秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ戦)も開幕して2週間が経った。どの大学も夏の間に鍛錬を積んできたことだろう。早大バレーボール部も、Vプレミアリーグのチームの企業合宿に参加するなど、組織力を高める練習を重ねてきた。7月下旬から世界各地でバレーボールの世界大会が開催され、早大からも選手が参加した。世界と戦って得た経験を、これから続く秋季リーグ戦そして集大成となる全日本大学選手権(全日本インカレ)へとつなげてほしい。
※この取材は9月8日に行われたものです。
★悔しい13位で大会を終える
(アジアジュニア選手権 7月21日~28日 バーレーン)
7月21日から1週間、バーレーンにてアジアジュニア選手権が開催された。早大からは宮浦健人(スポ2=熊本・鎮西)、中村駿介(スポ2=大阪・大塚)、上條レイモンド(スポ1=千葉・習志野)の3人が出場し、来年開催予定の世界ジュニア選手権を懸けてアジア24カ国の頂点を目指した。
予選ラウンドの対戦相手であるタイ、トルクメニスタンにストレートで勝利し、予選グループで4位通過を果たした日本。そして、上位を懸けた順位決定予備戦でチャイニーズタイペイと対戦した。宮浦のスパイクや中村のブロックで得点を重ねて第1、2セットを連取し勢いに乗るも、チャイニーズタイペイの粘り強い攻撃に後れを取り、第3、4セットを落としてしまう。勝負の行方は第5セットに持ち込まれた。序盤から1-3とリードされ苦しい展開を迎え、5-8でコートチェンジ。その後2点差まで詰めよる猛追を見せるも、最後は相手の攻撃を止めることができずに10-15でゲームセット。悔しいフルセット負けを喫することとなった。その後、13~16位決定戦でのインド、13、14位決定戦のパキスタンにストレートで勝利。13位でアジア選手権を終えることとなり、世界ジュニア選手権の出場権獲得とはならなかった。
世界の壁を感じたが、多くの収穫を得た大会になったはずだ。この結果を受け止め、今後へとつなげていきたい。
集合写真
(記事 松谷果林、写真 本人提供)
★大健闘の3位で銅メダル獲得!
(アジアカップ 8月8日~15日 チャイニーズタイペイ)
8月8日から1週間に渡りチャイニーズタイペイにて開催されたアジアカップ。早大からは藤中優斗主将(スポ4=山口・宇部商)、小林光輝副将(スポ4=長野・創造学園)、宮浦健人(スポ2=熊本・鎮西)が出場した。大学生のみで構成された今回の日本代表チームでは小林がキャプテンとして出場し、チームをまとめ上げた。また、松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)がこのチームの監督を務め、村本勇貴コーチもチームに帯同した。今回の試合は有料動画配信サイトでライブ配信され、日本からも試合を観戦できたことが大きな話題を呼んだ。
初戦の相手はライバル韓国。試合はフルセットまでもつれこみ、日本が4点差をつけてマッチポイントを握り続けたもののまさかの逆転負けを喫するという悔しい内容だった。そこから切り替えて連戦連勝し勢いに乗る。セミファイナルラウンドではカタールに敗れたものの、3位決定戦へ。チャイニーズタイペイに先に2セットを奪われるというまさかの展開から、3、4セットをジュースの接戦の末に連取し、勝負はフルセットへ。先にマッチポイントを握るも、サーブレシーブが上手く返らず連続失点。しかし、序盤になかなか決定率を上げることができなかったサイド陣が猛攻をみせ、17-15で見事に劇的勝利を収めた。
逆境をはねのける勝負強さを最後に見せた選手達は満足そうな表情を見せた。主将を務めた小林は「他の国はシニアチームが出場している中で大学生だけで挑んだ自分たちが3位という結果をつかめたことは自信に繋がる」とこの大会を振り返った。
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(記事 松谷果林、写真 本人提供)
★カタールに惜敗もインドネシアに劇的勝利を収め5位
(アジア競技大会 8月18日~9月1日 ジャカルタ)
