秋季リーグ戦開幕!日本代表の大塚も合流し初戦を白星で飾る

男子バレーボール

 9月から開催が予定された男子1部の秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ戦)が本日開幕した。例年のような総当たり戦ではなく、AとBの2グループに分かれそれぞれ6チームの順位を決めた後、他グループの勝敗数の近い相手と対戦し全12チームの順位を決める方式となっている。Aグループに該当する早大は、駒澤大と対戦。1セット目は相手の勢いに押され落としてしまうも、2、3セット目は終始リードを保ち連取。4セット目は一進一退の攻防を制し、セットカウント3-1(21-25、25-21、25-20、29-27)で初戦を白星で飾った。

 春季関東大学オープン戦とは打って変わり、ミドルブロッカーの上條レイモンド副将(スポ4=千葉・習志野)とセッターの仲濱陽介(スポ4=愛知・星城)がスタートから出場した。また日本代表チームで活動してきた大塚達宣(スポ3=京都・洛南)も入り、新たな布陣でスタートを切った。序盤はサイドアウト(※1)を取り合うも、相手のサイドからの速い攻撃を封じきれず4連続得点され8-12に。タイムアウト後も主導権を握られ、10-18と点差を広げられた。水町泰杜(スポ2=熊本・鎮西)のサーブやスパイクなどで4連続得点したが、点差は縮まらず21-25でこのセットを落とした。セッターとスパイカーのコンビネーションミスやタッチネットなどが散見され、初戦の緊張感が伺えた。しかし今回の駒澤大は「今までで一番完成度が高かった」(大塚)。「攻撃の要となるアウトサイドヒッターをサーブで狙う」という戦術を実行できていたが、守備を崩すことができず相手の勢いに押されてしまった。

 

スパイクを打つ水町

 2セット目はセッターの佐藤玲(社3=東京・早実)、ミドルブロッカーの伊藤吏玖(スポ2=東京・駿台学園)が起用され、2、3年生中心のメンバーとなった。伊藤のクイックやブロック、水町のサービスエース、重藤トビアス赳(スポ3=神奈川・荏田)のスパイクなどで5連続得点し、その後もリードを保つ。サーブで崩して攻撃の選択肢を減らし、守備を固めた。そこからクイックやバックアタックなどの多彩な攻撃を展開。25-21と盤石な試合運びでこのセットを取り返した。3セット目も同様に序盤から連続得点し、主導権を握る。セットポイントの場面、スパイカーが本来とは違うポジションから攻撃する『S1ローテ』で3連続得点されるも、最後は水町のスパイクで25-20とした。

 4セット目は一進一退の攻防を繰り広げる。この試合でゲームキャプテンを任された岩本大吾(スポ3=兵庫・市⽴尼崎)のクイックを中心に得点。さらにサーブやブロックなどでプレッシャーをかけてきたことで、相手のミスを誘う場面が多く見られた。だが、サイドからの速い攻撃に苦戦し、そう簡単に点差を広げられず。20点以降に入ってもなおサイドアウトを取り合った。22-23の場面で水町がサービスエースを決め、これに思わず相手はタイムアウトを要求。スパイクを決められセットポイントを握られたが、負けじと食らいついた。大塚、水町のスパイクでマッチポイントとなり、最後は相手の反則でゲームセット。29-27で激闘を制し、会場は熱気に包まれた。

 

クイックを打つ伊藤

 今年度初の公式戦、1セット目は不安定さが見られたものの、2セット目以降はサーブで崩して守備を固め、多彩な攻撃を繰り広げる早大らしいバレーボールを展開。今季けがから復帰した重藤、荒尾怜音(スポ2=熊本・鎮西)、日本代表の活動を終え先週から練習に参加した大塚と、試合から遠ざかっていたメンバーもいる中で、初戦を勝利で飾ることができた。これから試合が進み、どのような化学反応を起こすのか目が離せない。

(記事 西山綾乃、写真 日浅美希)

(※1)サイドアウト…サーブレシーブ側のチームが得点すること  

 

セットカウント
早大 21-25
25-21
25-20
29-27
駒澤大
スタメン
アウトサイドヒッター 大塚達宣(スポ3=京都・洛南)
アウトサイドヒッター 水町泰杜(スポ2=熊本・鎮西)
ミドルブロッカー 上條レイモンド(スポ4=千葉・習志野)
ミドルブロッカー 岩本大吾(スポ3=兵庫・市立尼崎)
オポジット 山田大貴(スポ2=静岡・清水桜が丘)
セッター 仲濱陽介(スポ4=愛知・星城)
リベロ 荒尾怜音(スポ2=熊本・鎮西)
コメント

