誰が出ても勝てる!中央学院大相手に価値のある1勝

男子バレーボール

 春季関東大学リーグ戦(春季リーグ戦)も5試合目を迎えたこの日、対するは中央学院大だ。今までの試合とはメンバーを入れ替えて臨んだ早大。ここまでセットの入り方に課題を残してきたが、この日はその課題を克服。レシーブがセッターに返らない場面も見られたが、難しいボールもスパイカーが要所で決め切り得点を重ねる。セットカウント3−1(25−22、23−25、25−21、25−19)。「誰が出ても勝てる」ことを証明する、大きな価値のある1勝をつかんだ。

 スターティングメンバーがコートに並び、リザーブのメンバーがアップゾーンに向かう。この日はいつもと様子が違った。ここまで全試合に出場してきた、喜入祥充(スポ4=大阪・大塚)、藤中優斗(スポ3=山口・宇部商)に替え、鵜野幸也(スポ3=東京・早実)ルーキー・宮浦健人(スポ1=熊本・鎮西)をスタメンとして起用。疲労を考慮してのことだった。しかし、何が起こるか分からないのが春季リーグ戦だ。中央学院大も決して気の抜ける相手ではない。そんな中まず存在感を見せたのはルーキー・宮浦だった。「とにかく思い切ってプレーしよう」(宮浦)。初のスタメン起用ながらのびのびとしたプレーを見せる。鋭いクロスへのスパイクを相手コートに突き刺すと、苦しい体勢からもブロックアウトを奪い得点を重ねる。独特な軌道を描き大きく曲がるサーブで相手を崩し、サービスエースも獲得した。今季サーブには特に力を入れている早大。連続得点を狙う上で宮浦のサーブは今後も大きな武器となるだろう。1セット目は守備面に不安を残したものの、最後に振り切りこのセットをものにした。続く第2セットも中央学院大に先行するかたちで試合が進む。しかしそう簡単にはいかなかった。レシーブの乱れをきっかけに、17−12の場面から4連続得点を許し1点差に詰めよられる。そして、19—18の場面から再び守備の穴を突かれ2度のサービスエースを含む4連続得点を奪われ逆転を許した。「技術ではなく、メンタルの方が8割」(小林光輝、スポ3=長野・創造学園)。気持ちの部分で相手の勢いに押され、このセットを落としてしまう。

ルーキーながら存在感を放った宮浦

 続く第3セット。レシーブが得意な喜入、藤中が出ていないことでサーブで崩される場面も見られた。それでも「スパイカーが苦しいトスがきてもどうにかして決めようという心持ちで臨んでいた」(加賀)というように、センター・サイド共にブロックを利用したスパイクやコースを狙ったスパイクなどで得点を重ねていく。中盤の連続得点で一気に引き離すと、そのリードを守りきりこのセットを取り切った。第4セット。徐々にブロックでワンタッチが取れるようになると流れは早大へ。鵜野がクロスへの高さのあるスパイクで活躍を見せ、サイドアウトを確実に取り相手に連続得点を与えない。この試合調子が上がっていなかった加賀が3連続でスパイクを決め相手を引き離すと、そのままこのセットを奪い開幕5連勝を決めた。

チームに多くの得点をもたらした鵜野

 「今日勝てたことは大きい」と鵜野が言うようにメンバーを入れ替えて臨んだ試合で、それぞれが活躍し着実に白星をつかんだことは今後に向けて大きな意味を持つだろう。あすの相手は学芸大だ。東海大をはじめ筑波大、順大、日体大など強豪校を次々と破り今最も勢いのあるチームだと言える。試合後選手たちはあすに向けて「自分たちのバレーをしたい」と口を揃えた。『ワセダバレー』を体現し前半戦の一つのヤマ場で確実に白星をつかみたい。

(記事 杉山睦美、写真 藤原映乃)

