ミスが続き自分たちのリズム作れず FC東京に敗れ2回戦で去る

男子バレーボール

  全日本大学選手権から5日経ったこの日、早大は天皇杯全日本選手権ファイナルラウンドに出場した。今年度は都道府県ラウンド、ブロックラウンドが行われなかったことにより、今大会にはV1リーグの全チーム、各カテゴリーから推薦されたチームが参加。1回戦で対戦予定のサントリーサンバーズが出場を辞退したことにより、早大は不戦勝に。2回戦となるこの試合、早大バレー部OBの武藤鉄也(令1スポ卒)が所属するFC東京を相手に迎えた。ブロックやレシーブといった強固なトータルディフェンス、さらに高さや力のあるスパイクや織り交ぜられる軟打に苦しみ、早大らしからぬミスが続いてしまう。3セット目は奪取したものの、最後まで自分たちのリズムを作ることができず。セットカウント1-3(21-25、23-25、25-17、19-25)と悔いが残る結果となった。

 「高さや技術、一つ一つのプレーの質が違いました」と宮浦健人主将(スポ4=熊本・鎮西)が話すように、Vリーグの壁はやはり高かった。2016年から日本代表入りを果たし、海外リーグでの経験も持つリベロの古賀太一郎を中心にディフェンスを組み立てるのが、FC東京のスタイル。そのため大学生相手なら決まるようなスパイクがなかなか通用しない。シャットアウトされたり、スパイクのコースを読まれしっかり拾われたりした。さらに高い打点から放たれる力強いスパイクや織り交ぜられる軟打にも翻弄された。その強さに圧倒され、1セット目の序盤からリズムを崩してしまう。終盤になってもその悪い流れを断ち切ることができず、このセットで13点分のミスが相手の得点に。21-25と幸先の悪いスタートとなった。2セット目はサーブやスパイクのミスが散見されたものの、中盤まで早大がリードする展開に。だが17-14の場面で出たサーブミスを皮切りに4連続失点を喫し、逆転されてしまった。最後まで相手の背中をつかむことはできず、23-25で連取された。

 

宮浦主将は相手ブロッカーに徹底的にマークされた

  打って変わり3セット目はミスが減り、本来の力を発揮することができた。スパイクを拾われてもできるだけ守備を崩し、徐々にリズムを整える。さらに相手のミスが目立ち始めたことにより、終始リードする形となった。23-16の場面では宮浦主将がコーナーへノータッチエース(※1)を奪う。最後は水町泰杜(スポ1=熊本・鎮西)がVリーグの選手に勝るとも劣らない力強いスパイクでブロックアウトを取り、25-17で九死に一生を得た。4セット目で勢いに乗りたいところだったが攻撃に対応され、なかなかブレイク(※2)することができない。13-14まではサイドアウト(※3)を取り合い反撃のチャンスはあったものの、13-15とブレイクされ、さらに相手の力強いスパイクで2連続失点を許す。その後は追いつくことができず、19-25で敗れた。

 

2メートルを超える相手選手をブロックする水町(左)、村山副将

  「情けない」。松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)は試合後のミーティングで何度もこう口にした。自分たちの実力を出し切れず自らリズムを崩したこの試合。出たサーブミスは9本。他にもスパイク等でミスが散見された。これを受け、ミスの数をコントロールすることが課題に挙げられた。ミスが多くなったときに無理に攻めるのではなく、コントロールしてリスクを減らす方向に切り替えることや攻めるポイントを限定させることが重要になってくるという。今年で大黒柱である4年生が抜けるものの、来年もスタメンの上條レイモンド(スポ3=千葉・習志野)、大塚達宣(スポ2=京都・洛南)、水町、荒尾怜音(スポ1=熊本・鎮西)が残っている。4人を中心にこの悔しさを成長へとつなげることができるかーー。

(記事 西山綾乃、写真 平林幹太)

 
(※1)ノータッチエース…相手チームのプレーヤーに触れずにサービスエースを取ること

(※2)ブレイク…連続得点をすること

(※3)サイドアウト…サーブ権を持っていない側が得点すること
 

セットカウント
早大 21-25
23-25
25-17
19-25
FC東京
スタメン
アウトサイドヒッター 大塚達宣(スポ2=京都・洛南)
アウトサイドヒッター 水町泰杜(スポ1=熊本・鎮西)
ミドルブロッカー 村山豪(スポ4=東京・駿台学園)
ミドルブロッカー 上條レイモンド(スポ3=千葉・習志野)
オポジット 宮浦健人(スポ4=熊本・鎮西)
セッター 中村駿介(スポ4=大坂・大塚)
リベロ 荒尾怜音(スポ1=熊本・鎮西)
コメント

