悔しい敗退、多くの収穫を得たリーグ戦終幕

男子バレーボール

 春季関東大学リーグ戦(春季リーグ戦)を締めくくるのは、強敵・筑波大との一戦だ。序盤からシーソーゲームを展開するも、自分たちの小さなミスが重なり相手にリードを許す。最後まで明け渡してしまった流れを引き戻すことはできず、ストレートで敗れ(23-25、13-25、26-28)6位という悔しさの残る結果で今大会を締めくくった。

 敗因は「自分たちのミス」と4年生は口を揃えた。第1セット序盤はサーブでレシーブが乱され、スパイカーが相手ブロックに捕まり、失点を許す。しかし山﨑貴矢(スポ3=愛知・星城)も負けじと突き刺さるようなサーブを相手コートに打ち込む。山口頌平主将(スポ4=長崎・大村工)が多様な攻撃を展開しようとするも、要所でサーブミスやネットタッチなど、ミスが出てしまい連続得点が奪えない。シーソーゲームとなるが、自分たちのミスで相手に献上した得点は重く、23-25で第1セットを落とした。

状況を打開するため指示を出す山口

 続く第2セットもサーブレシーブが安定しない。さらにセンターにもしっかりとマークにつかれ、サイドを使う単調な攻撃となってしまう。得点率が高いチームの大黒柱となるべき田中健翔副将(スポ4=熊本・鎮西)、加藤久典(スポ4=東京・早実)の4年生2人がなかなか要所でポイントできず、相手から突き放される。加賀優太(スポ3=東京・早実)を投入して流れを変えようと試みるも、一度勢いに乗った筑波大を止めることはできなかった。13-25という大差で失セット。後が無くなった早大、迎えた第3セットは第1セット同様、得点を取っては取られる両者一歩も譲らぬ展開となる。好調の山﨑はサーブや速攻で得点を重ねるが、ここでまたしても今大会通しての課題が浮き彫りとなる。4年生の軸のぶれだ。「安心感を持たせられるようなプレー」(山口)をすることができずチームの流れを引き寄せることができない。デュースへともつれ込むも、粘りを見せきれずストレートで敗れ、早大は6位で春季リーグ戦を終えた。

力強いサーブで相手レシーブを崩した山﨑

 春リーグ中、様々な試合を経験した早大。格下相手に敗れる試合もあれば、黒鷲旗全日本男女選抜のようにVリーグ相手に善戦する試合もあった。どちらの経験も糧となり、必ず早大を成長させることだろう。そして4年生たちは最上級生としての重みを知った大会でもあったはずだ。4年生としての自覚を持ってプレーし、背中を見せてチームを引っ張っていくことで、結果はきっと良い方向へと向かっていく。これからさらなる飛躍を遂げるだろう早大バレーボール部から目が離せない。

(記事 吉澤奈生、写真 喜田村廉人、本田理奈)

セットカウント
早大 23-25
13-25
26-28

筑波大
スタメン
レフト 喜入祥充(スポ3=大阪・大塚)
レフト 藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)
センター 加藤久典(スポ4=東京・早実)
センター 山﨑貴矢(スポ3=愛知・星城)
ライト 田中健翔(スポ4=熊本・鎮西)
セッター 山口頌平(スポ4=長崎・大村工)
リベロ 堀江友裕(スポ1=和歌山・開智)

最終結果

6位 6勝5敗

個人賞

セッター賞 山口頌平主将(スポ4=長崎・大村工)

セッター賞を受賞した山口

コメント

松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

やっぱり開幕当初からの、4年生が自分たちで得点を取ってチームを引っ張ることができていないという問題が最後までありました。プレーの面では逆に足を引っ張ってしまっていて、情けないですね。

――リーグ戦の結果を受けていかがですか

自分たちのやってきたことが出せない。相手じゃないんですよね。自分たちのやってきたことを全部出す、軸をぶらさないということを目標としていました。しかし結局、4年生の軸がぶれちゃう、そうすると下級生が思い切ってできないんですね。4年生がミスをして点数を出していれば、当然下級生は点を出しちゃいけないから、小さいプレーになっちゃうんですよね。その責任というものがまだまだ(4年生は)わかっていないので、その問題をクリアできない限りこのチームは強くならないと思います。

――春のリーグで成長を感じた選手は

山﨑(貴矢、スポ3=愛知・星城)が良くなりましたね。それと堀江(友裕、スポ1=和歌山・開智)ももともと良いものがあったんですけど、だいぶリベロとして一本目を積極的に取りにいこうという気持ちが見えてきたので、この二人に関しては満点をあげていいと思います。

――山﨑選手については具体的にどのあたりで成長を感じましたか

まず攻撃ですね。攻撃のスピードとか、与えられたことをきちっとこなそうというところが見えてきました。彼はもともと頭のいい選手なので、そういう部分で自分の役割をきちんとやろうという志があって、そして結果が出てきたんだなと考えています。

――リーグ戦でチームに足りなかった点は

リーダシップとスキルですね。もうそれについてもっともっと悩まなければいけないんだけれども、まだ悩み方が足りないと思います。チームをつくるってそんな甘くはないので。