4年に1度のアジアスポーツの祭典、アジア競技大会がジャカルタ、パレンバンで開催された。『アジア版オリンピック』とも呼ばれる今大会に早大から堀江友裕(スポ3=和歌山・開智)、そして卒業生の本間隆太(平26スポ卒=現ジェイテクトSTINGS)が共にリベロとして出場。数々の激闘を繰り広げ、メダル獲得とはならなかったものの大健闘の5位で大会を終えた。
予選の2試合はどちらもフルセットの激戦だった。流れの行き来が激しく、どちらに転んでもおかしくないような試合だったが、最後に深津英臣(パナソニックパンサーズ)を中心に勝負強さを見せ、接戦をものにした。1位で予選を通過した日本は準決勝ではカタールに挑んだ日本。高さのあるカタールのブロックをなかなか攻略できず苦しい時間が続き、この勝負もフルセットへ。最初にブレークし、マッチポイントを握ったのは日本だった。しかし、カタールの高いクイックを攻略することができず、最後は22-24でゲームセット。これでメダル獲得への道が断たれてしまった。その後行われた5-6位決定戦では、開催国であるインドネシアと対戦。第2セットから堀江も出場し、好レシーブを見せた。この試合もフルセットまでもつれこんだが、第5セットは序盤から日本が主導権を握り、見事に勝利した。
Bチームとして参加したとはいえ、どの国もそれぞれの強さが見られ、苦しい試合ばかりだった。アジアのレベルが急激に上昇していることは間違いない。この大会での経験を糧に、2年後に迫る東京五輪に向け良いスタートを切りたい。
(記事 松谷果林)
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コメント
藤中優斗主将(スポ4=山口・宇部商)
――アジアカップはどのような大会になりましたか
試合に出ることは少なかったので、自分のできることはサポートが多かったです。コートの外からでもすごく勉強になる大会でした。
――異なる大学の選手と一緒にプレーすることについては
仲がいいチームで、まとまりもすごくありました。でも、それが緩さに繋がってしまうこともあったりして、そこをうまく締められなかったところはありました。ですが、終わってみれば3位になれて、金メダルは取れなかったですが良かったと思います。
――リベロというポジションで苦労することはありましたか
代表ではいつもリベロをやらせていただいているので、そういう面では慣れていますが、秋リーグ(秋季関東大学リーグ戦)もありますし、アジアカップが終わってすぐ部の夏合宿が始まるので、スパイク打っておかないと、という思いもありました。ですが、サブのリベロという形ではありますが、選んでもらっているからには自分の与えられた仕事をしっかり全うしようと。最初はどうしたらいいか分からない部分も多くもやもやしましたが、途中からは切り替えられました。
――この大会を通じての収穫はどのような所ですか
普段、大学ではAチームで主体として出させていただいていますが、代表ではあまり出る機会がなくて悔しさが残る、というか。AVC(アジアカップ)のチーム全体としては3位になることが出来て良かったのですが、個人としては出られないことや自分のプレーができなかったことなど、たくさん悔しい思いをしました。ですが、サポートの立場に回ってみて、僕が今Aチームでプレー出来ているのも周りの支えがあってなんだということを改めて実感しました。リベロもそうですし、スパイカーでもこのままでは通用しないことも分かったので、大学に戻ってももっともっと努力していかなければならないと分かりました。
小林光輝副将(スポ4=長野・創造学園)
――アジアカップを振り返っていかがでしたか
周りの国はシニアのチームで、日本はユニバーシアードという形で挑みました。そのような状況の中で、個人的にもチームとしても、良かったり悪かったりの波が激しい大会だったなと思います。
――キャプテンとして大変だったことはありますか
早大では、自分がセッターで色々と考えなければならないので、プレーに集中できるように藤中(優斗)とか他の4年生の同期が助けてくれて、支えてくれています。ですが、今回のキャプテンでは選抜チームということもあって、大学それぞれの色をまとめるというか、チームをひとつの方向に向かせるということが大変でした。
――セッターとしてのご自身のプレーは
