気持ちで戦い決勝への切符をつかみ取る

男子バレーボール

  東日本大学選手権もいよいよ準決勝。筑波大との激戦を制し勢いに乗る早大が対するは東海大だ。一進一退の攻防が続く中、第1、2セットを連取する。第3セットは相手への対応の遅れや単調な攻撃でセットを落とすが、第4セットは田中健翔副将(スポ4=熊本・鎮西)らスパイカーが奮闘しセットカウント3ー1(25ー22、25ー22、18ー25、25ー20)で勝利し2年連続の決勝進出を決めた。

 センターの主力選手を1人欠きながらも、強力なウイングスパイカーを擁する東海大との一戦、試合は序盤から点数を取っては取られてのシーソーゲームとなる。「春季リーグ戦(春季関東大学リーグ戦)でも勝ってはいるので狙う選手やブロック絞る選手というのは分かってはいました」(山口頌平主将、スポ4=長崎・大村工)と語るようにチーム全体でコミュニケーションをとりながら落ち着いて、適切な対応を見せる。「飛ばないといけないので、本当に結構きつかった」と言った喜入祥充(スポ3=大阪・大塚)や藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)らトスが上がってくる数の多い選手たちは、自らレシーブをしっかりとセッターに返すことでセンター攻撃の選択肢を増やし、相手ブロックの枚数を減らすことでジャンプの軽減に成功。山﨑貴矢(スポ3=愛知・星城)はサーブで相手を崩すと、ブロックの的を絞りワンタッチを取っていく。山﨑、喜入のサービスエースで頭一つ前に出ると、そのリードを守り切り25ー22で第1セットをものにする。続く第2セットでもチームとしての決まりごとを統一することで得点を積み上げていく。前に行われた筑波大戦での活躍が評価され東海大戦ではスターティングメンバーとして登場した加賀は途中足がつり、万全の状態でスパイクを打てない代わりにレシーブでの貢献を見せた。終盤、東海大がブロックポイントで追い上げるものの、負けずに粘り強く戦いこのセットも奪取した。

万全の状態でない中、全力でスパイクを打つ田中

 第3セットは前の2セットを取ったという気の緩みと連日の試合での疲労からか、序盤から東海大の猛攻を受ける。相手のサイドアタッカー陣に強烈なスパイクを打ち込まれ反撃の糸口を見い出せない。相手のセンターも効果的に機能し、ブロックを散らされてしまう。ここで加賀と交代で田中を投入。自分の役割は入った瞬間から声を出すことでみんなを活気づけること、と田中は声を出してチームを鼓舞する。プレー面でも、乱れたトスを打ちに行く姿勢や気迫で4年生としての気持ちの強さを見せた。第3セットは18ー25と突き放されて落とすも、その田中の気持ちはチームの中で伝染し、次のセットへとつながった。第4セットでは喜入、藤中らサイド陣が奮起。疲労がありながらも1点ごとに大きく喜びを爆発させる。レシーブでも粘りを見せ、第3セットの勢いそのままに攻め込んでくる東海大のミスを誘う。最後は藤中が難しいトスを打ち抜き、勝利を手にした。

1点1点声を出して喜ぶ選手

 連覇の懸かる今大会。疲労もあるが、前半戦最後の大会を最高の形で締めくくりたい。相手は今季、勢いのある日体大だ。春季リーグ戦の順位は早大よりも上の2位である。番狂わせを起こすためには、見つけた課題を一つ一つ修正しなければならない。全部を出し切り最高の笑顔で頂点に立って欲しい。

(記事 藤原映乃、吉澤奈生、写真 渡辺新平、太田萌枝)

セットカウント
早大 25-22
25-22
18-25
25-20

東海大
スタメン
レフト 喜入祥充(スポ3=大阪・大塚)
レフト 藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)
センター 加藤久典(スポ4=東京・早実)
センター 山﨑貴矢(スポ3=愛知・星城)
ライト 加賀優太(商3=東京・早実)
セッター 山口頌平(スポ4=長崎・大村工)
リベロ 堀江友裕(スポ1=和歌山・開智)
コメント

山口頌平主将(スポ4=長崎・大村工)

