東海大に惜敗、秋季リーグ戦で初黒星を喫す

男子バレーボール

 春の王者・筑波大をストレートで下し、首位に向かって波に乗る早大。互いに負けなしの東海大との一戦、勢いそのままに勝利を収めたいところだったが、相手のサーブや高さに翻弄(ほんろう)される。フルセットの激闘(25-20、16-25、25-19、18-25、13-15)を繰り広げた末、惜敗した。

 今季の早大の好調を象徴するように、第1セットから選手たちは積極的に声を出し、チームには活気があった。山﨑貴矢(スポ3=愛知・星城)の速攻で先行すると、サーブで崩しながら常に相手をリードする展開で1セットを先取した。続く第2セット、相手のサイドアタッカー陣が奮起。高い打点から鋭角に打ち込まれるスパイクに、早大も粘りのレシーブを見せるが、終始後手に回ってしまう。16-25という大差でこのセットを落とした。このまま流れを明け渡したくない第3セット、序盤から相手の猛攻に苦しめられる。しかし早大もこれまでの秋季リーグを通して自信を得た『全員バレー』で食い下がる。シーソーゲームを展開するが、その均衡を破ったのは藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)のスパイクだった。腕をしっかりと振り抜き、打ち込む。その後は山口頌平主将(スポ4=長崎・大村工)のサービスエースなど計5連続ポイントで突き放しセットカウント2-1とする。

渾身のクイックを見せた山﨑

 第4セットは序盤からブロックが機能せず、またも相手のペースになってしまう。山口がガッツ溢れるレシーブでチームを鼓舞するも、流れを自分たちに引き寄せることができない。レセプションも安定に欠け、好調かと思われた藤中のスパイクも相手ブロックにつかまり始め、連続で7失点。相手の好サーブに苦しめられて最後はノータッチエースを許し25点目を献上してしまう。試合はフルセットにもつれ込んだ。中盤まで互いに譲らず接戦を繰り広げるが、サーブミスの隙をすかさず相手に攻め込まれる。センターの移動攻撃などの多彩な攻撃に苦戦。じわじわと点差を広げられ、今季初の黒星をつける結果となった。

レシーブに苦しんだ加賀に代わり率先してボールを取りに行く藤中

 試合後、選手たちは悔しそうに天を仰いだ。しかしこの敗戦で見えてきた課題は、順位争いに向けて重要な意味を持つ残り3戦で、必ず選手たちの糧となっていくはずだ。優勝への道はまだ途絶えていない。来週までの一週間でさらに成長を遂げ、その道を駆け抜けてほしい。

(記事 吉澤奈生、写真 渡辺新平、藤原映乃)

*掲載が遅れて申し訳ありません

セットカウント
早大 25-20
16-25
25-19
18-25
13-15

東海大
スタメン
レフト 加賀優太(商3=東京・早実)
レフト 藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)
センター 加藤久典(スポ4=東京・早実)
センター 山﨑貴矢(スポ3=愛知・星城)
ライト 田中健翔(スポ4=熊本・鎮西)
セッター 山口頌平(スポ4=長崎・大村工)
リベロ 堀江友裕(スポ1=和歌山・開智)
コメント

山口頌平主将(スポ4=長崎・大村工)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

終盤にあっちが思い切りサーブで攻めてきて、それでサービスエースや崩されて連続失点がありました。4セット目は中盤まで勝っていたのに5、6失点で逆転され相手は勢いに乗り、自分たちは悪い流れになってしまいました。気持ちの面であっちが攻めてきて、それを押し返す力がありませんでした。こっちのサーブのことやブロックのつき方など徹底すべきことがまだまだ全然できていないので、対策したことを一生懸命やった結果負けたというよりも終盤にそれを徹底できなかったことが悔しい結果につながったと思います。

――相手のサーブにレシーブを乱されると難しいトスになったと思いますがどのようなことを意識してやられましたか

なかなか良い状態でトスを上げるとこができなくて、相手のブロックを見る余裕もなかったです。でも、あれだけ(サーブで)攻められて、(サーブが)入るとAパス持ってこいというのはきついと思うので、そこでしっかり思い切り気持ち良く打てるように丁寧に上げていかなければなりません。スパイカーが打ち切ったり、リバウンドを取って攻め直すというプレーがなかなか無くて、単発単発のミスだったりスパイクをプロックでシャットされ連続得点を取られるのでそこをもう一回やっていきたいです。強いチームというのはサーブが強いと思うので、もう少し我慢して1回で決めるのではなく、何回も粘って粘って1点取っていかないと自分たちは勝てないと思います。そこの部分が足りなかったかなと思います。

――4セット目の中盤には粘りに粘り1点を取りました

結果的にそういう姿を見せることができたならそれでいいんですけど、その時は戦っいてただ負けたくないという気持ちで、落としたくないという思いだけでした。

――加藤選手(久典、スポ4=東京・早実)とのトスが少しあっていないように感じましたがいかがでしたか

マークがきつい場面もあってなかなか良い状態では打たせられていないのでそこを修正していきたいです。

――残り3試合となりましたがきょうの一敗を受けてこれからどのようにチームをまとめていきたいですか

最後のリーグ戦も残り3試合となって、今週が始まるまでは全勝のチームが3チームいてセット率、得点率などで3位でした。勝敗の数では1位と同じだったのですが今週が終わって勝ち星の差で1位の座を渡し、自分たちの順位が落ちてしまいました。リーグ戦も残り3試合で全勝中の東海大も何があるかわからないし、自分たちもこれ以上負け星がつけば優勝争いに絡めなくなってしまいます。なので、毎回のことですが自分たちのやるべきことを目の前の試合で全力を出していきたいです。順位が良い方に転ぶか悪い方に転ぶかはわからないですが、きょうみたいに競った試合で勝ちたいので、競り勝てるチームにしていきたいと思います。