今までネットを挟んで戦っていましたが、その相手と一緒にやってみて色々と感じることもありました。それぞれの良さを生かせるように頑張りました。高さでは(他の国よりも)確実に劣っていましたが、その中でどのように戦うか、どうやってゲームを組み立てるかというところに苦労しました。
――印象に残っている試合はありますか
実際どの試合も悪かったところも良かったところも印象に残っていますが、強いて言えば最後の試合ですかね。3位決定戦ではチーム一丸となって、2セット取られてから立て直して。全てデュースでぎりぎりの中勝てて、すごく自信に繋がりました。
――アジアカップは小林選手の中でどのような大会になりましたか
プレーは本当に全然だめだったのですが、アジアカップのチームと試合を通して成長に繋げられたかなと思います。
宮浦健人(スポ2=熊本・鎮西)
――アジアジュニア選手権、アジアカップの両大会を振り返っていかがでしたか
アジアジュニアのほうでは思うような結果を出すことができませんでしたが、アジアカップでは3位になることができました。とてもいい経験ができたと思いますし、自分自身もかなりレベルアップできたかなと思っています。
――アジアジュニア選手権では、キャプテンを務められました
(代表メンバーは)やはり色々なところでのエース級の選手たちが揃っていて、みんなそれぞれ考え方、自分を持っていました。キャプテンとして代表として参加してみて、それをうまくひとつにするのが大変だったかなと思っています。
――アジアジュニア選手権の順位決定戦を振り返って
フルセット負けしてしまいましたが、自分たちの課題がたくさん見つかりました。得るものがとても多かったです。
――アジアカップの試合については
全試合は出場していませんが、アジアジュニア選手権で出た課題について考えながらやり、うまくいった部分もうまくいかなかった部分もありました。3位決定戦ではスタメンで出場させてもらいました。途中交代になって、ここでも反省点が見つかりました。ひとつひとつ改善していけばもっとレベルアップできると思うので、良い大会だったと思います。
――2大会を通じて得た課題は例えばどのようなところでしょうか
世界の高いブロックに対して、自分のスパイクの引き出し、選択肢がもっと必要になると感じました。企業の夏合宿はそれを意識して臨みましたが、結構いい感触がつかめたと思っています。
――大学の試合の後半戦に向けて
1試合1試合という気持ちでその試合に全力を注いで、最終的に優勝という形につながればと思っています。
中村駿介(スポ2=大阪・大塚)
――アジアジュニア選手権はどのような大会になりましたか
U19の試合も出場したのですが、1つ年齢が上がることでレベルが全然違うことがわかりました。結果が全然だめだったのですが、レベルの高さを痛感した試合となりました。
――順位決定戦について
あの試合は自分の思ったようなトス回しが全然できず、雰囲気も悪かったです。気負っていた部分もあって、少し油断してしまって。反省点の残る試合になりました
――負けたあとの切り替えについて
負けたのは仕方ないことですし、残り2戦全力で戦おう、という気持ちになりました。
――この大会での収穫はどのような点でしょうか
どんなに身長が高い相手でもクイックを通したら通用すると思っています。それを大学でも同じように生かしていきたいです。
――秋季リーグ戦に向けて
今はスタメンで光輝さん(小林副将、スポ4=長野・創造学園)が出ていますが、光輝さんのプレーを見てそれを生かしたいです。また、コートに入った時は自分の明るさでチームを盛り上げられたらと思っています。
上條レイモンド(スポ1=千葉・習志野)
――アジアジュニア選手権を振り返って
結果は少し悪かったですが、自分にとっても、U20のチームにとってもとてもいい経験になったと思います。
――ご自身の課題は見つかりましたか
技術はもちろんですが雰囲気作りの力がまだ自分には足りないと感じました。しっかり改善していきたいと思います。
――大学での試合に向けて
ここまで全勝できているので、自分が少しでもチームに貢献できるように全力でフォローしたいと思いますし、試合に出場した時は1年生らしく全力でプレーしたいと思っています。