松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)

――今回は春季関東大学オープン戦とは異なり、スタートから上條レイモンド副将(スポ4=千葉・習志野)と仲濱陽介選手(スポ4=愛知・星城)を起用されましたが、どのような意図があったのでしょうか

今までやってきたチームの中でオープン戦やリーグ前の練習などを見て、スタートで起用しました。今まで練習でやってきたことをどれだけ大会で出せるか試してみたかったんですよね。まだ全員誰で行くか決められず安定しているチームではないし、今年度に入って初めての公式戦なので、色んな選手を使いながら全日本インカレ(全日本大学選手権)までに誰を起用するか決めないといけないなと思っています。

――1セット目は落としてしまいましたが、振り返っていかがでしたか

大塚(達宣、スポ3=京都・洛南)が戻ってきて、合流してチームとほとんど一緒に練習していないので、その中でどれくらいやれるかというのを確認しようと思っていました。まあ、普通に考えても合うはずがないですよね。しかし落としたところで何とも思わないですし、そういう意味で1セットだけ合わせる時間ができたんだという捉え方をしていました。自然と合ってくるんだろうなという感じはありましたし、どんな試合でも初戦は安定しないものなので、いつもあることだと思っています。

――選手に話をお聞きしたところ、「1セット目はデータを見たら実力は相手の方が上回っていた」とおっしゃっていました。これに関して、どのようにご覧になっていましたか

そうですね。こっちに向かってくるというのをすごく感じました。やっぱり去年まではチャンピオンだったということで、どこも向かってくるのに対して我々が少しバタバタしてしまったんでしょうね。そういうところで跳ね返せなかったですね。

――サーブで攻めきれなかったり、ブロックにしっかり付いていてもスパイクを打ちこまれたりしていましたが、それも相手の実力が上回っていたということでしょうか

そうですね。良いチームだと思います。思いきりやってきたし、サイドをだいぶん早くしているバレーなので、そこで対応できていませんでしたね。

――2セット目は打って変わって序盤からリードを保っていました。メンバーが変わったこともあったと思いますが、なぜ調子を取り戻せたのでしょうか

一つは3年生主体に変えたということですね。フレッシュな形でやっていこうということと、達宣も含めてチームが試合に慣れてきたというところが出てきたのではないかと思います。あとサーブが機能しましたね。

――4セット目は終始拮抗した展開になりましたが、これは想定外でしたか

1試合目ということで、どんな相手でも混戦になるだろうと予想していたんですよね。その中でラリー中に点差を離していかないといけない段階で、自分たちが慌ててしまってコンビネーションミスがいくつかあって、そこは自分たちがまだまだできていない部分だと感じました。

――次戦以降でチームに期待したいことは何ですか

やってきたことを全部出すということですね。いつも言っていることですが。そうすればおのずと相手と差をつけられるのではないかなと思います。

⼤塚達宣(スポ3=京都・洛南)

――⼤学の試合に久しぶりに出られましたが、いかがでしたか

早稲⽥のユニフォームに袖を通して試合をするのは本当に久しぶりだったので、⾃分が中⼼になって引っ張っていかないといけないという気持ちがあって、無意識に⼒が入ってしまったと思います(笑)。終盤、⾜が釣りそうになってしまって、それも多分無意識に⾃分がやらないといけないという気持ちが強かったからだと思います。特別満⾜いくパフォーマンスではなかったのですが、チームの勝利につながるプレーができたので、そこは良かったです。

――サーブで狙われていましたが、⾜にきたりとかしましたか

もしかしたらそれで地味にきていたかも知れないですね(笑)。チーム全体で、相⼿からサービスエースは取られることないようにしようと話はしていました。そこは徹底して、3⼈で声を掛け合いながらできたので良かったと思います。

――1セット⽬は、結構硬かったですよね

⾃分たちが硬かったというよりは、終わった後に⾒た、駒澤⼤学さんのデータの数字がとても良かったので、駒沢⼤学さんが僕たちに向かってきているのを跳ね返すだけの⼒が1セット⽬は出せなかったのだと思います。2セット⽬以降は、受け⾝に回るのではなく⾃分たちらしく攻めることができたので、それが勝ちにつながりました。1セット⽬も⾃分たちは攻めていたのですが、相⼿がそれに崩れなかったというのがあると思います。でも2セット⽬以降は、こちらにサービスエースが出たり相⼿が崩れる状況を⾃分たちで作ることができたので、そのようなきっかけが流れを変えられたのだと思います。

