2点差に泣き無念のストレート負け

男子バレーボール

 「悔しい」。きのう格上相手にフルセットの熱戦を繰り広げたものの、満足することなく、選手たちは悔しさをにじませた。あと一歩のところで逃した金星をきょうこそ手にするべく挑んだ黒鷲旗全日本男女選抜(黒鷲旗)2日目。相手はVプレミアリーグに属する東レアローズ(東レ)だ。高さと速さで勝る相手に対し、粘り強くボールを拾いくらいつく。接戦とするも、勝負どころでの1点が遠かった。全セット2点差とあと一歩及ばず、セットカウント3−0(23ー25、31ー33、26ー28)のストレート負け。プレミアの壁を破ることはできなかった。

 試合開始から一進一退の攻防となった。相手のクイックに苦しむものの、早大も負けじと鵜野幸也(スポ4=東京・早実)や宮浦健人(スポ2=熊本・鎮西)のスパイクで得点を重ねる。どちらがセットを取ってもおかしくない試合展開の中で、先に20点台に乗ったのは早大。しかし、勝負強さで相手が勝っていた。サイドアウトを取り切りたい場面で、高さのあるブロックに阻まれ、連続得点で逆転を許す。23ー25。落としはしたものの、きのうに引き続き接戦に持ち込み、次セット奪取を予感させるセットとなった。

高いブロックを相手に奮闘した鵜野

 ここまでサーブのミスが目立っていた両チーム。サーブで攻めた上でどれだけミスを出さないかが一つの大きなポイントとなることを予感させた。そんな中で、第2セット開始早々小林がエンドラインぎりぎりにボールを落としサービスエースを奪う。2本目は一転、選手の前に落とすボールで2本連続のサービスエースとし、リードを奪った。しかし、相手センターの高いブロックに早大の持ち味であるクイックを潰され苦しい展開に。効果的なフローターサーブによりサーブレシーブを乱される一方で、早大はサーブで相手を崩しきることができない。伏見大和、李博の高さのあるクイックとブロックに苦戦した。それでもなんとか繋いだボールを宮浦が決め、24ー22と先にセットポイントを手にした。しかし、この場面でも相手の勝負強さが光る。サービスエースでデュースに持ち込まれると、すかさずブレイクを奪われてしまう。鵜野のネット際のボールに対する好判断で、負けじと連続ポイントを奪うも、直後に奪い返される展開に。なんとか追いすがるも、31ー32からサービスエースを奪われ失セット。サーブが明暗を分けるかたちとなった。第3セット。20ー23から鵜野のスパイクやブロック、宮浦のサービスエースで4連続得点を奪い、またしても試合はデュースへ。それでもプレミアのチームが動じることはなかった。最後は、宮浦のスパイクがオーバーラインの判定を受け試合終了のホイッスル。一矢報いることはできず、無念のストレート負けとなった。

敗戦に肩を落とす選手たち

 勝負どころでのあと1点。サーブ、スパイクにおいてのボール一個分。つなぎの面でのボールまでのあと一歩。終わってみればストレート負けだが、早大の力が通用しなかったわけではない。どのセットも取れる可能性のあるセットだった。だからこそ、勝負どころでのワンプレーに実力の差を痛感せずにはいられない。全セット2点差での敗戦を「そこが実力差であり、自分たちの弱さ」と小林は受け止めた。格上のチームとも互角に渡りあうだけの力はある。あすこそ『あと1点』を取り切り、勝利で黒鷲旗を締めくくりたい。

(記事 杉山睦美、写真 松本一葉、松谷果林、成澤理帆)

セットカウント
早大 23-25
31-33
26-28

東レアローズ
スタメン
レフト 藤中優斗(スポ4=山口・宇部商)
レフト 鵜野幸也(スポ4=東京・早実)
センター 武藤鉄也(スポ3=東京・東亜学園)
センター 村山豪(スポ2=東京・駿台学園)
ライト  宮浦健人(スポ2=熊本・鎮西)
セッター 小林光輝(スポ4=長野・創造学園)
リベロ 堀江友裕(スポ3=和歌山・開智)
コメント

藤中優斗主将(スポ4=山口・宇部商)

――きょうの試合を振り返って

全てのセットを2点差で落としてしまいました。きのう負けてしまって、きょうもV(プレミアチーム)さん相手でしたが勝つ気で挑みましたが結果的にきょうも負けてしまい、悔しかったです。