セットカウント
早大 25-22
23-25
25-21
25-19

中央学院大
スタメン
レフト 加賀優太(スポ4=東京・早実)
レフト 鵜野幸也(スポ3=東京・早実
センター 武藤鉄也(スポ2=東京・東亜学園)
 センター 山﨑貴矢(スポ4=愛知・星城)
ライト  宮浦健人(スポ1=熊本・鎮西)
 セッター 小林光輝(スポ3=長野・創造学園)
リベロ 堀江友裕(スポ2=和歌山・開智)
コメント

加賀優太(商4=東京・早実)

――大幅にサイドの選手を変えての試合となりました

喜入( 祥充主将、スポ4=大阪・大塚)や藤中(優斗、スポ3=山口・宇部商)が合宿やリーグの連戦でコンディションがあまり良くなかったです。今の早大のメンバーなら喜入や藤中を出さなくてもいいくらい良い選手が揃っているので、そういうメンバーに経験を積ませてちょっと新しい風を吹かせるということを意識しました。

――きょうの試合を振り返って

あまり今まで出ていなかった選手なども出ていて、自分も普段オポジットでやっていたのでサイドは慣れていないので不安なところもありました。でも、どのセットも入りはよく入れて、リードした展開で中盤まで行けました。しかし、終盤に差し掛かる17点目くらいのところで4点くらい落とした2セット目は、リードしていたと思うんですけど、そこから(点数を)詰められて逆転されて取られてしまいました。相手がこのセットを取られたくないと強気で来た時に自分たちが受け身に回ってしまい攻め切れていないというのが課題です。

――今まで課題だった試合の立ち上がりは良かったですが要因は

多分、サーブレシーブが返らないという前提で臨んでいる分、スパイカーが苦しいトスがきてもどうにかして決めようという心持ちで臨んでいたのだと思います。センターやきょう初出場だった宮浦(健人、スポ1=熊本・鎮西)もあまりいい状態で打ってはなかったと思うんですが、苦しいところでちょっとひねったり、工夫をしながらやることができたのだと思います。いつもだったらキャッチが返って当然という前提で臨んでるのでちょっと甘いスパイクになって相手のブロックにつかまったりするんですけど、スパイカーがきょうは工夫してたというのがいいかたちで試合に入ることにつながったのだと思います。

――初出場の宮浦選手はのびのびとプレーできているように見えました

彼はめちゃくちゃいい能力を持っていてU19(第11回アジアユース男子選手権)ではキャプテンでエースとして優勝してますしポテンシャルはあると思っています。でも、初出場なのにこんな苦しい状況で出されて自分が宮浦の立場なら嫌だろうなと思っていたので気負わせないようにというのは意識していました。ブロックにつかまってしまったときなどは自分から積極的に「全然気にすることないから一本一本丁寧に」とフォローしていました。

――ご自身のプレーを振り返って

久しぶりにレフトを打ったのでなんとなくトスと合わないなとスパイク練習の時から思っていてあまりいい状態で臨めませんでした。スタートも自分が決められなくて迷惑をかけてしまいました。でも、ポジションが変わっても自分で決め抜くという心持ちは変わらなかったので、技術というよりは全部気持ちで相手のブロックを弾いたり、そういう部分で決め切っていました。

――あすの学芸大戦に向けて

相手がどうくるかということは多少対策して臨むのですが、まずは自分たちが目指しているバレーを春季リーグ戦でまだ完全にはできていないのでそれを1セット目から出せるように。相手も波に乗っていますが、持ってるものはこっちの方が上なのでそこは自信を持って臨みたいと思います。

鵜野幸也(スポ3=東京・早実)

――今季初めてスタメンでの出場となりました

今まで出場していた2人(喜入祥充主将、藤中優斗)とは特徴が違うので、高さや決定力を自分なりに出していければと思って試合に臨みました。

――ご自身のスパイクを振り返って

練習ではあまり決まっていなかったので、少し不安はありました。課題も残る試合とはなりましたが、自分なりに練習から修正できた部分はあったと思います。

――レシーブが乱れる場面が見られました

チームの方針として、レシーブのうまい2人が抜けるということで崩れるというのは前提でみんなでフォローしようというのがありました。加賀さんも決定率は高いので、例えオープン(トス)になっても決めるところは決めて、フォローするところはフォローしてというつもりで臨みました。もともと崩されるという想定はしていたので、レシーブの乱れはそんなに気にならなかったです。

