トータルディフェンスが奏功し明大に勝利!

男子バレーボール

 緊急事態宣言により中断されていた春季関東大学オープン戦が先週から再開された。先週は自分たちの力を発揮できず2連敗を喫した。それから一週間を経て迎えた今日の相手は明大。序盤はセンターやサイドから展開されるテンポの速い攻撃に翻弄(ほんろう)されるも、3セット目からは徐々にブロックとフロアディフェンスがかみ合い、早大有利の展開に。最後は10点差をつけてゲームセット。セットカウント3-1(25―22、22-25、25-18、25-15)で勝利した。

 先月のメンバーとは打って変わり、レフトに安定した守備力を誇る吉田悠眞主将(スポ4=京都・洛南)、リベロにセッター経験のある浅野翼(スポ1=宮城・東北)を投入。だが久々の大会で慣れないメンバーでの守備となったため、自分たちの力を発揮できずにいた。先週の課題は序盤で崩され最後まで相手有利の展開になってしまったこと。先週出た課題を克服すべく挑んだ。

 

先週から正リベロとして出場している浅野

 「各々高さがありトスのテンポが速かったので、トータルディフェンスがしにくい相手だった」(浅野)。セッターの大﨑世惇(3年)の速いトス回しから、クイックやサイドからの攻撃が展開された。明大スパイカー陣は高校時代全国大会の経験が豊富な選手たち。そのためなかなかブロックとフロアディフェンスがかみ合わず、早大コートにスパイクが多く打ちこまれた。1セット目は何とか競り勝ったものの、2セット目は速い攻撃に押されさらにスパイクミスが重なったことにより、落としてしまう。

 悪い流れを切りたい3セット目、先週と同じわだちは踏まなかった。サーブで崩し相手に思い通りのスパイクを打たせないことを意識した。ブロックの的を絞りやすくなったことにより、スパイクのコースも定まりフロアディフェンスとの関係がうまく機能し始める。さらにクイックやパイプ、サイドからの攻撃を展開し、本来の早大の持ち味を発揮。水町泰杜(スポ2=熊本・鎮西)、伊藤吏玖(スポ2=東京・駿台学園)、山田大貴(スポ2=静岡・清水桜が丘)の2年生トリオを中心に得点を重ね、9-4と突き放しタイムアウトを取らせる。その後はサイドアウトを取り合う展開になるもリードを守り、25-18とした。4セット目も盤石な試合運びを見せる。5-4の場面で出た水町のパイプを皮切りに4連続得点。岩本大吾(スポ3=兵庫・市立尼崎)のサービスエースや伊藤の195センチの長身を生かしたブロック、相手の連続失点などで17―7まで引き離した。大きく点差が開き、大幅にメンバー交代を行う。20-9では、途中出場を果たした芳賀雄治(商3=山形南)がスピードのあるジャンプサーブでレシーブを崩しミスを誘った。最後も芳賀がスパイクを決め、25-15でゲームセット。先週の課題を克服し勝利を飾った。

 

試合の最後にスパイクを決めた芳賀

 序盤から崩され相手ペースの試合運びになってしまった先週とは打って変わり、勝利を手にした早大。サーブを効果的に攻められたことによるディフェンスの安定がカギとなった。レセプションの中心を担ってきた重藤トビアス赳(スポ3=神奈川・荏田)、荒尾怜音(スポ2=熊本・鎮西)の不在は痛手になっている。しかし早大のコンセプトは「誰が出ても強いチームになること」。決して簡単なことではないが、試行錯誤して勝利を積み重ねることで、チームはより強くなるだろう。『成長痛』とも言えるこの時期をどのように乗り切るのか、今後の早大から目が離せない。

(記事 西山綾乃 写真 山田彩愛)

 

セットカウント
早大 25-22
22-25
25-18
25-15
明大
スタメン
アウトサイドヒッター 吉田悠眞(スポ4=京都・洛南)
アウトサイドヒッター 水町泰杜(スポ2=熊本・鎮西)
ミドルブロッカー 岩本大吾(スポ3=兵庫・市立尼崎)
ミドルブロッカー 伊藤吏玖(スポ2=東京・駿台学園)
オポジット 山田大貴(スポ2=静岡・清水桜が丘)
セッター 佐藤玲(社3=東京・早実)
リベロ 浅野翼(スポ1=宮城・東北)
コメント

芳賀雄治(商3=山形南)

――今日はピンチサーバー以外での出場でしたがいかがでしたか

チャンスがあればずっと出たいと思っていたので、その分出場できたときはすごくうれしかったし楽しかったです。

――最後芳賀選手のスパイクで勝利しましたね

セッターの馬渕(純、スポ1=県岐商)に「どんなところに上がっても俺に持って来い」と言っていたので。点差も開いていましたしクイックを使う場面もなかったので、「(最後に決めるの)俺でいいよな?」と話したら「もちろんです」と。よく馬渕とBチームの練習でトスを上げてもらっていて、信頼関係があると思っているので。

――今日のサーブはいかがでしたか

1本入って1本ミスをしてしまいました。途中出場でサーブを打つってすごく難しくて。いつも体が温まった状態でサーブ練習をしているのですが、体が固まった状態でサーブに行けと言われてベストパフォーマンスが出なかったので、今日もうまくいきませんでした。やっぱり練習しないといけないなと思います。

――サーブで崩して相手のミスを誘ったプレーが出ました

僕、スピードで勝負するサーブなんですけど、打った感触全然速くなくて。「これだめだな」と思っていたらコースが良くて。人と人の間で、しかもレセプションが苦手な選手のところに行って。狙っていなかったんですけど(笑)。結局崩せてラッキーでした。2本目は力んでしまいました。

