筑波大に辛勝し、4季連続のリーグ戦制覇が決まる

男子バレーボール

 4月から始まった春季関東大学リーグ戦(春季リーグ戦)もいよいよ大詰めを迎える。ここまで負けなしで単独首位に立つ早大はきょう、強豪・筑波大と対戦した。序盤から積極的に攻め込み、相手のミスを誘発するプレーで第1、第2セットを連取。しかし、早大の攻撃に慣れ始めた筑波大が徐々に対応を見せ始め、第3セットを大差で落としてしまう。第4セットも一時3点差を追いかける厳しい展開となったが、粘りを見せた早大に軍配が上がり、セットカウント3-1(25-17、25-19、18-25、26-24)でなんとか勝利。2位の東海大がセット率で早大を上回ることができなくなったため、最終戦を待たずして早大の春季リーグ戦連覇が決まった。

 先に主導権を握りたい第1セット。大塚達宣(スポ1=京都・洛南)がコートの隅ぎりぎりにスパイクを決めると、今度は中村駿介(スポ3=大阪・大塚)の平行トスから村山豪(スポ3=東京・駿台学園)がコート真下に向けた強烈なスパイクを放ち会場をどよめかせた。光るプレーはあるものの、なかなか点差を離せずに迎えたセット中盤、筑波大がスパイクミスを連発。中村のサービスエースを含む4連続得点を2回重ねて15-8と一気に7点差をつけることに成功した。乱れたサーブレシーブから中村がワンハンドトスを上げると、村山が助走なしの状態からコートの右後ろにスパイクを決めるファインプレーも飛び出し、25-17と第1セットを大差でものにした。第2セットも第1セット同様、セット中盤まで拮抗した展開が続いたが、その均衡を打ち破ったのは宮浦健人(スポ3=熊本・鎮西)の2本のサービスエース。前日の明大戦後には「80%くらいの力でコースにしっかり打ちたい」とサーブのパワーアップを意気込んでいた宮浦。1本目はその言葉通り筑波大のレシーブ陣形の穴を突いた技ありのサーブでポイント、続く2本目はさらに威力の増したサーブを打ち込み、第2セット獲得の立役者となった。第1セットでは打数の少なかった大塚も、バックアタックが2本連続で決めて復調の兆しを見せ、ストレート勝利に王手をかけた。

サーブを放つ武藤副将

 第3セットは序盤に4度の連続失点を喫し久しぶりに追いかける展開となった。ここまで好調だった宮浦のスパイクが2本連続でシャットアウトされ、8-13と5点差に。点数に表れないミスが響き、サイドアウトを取り切れないもどかしい時間が続いた。ここで松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)はセッター交代を選択。仲濱陽介(スポ2=愛知・星城)が丁寧なトスで期待に応えると、自らもトスフェイントで得点してスタメンを鼓舞した。しかし筑波大の移動攻撃に翻弄(ほんろう)され勢いに乗り切れず。村本涼平(法4=京都・洛南)のサービスエースで一矢報いるも、結局18-25でこのセットを落としてしまう。何としても取り切りたい第4セットも、依然として筑波大のペース。クイックをなかなか使えずサイドにトスが集中した結果、ことごとくスパイクを拾われ、1度で攻撃を決めることができない。それでもなんとか食らいついていく早大。サーブレシーブが乱れた直後、筑波大のダイレクトアタックを中村が1枚でぴしゃりとブロックし盛り返しの様相を見せるも、その直後に痛恨の4連続失点で11-14と手痛い3点差に。筑波大の指先を狙った巧みなスパイクで早大のレシーブ陣にスパイクレシーブをさせず悔しい時間が続く。宮浦・武藤のブロックポイント、村山の押し込みで19-18となんとか再び逆転するも、坂下(筑波大)のスパイクで22-23と筑波大に3度目の逆転を許す。このままサイドアウトの応酬が続き、24-24とジュースに。村本がサーブを放つと、先に25点目に乗せたいと望む両者の意地がぶつかり合い、壮絶なラリー戦に。しかしブロックとディグの関係をしっかり機能させた早大が主導権を握り続けた。堀江友裕主将(スポ4=和歌山・開智)をはじめ全員が何度も反応の良いスパイクレシーブを見せると、最後は宮浦がクロススパイクを決め、30秒近くに渡ったラリーに終止符を打った。25-24とマッチポイントを握ると、最後は小澤(筑波大)のスパイクを武藤副将がシャットアウトしてゲームセット。接戦を制し、見事3-1で勝利を収めた。

