攻守で粘り高さとパワーに競り合うも終盤に力負けで悔しい敗戦

男子バレーボール

 大会2日目は昨年早大を主将として率いた山口頌平選手(平29スポ卒)がセッターを務める堺ブレイザーズと対戦した。相手のパワーや高さに苦戦ながらも自分たちの持てる力を出し、粘りを見せる。セットカウント3-1(22-25、24-26、25-22、12-25)で敗れたものの、V・プレミアリーグのチームを相手に互角の戦いを見せた。

 「やっていていやだなと感じました」。そう語ったのは山口頌平選手(平29スポ卒=現堺ブレイザーズ)だ。きょうの試合で早大のバレーは格上のチームを確実に追い詰めていた。第1セット序盤は相手のパワーのあるサーブや高さのあるブロックなどレベルの高いプレーで点差をつけられるが、 喜入祥充主将(スポ4=大阪・大塚)、加賀優太(商4=東京・早実)らのサーブで相手を崩すと連続得点の機会をつくりだし点差を詰めていく。相手のセットポイントの場面では加賀がブロックに付かれながらもクロスを打ち抜く。このプレーには堺ブレイザーズのファンも拍手を送り、「侮れない」という声が各所から聞こえた。続く第2セットでは序盤に点差がついたものの中盤はシーソーゲームを展開。サーブレシーブを乱されながらも懸命にトスをつなぐ。センターがブロックを引きつけるとサイド陣が自分の高さやブロックを利用したスパイクなど各自の持ち味を生かし 相手のサーブからファーストブレイクを奪う。ラリーの中で2段トスからサイドアウトを取る様子も見られた。大熱戦はデュースにもつれ込むも最後は相手のブロックポイントで24-26。このセットも相手に軍配が上がりセットカウント0-2と後のない状況に。

ブロックを利用して得点する喜入

 第3セットは堺ブレイザーズペースで試合が進む。しかし、19-21と2点差で迎えた場面。加賀がバックアタックを決め1点差に詰め寄る。重要な場面で藤中がサーブで攻め相手を崩し、早大の攻撃につなげるとここでも再び加賀が2度のブロックアウトを奪うなど5連続得点で24-21と逆転に成功。25点目を得意の速攻で決め、このセットを奪取。ビハインドからの逆転劇に会場を沸かせた。しかし、第4セットで堺ブレイザーズも格上としての意地を見せつける。サーブ、スパイク、ブロックのパワーと高さに圧倒され、2度の大きなブレイクポイントで9-20。攻撃のパターンを読まれなす術なし。セットカウント1-3で試合を終えた。

コートの奥へのスパイクで得点を量産した加賀

 格上相手に対し、得意のサーブで攻め、ファーストブレイクやサイドアウトを奪いながら対等な戦いぶりを見せた早大への賞賛の声は大きい。しかし、あと2点、3点というところまで相手を追い詰めたということに満足する選手はいない。その届かなかった2点、3点がリーグ戦から通して自分たちの課題であることを痛感しているからだろう。その課題を解決するための糸口はきょうの試合を通して少し見えてきたのではないだろうか。あすは早大にとって大会最終日、対するはVチャレンジリーグの富士通カワサキレッドスピリッツだ。「あしたは3-0でストレートで勝ちにいきたい」(小林光輝、スポ3=長野・創造学園)。その言葉に期待したい。

(記事 藤原映乃、写真 越智万里子、杉山睦美)

セットカウント
早大 22-25
24-26
25-22
12-25

堺ブレーザーズ
スタメン
レフト 加賀優太(商4=東京・早実)
レフト 藤中優斗(スポ3=山口・宇部商)
センター 武藤鉄也(スポ2=東京・東亜学園)
センター 村山豪(スポ1=東京・駿台学園)
ライト  喜入祥充(スポ4=大阪・大塚)
セッター 小林光輝(スポ3=長野・創造学園)
リベロ 堀江友裕(スポ2=和歌山・開智)
コメント

山口頌平(平29スポ卒=現堺ブレイザーズ)

――古巣早大との戦いとなりましたが

やりにくさはちょっとありましたね(笑)。何ヶ月か前まで一緒にやってきた仲間とネットはさんで真剣勝負で戦うというのは新鮮というよりもちょっと嫌だなという思いの方が大きかったですね。

――早大の戦いぶりいかがでしたか

サーブパスもよく我慢してやっていて、こっちもなかなかサービスエースを取ることができませんでした。サーブを攻めようという意識も伝わってきたのでいいチームだなと思いました。

――早大が勢いに乗る場面もありました

1セット取られましたし自分としてもやっていて課題が残る試合だったなと思います。

――後輩たちに向けて

春リーグとかの結果もチェックしていますがきょう戦ってみてブロックの高い相手にもいい打ち方とかをしているし、Vリーグの強いサーブや高いブロックにもなんとか食らいついてきていました。工夫した打ち方をしているのはやっていていやだなと感じました。大学生相手には今のところ2敗していますが、自分たちの力を出して、挑戦する気持ちを毎試合忘れずにやっていけばいい試合ができるくらい全然強いと思います。自分たちの力をしっかり出せるかというのがカギになってくると思うのでそこを頑張ってもらいたいと思います。