山﨑貴矢(スポ3=愛知・星城)

――きょうの試合を振り返ってみていかがですか

全然勝負強さがないということがきょうの試合で分かりました。気の緩みが出て、それで向こうに追い付かれたらそれを押し返すだけの力が自分たちにはありませんでした。

――第4セットで特にそれが出てしまったのでしょうか

そうですね。第4セットは特に自分たちの力強さが出ませんでした。

――強力なサイドアタッカーがいる東海大ですが、どのような対策をされましたか

サイドを止めるとかいろいろ決めてそれなりに対策をしていたのですが、それが全然機能しませんでした。結局その作戦通りにできなかったからずるずる最後までいってしまいました。

――ご自身のクイックを振り返ってみていかがですか

きょうは自分自身そんなに良くありませんでした。チームに貢献できなかったと思います。

――第4セットはなかなかローテーションが回らない場面がありました

レシーブが返れば良かったのですが、返っていなかったときに自分は何もできないというところがあったので、そこで他の選手を鼓舞することができればチームの中心になれるんじゃないかなと思いました。

――きょうはご自身のサーブからブレイクする場面がありました

ブレイクするところはしていたのですが、最後の第5セットの9-7くらいのところでサーブミスをしてしまいました。自分のサーブミスで流れが変わってしまった部分があります。良い場面で決められないのが自分の弱いところだと思います。

――来週の試合に向けて意気込みをお聞かせください

優勝がないわけではないので、残り3戦を全勝して優勝したいと思います。

加賀優太(商3=東京・早実)

――今回の結果どのように受け止められますか

勝てる試合を落としてしまい、自分たちでも悔しい結果となってしまいました。

――ご自身のプレーに関しては振り返っていかがですか

前の試合もそうだったのですが、自分自身思うように活躍できず、周りに助けてもらう場面が多かったです。レセプションでも藤中(優斗、スポ2=山口・宇部商)に負担をかけたり、ラリー中でもスパイクを決めきれず他の人に点数を決めてもらったり、自分が活躍できずに周りに迷惑をかけていると思うと申し訳ない気持ちです。

――周囲から言葉をかけられたりされましたか

自分に対しては特に松井さん(泰二監督、平3人卒=千葉・八千代)がいつも思い切ってやれと声をかけてくれます。

――チームの敗因は何だとお考えですか

やはり4、5セット目でこちらがリードした時に相手の連続ポイントを許してしまい、悪い流れを断ち切る力が自分たちになかったのが敗因かなと思います。

――東海大のサーブや高さに対する具体的な対策はどのようなものがありましたか

ミーティングでは相手のセンター2枚がAクイックをベースにかなり叩いてくるので、それをレフトがヘルプに行って対応するという形を取る予定でした。でも試合をやってみると相手のライトの得点力が高いという印象だったので、対策をレフトがライトに集まるよう変更したのですが、最後までうまくいかなかったです。

――今回の敗退から見えた課題はありますか

ここから相手はサーブで攻めてくることが多いと思うので、レセプションは乱れることがあると思うのですが、そういった場面でスパイカーがどう工夫して決め切るかが大事だと思います。今回もレセプションが乱れてから相手ブロックにシャットされて連続失点してしまいました。セッターの立場からしても、どこに上げていいのか迷ってしまった部分はあると思うし、スパイカーも決めにいった結果ではあると思うのですが、工夫が足りなかったのでそういうところですね。

――反対に良かった点はありましたか

この試合通してセットの入り方は良かったですね。サーブで崩してダイレクトで決めたりするなど、良いかたちでできたと思います。

――残り3試合重要な試合になってくると思います、意気込みをお願いいたします

まだ優勝がなくなった訳ではなく、ここからはセット率も大切になってくるので、1セットも落とさず、最低限全勝できるように頑張りたいです。

藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)

――きょうの振り返りをお願いします

4セット目、5セット目にキャッチで乱されて自分たちのバレーができなかったというのがきょうの一番の反省点です。

――ご自身のスパイクはいかがでしたか

4セット目、5セット目、苦しい場面で決めきれなかったんですけど、その部分を残り3戦ありますけど切り替えてやっていけたらと思います。

ーー4セット目の終盤、連続でブロックされる失点がありましたが

キャッチを乱されて僕がスパイク打つというのが僕自身も一番苦しくなってしまうので、来週明大と日体大と当たりますが、やはりまずはキャッチをしっかり返すことを、この一週間でやっていきたいと思います。

――5セット目は緊迫した戦いでした

4年生のためにもっていうのも大きかったんですけど、やはり自分自身キャッチを乱されたというのでいっぱいいっぱいになってしまった部分があるので、キャッチをしっかり返していきたいと思います。

――次は日体大との戦いですがどのように立て直していきたいですか

この一週間、もう一度キャッチとディグ、ブロックの練習をすると(ミーティングで)言っていました。普通のときは返せても、終盤の競った場面で乱されることがあるので、僕自身が練習の時からキャッや乱れたボールをしっかり打ち込むことを心がけてこの一週間やっていきたいと思います。