宮浦健人主将(スポ4=熊本・鎮西)※以下囲み取材より抜粋

――大学生活最後の試合でしたが、振り返っていかがですか

今日の試合に関しては自分たちからミスを出して負けてしまいました。最後の試合でこのような終わり方をして、納得いかないところはあります。

――今日Vリーグのチームと試合してみて、大学との違いは感じましたか

一つ一つのプレーの質ですかね。高さも技術も違うなと感じた部分もありましたが、やっぱり自分たちがいつも通りのプレーができなかったというか、チームが一つにまとまれなかったというのもあります。

――ジェイテクトSTINGSに内定されていますが、今後Vリーグでどのようなプレーをしたいですか

今日みたいなプレーをしてしまうと、まだまだ通用しない部分はあると思います。これから一つ一つのプレーや体づくりに力を入れて頑張らないと、これから先はないのかなと思います。

――インカレでの達成感や今大会の不戦勝というのもあったと思いますが、今日の試合前の雰囲気は主将の立場から見てどのような感じでしたか

こういうVリーグのチームと戦えることは少なくて、サントリーと試合ができずに不戦勝という形になったんですけど、今日のFC東京との試合はみんな勝ちいくつもりだったと思います。

――チームとしてまとまり切れていないという話でしたが、要因はどこにあると思いますか

序盤からミスが続いてしまって、全日本インカレではそういうことがなかったんですけど、今回少し崩れたら一気に崩れてしまいました。それが最後まで立て直すことができませんでした。そこで4年生がチームをまとめられなかったことが原因じゃないかなと思います。

――大学最後の試合が終わりましたが、この1年間を振り返ってどのように思いますか

大学4年間で一つ一つの意識も変わってすごく成長できたというのもありましたが、今日Vリーグのチームと対戦してまだまだ個人的にも課題が出たので、これを糧にして悔しい気持ちを忘れずにもっと練習に取り組んでいきたいなと思います。

――改めて後輩たちに託したい思いはありますか

来年もいろんな試合で勝ってほしいなという思いもありますし、最後何か残して終わりたかったんですけど、こうやって悔しい感じで終わってしまって申し訳ないと思います。後輩たちもこの試合を教訓にして頑張ってほしいなと思います。

大塚達宣(スポ2=京都・洛南)

――今シーズン最後の試合でしたが、振り返っていかがですか

全日本インカレから1週間後ということもあって、チーム全体として照準をこの大会に合わせることができなくて、自分たちの準備不足で負けてしまったなと思います。自分たちのやることをやって負けてしまったというよりかは、自分たちのリズムが作れなくて負けてしまったので、悔いの残る試合になりました。こういう経験を生かして来年以降頑張りたいと思います。

――Vリーグのチームと戦ってみて、大塚選手自身次のステージもあると思いますが、Vリーグとの違いはどこにありましたか

大学生相手だとブロックにあたって飛んでいくようなボールが相手のコート内に収まってしまうチャンスボールになってしまったり、パワーがVリーグのチームと大学生で全然違うなと感じました。自分が今年シニアで体験させてもらって、もっと力強いスパイクや逆に力強いスパイクに負けないレシーブも必要になってくると思うので、こういった経験を自分の課題としてやっていけたらいいなと思います。

――春からもっと試合ができたら、もっとベストな試合ができたのではないかなという思いはありますか

逆にコロナで試合がなかったからこそ今このチームができ上がったのかもしれないし、もっと試合していたら気持ち的にもここまで頑張ろうという気持ちができなかったかもしれないし、それはやってみないと分からないと思いますけど、コロナで試合がない中でしたけどチームとしての完成度は上がっていたとは思います。すごくいいチームになったかなと思います。

――1、2セット目は早稲田らしくないミスが見受けられました

1セット目に自分たちのミスが先行してしまって、サーブミス、スパイクミス、ブロックされたミスというのが1セットの中で13点分になっていたので、ミスをコントロールしていこうという話になりました。それで3セット目からは自分たちのリズムができてきたんですけど。サーブミスが多かったので、6人全員で考えてコントロールしようという話になりました。

――新しい年に向けての抱負を聞かせてください

来年は今のこのチームから4年生が3人抜けるんですけど、3人はプレーだけじゃなくてチームの雰囲気づくりや戦術の面で引っ張ってくれていたました。自分は1年生からコートに入っていたこともあるので、次は自分がチームを引っ張っていけるように、それをプレーで表現するというのが自分の役割でもあると思います。それだけじゃなくて声掛けだったり、自分がもっと中心になって引っ張っていくという気持ちを持って、来年以降頑張りたいと思います。