『全日本選手権4連覇』。この目標を成し遂げるべく早大バレー部は新たに動き出した。そこで宮浦健人主将(スポ4=熊本・鎮西)と村山豪副将(スポ4=東京・駿台学園)にこれからのチーム作りについて伺った。
※この取材は3月10日に行われたものです。
他己紹介
プライベートでも一緒に過ごすことがあるという
――お互いの紹介をお願いします
村山 宮浦君は、バレーボールをしているときはパワフルなスパイクやサーブを見せてくれるんですが、私生活は逆におとなしいです。もうおとなしいを超えて人と喋らないので、そのギャップがすごいなという印象です(笑)
宮浦 ふざけているように見えるんですけど、本当はしっかりいろいろなことを考えてくれています。なので上級生という立場になってすごく助かっています。
――お互いの印象的なエピソードはありますか
村山 1年生のときにお互いけがをしていた期間があったのですが、けがをしているのに普通に練習に遅刻して来たのが一番印象に残っています(笑)
宮浦 2年前の天皇杯で、意外にも泣いていたっていう。
村山 一番泣かないように見えてね。
宮浦 それが一番面白かったですね。
村山 そう言ってるじゃないですか、でも彼もめちゃめちゃ泣いてました(笑)。
――部活動以外で顔を合わせることはありますか
宮浦 結構あります。
村山 1月にもディズニーに行ったり、あとはよくご飯に行ったりします。
新チーム始動
主将になってからバレーと向き合う時間が長くなったという宮浦
――新チームが始動してからの雰囲気はいかがですか
宮浦 今の時点では課題も多いのですが、一人一人のポテンシャルがすごく高くていい方向に向かっているのかなとは思います。
――新4年生の雰囲気やカラーはどんなものですか
村山 今の4年生は下級生の頃から試合に出る機会があった選手が多いので、自分たちが先輩たちにしてもらったことや作ってもらった雰囲気を、後輩たちに伝えていこうという意識でやっています。
――下級生のみなさんがのびのびとプレーできるように気をつけているということでしょうか
村山 そうですね。自分たちがそうしてもらってきたので、最高学年になった今同じように気をつけたいです。
宮浦 下級生がプレーしやすい環境を作ることに加えて、4年生の中でもそれぞれの役割があるのでそれを全うしていきたいと思っています。駿介(中村、スポ4=大阪・大塚)だったらチームの雰囲気を明るくしてくれますし、豪はみんなに冷静にアドバイスをしてくれます。自分自身はあまり喋らないのですが、練習している姿やその前後のケアを怠らないところなどを後輩に見せていくことが担うべき役割だと思っています。
――主将と副将はどのように決められたのですか
村山 同期で話し合いましたね。もめてはないですよ(笑)。
宮浦 みんなあんまり、やりたいとは言いませんでした。
村山 まさにキャプテンみたいなタイプがいないので。みんな健人にやってほしいって感じで決まりました。
宮浦 ですが今実際にやってみて、自分がキャプテンだからこうってことはないです。4年生みんなで引っ張ってくれているので助かっていますね。自分は何もしていないぐらいです。
――それぞれの役職が決まったことを受けてどのように感じていますか
村山 大変だなって思います(笑)。下級生のときはバレーだけやっていればいいって感じだったのですが、4年生になってからはそれに加えて後輩たちの様子も見なければいけないです。それに加えて、監督やトレーナーさんなどスタッフの方々とのコミュニケーションも今までと比べ物にならないほど詳細に取るようになりました。副将になってというよりかは、4年生になってすごく大変だなと感じています。
宮浦 同じく大変なのですが、体育館にいる時間が今までよりも長くなりましたし、バレーについて考える時間もめちゃくちゃ長くなりましたね。
――それは主将になった責任感があってのことでしょうか
宮浦 一人で考えるというよりかは、皆でミーティングをして考えている時間がすごく長いという感じなので、そういうのはあまりないですね。
――それぞれ主将と副将になって、気持ちの面で変わったことはありますか
村山 余裕がなくなります(笑)なくなるよね?
