きのう明大との試合に辛勝した早大は日大と対戦。3連戦ということもあり、ストレートで勝ちたい試合であったが、日大の攻撃に対応し切れず苦戦を強いられる。しかし、最後は喜入祥充主将(スポ4=大阪・大塚)、山﨑貴矢副将(スポ4=愛知・星城)、加賀優太(商4=東京・早実)ら4年生が奮闘し、セットカウント3-2(25-17、21-25、23-25、25-23、15-13)でフルセットの試合を制した。
「毎年勢いのあるチームなので、苦しい場面になると相手に押し切られて自分たちのペースで試合を運べなくなってしまう」。加賀は前日このように懸念を口にした。しかし、第1セット25-17と大差でこのセットをつかんだ。勢いそのままいくかと思われたが、懸念は奇しくも的中することとなる。第2セット、17-14と早大リードで迎えた終盤サーブレシーブやトスの乱れから一気に5連続失点を喫し、日大に逆転を許す。流れを明け渡すとそのままこのセットを落とす。第3セット、流れを変えようと喜入主将を投入するも第2セット同様に終盤、サーブレシーブの乱れから相手に逆転の機会を与えると立て続けにこのセットも落とした。
試合を決したサービスエースを放つ山崎
後がなくなった第4セット。得点板は一進一退の攻防を示しながらも、エースのバックアタックで得点を重ねる相手に対し、相手のミスでなんとか食らいつく早大。流れは依然として日大のまま。21-22の場面、相手のスパイクをブロックで弾いてしまう。しかし、それに宮浦健人(スポ1=熊本・鎮西)が反応し、なんとかつなぐと、セッター・小林光輝(スポ2=長野・創造学園)が喜入主将にトスを託す。厳しい体勢から打ち込んだスパイクは相手コートに落ち、同時に全員がガッツポーズ。暗かった表情に笑顔が見えた。流れを手放すまいと、ラリーの中で堀江友裕(スポ2=和歌山・開智)が渾身のスパイクレシーブ、そして加賀がバックアタックを決め逆転。土壇場でこのセットをものにしゲームは最終セットへ。互いに譲らず、手に汗握る展開が続く。14-13と先にマッチポイントを取ったのは早大だった。サーブは山﨑貴矢副将(スポ4=愛知・星城)。「入れにいっても切られると思ったので、攻めて崩せればいい」。そう勇み、打ったサーブはラインぎりぎり。緊迫した雰囲気が流れる。そして、判定の結果は「イン」。我慢を強いられ、フルセットにまでもつれ込んだ試合を制し、連勝記録をまた一つのばした。
勝利を決めガッツポーズをする選手たち
この2試合、スパイクを一本で決めきれず、ラリーの中で失点してしまう場面が多く見られた。「自分たちが決まったと思ったボールを上げられてしまい「あれ?」っていうところはありました」(加賀)。この一瞬の遅れからコートがばたつき、チャンスボールを得点につなげることができなくなってしまうのだ。この2日、他にも多くの課題が見つかった。しかし、「今までだったら取られていたかもしれないところでしっかりフルセット勝てたというのは少し成長したところ」と山﨑副将が語るようにこの2試合を勝利できたことはとても大きな収穫と言えるだろう。心身ともに疲労もたまってきている中で3連戦のラストに対するは慶大。見つかった課題を修正しながら、3連勝という結果で締めくくりたい。
(記事 藤原映乃、写真 杉山睦美、越智万里子)
セットカウント | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 3 |
25-17 21-25 23-25 25-23 15-13 | 2 | 日大 |
スタメン | ||||
レフト 加賀優太(商4=東京・早実) レフト 藤中優斗(スポ3=山口・宇部商) センター 武藤鉄也(スポ2=東京・東亜学園) センター 山﨑貴矢(スポ4=愛知・星城) ライト 宮浦健人(スポ1=熊本・鎮西) セッター 小林光輝(スポ3=長野・創造学園) リベロ 堀江友裕(スポ2=和歌山・開智) |
コメント
喜入祥充(スポ4=大阪・大塚)
――ここまでコートに立てない時間も長かったです
ずっと出たくて出たくてうずうずしていました。
――今のコンディションとしては
プレーできるけど、痛いという状況です。痛くてもやっている人もいるので、甘えてはいけないと思っています。
――3セット目からの出場でしたがどのような気持ちでコートに入りましたか
雰囲気を変えようと思いましたが、プレーも思ったようにはいかなくて、なかなかうまくできませんでした。
――きょうの試合を振り返って
勝ったことは大きいですが、3連戦なのであしたのことも考えると、ストレートで取るべきだったと思います。
――苦しい試合となった要因はありますか
流れが悪かったです。相手の攻撃に対してブロックで仕掛けることができませんでした。
――ブロックに関してはどのような指示がありましたか
途中11番の選手のパイプにやられていたので、そこをしっかりブロックにいくことと、サイドはそんなに決められていなかったので、センターに対してどうクイックに飛ぶかということを考えていました。
――スパイクレシーブで粘ることができませんでした
ちょっとしたことなのですが、ブロックがあまり前に出ていなかったり、レシーブの位置取りが遅れたりということがありました。細かいところの積み重ねがああいう結果になったと思います。
――劣勢の場面ではどのような声を掛け合いましたか
相手はミスが出るチームだったので、我慢するぞと言ってました。
――勝因としては
サーブとブロックを今までけっこうやってきたので、サーブで最後までしっかり攻めれたことが良かったと思います
――あすへ向けて
落としてはいけない試合だと思うので、まずは勝つということを目標にやっていきたいです。
山﨑貴矢(スポ4=愛知・星城)
――きょうの振り返りからお願いします
あまり競るようなチームではなかったのですが、競ってしまったというのは良くなかったと思います。
――最後のポイントは山﨑選手のサービスエースでしたが、いかがでしたか