喜入祥充(スポ4=大阪・大塚)

――昨日に引き続き格上相手に食らいついていくバレーができていましたが、振り返って

サーブで攻めて自分たちのかたちがつくれていたと思います。

――1、2セット目で競り合い3セット目を取り切れたのは自信になるのでは

ああいうゲームができれば、どういう相手でもセットが取れるということが分かったので自信になったと思います。

――早大のバレーが通用していただけに、4セット目に押されて敗戦となってしまったことに悔しさもありますか

4セット目は堺さんの意地が出たというか、自分たちの思うようにできなかったので、そこはさすがだなと思います。

――具体的に4セット目はそれまでのセットと何が違いましたか

相手のミスが減ったのと、僕たちの弱点である高さとパワーで圧倒されました。手も足も出ないような攻撃をされてしまったので、高さとパワーの部分で届かないものは仕方ないなという感じです。

――喜入選手自身サーブで狙われる場面がありました

もう少しAパスを狙って、いいサーブに対してもコンビが組めるように返球しないとこれから先強いチームとやっていくときに通用しないなと思いました。

――相手ブロックもうまい中でサイド陣が工夫して得点していましたね

そうですね、よく工夫して落とさないように、奥にしっかり打てていたと思います。あのブロック相手に決められていたので、あれで決められてリーグ戦で決められないわけがないのでしっかりリーグ戦でもそういう打ち方を心がけてやっていきたいです。

――V相手でも攻めるサーブは通用しています

サーブは個人技なので、個々の能力があるということが分かったので、リーグ戦でも攻めるサーブからリズムをつくっていくという自分たちのかたちをしっかり出していきたいと思います。

――堺ブレーザーズには山口頌平選手(平29スポ卒=現堺ブレイザーズ)もいましたが意識されましたか

意識はしましたが、それよりもきょうは勝ちに行こうとしていたので、自分たちのことで精一杯でした。

――ここ2試合いいかたちで試合ができています

いいバレーはできているのですが、いいバレーができなかったときにそのままずるずる行ってしまっているので、もう少し4年生である僕や加賀(優太)がチームを引っ張っていけたらと思います。

――あすへ向けて

あすが最後になるので、自分たちのできることをしっかりやり切って、勝ちたいです。

加賀優太(スポ4=東京・早実)

――ブレイザーズ相手に対等に試合を進めました

きのう1セット取って、チームも結構いい調子で、正直勝ちにいっていたんですけど、相手もVリーグプレミアだったので、ブロックも高さであったりというのを感じさせられましたね。

――3セット目まで上手く進めていただけに悔しさもあるのではないでしゃうか

結構こっちが粘って粘って最後二段トスをブロックアウトして、という結構いい形で終盤くらいまでできていたんですけど、やはり最後サーブで崩されたりっていう、最後のツメの甘さでやられてしまったなという感じですね。

――全体としては楽しそうな雰囲気でした

プレッシャーを感じる試合ではないので、自分たちが思いっきりやって格上のチームに通用するのかという大会なので、完全にバレーボールを楽しんでいました。

――ご自身のプレーに関しては、エースとして十分な戦いをされたと思いますが

苦しいトスが昨日今日と続いていて、その中でも高いブロック相手にそれなりに自分も高さがあるので奥を狙って打ったり、相手のブロックを利用したりというのは、上手くできたなという部分もあるんですけど、慌ててしまったりすると相手のブロックにドシャットされるというのが見受けられたので、そういうところでももう少し自分の中で振りきれたらなという反省はあります。

――チームとしてはサーブで攻めてサイドアウトをとる理想のかたちに近づいていましたが

相手のサーブが強くてなかなかキャッチをしている3人は辛かったと思うんですけど、Bパスが乱れても光輝(小林)が頑張って入ってトスを回して両サイドが工夫して相手のブロックを利用したスパイクが機能していたので今までのリーグでは見られなかった形なのかなと思っているので、いい形にはなってきていると思います。

――相手のサーブやブロックが強い中、何を注意して戦いましたか

単純に甘いコース打ったら全て取られますし、ブロックも高いので、高いところでボールを捉えて奥に打つっていう、ブロックにかかっても外に出ていくようなスパイクを心がけました。

――第4セット目は少し力尽きた印象がありましたが

相手の外国人が本気を出してきたので、こっちの攻撃が単調なのでそこの部分で相手のブロックが一枚でも対応してきて、なかなか今まで自分たちが通ってきたスパイクが通らなくなって手詰まりになったかなという感じです。

