秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ戦)8日目となるきょう、早大は筑波大と対戦した。昨年から苦しめられている強敵相手に第1、第2セットともに両者一歩も譲らぬ展開が続く。1セットオールで迎えた第3セット、徐々に筑波大の攻撃に対応し始めた早大がこの均衡から脱する突破口を見出してからは早大ペースに。宮浦健人(スポ3=熊本・鎮西)の強烈なサービスエースで一気に突き放してセットを連取。セットカウント3-1(25-20、20-25、25-17、25-20)で勝利を収め、8連勝で9月の全試合を終えた。
「ここが1つの山場になる」と意気込んで臨んだ一戦。序盤から筑波大の高さのあるクイックを次々と決められ、なかなかリズムを作ることができない。早大の攻撃の要となるセンターへのマークも厚く、攻撃に苦しむ時間が続いた。好機が訪れたのは17-16と早大1点リードの場面。大塚達宣(スポ1=京都・洛南)のジャンプサーブから筑波大のレシーブ陣形を崩すと、エース坂下(筑波大)が痛恨のスパイクミス。そこから宮浦や大塚のバックアタックで試合を優位に進め、最後は今季サーブが好調の吉田悠眞(スポ2=京都・洛南)が値千金のサービスエース。第1セットを先取した。続く第2セットも第1セットと似た展開に。しかし、第1セットと打って変わってラリーの主導権は筑波大が握った。主将の小澤(筑波大)の威力抜群のサーブに苦しみ序盤から4連続失点とすると、その後も早大のスパイクが立て続けにブロックされて13-17と4点差に。大塚のコートの穴を狙った技ありスパイクで一矢報いるも叶わず。20-25でセットカウントをタイに戻された。
ジャンプサーブを魅せる大塚
堀江友裕主将(スポ4=和歌山・開智)のかけ声で始まった第3セット。武藤鉄也副将(スポ4=東京・東亜学園)のコースを突いたサーブで筑波大のスパイクミスを2本連続で誘って6-4とし、幸先のいいスタートを切る。そして、14-13と1点差に追いつかれた場面、ここまでスパイクミスや被ブロックの多かった宮浦が復活の兆しを見せ始める。力強いクロススパイクを決め、16-13と点差を3に広げた。「健人にはいいトスを全然上げられず、申し訳ない気持ちだった」(中村駿介、スポ3=大阪・大塚)。気持ちのこもったトスと力強いスパイクでコート内も一気に盛り上がる。続く宮浦の強烈なサーブから再度ブレークを重ね、20-15と一気に筑波大を突き放していく。そのまま25-17で第3セットを奪取し、勝利に王手をかけた。
サーブが好調の武藤副将
第4セットは全員が活躍する、まさに「ワセダバレー」を体現したセットとなった。第3セットからは決定率の高かった筑波大のクイックをワンタッチで切り返す場面も増え、主導権は渡さない。「アップの時から調子が良かった」と話す宮浦のサーブはバックアタックさながらの威力を誇り、計3本のサービスエース。コースを変える余裕も見せ、調子の良さを伺わせた。また、中村のテンポのいい配球で前半あまり使えなかったクイックもしっかり機能し、筑波大のブロッカー陣を翻弄(ほんろう)。堀江主将はコートを大きく外れたボールを好返球するスーパープレーを見せたかと思えば、吉田、武藤の2枚ブロックで筑波大のバックアタックをシャットアウト。村山豪(スポ3=東京・駿台学園)の力強いスパイクも決まり、25-20で第4セットも連取。全員の力で勝利をもぎ取った。
ここまで好調に勝利を重ねてきた早大。ここで1度、秋季リーグ戦は2週間の休みに入る。上位校との対戦が控える中、この2週間をどのように使うかが勝敗の鍵となるだろう。どの大学も「打倒・早大」を掲げて試合に臨むことは間違いない。プレッシャーに打ち勝ち、練習の成果を発揮していきたい。
(記事 松谷果林、写真 萩原怜那、橋本和奏)
セットカウント | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 3 |
25-20 20-25 25-17 25-20 | 1 | 筑波大 |
スタメン | ||||