――きのうのジェイテクトSTINGSときょうの東レアローズで何か違いはありましたか

僕ら的には東レ(アローズ)さんのほうがやりづらかったです。サーブでしっかり攻めてこられて、相手のBクイックに苦しめられました。それが1番大きな違いかなと思います。

――ブロックについてはいかがですか

前衛のBクイック主体で攻めてこられて、それに対応できませんでした。最初はクイック中心で最後はサイドで散らすという向こうのやりたいバレーをやられてしまったかなという感じです。

――大学生相手の試合では決まるブロックアウトもかなりシャットアウトされる展開でした

個人的な話になってしまいますが、しっかりどんなトスでも相手のブロックに対応して打ち込むことが必要でした。(自分たちは)高さのあるチームではないので、ブロックの脇を抜くといったようなうまさでこれから戦っていかないといけないと思っています。スパイクに関しては本当にこの2戦で課題しか見つかりませんでした。もっともっとパワーをつけて対応できるようにしていきたいです。

――4日連続の試合となっています

正直全員疲労が溜まっていますし、ケガとかもあると思いますが、そこを言い訳にしていたら全カレ(全日本大学選手権)は戦っていけないですし、いいトレーニングになっています。まだあすもあるので、頑張ります。

――小林選手がきょうはサイドを多用していました

サイドに託してくれた、ということですが僕に関しては全然打ち切れていません。光輝(小林)が色々な配球をできるようにスパイカーの僕たちが、主に僕なんですが、しっかりどんなトスでも打ち切れるように、そして(小林が)安心してトスを上げられるようにという選択肢を作ることがまだできていません。そこは僕自身の課題です。光輝にもってこいと言えるくらいの気持ちをこれから持っていけるように練習に取り組んでいきたいです。

――あすは警視庁フォートファイターズ戦です

決勝トーナメントに進出することはできなくなりましたが、最後までワセダらしいバレーをということを心がけたいです。相手どうこう、というよりも自分たちのバレーをしたいなと。きょうしっかり体調を整えてあすに臨みたいです。

小林光輝副将(スポ4=長野・創造学園)

――全てのセットを2点差で落とす結果となりました

そこが実力差であり、自分たちの弱さが出たというところだと思います。

――試合を振り返って

終盤のところでの勝負強さで相手との差が出ました。僕たちが崩れる時はやはり基礎から崩れていくということを痛感しました。

――基礎というのはサーブレシーブなどですか

サーブレシーブ、もっと言えば大事な場面でのパスですね。大事なところでの基礎のパスや2段トスなど、当たり前にできるはずのプレーを当たり前にやるというところです。

――センターの早い攻撃に苦しみました

リードブロックでやっているので、あの高さとスピードは自分たちにとってもいい練習になったと思います。対応しようとはしていましたが、ブロックでというよりはサーブでなんとかするしかないといった感じでした。

――サーブではミスも多かったですが、攻めた結果というところですか

しっかり攻めて打ちにいってサーブが入るかというのは、この大舞台でしかできない練習だと思います。こういう場面で打てるかということが課題になっていたので、そこで打てなかったというのは自分もそうですし、チームとしての課題だと思います。

――クイックが決まらない場面が目立ちました

相手のサーブが良くて自分たちの思うような展開に持っていけませんでした。それと、相手のミドルがものすごく高いので、そこに苦戦しました。

――プレッシャーも感じていましたか

そうですね、だいぶマークも厚かったので。

――プレミアのチームとの2試合で得たものは

通用したものは通用したということで自信にして、実力差を痛感したので、そこを後半のリーグにつなげたいです。

――あすの試合に向けて

ラスト一戦なので、勝って東京に帰りたいです。

鵜野幸也(スポ4=東京・早実)

――きょうの試合の振り返りをお願いします

ミドルブロッカーが強いということは分かっていたんですが、最後までそこに対応できなかったということが1つと、課題であったサーブレシーブが個人的にクリアできずうまくいかなかったので、それが負けに繋がってしまったかなと思います。

――サーブレシーブのお話がありましたが、きのうときょうでサーブに違いはありましたか

ジェイテクトSTINGSさんはビッグサーバーがいて、そこに対して何本もブレイクされて流れを持っていかれる、という感じでした。きょうに関してはフローターサーブもとても効果的に打たれてしまって、それへの対応が最後までうまくできずに乱される部分が何度もありました。きのうはジャンプサーブ、きょうはフローターサーブにやられたという感じです。