丁寧なトス回しを見せた途中出場の仲濱(左)と村山

 第3、第4セットだけでタッチネットやスパイクミス、サーブミスなど13本のミスをした早大に対し、筑波大はわずかに3本。相手の戦術に対応できずテンポの悪い試合となってしまった。「サイドばかりの攻撃になったら、うちは勝てない」(武藤副将)。高い攻撃力と決定率をもつ早大のセンター2人がマークされるのは当然のことだが、歯車をうまくかみ合わせるためには個々人の高いパフォーマンスが要求される。しかし、ジュースの接戦をものにできる力はやはり本物だ。次週は、昨年の秋季関東大学リーグ戦で唯一早大に黒星をつけた日体大との対戦となる。長身セッターのツーアタックや高さのあるブロックを攻略し、全勝優勝なるか。

(記事 松谷果林、写真 萩原怜那)

セットカウント
早大 25-17
25-19
18-25
26-24

筑波大
スタメン
レフト 村本涼平(法4=京都・洛南)
レフト 大塚達宣(スポ1=京都・洛南)
センター 武藤鉄也(スポ4=東京・東亜学園)
センター 村山豪(スポ3=東京・駿台学園)
ライト 宮浦健人(スポ3=熊本・鎮西)
セッター 中村駿介(スポ3=大阪・大塚)
リベロ 堀江友裕(スポ4=和歌山・開智)
コメント

堀江友裕主将(スポ4=和歌山・開智)

――今の気持ちをお願いします

疲れました。

―きょうの試合を振り返ってみていかがですか

あんまり覚えていないのですが最後自分がチャンスボールを返してしまったのがピンポイントになってしまいますがしていけないミスをしてしまったと反省点としてはあります。

――サーブで狙われていた印象を受けましたが

僕が狙われていて、多少崩れていたとしてもスパイカーがしっかり準備をして入ればそれでいいと思います。崩してしまっていたなら自分の実力不足かなと。でもまあ向こうは人を狙っているというかセッターが(トスを)あげにくいライトのポジションを狙ってきていたので、そこをただ返すだけでなくセッターがトスを上げやすくしようと意識していました。ギリギリのラインで耐えたかなと自分では思います。

――トスをあげる場面が多くあったと思いますが

それはたまたまかもしれないですが駿介(中村、スポ3=大阪・大塚)がいなかったら自分があげることになっていたということです。トスがうまくいかないときに全部のプレーがだめになっていくのできょうはトスを上げるのがダメでしたがトスを上げることは自分の好きなプレーでもあるのでそこでもっといいリズムにできたかなとは思います。

――課題や修正点などは見つかりましたか

第1、第2セットで自分たちがやりたいことができたらいい方向に(試合は)進みますが、相手が戦術を変えてきたときに対応できていなかったり、対応できていなくてもこっちがやることをやっていれば接戦にはなると思いますが、変えてきたところに僕も含めてチーム全体として戸惑いすぎな部分がありました。なので対応しつつ自分たちのやりたいことをやっていかないと、1セットそれで捨ててしまったのはもったいないのでそこが課題かなと思います。

――最後に日体大戦への意気込みをお願いします

日体大は去年秋リーグ(秋季関東大学リーグ戦)で先輩たちが負けているのでそういう思いも胸の端っこに入れながら、全勝することに意味があると思うので負けないチームを目指していきたいです。先ほど言った課題をしっかり1週間で修正して、頑張りたいと思います。

武藤鉄也副将(スポ4=東京・東亜学園)

――きょうの試合を振り返って

きょうは3セット目に自分たちのやるべきことができませんでした。東レさん(東レ・アローズ)とやった時と同じように、サーブをストレート側に集められてしまって、トスを上げづらい状況を作られてしまいました。それに(早大が)ちょっとはまってしまった部分があったという感じです。

――第3セットがテンポの悪いセットになってしまった要因は

1番方向(S1)にサーブをかなり集められてしまったことでレセプションが少し乱れてしまって、トスも悪くなってしまって、スパイクも上手く決まらなかったり、打ち切れなかったり、ミスになってしまったりという感じでした。3本目をミスしてしまうとセッターも上げづらくなってしまいますし、リズムもなかなか作りにくくなってしまうので。また、Bパスからのクイックが少ないというデータが出ていたので、サーブをしっかり打っていこうという話になっていました。ですが、意外とAパスにされてしまったことでクイックをちょこちょこ使われてしまって、それを(ワンタッチで)ひっかけられずサイドもリズムをつかめず……というようなことが原因かなと思います。