レフト 吉田悠眞(スポ2=京都・洛南) レフト 大塚達宣(スポ1=京都・洛南) センター 武藤鉄也(スポ4=東京・東亜学園) センター 村山豪(スポ3=東京・駿台学園) ライト 宮浦健人(スポ3=熊本・鎮西) セッター 中村駿介(スポ3=大阪・大塚) リベロ 堀江友裕(スポ4=和歌山・開智) |
コメント
堀江友裕主将(スポ4=和歌山・開智)
――今のお気持ちをお願いします
それぞれが納得したゲームではなかったと思いますが勝ててよかったです。
――2セット目を取られてしまった要因はどういったところにあるでしょうか
点差を離されてしまってこれ以上離されてはいけないところで離されてしまいました。自分のプレーにフォーカスすると僕が宮浦(健人、スポ3=熊本・鎮西)に上げるトスが近くて(相手の)ブロックにシャットされてしまうことがあったのですがもしここで僕が精度を高めていれば防げたミスでした。なので個人として責任は少し感じています。
――3セット目以降についてはいかがですか
こっちのミス、特にセッターとのコンビが合わないスパイクミスが結構多かったのでその点を考えると僕が関わるレセプションの精度だったり、きょうは筑波が打ってくる中でしっかりカバーするということができなかったのは反省点としてあります。しかし僕がその中でできたのはレセプションの精度、高さを作って駿介がいい状態で上げられるように個人としてはそこを意識して、チームとしてはミスをなくそうと話していました。
――秋季関東大学リーグ戦が2週間空きますが修正点などがあれば教えてください
納得のいったゲームではなかったのでそれぞれがここがダメだっていうのは分かっていると思うし2週間という時間がある分見直したり課題解決できる時間があるのでそこは上級生という立場としてはいいなと思っています。僕としても全然リベロとしての仕事ができていないのできのうも言いましたが僕がディグを上げることでチームがうまく回るということが早稲田のスタイルでもあると思うのでとりあえず僕はもう一度ディグを頑張ります。
――天皇杯ブロックグラウンドに向けた意気込みをお願いします
自分ら4年生は3月なので(本戦は)出れないのですが後輩のためって言ったら後輩は良い思いしないかもしれないですけどVのチームと戦えるチャンスがあるのでそこは僕も出るのであればそれも全カレ(全日本大学選手権)につながってくるのでそういう思いも込めて頑張りたいと思います。
武藤鉄也副将(スポ4=東京・東亜学園)
――きょうの試合を振り返っていただけますか
きょうは結構相手のミスに助けられていて、1セット目の中盤でミスをしてくれたりとか3セット目の中盤でミスを続けたりとかそういうのでもらった点数が多かったので、そこは相手の問題ではあるので、僕らとしても課題は見えている部分は結構あるので、そこはしっかり残りの3戦に向けて2週間、練習は3週間できるのでしっかり修正したいなと思います。
――どんなところが課題ですか
レセプションの精度というか質から駿介(中村)のトスの精度だったりとか、あまりコンビが合っていない部分があるのでそこをしっかり合わせるというのが1個と、あとはやっぱりサーブが走れば自然と流れも良くなると思うのでサーブということと、ブロックはそんなに悪くないと思うんですけど、ディグが上げるべきボールが上がってなかったりとか正面入ってるのにパワーもっていかれちゃったりとかしているので、そこをブロックも含めてディグアタック局面というところももっと詰めて練習していきたいなと思います。
――きょうは第2セットを落とす結果となりましたが、筑波大の印象はいかがでしたか
1年生が3人入って、サーブで結構攻めてくる印象があってそれになんとか耐えながら相手のミスにも助けられながらというのがあるのと、クイックがレセプションAパスだったら結構使ってきていますけど、それにあまり対応できてなかったと思うのでそこも少し課題なのかなと思います。
――試合後半からブロックのワンタッチが取れるようになっていましたが、何か変えたことはありますか
