早大にとって最終日となるきょう、対するはV・チャレンジリーグの大分三好ヴァイセアドラーだ。惜しくも1、2セットを落とすも、第3セットではブロックとレシーブの関係が良く、粘り強いバレーでこのセットを奪う。4セット目も勝ち取ると、勢いそのまま5セット目を大差で制し、セットカウント3-2(21-25、24-26、26-24、25-21、15-8)で逆転勝利を収めた。
4月30日に開幕した黒鷲旗全日本男女選抜(黒鷲旗)もいよいよ最終戦を迎えた。やるべきことは勝敗問わず、とにかく自分たちのバレーを思い切ってやることだ。選手たちの声や表情からは気合が感じられる。第1セットは序盤から互いに譲らず攻防戦が繰り広げられる。積極的なプレーで果敢に点数を取るものの、ブロックとレシーブの関係がうまくかみ合わず、大事な場面で相手エースを止めることができない。それが響き、このセットを落とす。続く第2セットでも、加藤久典(スポ4=東京・早実)や藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)、途中出場の加賀優太(商3=東京・早実)が奮闘し、24-24とデュースに持ち込むも第1セットと同じ展開となり、惜しくも失セット。しかし、決して悪くはない内容に、選手たちは反逆の機を狙っていた。
外国人選手にもしっかり対応したブロック
後がない3セット目、前セットでの失敗を無駄にはしない。ブロックで閉めるコースをクロスからストレートへと変更。次第にブロックの決定率が上がり始め、ついに加藤が相手エースのスパイクをドシャットすることに成功。ブロックが機能することで、レシーブの成功率も上がる。またも試合はデュースにもつれ込むが、早大らしい粘りのバレーでなんとかセットを奪取した。第4セットは中盤まで15-12と早大がリードするも、途中、自らのミスもあり一気に5連続ポイントを取られ点差をひっくり返されてしまう。しかし、ここでもブロックが相手にっとって脅威となったのか、ブロックを避けてのスパイクアウトが頻発。逆に早大が5連続ポイントで、そのまま第4セットを収め、勢いは止まらぬまま最終セットに突入。加賀のフローターサーブで相手を崩すと、加藤がダイレクトで相手コートに打ち込むなど、驚異の7連続得点を挙げる。連戦の疲労が選手たちを襲う中、最後はエース喜入祥充(スポ3=大阪・大塚)が決めきり、大熱戦の試合を制した。
逆転勝利を決め歓喜する選手たち
結果にこだわらず、チャレンジャーとして臨むことができたこの大会は、春季関東大学リーグ戦(春季リーグ戦)では見失いつつあったものを見つめなおすよい機会になったに違いない。そして、格上のチームに健闘したことは大きな自信につながるだろう。「ここで得たものを全部出す」という山口頌平主将(スポ4=長崎・大村工)の言葉どおり、黒鷲旗での収穫をどれだけ生かせるか。春季リーグ戦後半での早大の逆転劇に期待だ。
(記事 藤原映乃、写真 渡辺新平、鎌田理沙)
セットカウント | ||||
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早大 | 3 |
21-25 24-26 26-24 25-21 15-8 | 2 | 大分三好ヴァイセアドラー |
スタメン | ||||
レフト 喜入祥充(スポ3=大阪・大塚) レフト 藤中優斗(スポ2=山口・宇部商) センター 加藤久典(スポ4=東京・早実) センター 山﨑貴矢(スポ3=愛知・星城) ライト 田中健翔(スポ4=熊本・鎮西) セッター 山口頌平(スポ4=長崎・大村工) リベロ 堀江友裕(スポ1=和歌山・開智) |
コメント
山口頌平主将(スポ4=長崎・大村工)
――Vリーグのチームを相手にフルセットで勝利を収めました、勝因は何でしょう
展開的にも1、2セット取られて、3、4、5取るというものでした。諦めない気持ちがあったと思います。1、2セットの途中でブロックを閉めるコースを変えたりだとか、試合中に気づいたことをすぐに修正したりと、チームとしての約束事を気づいたときに言い合ったり、変えたりということがうまくいきました。タイムアウト中や、コートの中でみんなで話し合えたりそういうところが大きかったと思います。
――1、2を惜しくも落としてしまった原因は
あっちには外国人の方がいるので、1点欲しいときにあそこに上がってくるということはわかっていました。しかし、大事な場面で外国人に決められてしまったのでなかなか逆転することができませんでした。3セット目まで最初はクロスを閉めていたんですが、ストレートに打ってこられてなかなか(レシーブが)できなかったです。なので逆にストレート閉めてクロス打たせるようにしたらブロックも止まりだしたし、クロスに打ってアウトになったりだとか相手エースを封じれたというのが大きかったと思います。
――コートの雰囲気はいかがでしたか
1、2セット目も取られはしましたが雰囲気や内容はそんなに悪くはなかったです。自分的には3セット目以降も勝つチャンスは全然あるなと感じていました。
――粘り強いレシーブが見られました
レシーブはブロックが良くないと、位置取りだとかができないので、ブロックとレシーブの関係が良かった豊田合成との試合やきょうの試合はブロックもまっすぐまでて、抜けたところにレシーバーが入るという形ができていました。きのうFC東京の早いバレーのときになかなかブロックがバラバラになって思うような粘り強いバレーができなかったので、今後そういう早いバレーに対してもっと詰めていかなければいけないなと思いました。
――サーブを振り返っていかがでしたか