――今までの試合ではセットの入り方に課題を残していました

今日は試合の入りとしては良かったと思います。入りというよりも、リードしてからの中盤で集中力が切れるというわけではないですがだれてしまうところがあったので、そこが課題として残ったと思います。

――2セット目の終盤に逆転を許した要因は精神的な面ですか

自分も含め集中力が切れてしまっているという印象を周りに与えてしまった部分があったように思います。普段出ているメンバーではないですが改善できる部分があったと思います。

――ブロックに関しても難しい部分があったと思います

後半はワンタッチが取れたと思いますが、組織的なブロックができずに1枚でついて決められてしまう部分が多かったと思います。もっとコミュニケーションが必要だったと思います。

――学芸大戦に向けて

内容はともかくとして今日勝てたことは大きかったと思います。それも含め、自分たちの良さが出せればあすも勝ちが付いてくると思います。

小林光輝(スポ3=長野・創造学園)

――サイドの選手が大幅に変更されました

疲労がたまっていたので2人( 喜入祥充主将、藤中優斗)を休ませようということでした。ワセダは同じ練習をしているので誰が出ても一緒ということできょうのメンバーで試合に臨みました。

――変わって入った鵜野幸也選手(スポ3=東京・早実)、宮浦健人選手(スポ1=熊本・鎮西)へのトスについて

幸也に関してはトスはずっと合わせていたので合うと思います。(ジャンプが)高いので高さを生かせるようなトスを意識してあげました。宮浦に関してはまだ入って間もないのでまだあまり合わせていないのですが、左利きなのでそれを生かせるようなトスを上げました。

――メンバーが変わった中でどんなゲームメイクを意識したか

メンバーが大幅に変わってチームのリズムなどは違ったのですが、相手に対してやることは一緒なので僕の中では相手との駆け引きでどれだけ真ん中を使えるかということを意識しました。サーブレシーブが2人(喜入主将、藤中選手)がいなくなったぶん精度が落ちるのでそこはBパスからの展開を意識してやりました。

――きょうの試合を振り返って

全体を通してそれぞれの良さが出てなかったです。宮浦に関しては1年生ながらのびのびとプレーできていたのでそれは良かったと思います。ですが、幸也は持ち味が出せてなかったし、加賀さん(優太、商4=東京・早実)も(先週までのオポジットから変わって)ウイングになったのでそこの良さもまだまだ出てなかったです。良さを出せなかったというのが反省ですね。

――2セット目は後半追い上げられるかたちでの失セットでしたが原因は

2セット目は出だしでリードして勝ちゲームでした。それを負けゲームにしてしまいました。一本のミスで終わらずみんなが萎縮してしまっていました。2セット目は技術うんぬんではなくメンタルの方が8割方大きかったと思います。

――あすの学芸大戦への意気込み

やりたいことや、やるべきことはどこになっても一緒ですけど、確かに波に乗ってる学芸大ですので気を引き締めて自分たちのバレーができたらなと思います。

宮浦健人(スポ1=熊本・鎮西)

――初めてのスタメンでの出場でしたがどのような意気込みで臨みましたか

とにかく思い切ってプレーしようと思っていました。

――緊張感もありましたか

最初の方はやはり緊張していました

――1セット目からスパイクも決まっていました

まだ1枚のブロックに捕まったり、ワンタッチをかけられることが多かったです。ストレートやインナーの精度をもっと高めていきたいです。

――高校バレーとの違いを感じる部分はありますか

周りの先輩に声をかけてもらい、思いっきりプレーができる環境をつくってもらえているので、その部分でのびのびできていると思います。

――サービスエースもありました

序盤は攻めていけたのですが、まだミスもあったのでもっと練習して精度を高めていきたいです。

――次戦へ向けての意気込みをお願いします

学芸戦は1つのヤマとなると思うので、チーム一丸となって頑張っていきたいです。