特に何かというのはないですけど、しつこくまずブロックということと、練習でやってきた通りのことをしっかりやらないといけないので。僕がこの8戦終わって感じたのは、定位置に戻るのが遅いというのとブロック完成するのが遅いというのが結構目立ったので、そこがもう少し良くなれば相手のスパイクの攻撃に対して複数枚ブロックをつけたりとか相手のスパイクコースに限定されているディグがもう少し上げやすくなると思うので、そこはしっかり練習していきたいと思います。
村山豪(スポ3=東京・駿台学園)
――今の気持ちをお願いします
正直いいプレーもあったのでこれからも勝てるように頑張っていきたいです。
――きょうのプレーを振り返っていただけますか
きょうはあまりスパイクが決まらなかったのでチームのみんながブロックなどが良かったので助けられた面もあります。
――2セット目取られてしまいました
取られたは取られたのですが次のセットを勝ち取れたのでそこは良かったです。
――秋季関東大学リーグ戦は2週間空きますが意気込みをお願いします
休むところは休んでしっかり詰めるところは詰めて残り3戦頑張っていきたいです。
宮浦健人(スポ3=熊本・鎮西)
――きょうの試合を振り返って
チームとしては勝つことが1番大事なので勝てて良かったと思いますが、個人的にはスパイクのミスがまだまだ多くて、周りに助けてもらった感じがあります。サーブに関しては良かったので、それを次の試合でも継続してやっていきたいなと思います。
――試合後半で何本もスパイクを決められていました
トスも試合の中で話し合いながら合わせていった感じです。ですが、自分のなかではまだまだ試合を通して(スパイクが)決まっていたという印象よりはミスが多かったという印象が強くて……。申し訳なく思っています。
――好調のサーブについては
サーブはしっかり終始攻めることができました。それがちゃんと(コートに)入ったので、決定率、効果率を上げられたかなと思っています。きょうはトスも安定していましたね。トスが安定するといいサーブがしっかり打てるので、練習をこれからもたくさんしていきたいです。練習のときからきょうはサーブの調子が良かったです。
――10月に向けて
自分の仕事はスパイクとサーブを決めるということなので、そこをもっと練習したいです。今回はスパイクミスをたくさんしてしまったので、もっと減らす意識をもちたいです。この2週間で成長できるよう、もっと頑張りたいと思っています。
中村駿介(スポ3=大阪・大塚)
――きょうの試合を振り返って
結果として8連勝できたことはとても良かったと思いますが、内容的にはまだまだ改善できる部分がありました。マークが大分きつかったというのもありますが、宮浦には苦しい場面でしかトスを上げられなかったり、トスが悪かったりして。コンビもなかなか合わせられなかったですし、調子を上げさせてあげられなかったのが反省点です。もっと調子を上げさせてあげられるようなトス回しを意識していかなければいけないなと感じました。
――マークがきつかったというのは
センター、特に豪(村山、スポ3=東京・駿台学園)へのマークがきつかったですね。鉄也さん(武藤、スポ4=東京・東亜学園)へのマークはそこまで厚くなかったのですが、豪に対してのマークはどう動いてもきていました。そのおかげで他へのブロックが1枚になって決めやすい状況を作れたので、それ自体は良かったです。真ん中を豪が引きつけてくれていたので、そこに後ろから入って来た大塚(達宣、スポ1=京都・洛南)がしっかりバックアタックに入れる形をつくることができました。
――かなりサーブでも早大のレシーブ陣が揺さぶられていました
だいぶサーブで揺さぶられましたね。人を狙うだけではなく、スパイカーが入りにくいところにサーブを打たれたり、自分がトスを上げにくいところに打たれたりしたので苦しみました。
――第3セット、宮浦健人選手(スポ3=熊本・鎮西)への気持ちの入ったトスが何度もありました
なかなかうまいこといっていなかったのですが(第3セット終盤のスパイクから)そこから勢いに乗れたかなという感じがしています。それを第1、第2セットでもしっかりやっていかないといけないなと思っています。
――試合終盤にかけてかなり筑波大のブロックを散らしている印象がありました
