

伊藤 アーティストのライブに行ってみたいなと思っています。今だとちょっと難しいかもしれないですが、そういうライブに行ったことがないので今すごく興味があります。自分が好きなのはKing Gnuなので、そのライブに行ってみたいです。

水町 温泉とドライブが結構好きなので、何も予定立てずにぶらぶら出かけたりしてみたいです。なかなかそういう機会ができないので、長期オフとかあればやってみたいなと思っています。

山田 特にはまっているものは今ないのですが、個人的には全カレ(全日本大学選手権)とかバレーの行事がいったん終わったら、免許を取りに行こうかなと思っています。泰杜がドライブが好きって言っていましたが、そういうときに車に乗せてもらう機会も多くて。やっぱり同期が運転しているのを見ると自分も運転してみたいなとか、ドライブ楽しいなって思ったので、来年は自分も運転する側になりたいなと思います。

秋季リーグ戦の振り返り

駿台学園時代の経験が今に生きていると話す伊藤

――秋季リーグ戦のご自身のプレーを振り返っていただきたいと思います。まず荒尾選手はけがから復帰されて初めての公式戦になったと思いますが、ご自身のプレー振り返っていかがでしたか

荒尾 満足のいくプレーができた試合が少なかったです。復帰してから基礎基本を大事にやってきたのですが、フリーボールや二段トスに甘い部分があったので、そういう細かいところを修正しないといけないという改善点が生まれました。逆に良かったと思うところは、けがをしていた2カ月の間に、ウエートトレーニングを頑張ったので、強いボールに対して多少負けなくなってきたのかなと思いました。

――ちなみにウエートトレーニングで体重は増えましたか

荒尾 今年からはわからないのですが、入学してからは7キロ太りました。

――特に自分の体でどこが大きくなったとかはありますか

荒尾  どこだろう。

水町  全然変わんないよ(笑)

荒尾  強いて言うなら。

水町  太ももとかは太くなったと思います。高校の頃とかはまじごぼうみたいだったんで。ひどかった(笑)。

山田  腕は太くなったかもしれない。

――体の調子は今どうですか

荒尾 正直悪くはないけど良くもないって感じです。

―今回の秋リーグではディグを結構拾っていましたよね

荒尾  けがをしたことで、無駄な動きが減ったのかなとは思います。無駄な動きをしたステップで、膝をけがしてしまったので。切り返しのときとかの筋肉の使い方とかを教わって無駄な動きがなくなった分、しっかり相手スパイカーと味方のブロックを見て、レシーブに入れるようにはなってきたのかなと思います。

――大塚選手(達宣、スポ3=京都・洛南)が戻ってきてすぐにリーグ戦があったと思いますが、リーグ戦を通して連携は取れるようになりましたか

荒尾 達さんはいろいろ話してくださって、シニアでのレセプションの考え方とか、どの攻撃パターンが決まってないから、その攻撃をするためのレセプションをどうするかというのを一つ一つ細かく考えられました。そうやって考えていくうちに決まり事とか位置取りはしっかり定まってきたのかなと思います。

――シニアのレセプションの考え方は早稲田とは違うのですか

荒尾 早稲田というよりも、大学の知識より一つ上に行くものが多かった気がします。

――荒尾選手の守備範囲はとても広いと思いますが、連携が取れなくて周りの選手とぶつかってしまったことはありましたか

荒尾 去年はめちゃめちゃぶつかって、いろいろありました。去年の4年生が優しくて思い切りやっていいよと言ってくださったので、去年にいろいろ経験して。今年は最初達さんがいなかったんですけど、ある意味泰杜と二人で取れる機会があったというか。達さんの代わりに入った人が一枚として考えるのではなく、泰杜と二人でレセプションに入っていると考えてプレーできたのは良かったと思います。

――それで守備範囲が広がってちゃんと取れるようになったのですか

荒尾 そうですね。スピードもパワーも少しずつ慣れてきたので、守備範囲を広げられているのかなという感じです。

――荒尾選手は劣勢のときでもよく声を出しているという印象があるのですが、声を常に出すことを意識されていますか

荒尾 リベロは点数が取れないので、声だけは出さないと居る意味というか存在価値がなくなるなと思っています。雰囲気が悪いとディグも上がらないですし、声を出して雰囲気だけでもよくしていこうと思っています。

――では次は水町選手にお聞きします。秋は足首の状態が良くなかったみたいですが、今は大丈夫ですか

水町 今はもう、ピンピンしています!