――決勝進出を決めた率直な感想をお願いします

チーム全体としても決勝というよりは目の前の筑波大戦、東海大戦に集中した結果だと思います。

――筑波大戦の勝因は何でしょうか

春季リーグ戦(春季関東大学リーグ戦)で筑波大に負けて、つぶさないといけない選手は分かっていました。1セット目では分かっていながらなかなかブロックとレシーブが機能せず負けてしまったのですが、ブロックのマークや手の出し方でだいぶ対応できました。筑波大戦で勝てたので勢いづけたかなと思います。

――対応力が見られた試合だったと思います

「もっとこうしよう」とか「手の出し方もこう」「マーク厚くしよう」とかそういう声が試合をこなしながら徐々に出てきていると思います。やっぱりコミュニケーションやチーム全体でどうしようか話していけているのがいい結果につながっているんじゃないかと思います。

――山﨑貴矢選手(スポ3=愛知・星城)とトスが合わない場面が見られましたが、レシーブの乱れが原因でしょうか

ジャンプサーブで攻めてくるチームなのでサービスエースも何本かありましたが、あの強さだと仕方ありません。レシーブは頑張っていたと思います。難しい場面で上げているということもあるのですが、ザッキー(山﨑貴矢、スポ3=愛知・星城)はもうちょっと余裕のある時に使えばもっと良くなると思います。(山﨑は)サーブやブロックでよく頑張ってくれているので。クイックが合わないのは自分が修正すればいいことなのでもう1回整理してやっていきたいと思います。

――攻撃のバリエーションを増やすことを意識していると思うのですが、きょうは時間差など多彩な攻撃が見られました

身長では全然相手の方が大きいし、単調な攻撃をすると身長が高い方がやはり勝つと思います。できるだけ移動させたりとかセンター中心にサイドを動かしたりと工夫しながら自分がやっていけたかなと思います。

――東海大戦を振り返っていかがでしたか

大きいセンターがいるんですけど、代表の合宿で一人抜けていたので負けるわけにはいきませんでした。春季リーグ戦でも勝ってはいるので狙う選手やブロック絞る選手というのは分かってはいました。それができれば取ったセットみたいに勝てはするんですけど、その決まり事がおろそかになると3セット目みたいな崩れ方をしてしまいます。一人一人の力でいうと向こうの方が全然大きいし、パワーもあってすごいのでチームとして戦えないときつい部分があります。最後までチームとして戦うことを意識してやっていきたいなと感じました。

――東海大戦での第3セットの敗因は具体的に何だったのでしょうか

さっきみんなで3セット目で勝たなきゃいけない試合だったねという話が出ました。ブロックフォローのサボりや気持ちの面でもどこか休んでしまうというか油断する部分があったんじゃないかと振り返って思います。バレーボールはサボりとかそういうミス一つで流れが変わるスポーツだと思うので、あすは最後の1点が決まるまで集中した状態を維持しないと勝てないと思うのできょうしっかり休んで頑張りたいと思います。

――あすの決勝への意気込みをお願いします

連覇というのもありますけど、春季リーグ戦も6位で終わって次に当たる日体大は春季リーグ戦での順位は自分たちよりも上なのでチャレンジャーとして戦いたいと思います。きょうみたいに目の前の試合に集中して戦うということが最後までうまくいけば勝ちや優勝につながると思います

田中健翔副将(スポ4=熊本・鎮西)

――きょうは今大会の制覇において重要な試合でしたが、どのような気持ちで臨まれましたか

なかなか調子が上がらなくて、加賀(優太、商3=東京・早実)と交代しながら出ているという現状でした。でも最後の東日本インカレ(東日本大学選手権)ですし、4年生として副キャプテンとしてしっかり役割を果たそうと思っていました。4年生としての気持ちを出して頑張ろうと思い、臨みました。

――筑波大戦ではその加賀選手と途中交代されていました

交代した加賀がしっかりとチームのために頑張ってくれて、チームが勝つことができたので、後輩たちには本当にお疲れ様と伝えたいです。僕自身も東海大戦ではまた出させていただいたので、2人で一つという感じで頑張っていけたらと思います。どっちが出てもチームのためになるならいいかな、と思います。

――東海大戦には気持ちをどのように切り替えて臨まれましたか

2セット取っているというのと、みんなの疲労が見え始めていたので、最後は勢いで取るしかないと思いました。だから入った瞬間から声を出すことでみんなを活気づけられたらと思ったので、これを取ったら終わりだぞ、と声掛けしました。

