日体大に敗戦。大学相手の連勝が30で止まる

男子バレーボール

 昨年の秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ戦)で全勝優勝を飾って以来、圧倒的な強さで白星を積み重ねてきた早大。しかし、どのチームも『王者・早大』を倒そうと挑みかかってくる中で、重圧と戦いながら勝ち続けることはそう簡単なことではない。秋季リーグ戦第8戦、対日体大。セットカウント1ー3(19ー25、25ー23、23ー25、22ー25)。最後まで相手エースに対応できず、全勝で突き進んできた早大についに土がついた。大学生相手に敗れるのは、昨年の天皇杯予選の日体大戦以来。皮肉にも、再び日体大を相手に苦杯をなめる結果となった。

  ここまで課題としてきた試合の入りは順調だった。宮浦健人(スポ2=熊本・鎮西)のスパイク、藤中優斗主将(スポ4=山口・宇部商)のサービスエース、鵜野幸也(スポ4=東京・早実)のスパイクで3連続得点を挙げ、早大が走る。鵜野が積極的にコートを走り、雰囲気の良い滑り出しとなった。しかし、日体大も黙ってはいない。強烈なサーブが早大コートに叩き込まれ、サーブレシーブを乱されると、連続得点を献上し追う展開に。スパイクミスやローテーションミスなども絡み、早大の6点ビハインドで日体大が20点台の大台に到達した。追う展開となり、雰囲気が暗くなる早大コート。ここで松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)はセッターを中村駿介(スポ2=大阪・大塚)にスイッチ。中村が下級生らしく元気にコートを走りチームを盛り上げる。連続得点で追い上げのムードをつくったが及ばず、最初のセットを落としてしまった。第2セットは競り合う展開となるが、武藤鉄也(スポ3=東京・東亜学園)のコースを狙ったサーブから4連続得点でリードを得る。最後までのそのリードを守りきり、セットカウントをタイに戻した。

トスを上げる中村

  第3セットは18ー14とリードを奪い終盤を迎えた。ここで日体大はピンチサーバーを投入。レシーブを乱されると、2連続ブロックポイントを献上。その後も、サーブレシーブで鵜野が狙われ痛恨の6連続得点を許す。再びセッターに中村を投入するも、終盤の連続失点は重くセットカウント1ー2と後がない状況に。早大がここまで強さを誇ってきたポイントとして挙げられるのが、試合の中での『修正力』だ。第1セットを落とす試合も多かったが、そのセットのデータを生かし次のセットで修正することで白星をつかんできた。しかし、この日は最後までどこかかみ合わなかった。日体大のエース・高梨健太(4年)に対し、なんとかワンタッチをかけるもレシーブで拾い切ることができない場面も。対応が遅れる間に尻上がりに調子を上げていく高梨の強烈なサーブを、一本できることができずに連続失点へとつながった。波に乗るエースに引っ張られるように、全員がのびのびとスパイクを放つ日体大。一方で、早大はスパイクを打ち切ることができず、流れを引き寄せることができない。第4セット。18ー20からミスと宮浦のスパイクで追いつくが、ラリーとなったボールを相手の両レフトに決められ、さらに藤中のスパイクミスも重なり痛恨の3連続得点を許した。意地を見せたい早大も武藤のブロックポイントで22ー23と追いすがるが、高梨に3枚ブロックを撃ち抜かれ22ー24とマッチポイントを握られる。そして、鵜野のスパイクが相手ブロックに引っかかり早大コートへ。ネットを利用し、なんとか相手コートに返球を試みるも及ばず。試合終了のホイッスルが鳴り、喜びを爆発させる日体大の選手を尻目に選手たちはコートに倒れこんだ。

フローターサーブを打つ武藤

  「挑戦者のつもりで」。インタビューの際、選手たちがしきりに口にした言葉だ。連勝を重ねれば重ねるほど、『勝たなければいけない』という重圧が大きくなっていったのは事実だろう。大学生相手の公式戦で積み上げた連勝は『30』を数える(定期戦を除く)。しかし、久しぶりの黒星を喫したとはいえ、リーグ戦はまだ終わらない。残りの試合の結果次第では優勝の可能性も十分に残っている。今季3つ目のタイトルへ向けて――。この1敗を今後に生かすことができるか。重圧から解放された選手たちが、どのようなプレーを見せるのか注目だ。

(記事 杉山睦美、写真 松谷果林)

セットカウント
早大 19-25
25-23
23-25
22-25

日体大
スタメン
レフト 藤中優斗(スポ4=山口・宇部商)
レフト 鵜野幸也(スポ4=東京・早実)
センター 武藤鉄也(スポ3=東京・東亜学園)
センター 村山豪(スポ2=東京・駿台学園)
ライト 宮浦健人(スポ2=熊本・鎮西)
セッター 小林光輝(スポ4=長野・創造学園)
リベロ 村本涼平(法3=京都・洛南)
コメント

松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)

――お疲れ様でした。きょうの試合はいかがでしたか

そうですね、自分たちのやってきたことを全部出す、という気持ちでやってきているのが、秋のリーグは気持ちの中で勝ち負けにこだわってしまっているところがあります。思い切りが出ていなかったなというところが率直なところですね。4年生がとても真面目なぶん、そこの責任を感じてしまって、自分たちらしさが出なかった試合がずっと続いていたので、こういう結果になってしまったのかなと思いますね。

――きのうもあまり上手くいかない試合だったということをお話されていました

4年生はすごく頑張っているんだけど、雰囲気とか、バレーボールをやる上で1番大切にしないといけないことをちょっと忘れているのかなと思いますね。「自分たちの良さを出す」というのは、走り回るとか、1本目を大切にするとかそういう基本的なことだと思っています。それらを疎かにして、目先のことだけにこだわってしまったのかなところは監督として指導力不足を感じています。

――スタメン変更などで合わせる練習時間が少なかったことも影響しているのでしょうか

そうですね、堀江(友裕、スポ3=和歌山・開智)は全日本代表にも選ばれているくらい本当に素晴らしいプレーヤーで。村本(涼平、法3=京都・洛南)もとても素晴らしいプレーヤーだけれどもまだやっぱりAチームに慣れていないところもあると思います。うまくコンビネーションが取れないといった点で綻びが出たかなと。4年生中心にカバーしてもらいたかったんだけど、きょうはそこまで手が回らなかったですね。

――下級生の活躍についてはいかがですか

100点ですね。本当に思い切ってやってくれているし、とても良いと思います。

――Bチームの選手の皆さんの活躍については

そうですね、今の練習ではBチームの方が本当に雰囲気が良くて、Aチームはなかなか改善できなかった、というのがありましたから、途中で中村(駿介、スポ2=大阪・大塚)だとかが入ってくれて雰囲気がとても良くなって、蘇るという感じが多くありましたね。練習での雰囲気が本番でも出たのだと思いますね。

――これからの2週間で改善すべきところはどこでしょうか

連勝というものが切れたので、逆にプレッシャーもなくなったのではないでしょうか。4年生を中心にまた思いっきりやればいい形のチームになっていくと思います。

――4年生に対して

勝ち負けじゃなくて、練習してきたことを全部出すということ、練習の中でも自分を高めるために1本1本大事に取り組むという基本的なことをやったいけば、間違いないと思いますね。