――プレッシャーはありますか

緊迫した場面ではなかったですし、チームをもう一段階盛り上げたいという場面で僕が起用されるので、そこまでプレッシャーは感じません。ジュースの場面で出されるわけではないですし。いい緊張感を持って打っています。

――次の試合に向けての意気込みをお願いします

日大はすごくサイドが速くてパイプ攻撃も多いので、組織的なブロックとかトータルディフェンスが大事になってくると思うので、そこをまずきっちりしたいです。僕個人としては、出場する機会があればムードを盛り上げるサーブや僕の武器であるレシーブでチームに貢献したいと思います。

馬渕純(スポ1=県岐商)

――今日の試合を振り返っての感想を教えてください

個人的には、先週の試合から出場させていただき、経験をさせていただいていますが、やっぱり先輩たちに助けていただいている部分はあります。練習試合とは違った試合の雰囲気にまだ慣れていない部分もあるので、そこは少しずつ練習の中で技量を高めていき、試合に出たときも活躍できるようになりたいと思います。

――先週初出場を果たしたとのことですが、2回目の出場となる今回の試合はいかがでしたか

少しは慣れてはきました(笑)。やっぱりまだセッターとしての技術量が足りなくて、スパイカーの人たちを気持ちよく打たせることができておらず、先輩たちに助けてもらっている状況です。セッターとしての役割はスパイカーを気持ちよく打たせることだと思うので、自分が助けてもらうのではなく、自分が助ける立場になれるように頑張っていきたいと思います。

――今日の試合を通しての自身の課題はありますか

技術的な部分でいうと、トスの時のボールがまだ回ってしまっている時があるので、そこは確実に直していきたいです。トスを上げるときに、周りが見えていないことがあるので、周りを見て、質のいいトスをスパイカーにあげることです。ゲーム展開よりも、まずはそこを改善して、途中交代したときもすぐにいいトスが上げられるようにしたいです。

――対戦相手の明大の印象はいかがでしたか

ミドルの選手が非常に器用で、ミドルに決められると、ブロックしている側としては、すごくブロックがやりにくくなるので、やりづらい相手だったと思います。トリッキーなプレーも多いチームなので、そんなチームに勝てたことはすごく良かったなと思います。

――途中出場でのプレッシャーは感じましたか

緊張します。(笑)最初から出るとリズムがつくりやすいのと、コートに入っている人たちとの空気感が違ったり、試合状況によっては1点の重みが変わってきたりするので緊張します。正セッターの佐藤さん(玲、社学3=東京・早大実業)の作ったゲーム展開を生かしつつ、自分のゲームを作ることをしなければならないので、難しいです。

――今日のプレーの中で、自身で評価できるところはどこですか

試合の最後に、芳賀さん(雄治、商3=山形南)に上げたトスです。自分の中でも、ストレートに打てるトスをしっかりあげられたなと思ったので、そのトスを常に安定的に上げていけるようにしないといけないなと思います。

――次戦に向けての意気込みを教えてください

明日もし出させていただく機会があったら、今日挙げた課題は急にできるようになることだとは思わないので、自分にできることは声をだして雰囲気をつくることだと思います。それは自分のなかの良さだと思うので、声をだしつつ、今日出た課題を少しでも改善していいトスが1本でも多くあげられるように頑張っていきたいと思います!

浅野翼(スポ1=宮城・東北)

――オープン戦から試合に出場されていますが、調子はいかがですか

初めての試合ということもあって、少し硬さもありますが、周りの先輩方が自分のやりやすい環境を作ってくれているので、あまり考えすぎず、楽しくプレーができています。

――荒尾選手(怜音、スポ2=熊本・鎮西)の代わりに出場するプレッシャーはありますか

けがをした当初はプレッシャーがありましたが、今は荒尾さんを超えるというよりかは、自分のプレーや自分らしさを武器にして試合に勝てるようにしていくことを意識しています。また、そのまま自分がレギュラーを取るという意識をもって練習しています。

――荒尾選手にはない自分らしさはどういうところにあると思いますか

自分はもともと、セッターをやっていて、高校からリベロに転向しました。だから途中でセッターがボールを触ってしまっても、自分が2本目でセットアップして同じ攻撃ができることが自分にとっての武器だと思います。

――ご自身のサーブレシーブはどうですか

もともと得意でしたが、大学に入ってから、高校の時とはスピードもボールの質も違うので、それにまだ自分の体が追い付いていない部分があります。それにしっかり対応できるような体づくりとスピードに慣れることを意識して練習しています。

――今日の試合を振り返っての感想を教えてください

今まで序盤に課題が多くありましたが、今日はブロックやレシーブなどトータルディフェンスでうまく対応できたと思います。雰囲気も最後まで持っていくことができたので、課題を克服するという点で自分たちにとって成功した試合だったのではないかと思います。

――2連敗して迎えた今日の試合ですが、いかがでしたか

オープン戦ということもあり結果にこだわった試合ではなかったですが、勝負に勝ちたいという思いは選手として強くあったので、先週の負けを糧にして、今日の試合まで練習してきました。

――対戦相手の明大の印象はいかがでしたか

テンポが速く、個々の能力も高いので、幅が広い攻撃のなかで自分たちがどのように対応できるかということを考えていました。高さが個々であり、トスのテンポが速く、すごくオールマイティなチームでトータルディフェンスがしにくい相手だったと思います。

――今日出た自身の課題はなんでしょうか

まだまだふわふわしているというか。まだまだレセプションが安定できるはずなので、もう一度そこを見つめなおして、質を高めることが課題です。

――次戦の意気込みを教えてください

連日試合で疲労も溜まっていると思いますが、自分たちがやれることは限られていると思いますし、いつもどおりの自分たちのバレーをすれば勝てる相手だと思うので自分たちのバレーを思う存分楽しんでやりたいと思います。