チームとして第1セットは真ん中とパイプをしっかり使って得点をとれていたのですが、第2セットはそれを読まれて、相手が待っている状態のところにトスを上げてしまって、そこでブロックされる、というかたちになってしまいました。第3、第4セットはクイックにひっかけてから最後にレフトやライトにトスを上げることによって幅を活かした配球にしていこうという意識でした。そこからサイドに展開して、サイドにブロックがきたらクイックとパイプをもう一度使うというような感じです。
――2週間後のリーグ再開に向けて
まずは8連戦やったので疲労を抜くこと、そして僕のトスの精度を上げることですね。特にラリー中のコンビを練習したいです。良い状態、Aパスからのコンビではなく、試合の中で難しいところからもしっかり決め切れるようなかたちにしたいと思っています。
吉田悠眞(スポ2=京都・洛南)
――今のお気持ちをお願いします
兄弟対決みたいになっていたので若干自分もお兄ちゃん(吉田綜眞、筑波4年)と試合したいなと思っていました。結局(兄弟対決には)ならなかったですけどきょうは自分の力を出せたので良かったなと思います。
――ではいつもと違う気持ちで試合に臨まれましたか
そうですね。いつもはできるかどうかただただ不安でしかなかったですがきょうは結構楽しみという気持ちも強くてそういう意味ではいい心構えで試合に臨めたのではないかなと思います。
――スパイクであったりブロックをよく決められていました。きょうのプレーを振り返ってください
自分としてはまだまだできる部分があるんじゃないかなと思うんですけど要所要所で決められているのでチームに貢献するという意味ではきょうは良くできたんじゃないかなと思います。
――昨日に引き続きサーブが好調でしたがどういったことを意識していますか
きょうに関してはミスもあったんですけどなるべく自分がミスをしないで相手の嫌なところにコントロールして打つということだけを意識しています。
――秋季関東大学リーグ戦が2週間空きますがどういったところを修正していきたいですか
レセプションの部分でまだまだ安定していなくてきょうも堀江さん(友裕主将、スポ4=和歌山・開智)にずっと負担をかけている状況なのでこの2週間でもっともっと精度を上げて負担を軽くしてあげれたらいいなと思います。
大塚達宣(スポ1=京都・洛南)
――きょうの試合を振り返っていただけますか
きょうは筑波大学と試合ということでリーグ全体の山場だったんですけど、そこをまず勝ち切れたことは良かったと思うんですけど、自分たちはなかなかいいスタートを切ることができなかったのでそこは修正点だと思うし、これからそこが課題だと思います。
――第2セットを落とす結果となりましたが、どのように立て直しましたか
3セット目から相手がローテーションを変えてきて、自分が打つスパイクの相手側のブロックが1、2セット目と変わっていて、2セット目を取られてもそんなに焦りとかはなかったんですけど、3、4セット目で取り返せばいいやと思って。その中でマッチアップも変わって、それでちょっと最初は意識しすぎていてプレーが固くなったところもあったんですけど、徐々に自分らしいプレーができるようになってきて、チームのいい流れにも繋がったプレーをできたと思うので、そこは自分としては良かったかなと思います。
――フェイントなどパワーだけでないプレーが見られましたが、きょうはコートがよく見えていたのでしょうか
フェイントできる時って自分が余裕ある時だと思うので、そういう意味では余裕あったんじゃないかなと思うんですけど、その中でも例えば打つけど返すだけになってしまうようなボールでもセッターに1本目を触らせて相手の攻撃を気持ち良くさせないというのを頭の中で考えて、それをプレーにこうやって出ていたのでそこはだいぶ考えてできたのではないかと思います。
――次の試合への意気込みをお願いします
あと試合が3つ残っているんですけどその前にまだ2週間あると思うので、そこでは大きく成長できることはないと思うんですけど少しでも成長してより強い早稲田のバレーというのをあと3戦出せるように、ここから2週間調整して頑張りたいと思います。