『インカレ0回戦』をフルセットの末、突破!日本一への第一歩を踏み出す

男子バレーボール

 関西大学との伝統の一戦、第69回早関定期戦が行われた。両校ともに3日後に控える全日本大学選手権(インカレ)での戦いを意識してか、例年以上に白熱した試合を繰り広げた。1979年以来のフルセットの末、セットカウント3-2(22-25、25-21、25-19、25-27、15-9)で早大が連勝を37に延ばした。

 『インカレ0回戦』(喜入祥充主将、スポ4=大阪・大塚)。そう銘打って臨んだこの定期戦は普段の定期戦以上の意味を持つ。インカレ直前の開催ということもあり両チームともこの試合での戦いぶりが完成度の一つの指針ともなりうるからだ。スターティングメンバーは秋季リーグ戦を制した加賀優太(商4=東京・早実)、藤中優斗(スポ3=山口・宇部商)、小林光輝(スポ3=長野・創造学園)、堀江友裕(スポ2=和歌山・開智)、武藤鉄也(スポ2=東京・東亜学園)、村山豪(スポ1=東京・駿台学園)、宮浦健人(スポ1=熊本・鎮西)が変わらず起用された。1セット目、2点のリードを守り迎えた中盤、村山、宮浦らのスパイクとサーブのミスからリズムが崩れる。一方相手はサービスエースで逆転。そのまま1セット目を奪われ幸先の悪いスタートとなった。続く2セット目、藤中に代えて喜入主将を投入。喜入主将、加賀の4年生を中心にプレーと積極的な声かけでコート内に落ち着きを取り戻しこのセットをものにした。続く第3セットも早大が取り切った。

関西特有の攻撃に対応しきれない場面も見られた

 しかし、取ればゲームが決まる第4セット。関学大も黙ってはいない。早大の攻撃に対して対応を見せ、ブロックポイントを重ねる。それに対して早大は「自分たちのことはできたが、相手に対応し切れていない」と喜入主将、小林が声をそろえたように、関西特有のブロード攻撃や粘り強さに苦しめられる。ジュースまで持ち込むも結局このセットを落とした。臨んだ最終セットは序盤から一進一退の攻防となるが、要所で喜入主将のスパイクが決まり、相手のミスも重なると15-9でセットを奪い、セットカウント3-2で勝利した。

バックアタックでの決定力が光った喜入主将

 「1試合通して5セットある中での戦い方を確認できたのでそれは良かった」(喜入主将)。秋季リーグ戦を優勝した早大に対してどの大学も挑戦者として向かってくる。早大はそれを受けるのではなく、より勢いを持って攻め込んでいかなければならない。その点できょうの試合はインカレでも強敵となりうる関西のバレースタイルに対してフルセットの試合を勝ち切れたことはよいシミュレーションになっただろう。また、4年生がコートに立つことで生まれる安定感がこの試合も随所に見られた。「光輝が安心して僕のところに持って来れるように、そういうスパイカーに僕がなれないと、全日本インカレで勝ち抜くことは難しい」(喜入主将)。一昨年の福山汰一(平28スポ卒=現ジェイテクSTINGS)、昨年の田中健翔副将の活躍を見ても早大の勝利に4年生の活躍は欠かせない。『インカレ0回戦』を無事突破した早大の躍進劇に期待したい。

(記事 藤原映乃、写真 杉山睦美)

セットカウント
早大 22-25
25-21
25-19
25-27
15-9

関学大
スタメン
レフト 加賀優太(商4=東京・早実)
レフト 藤中優斗(スポ3=山口・宇部商)
センター 武藤鉄也(スポ2=東京・東亜学園)
センター 村山豪(スポ1=東京・駿台学園)
ライト 宮浦健人(スポ1=熊本・鎮西)
セッター 小林光輝(スポ3=長野・創造学園)
リベロ 堀江友裕(スポ2=和歌山・開智)