最後、14ー13という場面で入れにいっても切られると思ったので、攻めて崩せればいいかなと思いました。
――みんなで喜ぶ姿が印象的でしたが、その時の気持ちは
足を引っ張っていたというのもあって、最後少し挽回できたので嬉しかったです。
――きょうは今シーズン初めて全てのセットでスタメンでしたがご自身のプレーいかがでしたか
良くはなかったですね。スパイクがやはりミスが多いというのも改善するところだと思いました。
――ブロックはいかがでしたか
ブロックに関しては少し吸い込みが多いと思ったんですけど、後ろが気持ちよくやれればいいかなと思いました。
――チーム全体として、押されている時間が長かったですが原因は
3本目をスパイカーが全体的決められないことが多かったです。コースが甘くてブロックに引っかかって、それで中盤向こうにやられてしまっていたので、しっかり3本目を責任を持って打つことが大切かなと思いました。
――苦しい中、結果的に勝利したわけですが、その中で良かった点はどこでしたか
ざっくりいうと、今までだったら取られていたかもしれないところでしっかりフルセット勝てたというのは少し成長したところだと思いますし、継続していきたいと思います。
――次の慶大戦に向けて一言お願いします
明日も自分たちのプレーをしっかりして勝っていきたいと思います。
加賀優太(商4=東京・早実)
――秋季リーグ戦で初めてフルセットの試合となりました
結果として勝ちきれたことはすごく大きいんですけど、まだまだ相手の勢いに押されて自分たちが受けに回ってしまう部分がきのうに引き続いて見られました。実力はあるのですが、そういった気持ちの部分や、試合の入りの部分でもう少し自分たちで勢いや流れをつくっていければフルセットとかではなくもう少し楽に勝てたのではないかと思います。
――きょう苦戦したところは
相手の攻撃に対して全然自分たちが対応できていませんでした。レフトの選手が気持ちよく打ててたりしました。クイックにマークにいって、パイプを使われることが多かったです。レフトの選手が前でも後ろでも活躍しているようにブロックに飛んでて思いました。
――攻撃の枚数が多い日大に対してきょうはブロックに関してどのような指示が出ていましたか
ライトは基本的に動いて、早大のレフトは一枚で仕掛けにいってマンツーマンで対応していました。あとはブロックよりもレシーブの部分で相手のスパイカーが打つコースは分かっていたので堀江の動かし方は意識していました。
――サーブレシーブを振り返って
攻めてくるサーブも多かったんですけど、僕がなんともないサーブで崩してしまいました。3セット目途中から相手の弱いフローターサーブの時は堀江と僕の対角のレフトの選手で対応してもらうようにしていました。2人に負担をかけてしまったかなと思います。
――切り返しの攻撃で早大側がばたついてしまう印象がありました
自分たちの攻撃に自信を持っていて、夏合宿でプレミア相手にも決め切る場面が多くあったので、自分たちが決まったと思ったボールを上げられてしまい「あれ?」っていうところはありましたね。そういう時間があることで次の自分たちの切り返しの準備が遅くなってばたついちゃったのかなと思います。
――コート内に4年生が3人いることで加賀選手は自身のプレーに集中できたんじゃないかと思います
自分自身、そんなに背負わないようにしているんですけど、喜入が入った時に楽に感じたので、やっぱり喜入の存在は大きいなと思いました。
――大事な場面で4年生が決め切っていました
最後4年生全員が気を吐いてなんとか勝ちきれたんですけど、もっともっと前の段階で僕ら中心にバレーができてれば、フルセットに持ち込むようなゲームじゃなかったのかなと思います。
――3連戦最終戦となる慶大戦に向けて
慶大さんも2部から上がってきたチームなんですけど、結構早慶戦などで戦っているので相手の実力は分かっています。ここ2戦気持ちの部分で受け身になってしまう部分が見受けられました。早慶戦や東日本(大学選手権)みたいに相手がどこだからということは関係なく、慶大相手に食ってかかるつもりで試合には入れたら、きのうきょうみたいな試合にならずにいけるんじゃないかと思います。
堀江友裕(スポ2=和歌山・開智)
――きょうの試合を振り返って
あとあとセット率なども関係してくるので、本当はストレートで勝ちたかったです。それでもああいったフルセットの状況で勝ち切れたことは良かったと思います。
――きのうの明大戦ではブロックとレシーブの関係がうまくいかない場面も多かったですが、何か修正したことはありますか
ブロックとレシーブの関係というより個人的な問題がありました。まだ2年生で下級生だから思いっきりやろうと意識したら上がる本数が増えました。
――今日の試合でご自身のレシーブを振り返って
正面などの体にあたるボールは取れたのですが、それ以外に自分で動いて取るというレシーブがあまりありませんでした。試合は続くのでそういうところをレベルアップしていきたいと思います。
――チームとしてのブロックとレシーブはまだ完成してはいないという段階ですか
ブロックもまだ吸い込みや弾かれる場面が多いです。ですが、抜けてきたボールに関しては上げやすい体系にはなっています。あとはブロックで止めに行くのかワンタッチをかけていくのかやっていけたらいいと思います。
――劣勢の場面も多かったですがチームの雰囲気としては
良くはなかったです。パスを返しても決まらないという状況だったので。レシーブをする側からしても、ストレスのたまる試合でした。それでも完璧ではなかったですが、返し続けられたことは自分的には良かったと思います。
――あすへ向けて
早慶戦で向こうはストレートで負けていて、その分思いっきりくると思います。きょうのような試合をしたら、2回目は負けると思うので、出だしから25点目まで同じプレーができるように頑張りたいです。