宮浦 まあなくなりますね(笑)
――新体制になって、チームとして変わったことや意識的に変えたことなどはありますか
村山 今までよりはみんなでコミュニケーションを取るようになったのかなと思います。バレーボールはボールを落としてはいけないという特性をもったスポーツなのでコミュケーションが大切であると考えています。そこでちょっとした声掛けを大事にしようと呼びかけたところ、皆の意識も変わってきました。普段の私生活もそうなのですが、バレーをしているときも全学年コミュニケーションが取れているのかなと思います。
――宮浦選手は昨年度主将を務めた堀江さん(友裕、令1スポ卒=堺ブレイザーズ)から何かアドバイスをもらったりしましたか
宮浦 いや、まだ特にないですね(笑)タイプが違うので。
村山 真逆です(笑)
宮浦 自分は自分のスタイルでいこうかなと思いますし、今年は自分がこんな感じなので周りの4年生や3年生もどんどん意見を言ってくれています。堀江さんは自らガンガン(意見を)言っていたのですが、自分はそうじゃなくてまた別のスタイルでもいいのかなと思います。
――村山選手は昨年度の武藤さん(鉄也、令1スポ卒=FC東京)から何か聞かれましたか
村山 今度ご飯に行く機会があるので、そこで聞ければと思っています。でも健人の言ったように一人一人のスタイルがあると思うので、今のチームにそのスタイルが合えばいいなとは思っています。
――新体制になってから、昨年度の4年生の存在を感じる場面はありましたか
宮浦 プレーでもそうですし、雰囲気の面でも堀江さんや鉄也さんが締めるところは締めていたなと思い、存在を感じることはあります。
村山 視野が広くて、自分たちの気づかないところまで気がついたりしていたことがすごかったなと思います。
――村山選手が主将としての宮浦選手に期待することはありますか
村山 当たり前ですけど、スパイクとサーブをいっぱい決めてもらうことです(笑)。
――逆に宮浦選手が村山選手に期待することは
宮浦 プレーはもちろんしっかりやってくれると思います。自分の主将としての言動はまだまだだと思いますし、自分も頑張るのですが豪もしっかり…
村山 あ、変えてもいいですか。健人にはもう少し人とコミュニケーションを取ることを頑張ってほしいかなと思います(笑)。嫌なことから逃げずに頑張りましょう。
宮浦 (コミュニケーションを)取ってるよ、普通に(笑)
村山 もっと。
――理想とする副将像や主将像はありますか
村山 理想を作ったところでそうなれる自信はないのですが、今の自分のスタイルを貫きながら、それが合っていないならまた考え直してやっていこうというスタンスですね。
宮浦 自分が暗い表情でプレーしていたら周りもいい気分でいられないと思うので、どんなときもポジティブな表情でやっていけたらいいかなと思います。
――村山選手は駿台学園の後輩である伊藤選手(吏玖、スポ1)に何かアドバイスをされましたか
村山 入れ違いだったので入ってくるまで話したことはありませんでしたが、能力の高い選手なので自分が入学したときに教えてくださったことを今回自分が教える側になったのでプレー面のアドバイスなどは少ししました。
――宮浦選手も鎮西の後輩が二人入りましたが、何かアドバイスはされましたか
宮浦 特にしていません。アドバイスと言いますか、早稲田のルールなどは教えました。あいつらも人当たりは良いのですぐ溶け込めるし、特にアドバイスとかはしていません。
――今まで交流などはありましたか
宮浦 小学校では練習試合などをやったり、中学校の選抜で高校に来たりするのでそのときはしゃべったりはしました。
――新入生の印象はいかがですか
宮浦・村山 みんなすごいです!
全日本インカレ4連覇に向けて
応援されるようなチームを作りたいと話す村山
――チーム作りをするうえで大切にしていることはありますか
村山 ミスをしても下を向かずにポジティブ思考でやっていくというのが一番チーム作りをするうえで大切にしています。
――4年生が明るい雰囲気を作ることで、後輩たちがのびのびプレーできるようにという気配りからでしょうか
村山 それもありますが、マイナスの方向に行ってしまうと自分のプレーもうまくいかないと思うので、自分がプラス思考で引っ張っていけば全員も同じ方向に向いてくると思うで、まずは率先して4年生がやっていくべきなのではないかと思います。
宮浦 今年は誰が出ても強いチームを目指しているので 、昨年試合に出られなかったメンバーも積極的に練習試合に出して、もちろん課題は出ますがそれを自分たちがしっかり言うようにしています。昨年の全日本選手権で鉄也さんがけがをしてレイモンド(上條、スポ3=千葉・習志野)が出たり、自分が膝を痛めて明良(中島、法2=京都・洛南)出て活躍したりというように、誰がけがするかもわからないので、誰が出ても変わらない早稲田のバレーができる強いチームにしたいなと思います。
――新チームになってから他大学と試合する機会はありましたか