集合写真

コメント

 

喜入祥充主将(スポ4=大阪・大塚)

 

――このタイミングでの定期戦ということでどのような位置付けで臨みましたか

気持ち的には全日本インカレの0回戦のつもりで、総仕上げという位置付けで臨みました。

――そのなかできょうの試合を振り返って

セットを落としたりはしたのですが、1試合通して5セットある中での戦い方を確認できたのでそれは良かったと思います。

――逆に見えてきた課題などはありますか

自分たちの中でこうしよう、ああしようというのが多くて、相手に対応しきれてない部分がありました。戦っているのは相手なので相手をどう攻略するかというところがまだ欠けているかなと思います。

――ブロックとレシーブに関しては

関西のチームなので、ブロードなどの独特な攻撃が多く、対応しきれない部分がありました。打たせるところとブロックで止めるところを確認しつつやっていきたいです。そうやって行くなかでも、それが100パーセントできる保証はないので、そうなった時に個人の対応力が必要になるので、それを出していければと思います。

――きょうはスパイクで活躍されていましたがご自身のプレーはいかがですか

まだまだ勝負所で決めれていない部分があったので、光輝が安心して僕のところに持って来れるようにしないと行けないと思います。そういうスパイカーに僕がなれないと、全日本インカレで勝ち抜くことは難しいのかなと思います。取りこぼしのないように全部決める勢いでやって行けたらと思います。

――相手チームには従兄弟の政光選手も出ていましたが意識されましたか

 

特に意識はしていないですが、終盤にサービスエースを2本連続で決められた時は、自分も自分もやってやろうという気持ちにはなりました。

――開幕を目前とした今、チームの雰囲気や状態はいかがですか

悪くもなく、絶好調でもなくという感じですね。試合を通して、勝ち上がって行くにつれて伸びて行くような感じで、取りこぼしのないようにチームを作っていけたらと思います。

小林光輝(スポ3=長野・創造学園)

――きょうの試合振り返っていかがでしたか

自分たちのバレーをしようというのをできなかったと監督の方からあったので、それを修正して自分たちのバレーをしようと臨みました。でも実際試合になったら自分たちのことはできたんですけど、相手への対応という部分が欠けていました。入り方を間違えてしまったのできょうのような混戦になってしまったんじゃないかと思います。

――インカレ前最後の試合ということで定期戦以上の意味があったと思います

関西のチームとやれて、関西は全然違うバレーをしてくるので。それでフルセットをしっかり味わえたのでインカレに向けていい経験ができたと思います。

――おっしゃられたようにインカレを思わせるような試合展開となりました。きょうの勝利は生きてきますか

インカレはどこも必死になってやってきます。僕たちは第1シードでみんなが思いっきり向かってきて、簡単な試合は1試合もないと思います。こういう試合に全部なるという覚悟で臨めたらなと思います。

――サーブレシーブがよく返っていたと思います

サーブレシーブに関してはよかったんですけど、ノータッチエースだったり大事な場面でエースを取られて離されてしまいました。ファーストブレイクに関してはどちらも切れていたんですけどそこの差で離されてしまったというのがありました。どこも打ち込んでくると思うので、エースを無くしていきたいです。

――相手の粘り強さやラリーになった時に苦しめられました

決めるべきボールが決まらないケースが多々あって、自分たちのペースはつかめなかったです。僕たちの武器であるサーブも相手のサーブレシーブも良くて大崩れせずにこちら側が崩れてしまい苦しみました。

――試合の組み立てで何か意識されましたか

相手は(ブロックを)コミットで来ていたのでサイドは確実に1枚になるんですけどその中でもクイックを使うということを意識してやりました。

――あさってからインカレがはじまりますが直前に控えた今のお気持ちをお願いします

このインカレでこのチームでできるのも4年生とできるのも本当に最後なので一戦一戦勝ち上がって3日に日本一取って、4年生を胴上げしたいです。