――具体的な課題と収穫は

収穫は、上位にあるチームと対等に戦えたり、勝つことができる力があるということですね。だけれども一瞬気が緩んだりとか、あるいは調子が悪ければ、自分の気持ちがコントロールできないっていうのが課題ですね。いつも4年生が高い緊張感を持つことが、チームにとっては大事だと思いますね。

――東日本インカレに向けて必要なことは

基礎基本をずっとやってきたので、練習でやってきたことを全て出し切るということ。そういうことでいいかと思います。でもきょうなんかも練習でやってないことを急にやり始めたりだとか、自分を信じられないような選手に成長はないと思うんですね。自分がやってきたことを出し切るということが前提ですね。

山口頌平主将(スポ4=長崎・大村工)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

優勝した筑波大との試合だったんですけど、サーブを入れていかなければいけないところでミスが出たり、要所でネットタッチや線を踏んだりというミスが出てしまうのが逆転できなかったり、弱い理由かなと思いました。

――筑波大は高いブロックがあるチームですが、どのようなことを意識してトスを上げましたか

(筑波大は)どこをマークするかということがはっきりしているチームなので、サイドをマークしているときはセンターの動きだしが速かったりするので、しっかりためながらやりました。要所で速攻は通せてたと思うんですけど、向こうに比べてこっちの連続得点が少ないので、そこが差をつけられない理由かなと思います。

――2セット目はサーブレシーブの乱れというのが大差での失セットにつながったと思いますがいかがですか

1セット目、3セット目は結構集中して、我慢して返してくれてたと思います。でも、やっぱり2セット目ぐらいの返球率になっちゃうと相手はブロックとレシーブの関係がすごくいいチームですので、二段トスとかになっちゃうとなかなか点数につながらない場面が多くなります。そこはキャッチする三人に頑張ってもらうしかないと思います。

――1セット目、3セット目は接戦となりましたが、最後決めきるために必要なことは何でしょう

サーブを攻めるのか、入れるのか。入れるんだったら絶対に入れて、だれを狙うのかというのをはっきりさせないといけません。ブロックもときにはどこかを捨てながら、どこかのマークを厚くしなければならなかったり、コースをブロックでふさぐなら、抜いてきたコースのレシーブをしっかり上げるとか、そういうチームとしての連携や意識の統一が大切です。筑波大はどっちのコースをブロックで止めて、抜いてきた方をレシーブに入るとかが徹底しているなと戦いながら感じました。自分たちはそれが徹底できていなかったので、そこの差だと思います。

――リーグ開幕当初から4年生の自覚が大切だということを何度もおっしゃられていましたが、変化はありましたか

うちの得点源はやっぱり加藤(久典、スポ4=東京・早実)とか田中(健翔副将、スポ4=熊本・鎮西)だと思うんですけど、その2人にミスが出ると厳しいです。最終的に苦しい場面では自分も信じる選手はその2人だし、その2人に限らずチームとしてのむらを無くすことが一番だと思うんですけど、やっぱり4年生がもっとコンスタントに決めて、みんなにそれくらいの安心感を持たせられるようなプレーをしていかないといけません。下級生の 喜入(祥充、スポ3=大阪・大塚)や藤中(優斗、スポ2=山口・宇部商)は最後に難しいボールを託すとかそういう選手ではないと思います。最後決めきるのはやはり田中や加藤だと思いますし、自分もそこを信じて上げたいし、そこを決めさせるだけの信頼関係をつくっていきたいなと思います。

――春リーグ(春季関東大学リーグ戦)や黒鷲旗(黒鷲旗全日本男女選抜)を通して見つかった課題と収穫は何でしょうか

課題はやっぱり良い悪いのむらですね。良いときは黒鷲旗みたいにVリーグの相手からもセットを取れたりだとか、東海大に、ストレートで勝ったりという試合もできるのですが、悪いときは下位のチームに負けてついた黒星というのが6位という結果にもつながってると思います。そういう上と下の調子の差が大きすぎるところが課題です。練習からもっと簡単なミスやむらのある選手をみんなで見逃さず、チームで注意しあえるようにしていかなければいけません。ミスやむらを見逃してしまう環境が試合にも出てしまっているということが4年生でミーティングをして出たことなので、そういうのをもっと詰めながらやっていこうと思います。本当に問題なのは相手どうこうというよりも、自分たちの力がどう出せるかということが結果につながっていると思うのでそこを詰めていきたいです。

――最後に、東日本インカレ(東日本大学選手権)に向けての意気込みをお願いします

自分とか加藤が教育実習に行ったりとか、Uー23などの合宿で抜ける選手とかがいて、チームで練習できなくなる期間が結構増えます。それでも、それぞれの舞台でワセダのことを一番に考えながらやって、また集結したときに東日本に向けて今回春リーグを6位で終えてしまったことの悔しさと、見つかった課題に一人一人が真剣に向き合って練習して、東日本ではまた切り替えていきたいです。東日本でこそ結果で表せるように頑張りたいと思います。