――連日の試合でやはり疲れが溜まってらっしゃいますか

やはりみんなだいぶ疲労はあると思います。ワセダというチームは大きい選手がいないので、その分動いていかないといけないので。

――東海大戦では調子が上がってきているように感じましたがご自身で振り返って

筑波大戦、自分が出られず勝利したという結果に正直悔しい部分がありました。加賀が足をつりながらも頑張ってくれていたので、その姿に自分も活気づけられました。出る機会があれば思い切りやろうと思っていたので、それが結果につながって良かったです。

――苦しいトスも打ちにいこうという姿勢や、1点ごとに喜ぶ姿が印象的でした

気持ちで戦おうと思ったので…本当に気持ちだけでやってましたね(笑)。

――3セット目は点差がついて敗れましたが振り返って

2セット取って安心したのか、みんなの足が止まってしまっていました。落ちるべきでないボールが落ちたり、スパイクも打ち切れていなかったり、コミュニケーションも取れていなかったです。そのあまり良くない雰囲気を監督も感じ取って、入れてもらえた感じです。自分の中では3セット目はもう次のセットのための雰囲気作りという風に考えていました。まあ、自分が4年生として雰囲気作りを頑張ろうという気持ちもあったのですが、3年生が頑張る時期だということを監督も重視されていて、一時期3年生がメニューを組んだりもしていました。なので4年生はチームを支え、3年生はチームを底上げしてできたことがきょうの良い結果につながったのではないかと思いますね。

――あすへの意気込みをお願いします

連覇ということはそれほど意識せずに、自分たちのやってきたことを全て出し切れるように精一杯やり切りたいです。

加藤久典(スポ4=東京・早実)

――きょうはどのような意気込みで試合に臨みましたか

去年4年生に決勝に連れて行ってもらったのでことしは僕らが後輩に決勝の舞台を味わわせてあげたいと思っていました。

――個人としての目標は何かありましたか

ブロックとクイックでチームの流れを良くするということと、あとは4年生として引っ張ることです。

――今お話にもあったブロックとクイックでたくさん得点していましたが、ご自身ではいかがでしたか

きょうは割り切って良い意味で何も考えずに頑張れたので良かったです。

――準々決勝の筑波大戦で特に意識したことはありますか

僕のクイックが通らないと周りが生きないので、僕のクイックがカギだと思っていました。あとはブロックでポイントを稼ぐことが重要だったので貢献できて良かったと思います。

――筑波大に勝利した率直な感想をお願いします

勝利して良い流れができたことで、東海大戦でも1セット目から良い形で入れたと思います。

――1日に2試合ありましたが疲労などは大丈夫でしたか

僕はセンターなので大丈夫でしたが、他の人たちが結構きつそうだったので僕が頑張ろうと思いました。

――あしたの決勝への意気込みをお願いします

あしたも勝てるようにしっかり準備していきたいと思います。

加賀優太(商3=東京・早実)

――昨日からプレー面で意識的に変えたところはありますか

相手のブロックが高くなってくるので、落としすぎないように自分の高さを生かして奥を狙って、決め切れるようなスパイクを心掛けていました。

――きょう特に意識したことはありますか

筑波大に1セット目取られてチームに勢いがなかったので、2セット目から入った僕がチームを引っ張っていく、雰囲気を良くすることを意識していました。

――きょうは特にスパイクの本数が多かったですが、疲労などはありましたか

自分の体が弱いというのもあるのですが、準々決勝から準決勝の間で自分のコンディションをうまく整えられなくて準決勝ではチームにあまり貢献できませんでした。

――準決勝はスターティングメンバーとして出場されましたが、それは準々決勝のプレーを受けてのことですか

自分がスタメンで出るという方針は今いまでなかったのですが、1試合目で活躍した評価もあったかもしれません。今までスタメンだった田中さん(健翔副将、スポ4=熊本・鎮西)があまり持ち味を出せていないというのもあったと思います。

――きょうの2試合を通して良かった点はありますか

もともとやっていないポジションでしたが、筑波大戦では思い切ったプレーが決まったのがよかったと思います。準決勝ではスパイクはあまり決まりませんでしたが、レシーブ面で多少は貢献できたかなと思います。