山田 暗示?(笑)。

――秋リーグのご自身のプレーを振り返ってみていかがですか

水町 個人的には、サーブを頑張るのを一つ目標にしていて、秋リーグに向けてサーブを強化してきました。ミスが出てしまうのは仕方ないという考え方ではあるんですけど、もうちょっとミスの本数を減らして、ある程度のスピードを保ちつつ、しっかりコースを狙う精度が上がったらもっといいサーブを打てるんじゃないかなと思っています。

――秋季リーグ戦ではサービスエースが増えましたよね

水町 そうですね。でもサービスエースも取った分ミスも多くて。

――夏からウエイトトレーニングに取り組んできたとおっしゃっていましたが、何キロくらい増量しましたか

水町 入学してからだと10キロくらいは太りました。普通に太っているのもあると思います(笑)。まあ筋肉もそれなりには育ったと思います。

――肩がすごく大きくなりましたね

水町 そうですね。上半身は大きくなったって言われます。

――リーグ戦を通して、サーブレシーブで大塚選手と連携をうまく取れるようになりましたか

水町 1、2試合目なんかはぶっつけ本番でした。怜音と達さんがうまくコントロールしてくれて、3人がプレーしやすいかたちを二人が作ってくださったので、そういう点ではすごくやりやすかったです。

――レシーブ賞、サーブレシーブ賞、新人賞の3つの個人賞を受賞されたと思います。個人的にはどう思っていますか。うれしいですか

水町 僕はサーブ賞が取りたかったので、もう少しサーブを頑張りたいと思いました。

――結構サーブで狙われていたと思います

水町 オーバーキャッチは安定してきたと思うので、オーバーでもっと積極的に取ります。アンダーはへたくそなのでもっと練習しないといけないです。

――続いて伊藤選手にお聞きします。秋リーグのご自身のプレーを振り返ってみていかがですか

伊藤 自分自身初めての公式戦で去年は全然試合に出ていなかったので、正直大学の試合のキャリア自体は浅いのですが、大学の試合に慣れないといけないと思いました。公式戦だとやっぱりオープン戦とは違ってどこのチームも勝ちにこだわってくるので、自分が試合中に気持ちで押されてしまうとか、心が揺らいでプレーに影響が出てしまって、大学の公式戦をまだ全然知らなかったのだと感じました。プレーの面で言うと、自分は試合のときにどちらかというとフラストレーションがたまりやすい方で、それがプレーにすぐ出てきてしまったりするので、自分をしっかり持つところから始めないといけないとは思います。サーブだったりブロックだったり、クイックだったり、まだミスが多すぎるので、プレーの安定感に関しては正直まだまだだなと感じました。

――ちなみに試合のどのような場面でフレストレーションがたまるのですか

伊藤 相手に連続得点を許しているときとか、自分のブロックのせいで得点を許しているときとかです。

――サーブが自身の課題とおっしゃっていましたが、改善されていますか

伊藤 早稲田は泰杜と大貴をはじめ、ジャンプサーブの強いサーバーが多いです。自分はジャンプフローターなので、そんなにリスクを負って攻める必要がありません。攻めて崩すのも重要なのですが、僕がミスをしてまで攻める必要はないと思っています。次のローテのサーバーが打ちやすいように自分がミスを抑えるとか、工夫しながらやっています。弱いサーブを打ち続けてもすぐサイドアウトとられてしまうので、ミスを少なく安定させるというのが今の課題です。

――秋季リーグ戦ではミドルからの攻撃が少なかったように思いますが、秋リーグが終わってからチームやセッターの佐藤選手(玲、社3=東京・早実)と話し合ったりしましたか

伊藤 決勝戦とかを見ていれば、センター線が少ないのはどの人が見ても感じたと思います。セッターとももちろん話し合いましたし、上がってきたトスをまずしっかり決めていかないと、試合展開が進むにつれてセッターもセンター線を使いづらい心境になってしまうと思います。自分としては1本1本上がってきたトスをしっかり決めることを意識しています。これからクイックは絶対に早稲田が勝ち進むのに必要だと思うのでセッターの玲さんとも練習のときから、合わなかったらすぐどう悪いだとか、どうしてほしいか話し合っていこうと思っています。

――リーグ戦を通してブロックがそろってくるようになったとおっしゃっていましたが、それは実践を重ねて慣れてきたからですか

伊藤 練習でやっていても試合は別物なので、相手もまた変わってきます。試合をやっていく中で、自分とサイドの選手が共通の認識を持ってブロックをすることになって(ブロックの)間は空いても、レシーバーが拾いやすいようにするだとか、しっかり二枚三枚をそろえることを意識してやれていたのかなと思います。