――山口選手とは対戦してみていかがでしたか

もう少しブロックでマッチアップできるのかなと思っていたんですけど、頌平さんがブロックでスイッチして自分ではない方にブロックしていたりしてもう少し勝負してほしかったです。笑

――明日は富士通戦ですが一言お願いします

去年もVチャレンジ相手に勝ってますし、きのうきょうと結構いい流れでVリーグプレミアム相手にセットを取れているので、全然勝てる相手だと思っていますし、今試合終わった後もみんなで明日は勝ちに行こうという話だったので、この3日間の集大成として攻める気持ちを忘れずに勝ちにいきたいと思います。

藤中優斗(スポ3=山口・宇部商)

――きょうのふりかえりをお願いします

昨日と一緒で、向かっていく姿勢を忘れないのと、しっかりキャッチを返してクイックに結びつけていこうというのが課題だったので、いいセットもありましたけど、できなかったセットの方が多いので、課題をしっかり持ち帰らないといけないなと思いました。

――ご自身のプレーに関して、ブロックを利用したスパイク、たくさん決まっていましたがどうですか

だいぶセッターと合うようになってきて、しっかり打ち込めるようになってきたので、今この状況だとしっかり打ちこめていますけど、リーグだったり、大事な場面で打ち込んでいかなければいけないと思っているので、少しは感覚が掴めたかなと思います。

――サービスエースもありましたし、相手をサーブで崩していましたが

サービスエースは2本くらいしか取れていないですし、まだまだかなと思います。

――相手のサーブで狙われる場面もありましたが

昨日全然返ってなかったので、きよう絶対狙われるなというのは覚悟していたんですけど、最後まで耐え切れなかったですし、終盤で僕がしっかり返していればセット取れたものもあったので、もう少しキャッチに関しては我慢が必要だなと思いました。

――チーム全体としてブロックに関してはいかがでしたか

全部止めようと思っていたら止まらないので、しっかり的を絞ったり、コースを限定したブロックだったり、止めるだけではなくてレシーブのためのブロックだったりというのを早大はやっているので、課題が残るかなと思います。

――ディグはご自身ではどうでしたか

位地取りとかが全然駄目なので、あと高さも形も作っていけたらもっと止まると思いました。

――きょうの中で良かったところは

きのうきょうを通して二段トスをしっかり打ちこめているので、そこはここまでのリーグと違って感覚が少し掴めたと思います。

――初めて山口選手との対決でした

とても楽しくて、お互いのことを知っているので駆け引きであったり、とても楽しくできました。

――みなさん楽しそうな感じでしたね

そうですね、きのうも汰一さんとあたったのでとても楽しかったです。

――明日は富士通戦です。一言お願いします

自分たちのバレーができれば勝てる試合だと思うので、もうトーナメントに上がることはないですけど、だからと言って気を抜かずに勝ちにいきたいと思います。

小林光輝(スポ3=長野・創造学園)

――きょうの堺ブレイザーズ戦でも健闘しました

きのうの課題として終盤で取りきれなかったということを課題としてあげていました。そして、この大会を通じて自分たちのバレーをやって、見つけるということでした。きょうは取れたセットは負けた状態からでも我慢して最後の勝負所で4年生中心に自分が上げたトスを決めていただいて、セットを取れたということはすごいよかったと思います。でも逆にジュースや22、23点の場面で取られてしまったということは向こうの意地もあったとは思うんですけどやはり課題だとは思います。トータルとしては我慢できたことがよかったかなと思います。負けたら悔しいですね。

――ゲームメイクに苦戦なさいましたか

(相手は)サーブは強いですし、ブロックはきのうと比べものにならないくらいほどよかったのでさすがって感じでしたが、その中でも駆け引きを楽しめました。

――山口選手とのセッター対決では小林選手も持ち味を発揮できていたと思います

勝負としてはやっぱり負けてしまって、勝ってセッターはなんぼだと思うのでその部分では負けてしまってまだまだ及ばないです。

――サイドの決定率が高かったことで安心して攻撃の枚数を増やすことができたと思います

サイドの選手3人がブロックをうまく使ったりなど安定していたので組み立てやすかったです。逆にミドルがしっかり叩けてはいたのですがブロックが良いのでなかなか真ん中を決めるのは難しかったです。でも、ブロックを引きつけてくれているのでサイドは決めやすかった思います。その中でも決めるということを課題に、自分とミドルがコミュニケーションを取りながらやっていきたいと思います。頑張ります!

――相手ペースにならなかったのはサイドの決定率が高かったことが要因の一つですか

ファーストブレイク率が高かったので、数字的には勝ってもおかしくない試合でした。ちょっとの差のところでセット取られたり負けてしまったと思います。サイドと真ん中とという意識など自分たちのやりたいことができているからこそファーストブレイクが取れているので誰が良かったというよりトータルとしていい攻撃ができたのだと思います。

――富士通カワサキレッドスピリッツ戦に向けて

あしたは3-0でストレートで勝ちにいきたいと思います!