――アウトサイドヒッターの選⼿を結構狙っていたと思うのですが、やはり2セット⽬以降はしっかり狙えるようになっていったのですか

事前にミーティングで、アウトサイドヒッターを徹底して狙っていこうという話はしていました。しかし、やはり相⼿がなかなか崩れなかったですし、本当に良いチームだなと思いました。今までの駒澤⼤学さんと⽐べたら、すごく強いチームで完成度としてはいいチームだなと感じました。

――⾃分たちの⼒を出しきれた試合でしたか

そうですね、今⽇の試合が3―1だったのですが、⾃分たちができるベストパフォーマンスを出せたんじゃないかなと思いますし、そこは⾃信を持っています。悪いところは悪いところで反省していますが、明⽇も試合があるので気持ちを切り替えて臨みたいです。今⽇のバレーは全然悪くないので、そこは⾃信持ってネガティブに考えずに明⽇も頑張ろうという話をしました。

――去年と今年で、⾃分の中で意識の違いや成⻑したことはありますか

去年は⽔町君(泰杜、スポ2=熊本・鎮⻄)と荒尾君(怜⾳、スポ2=熊本・鎮⻄)が1年⽣だったのもありますが、3⼈でサーブレシーブをしていたのでそこら辺の声かけや、指⽰の声を意識していました。今年は、チームが勝つために25点をどうやって取るかということであったり、試合中にミスなどの悪いプレーばかりに⽬がいってしまうと思うのですが、もし悪いプレーが出たとしても悪いところは悪い、でもその前のブロックはナイスだったとか、「(守備は)あの位置で良かったよ」とかいう気持ちを切り替えた声かけだったりを意識しています。⾃分がチームの精神的な柱くらいの役割をしていかないといけないなと思います。

――次の試合に向けて意気込みをお願いします

⼟⽇試合が続くということで、気持ちの切り替えが⼤事になってくると思います。明⽇は2試合⽬でちょうど24時間後くらいになると思うので、それを意識してリカバリーだったり気持ちのリフレッシュだったりを各⾃やって、明⽇は今⽇より良いパフォーマンスを発揮できたら良いです。相⼿より⾃分たちのベストパフォーマンスを出せるように意識して明⽇も頑張ります。

岩本⼤吾(スポ3=兵庫・市⽴尼崎)

――コートキャプテンを任されていたと思いますが、ご自身の中で意識していたことはありますか

イレギュラーな形で、3年⽣の⾃分がコートキャプテンをするということになりましたが、チームでリーダシップを取って声をかけてプレーするというのはマストだと思っていました。その点はいつも以上に意識して⾏いました。また、開幕戦ということもあって、いつもより序盤は⼤事にしていたのですが、あまりいい形で⼊れなかったというのが反省点です。しかし、その後のセットではいい形で取り切ることができたので、それを⾃信につなげて明⽇からの試合にも臨みたいです。

――個⼈的に夏の間練習したことはありますか

⾃分の⻑所である安定感のあるプレーと、攻撃でもブロックでも丁寧にするというのを夏に⼊る前に決めて練習してきました。ブロックの横に出るような速さであったり、サーブに関してはビッグサーバーが揃っているので、そこにつなげられるように頭を使ったプレーをしようと考えていたのですが、それらが変に空回りしてしまったのは反省点です。しかし、成⻑しているところもあるので⾃信につなげていけたらいいなと思います。

――クイックを結構決められていましたが、ご自身の中で調⼦は良かったですか

しっかり⾃分のプレーをするということに集中していたので、結果的に決まったという話なのですが、プレーができない以上はどれだけリーダーシップをとってもチームは付いてこないと思うので、⾃分のやるべきことをきちんとすることにフォーカスして取り組めました。そのような⾯で「調⼦が良かった」という評価を得られたのはすごく良いことだと思います。

――次の試合に向けて意気込みをお聞きしてもいいですか

⼀昨年の秋リーグ以降の公式戦が全カレ(全⽇本大学選手権)しかなくて、⾃分は昨年の全カレもユニフォームも着ずにコート外から⾒るという悔しい思いをしてきました。リーグ戦は全カレにもつながる試合なので、そこはしっかり意識して、連戦ということで、明⽇の試合に向けてしっかりリカバリーと対策をして頑張っていきたいと思います。