――村山豪さん(令3スポ卒=現ジェイテクト)がいなくなって、ブロックとディフェンスの関係を作るのが難しくなりましたか

伊藤 やはりあると思います。豪さんは前でずっと指示出して後ろとも連携を取っていたと思うので、豪さんが抜けて、サイドスパイカーへの指示とか後ろとの連携が極端に少なくなったと感じます。

――指示を出すのは難しいですか

伊藤 自分はめちゃめちゃ苦手な方です。口に出して言うのが苦手です。自分で考えるのは少しはできるのですが、それを他の人に共有したりとか後ろの人に伝えたりとか、そういうアウトプットが苦手です。これからの課題です。

――伊藤選手はチームのルールをよく理解してプレーする選手だと松井先生(泰二監督、平3人卒=千葉・八千代)から伺いました。チームのルールを大切にされているのですか

伊藤 ブロックだと早稲田はリードブロックシステムでやっているのですが、それはブロックが遅れる前提で跳んでいます。それでも真っすぐ前を空けておけば怜音とかサイドスパイカーはレシーブ力があるので、拾ってくれる守備力の強さがあります。だからこそ、自分はルールを徹底してブロックすればいいという安心感はあります。自分が試合の経験があまりないからこそ、松井先生がチームのルールやミスに対して結構指摘されるので、そこは意識してプレーしていると自分では思っています。

――伊藤選手の出身校である駿台学園高校自体もそういったシステムを大事にされているチームだと思います。早稲田もすごくチームのルールが多くて、荒尾選手や水町選手も体が覚えるのにすごく時間がかかったとおっしゃっていました。伊藤選手は高校までの経験が生きていたことはありますか

伊藤 それはすごくあったと思います。駿台と早稲田のルール自体は違うこともあると思いますが、結構似ている部分も多くあります。自分がほかの学校だったら、早稲田のルールに全く理解が追いついてなかったと思うのですが、駿台で梅川先生(大介監督)に教わったからこそ、今こうしてチームのルールを体で覚えてきたので、今も実践できていると思います。

――次は山田選手に伺います。秋季リーグ戦の終盤から水町選手の代打として出場されましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか

山田 自分としては、秋リーグの準決勝と決勝は公式戦初スタメンでした。振り返ると自分の通用した部分と足りていない部分が明確になったと思います。泰杜の代わりに入ったのですが、サーブレシーブなどの守備の面でなかなかチームに貢献できない分、自分の持ち味である高さを生かしたスパイクで点を取ろうとしていました。状態がいいときには高さは出せましたが、劣勢の場面やチームに勢いがほしいときは、自分の中で気持ちが前に出てリラックスできない状態で打っていたことが多くありました。気持ちの面での課題が多く残ったのかなと感じました。

――緊張していたわけではなかったのですね

山田 そうですね。気持ちが空回るというか(笑)。サーブでも気持ちが空回ってしまいました。吏玖も「練習と本番は違う」と言っていましたが、自分も練習と試合でサーブが違っていて。「打ってやろう」という気持ちは強いんですけど、本番はサーブトスが真上に上がってしまうんですよね(笑)。試合のときは気持ちと身体が整わないですね。

――コートでは3年生の先輩からたくさん声をかけられていましたが、どのようなことを話されたのですか

山田 「お前は何も考えず打っていいから」と言われました(笑)。

一同 (笑)。

山田 堅苦しい言葉より、気楽な言葉がけの方が自分ものびのびプレーしやすいので(笑)。とにかく高く跳んで腕を振ろうって。

――荒尾選手と伊藤選手にお聞きします。リーグ戦の序盤は不安定さがあったと思いますが、徐々にブロックが機能してきてフロアディフェンスも安定してきたように感じましたが、リーグ戦を通して感じたことはありましたか

荒尾 試合を重ねるごとにフィードバックをして、次の試合までの1週間で課題をつぶすことができた分、レセプションが安定して、トランジションからのディグやリバウンドでもチーム全体として意識が変わったと思います。技術よりも場面ごとでの各自の意識が変わったから、いい方向に向かっていったのだと思います。

伊藤 組織として安定したと感じるのは、天皇杯予選(天皇杯全日本選手権関東ブロックラウンド)で筑波大に敗れてからです。分からなかったときやミスをしてしまった場面ではすぐに確認して指摘し合っていました。かつ、試合を重ねていくうちに良くなっていって、準決勝や決勝では守備の面では安定さはあったと思います。

――水町選手以外にお聞きしますが、日体大に負けたときは優勝を目指していただけにやはりショックでしたか

荒尾 悔しかったですが、全日本インカレに向けて頑張ろうと思っていたので、そんなにショックは受けませんでした。松井先生がいつも「自分たちはチャレンジャー」とおっしゃっているのですが、自分たちが入学して公式戦で負けたことがなかったので、心のどこかで「勝たなきゃいけない」という気持ちはありました。公式戦で1セットも取れずしっかり負けて、いい意味で切り替えられましたし、チャレンジャーとして思いきりやっていこうと思えた試合でした。