――大学生相手だと決まるスパイクもきょうはなかなか決まらないという場面が多かったのではないでしょうか

高さという面で非常にプレッシャーを感じる部分と、高さがあることで逆に見えやすくなる部分と両方ありました。高さのあるチームは大学のなかにもあって、今後対戦する筑波大や日体大などとの試合への練習になったのかなと思います。

――高いブロックにかなりマークされていましたが、打ち方などで気を付けているところはありましたか

決めてやろうという気持ちはありましたが、松井先生(松井泰二監督、平3人卒=千葉・八千代)から「高い位置でしっかり打ち込めばリバウンドなども取れる、そういう練習を大会を通してやっていこう」というようにおっしゃっていたので、それを意識してやっていました。きょうはそれがいい面で出たのかなと思います。

――全てのセットを2点差で落とすという試合になりました

やっぱり相手のほうが1枚上手で、こっちがやりたいことをなかなかやらせてもらえなかったです。格上のチームだなと思い知らされました。

――あすは警視庁フォートファイターズ戦ですが、意気込みをお願いします

全員疲れているとは思いますが、全力を出してそれが結果に繋がればいいなと思っています。

堀江友裕(スポ3=和歌山・開智)

――試合を振り返っていかがですか

きのう、ああいう試合ができて、きょうもプレミアさん相手に、きょうこそは勝とうということで挑んだんですけど負けたので。勝負は勝負で、負けたことに関して悔しい思いが強いです。

――あと1点、2点というところでした

格上相手ですけど、そこは1点、2点差で負けるっていうのは力のなさであったり、具体的に言えば取れるところで取れていなくてああいう展開になったので、序盤でもっと取れるところとかあれば、逆の展開になっていた可能性はあります。終盤とかその一本が大事だなと感じた試合でした。

――きのうはブロックとレシーブの関係が良かったですが、相手が(東レアローズに)変わって位置取りは変えましたか

アナリストがデータを出してくれているのでそれを見て大体のイメージをつけながら。きょうはきのうと違って攻撃が速かったのでブロックがうまくつかないことがあって、その間とか、揃った時は後ろとかワンタッチを狙って心掛けたら何本かその位置取りでいいプレーができました。

――堀江選手のチームを盛り上げている姿が見られましたが、チームの雰囲気はいかがでしたか

みんな、疲れていることもあってきのうよりは雰囲気が良くないと僕は感じたので。僕はスパイクも打たず、リベロなのでみんなよりも疲労が少ないと思っているので、常にチームを盛り上げることはしないといけないと思っています。

――この試合の収穫は何ですか

課題が見つかった。一点差で負けるということは、その終盤にだけに目を向けるのではなくて、序盤とか中盤で、取れるところで取ったら逆の展開になるということが今回でわかったので。試合の運び自体は悪くないので、勝負どころのあと1点、2点をどう取るのかということを、抽象的ではありますが、詰めていければ。全日本インカレは12月で、そこに目標を置いているので、そういう意味ではざっくりとした課題が見つかったと思います。

――あすの試合に向けて一言お願いします

相手は(きょう、きのう対戦したV・プレミアリーグチームから)チャレンジリーグに変わるんですけど、挑む気持ちは忘れずに。一応格上なので。最後なので勝って終わって、リーグ戦(春季関東大学リーグ戦)も今後続くので良い流れを作れるように、頑張りたいと思います。

宮浦健人(スポ2=熊本・鎮西)

――苦しい試合となりました

そうですね、これまで関東リーグ(春季関東大学リーグ戦)から連戦で、体力的にもきつかった部分はあります。東レ(東レアローズ)さんも実力的には全然上なので。

――きのうの試合からから何か変えたことはありましたか

いや特にはないですね。きのうと同じように思いっきりぶつかっていければと。

――要所でのミスが目立ったような気がしますが

そうですね、サーブとか決まらなかったですね。

――宮浦さん自身はどのように狙ってサーブを打たれてましたか

とりあえずリベロは避けようと。でもやっぱり難しかったですね。

――あしたはいよいよ予選最終日です

勝って東京に帰りたいと思います。