宮浦 きょう初めて専修大学と試合しました。
――新チームで試合をしてみていかがでしたか
村山 今まで練習してきてできた部分もありましたが、まだまだ課題が多いという印象が残ったので、もっと練習しないといけないなと改めて感じました。
宮浦 今まで練習がメインになっていてゲーム形式でやっていなかったのですが、そのなかで課題が結構明確に出てきたので、そこを修正・克服することと、これからゲーム形式の練習も入れてちょっとずつチームを作っていけたらいいなと思います。
――新チームの目標やスローガンはありますか
宮浦 組織として日本一というところですね。目標は作ったのですが、裏には人間力であったり環境づくりであったりほかの場合でも試合に出ている人とそうでない人の間でも役割は違ってきますし、そこをしっかりしていきたいと思います。
村山 それもそうですが、自分たちの試合を見てくださる方々が応援したくなるチームを作っていけたらいいなと思います。
――現在チームではどのようなところに力を入れて練習されていますか
宮浦 今はチームを大きくするというところでチームの連携とかではなくて、個人の能力を伸ばす練習をしています。個人的な練習が多いです。
――お二人はどのようなところに力を入れて練習されていますか
村山 僕はミドルブロッカーで、これからはチームの中心になってブロックで引っ張っていかないといけないので、今まで以上にブロックに対しての意識を高く持って練習しています。
宮浦 自分はブロックが下手なのでそこにフォーカスしています。あとは今まで通りサーブとスパイクも強化したいです。まずは体力面で底上げできれば全体のプレーのレベルも上がると思うので、体力面にフォーカスした練習もしています。
――宮浦選手は昨シーズンからサーブを変えてサーブがより強力な武器になりました
宮浦 現状に満足していませんし、もっといいサーブを打たないといけないなと思っています。まだミスも多いのでそこは今年の課題だなと思います。
――村山選手はブロックとスパイクでチームに貢献されていますが、チームの軸としてどう引っ張っていきたいですか
村山 チームが苦しい状況になったときにそこでブロックやスパイクで点を取れれば、チームとしても盛り上がるし切り替えられると思うので、苦しい所や大事なところで点を取れるように頑張りたいです。
――プレー面では主将としてチームをどのように引っ張っていきたいですか
宮浦 4年生ですし大事なところで点を取るポジションなので、ミスを多発してみんなの士気をさげないように、しっかり練習していいパフォーマンスを発揮できるように頑張りたいと思います。
――宮浦選手は全日本選手権の際のインタビューで自分たちの代でも優勝することが目標とおっしゃっていましたが、そのためにチームとして伸ばしていきたいところはありますか
宮浦 クイックやパイプが重要になってくるし、それに取り組んでいますがまだまだ課題とかもあります。また早稲田のバレーはミスが少ないので、今はどんどんチャレンジしてミスをするのは良いですが、その中で成長してやりたいことを完成させてミスも減らしていかないといけないなと思います。
――ミスが少ないところがチームの強みですか
宮浦 この時期はできることをやるよりは、できることにどんどんチャレンジしていきたいと思っています。なので今はミスに対して敏感になっていませんが、最後の全日本インカレ優勝を考えたらミスを減らしていけたらいいなと思います。
――村山選手はどのようなところをチームの強みにしていきたいですか
村山 一人ひとり違った良さがあるのでそれをコートで発揮すればチームとしていい方向に向かっていくと思います。それを一番大事にやっていけたらいいなと思います。
――今年の抱負をお願いします
村山 今年で大学バレーとして最後の年なので、やるからには悔いなく終わりたいです。一日一日の練習で後悔しないように常に全力で取り組んで、後輩たちにいい姿を見せられるように、そして最終的に全日本インカレで優勝できるように日々の練習を頑張っていきたいと思います。
宮浦 最終学年ということでより勝ちたいという思いも増しています。日々の練習を大切に詰めるところは詰めて、最終的には全日本インカレで優勝できたらいいかなと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 西山綾乃、平林幹太)
◆宮浦健人(みやうら・けんと)(※写真右)
1999(平11)年2月22日生まれ。189センチ。最高到達点340センチ。熊本・鎮西出身。スポーツ科学部4年。プライベートでは寡黙なもののプレーはダイナミックで頼りになる宮浦主将。背中でチームを引っ張ります!色紙『全員で日本一!!』
◆村山豪(むらやま・ごう)(※写真左)
1998(平10)年7月30日生まれ。191センチ。最高到達点330センチ。東京・駿台学園出身。スポーツ科学部4年。宮浦主将と抜群の掛け合いを披露した村山副将。二人で4度目の頂点に導きます!色紙『全員バレー』