伊藤 自分もめちゃくちゃ悔しいという感じではなくて。自分は準決勝で1セット目に出て交代して、決勝で2セット出て最後に交代してという感じで、結構不完全燃焼なかたちで終わってしまいました。この秋季リーグ戦に関しては、負けてもリーグが最終目標ではないので、向き合わないといけないこともありますが、そんなに重く考える必要もないのかなと思います。自分としてもチームとしても、いい部分も悪い部分も多く見られたリーグだったので、負けたけど多くの収穫を得られたと思います。

山田 この二人と同じで、悔しいというよりは、これが全カレじゃなくて良かったなと思いました。何が足りなかったかを考えるいい機会になりました。試合が終わった直後はそんなに悔しくなかったのですが、日体大の喜んでいる声を聞いたら悔しくなりました。でも、全カレで勝てば秋リーグで負けたことは最終的には良かったと思えるので、また頑張りたいと思います。

「優勝して最後は笑って終わりたい」(荒尾)

全日本インカレの意気込みを話す荒尾

――全日本インカレに向けて個人で力を入れて練習していること

山田 トランジションからのスパイクですね。松井先生がよく「サイドアウトを取れば負けることはない」と言っていて。勝つためにはブレイクすることが必要で、トランジションで自分に余裕がないときに、どう自分で良い状態に持っていくかが課題になっていたので、厳しい場面でも自分の良さを生かせるように考えて練習してきました。

水町 自分はレセプションとサーブを頑張りたいと思います。早稲田は打ち手がたくさんいるのでレセプションを安定させるのと、松井先生がサーブで得点を取ることをおっしゃっていたので、サーブで得点できるように攻めていきたいと思います。

伊藤 自分は安定したサーブと後衛が守りやすいブロックです。後衛がレシーブしやすく、見やすいブロックを意識していきたいです。あと、クイックの決定率がそんなに良くないので、安定した助走とジャンプをしてしっかりとチームに貢献したいです。

荒尾 自分はレセプションの安定とトランジションの展開からの基礎基本をもう一回徹底させることです。秋リーグを通して、ワンタッチのボールと二段トスという基礎的なプレーで得点を落としたことが多かったので、そこを改善してもったいない1点をなくせるようにしたいです。

――見ている人たちに注目してほしいプレーは

山田 気迫のこもった高さのあるスパイクです。

水町 気合の入ったサーブです。

伊藤 硬く粘り強いブロックです。

荒尾 去年と同じで丁寧なプレーです。

――全カレでの目標と意気込みを聞かせてください

山田 全カレ優勝が目標です。自分の持ち味を生かして頑張ります。

水町 最後に4年生にいい思いをしてもらえるように全力でできることを頑張りたいと思います。

伊藤 目標は優勝で、勝負所では覚悟が必要なので、覚悟を持って頑張りたいと思います。

荒尾 どんなときも声を出して頑張るという気持ちを忘れず、優勝して最後は笑って終わりたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 西山綾乃、新井沙奈 カメラ 原澤ひかり)

◆伊藤吏玖(いとう・りく)(※写真左)

2001(平13)年11月14日生まれ。195センチ。東京・駿台学園出身。スポーツ科学部2年。今年からスタメン入りを果たした伊藤選手。ブロックの要を担い、主に守備の面で貢献しています。色紙は『覚悟』。土壇場で発揮される伊藤選手の覚悟に注目してください!

◆山田大貴(やまだ・だいき)(※写真中央左)

2001(平13)年8月7日生まれ。191センチ。静岡・清水桜が丘出身。スポーツ科学部2年。高さのあるスパイクを持ち味とする山田選手。劣勢の場面で見せるダイナミックなプレーに目が離せません!色紙は『攻』。

◆水町泰杜(みずまち・たいと)(※写真中央右)

2001(平13)年9月7日生まれ。181センチ。熊本・鎮西出身。スポーツ科学部2年。1年時からスタメンとして出場している水町選手。どんなときでも肝の据わったプレーを見せてくれるでしょう!色紙は『度胸』。

◆荒尾怜音(あらお・れおん)(※写真右)

2001(平13)年5月1日生まれ。174センチ。熊本・鎮西出身。スポーツ科学部2年。コートでは人一倍声を出している荒尾選手。全日本インカレで優勝して笑って終えることが目標だそうです。色紙は『笑顔』。にこちゃんマークとバレーボールのデザインがかわいいですね!