田中健翔副将(スポ4=熊本・鎮西)

――筑波大に対してどのような対策を考えて臨まれましたか

筑波大はセンター線がとてもしっかりしているチームなので、先にサーブで攻めていこうというのと、ブロックではコース締め、この選手にはこのコースであの選手にはあのコースというのを明確にして試合に臨みました。

――相手ブロックは高さもありますがそこの対策は

セッターの中根選手とオポジットの小池選手は比較的筑波大の中では身長が低い選手なので、その低いところをしっかりと攻めていくつもりでやりました。

――1セット目はシーソーゲームの展開になりました

最初山﨑がサーブをしっかりと打ち込んでくれて、序盤からいい立ち上がりで進めることが出来たのですが、そこからサーブミスが7本くらい出てしまい、ネットタッチやラインクロス、スパイクミスなどで合計12点くらいを相手に与えてしまっていて、接戦にはなったのですが、自分たちのミスが敗因につながってしまったのではないかと思いました。

――2セット目はミスもあり点差を大きくつけられてしまいました

1セット目はサーブを攻めてサーブミスが出てしまったので、サーブキープで入れに行くようにはしていました。確かに1セット目に比べてサーブミスは少なかったのですが、こっちがキープの姿勢になった分、そこに相手がつけ込んできたかなと思います。それに対して相手はサーブを攻めてきたのでキャッチを乱されてしまって、相手に攻め入られてしまったのが2セット目でしたね。

――2セット目から3セット目に入る時、チームで何か話し合いましたか

反省すべきところを振り返ってから、3セット目は切り替えていこう、もう一度声をすっかり出して勝負していこうと言ってコートに入りました。

――3セット目は2セット目より良い試合展開となり、要所でのポイントも見られました

最後の方は結構決められていたんですが、最初は1セット目と同じように僕のバックアタックとサーブでのラインクロスといったような本当に何でもないようなミスが出てしまって、まあ結局のところ1セット目と同じなのですが、自分たちで招いた接戦でしたね。筑波大もとても強かったのですが、十分に勝てる相手だなというのも試合やりながら思いましたし、自分たちで負けに行ったような試合だったので、ミスの多さがきょうの負けに直結したかなと思います。

――今大会で得た課題や収穫は

まだまだ監督からも4年生が全然引っ張り切れていないというのは言われていて。僕自身も昨年に比べて全然チームのために貢献するスパイクを打ち込めていないですし、まだまだ精神的に甘いところもあって、そういう姿を見て後輩たちがついてこれていないというのもあるので、4年生の重みを初めてことしの春リーグで知って、これからはもっと自分がしっかりしていかなくちゃと感じた大会でした。

――このリーグ戦を終えて、結果に対して率直な感想

まあ納得のいかない結果ではあるのですが、リーグの間にも黒鷲旗などの様々な試合を通して自分たちのいいチーム状況や悪いチーム状況というのが明確になって、こういう時は勝ててこういう時は負けるというのが分かり、反省すべき点もたくさん見つかりました。課題が多く見つかったことが良かったことだし、最終的にはインカレで優勝するのが目標なので後は上がるだけなので、これから練習をして課題を克服して目標達成に向けて、次はとりあえず早慶戦があるので、勝利をしっかりと意識したいです。勝ち癖をつけるというか、最近は負け癖がついてしまっているので、勝つことに対して貪欲になってやっていきたいと思います。

――早慶戦後に控える東日本インカレに向け意気込みをお願いします

優勝をもちろん狙うのはそうなのですが、まずは目の前の一戦一戦に集中して自分たちのバレーをするのが大切だと思います。春リーグでは自分たちのバレーが出来ずに負けてしまうかたちが多かったので、まずは目の前の試合を戦っていきたいです。

加藤久典(スポ4=東京・早実)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

自分たちのミスで試合が終わってしまった感じがあります。

――どのようなミスが敗因でしたか

サーブミスとかが2セット目はかなり多かったので、そこであんまり勢いに乗れなかったかなと思います。

――ご自身のプレーを振り返っていかがでしたか

要所でクイックもブロックも決めることができていなかったので、そこが敗因かなと思います。

――センターのマークが厳しく簡単に速攻を使うことができませんがいかがですか

それは昨年からそうだったので、僕は4年生としてそこをどう乗り切るかが後半戦のポイントかなと思います。

――春リーグ開幕当初から4年生の自覚が大切だとおっしゃっていましたが、リーグ戦が終わって変化はありますか

きょうみたいな感じになるとやっぱり僕らが引っ張り切れてないなと思うので、後半勝つにはやっぱり僕たちがチームを引っ張る力をもっとつけなければいけないのだと思います。

――春リーグを通して出た課題は何でしょうか

自分らができないことがわかりました。その課題が見つかったのは良いのですが、結果として克服することができなかったので、後半戦結果を追い求めて頑張っていきたいと思います。

――東日本インカレに向けて意気込みをお願いします

一戦一戦、全力で頑張りたいと思います。