――相手の戦術の変化を感じることはありましたか

去年に比べて筑波大が時間差攻撃や移動攻撃が多くなっている中で、事前にミーティングなどで対策はしていたのですが、まだブロックの練習をしていないだけに対応できなかったなという印象です。

――この2日間を振り返って

黒鷲旗(黒鷲旗全日本男女選抜大会)の疲れがある中ではよくしっかり戦えているなと思いますし、そういう部分では収穫もあり良かったなと思いますが、サーブレシーブからの攻撃がまだ課題になっているので、特に向こうの戦術あるサーブに対してパスで崩れてしまうとしんどくなってしまいますよね。きょうのようにクイックが上手く使えないとあのようにサイドサイドの攻撃になってしまうと正直勝てないなということを自分も感じました。僕らセンター2人も、マークが厳しくなっても決め切れるような力をつけなきゃいけないと思いますし、同じようにサイド陣もマークがついても決め切れるように、そしてそれを組み立てるセッター、という感じで1本目、2本目、3本目それぞれにレベルアップが必要だなと感じました。

――来週に向けて

来週までに1週間ありますし、また最後のリーグ戦になるのでしっかり疲れを取りながらいい状況に持っていけるようにしたいです。これが終わったあとの東日本インカレ(東日本大学選手権)、秋リーグ(秋季関東大学リーグ戦)、全日本インカレ(全日本大学選手権)に繋げられるように、練習したことをしっかり出せるようにしていきたいと思っています。

村本涼平(法4=京都・洛南)

――きょうの試合を振り返って

きょうの試合は、1セット目、2セット目は相手のミスで自分たちの流れを作ることができました。ですが、3セット目以降から向こう(筑波大)が時間差の攻撃をかなり使ってきて、それに対応できなくなってしまいました。逆に自分たちの攻撃も相手に対応され始めて3セット目は落としてしまって。4セット目もそのような流れでしたが、最後粘って勝ち切れたことはとても良かったかなと思います。

――ミスが増えてしまった要因は

自分たちのサーブで崩せなかったということもありますし、時間差攻撃に対してブロックとディグの関係であまり対応することができず、ブレークも取れなくなってしまったことが良くなかったです。向こうのディグもかなり良かったですね。そしてスパイカー陣が決めに行こうとして焦ってしまって(助走に)早く入りすぎてしまって自分の1番良い形で攻撃できなくなってしまうことが要因だったかなと思います。

――サーブで崩されているという感覚はありましたか

やっている感覚としては、サーブレシーブで崩されたというイメージはないですね。ですが、嫌なところをついてくるサーブでしたし、ジャンプサーブは結構強烈だったので、そこかなと思います。

――小澤選手のスパイクが要所で決まっている印象を受けましたが、その対応については

小澤選手自身が試合を通してコースなどの修正を図っていて、その修正してきた部分を自分たちがディグやブロックで拾ったり止めたりすることができずにずるずるやられてしまったなという感じです。

――来週に向けて

まだ1本目の質が良くないです。もう少しサーブレシーブでは高さを出して駿介(中村、スポ3=大阪・大塚)が余裕をもって(トスを)上げられるような展開をしっかりできるようにしたいです。サーブレシーブからの攻撃を1本で切れることができれば、自分たちとしては大丈夫だと思っているので、そこをしっかり修正したいと思っています。

仲濱陽介(スポ2=愛知・星城)

――今の気持ちをお願いします

試合に勝てたのでチームとしてよかったなという気持ちでいっぱいです。個人としては途中出場してセッターでここまで多く出されたのは初めてだったので最初緊張して、思ったよりできなかったんですけど堀江キャプテン(友裕、スポ4=和歌山・開智)が自分の背中をポンポンと叩いてくれて、やりやすい環境を作ってくれました。セットは取られましたが自分の成長になったかなと思います。

―ご自身のプレーはいかがでしたか

やはり練習通りでは全然なく、もっと途中で入るということはチームの流れを変えなければいけないし役割的な部分で引っ張っていかなければいけないなと思います。

――課題や修正点などは見つかりましたか

まず先ほども言いましたがチームの流れをよくするということでもう少し元気良くできて入ればよかったかなと思います。プレー面ではアタッカーにもっと打ちやすいトスを上げられるように修正していきたいと思います。

――来週の日体戦への意気込みをお願いします

来週はリーグ最後の試合になるので東日本(東日本インカレ)や秋リーグ(秋季関東大学リーグ戦)に向けて新たなスタートを切れる試合にしたいと思います。