――あしたの決勝に向けてチームとして意識したいところ、個人として意識したいところそれぞれ教えてください

チームとしては連覇がかかっていますが、そこまで意識せずに挑戦者として戦っていければいいかなと思います。個人としてはスタメンで出るかリザーブで出るか分かりませんが、どちらにしてもチームに勢いを持たせられるように頑張りたいです。

喜入祥充(スポ3=大阪・大塚)

――2日連続で1日に2試合というスケジュールでしたが疲労の影響はありましたか

飛ばないといけないので、本当に結構きつかったです。

――疲労がある中、何を意識しましたか

1本目をしっかり返すことで自分自身も楽になりますし、相手(に対して)もセンターがあるという選択肢があるだけで、自分たちが楽になるので1本目だけはしっかりセッターに返そうという意識はしました。

――筑波大戦へはどのような意気込みで臨みましたか

春季リーグ戦(春季関東大学リーグ戦)では3ー0で負けていたので、チャレンジャーという気持ちで、勢いよくいけたらなと思いました。

――筑波大戦では3セット目以降しっかり打ち切れる場面が増えたように思いますが、理由はありますか

気持ちです。決まらない時もあれば決まる時もあるので、そこは気持ちの面でしっかり攻めるということと、大事な場面でしっかり自分が決めていければいいなと思います。

――サーブで狙われる場面もありましたがどのような考えでプレーされていましたか

狙われても返せば問題ないので、しっかり返そうと思っていました。

――東海大戦では第4セット目にブロックポイントが目立ちましたがチームとしてどのような意図を持っていましたか

3セットもやって相手の打ってるコースが分かってきてデータとしても出ていたので、そのデータ通りにしっかりブロックしようということで、それが生きていたと思います

――連続失点をご自身のスパイクで断ち切る場面もみられました。それについてはいかがですか

スパイクを決めてこそのエースなので、そこは自分の仕事がしっかりできたと思います。

――あす勝てば連覇となります。意気込みをお願いします。

あすは1試合だけなので、出だしから勢いよく自分たちのバレーが出来るように頑張っていきたいと思います。

藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)

――2日続けて、5セットマッチの試合を2試合戦いましたが、疲労はいかがですか

5セットマッチを2試合、2日間続けてやるというのは、きついものがありました。ただ、それは僕だけ、僕らだけではありません。終わってからのケアや準備をしっかりとやってきたので、気持ちの面では負けることなくできたと思います。

――筑波大戦を振り返ってみていかがですか

春季リーグ戦(春季関東大学リーグ戦)では負けてしまったので、チャレンジャーの気持ちで向かっていこうと思っていました。サーブレシーブから1本で切り、雰囲気をつくれて戦えたと思います。

――ご自身のレセプションを振り返ってみていかがですか

合格点はあげられませんが、要所ではしっかりと返せたと思います。ただ、まだまだセッターに返せるボールを返せていないので、そこはしっかりと詰めていきたいと思います。

――試合中には、山口頌平主将(スポ4=長崎・大村工)からレシーバーのポジショニングについて指示が出ていたように見えましたが、どのような内容だったのでしょうか

相手スパイカーの特徴がデータでちゃんと出ていましたが、僕が入れていなかったので、「もう少し寄れ」といった指示をいただきました。

――準決勝の東海大戦を振り返ってみていかがですか

お互い疲労があったと思います。春季リーグ戦では勝ちましたが、チャレンジャーの気持ちで思い切り攻めていこうと心掛けていました。

――強力なウイングスパイカーがいるチームですが、どのように対応されましたか

まず、サーブでしっかりと狙いました。あとはブロックです。アナリスト陣がデータを取ってくれているので、例えば「クロスに打ってくるのであれば、しっかりと止める」といったことを全員で統一できたのが良かったと思います。

――きょうはサイドアタッカーが中に切り込むシーンが目立ちました

3セット目は単調になって、セットを取られてしまいました。何か変えていこうということで、特に4セット目は(スパイクに)真っすぐ入っていくのではなくて、時間差を含めて入りました。それは良かったと思います。

――あすは連覇を懸けた一戦となりますが、意気込みをお聞かせください

連覇が懸かっていますが、去年とは違うチームなので、僕らのバレーをして優勝を目指していきたいです。