ジャンプサーブ打つ人は思いっきり打つ場面でミスを恐れず打つことが大事です。その中でもしっかり試合の状況を見て相手のミスが続いているときにわざわざ攻める必要もないので、入れに行くサーブのときに弱いサーブを打ってミスをしないようにしなければなりません。入れに行くときはしっかり入れる、攻めるときは攻めるということを心掛けてジャンプサーブの人は打つようにチームとしてやっています。自分たちのようなフローターの選手は狙ったところにしっかり打つことが大事で、フローターでミスを出すことは良くないのでミスがないようにしっかり狙って打つことが大事だなと思います。
――攻撃面で良かった点は
リーグの前半はなかなか余裕もなくて、自分自身相手のブロッカーと勝負するということがなかなかできませんでした。だんだんキャッチも頑張ってある程度一定に返ってくるようになって、自分の気持ち的にも余裕が出てきました。相手のブロッカーを見たり、ブロッカーと勝負するという感覚を取り戻すことができてきました。相手のブロックを見ることや感じることができてきています。自分がしっかり相手のブロッカーと勝負して一枚ブロックとかにすれば決め切れるスパイカーがそろっているので、そこは自分がしっかり駆け引きしながら良い状況をつくりだせるようにもっと頑張りたいと思います。
――今大会を振り返って得たものは
格上のチームとばかりの対戦で、勝つということはもちろん目標として頑張ってきたんですけどこの前言った大会期間中の3つの目標だとか、ミスが多いというリーグ前半の反省点も出てしまいました。しかし、ミスが出るのはバレーボールでは仕方がないことなので、ミスの質が逃げてミスだとか、消極的なプレーでミスしても次につながらないと思います。でも今回は、指先を狙ってスパイクミスだとか、サーブも攻めに行ってミスだとか、積極的なミスでした。ミスをしてもそのミスの質がだんだんよくなってきていると思います。この3試合でブロックとレシーブの関係が少しずつ良くなって、ワセダらしい粘りのバレーができてきていると思うので、帰ってからの練習でももっとそこを詰めて、ワセダらしいバレーがリーグ後半戦でもだせるようにやっていきたいなと思います。
――リーグ後半戦への意気込みをお願いします
前半3勝3敗で、また一からのスタートだと思って、後半戦は上位のチームとの対戦になるんですけど、黒鷲旗の3試合戦って得たものだったり感じたものはすごく大きく、充実したものだったと思います。なので、それをいい試合をしてよかったというので終わるのではなくて、この感覚だとか、レベルっていうものを落とさないように続けていくことが大事だと思います。練習からもっと感じたことを体現しながらリーグ後半戦ももちろん勝ちにはこだわりますが、ここで得たものを出し続けるだとか全部出すっていうことを目標にしっかりその準備をしていきたいと思います。
加藤久典(スポ4=東京・早実)
――本日勝ちを収めることができましたが、お気持ちは
黒鷲旗を通して、リーグ戦に向けて良い状態で終わりたいとミーティングでも話していたので、勝てて良かったと思います。
――きょうの勝因は
チーム全員が声を出して、指示の声だったり、盛り上がる声だったりだとか、ムードを良くして一人一人の役割をできたのが良かったです。
――その雰囲気づくりという点は、きのうやおとといより良かったということですか
きのうはそういうことができなかったので、きょうは向かっていく気持ちをもっと強くしたのが良かったと思います。
――チームのブロックの完成度はいかがでしたか
きのうのミーティングからブロックの位置とかは確認していたのできょうはそれが徹底できて良かったのかなと思います。
――ご自身のクイックの精度は
きょうは結構トスとも合っていました。
――今回フルセットまでもつれ込みましたが、第5セットへはどのような気持ちで臨まれましたか
やるからには絶対勝つとみんな心が1つになったので、良かったと思います。
――では春季リーグ後半戦への意気込みをお願いします
黒鷲旗で良い流れができたので、リーグ戦後半もしっかり自分たちでムードなどを作って、勝てるように頑張りたいです。
加賀優太(商3=東京・早実)
――初勝利となりましたが、いまの率直なお気持ちをお聞かせください
途中で交代して思い切ってやれば、勝てる相手だとと思っていました。1、2セットを取られても、それほど焦りはありませんでした。
――初の黒鷲旗出場となりましたがいかがでしたか
(大学の)リーグと違ってプレミアのファンの人だったり、高校生のファンの人だったり、いろんな人たちが集まっている中でプレーできるのは貴重な経験だったと思います。こんなところでプレーさせてもらい、本当にありがたかったです。
――第2セットからの出場となりましたが、松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)からはどのような指示がありましたか
特に指示は出ていませんでした。自分が出るときは大体こちらの流れが悪いときなので、自分が思い切りやってだめでも仕方ないところもありますし、思い切ってやることでチームを勢いづけることが役割だと思っています。自分で考えて、少し無茶なボールでも打ちにいくようにだとか、少しでも勢いをつけるようなプレーを心掛けていました。
――ライトで途中出場していましたが、前衛のときにはレフトの喜入祥充選手(スポ3=大阪・大塚)とポジションを変えながらプレーされていました
自分がライトからは全然決まらないので(笑)。喜入はライトからでもいろいろ動いて決めることができるので、自分のことをカバーしてくれた感じでした。
――今季からジャンプサーブではなく、フローターのロングサーブに変えましたが、どのような意図があるのでしょうか
(ボールが)ミカサになったので、フローターでも結構変化して崩せます。自分がジャンプで体力を削らないというのも目的ですし、うちのチームはジャンプの選手も多いので、自分がフローターにすることで同じくらいの人数になります。その調整役のような感じでフローターに変えました。
――試合終盤には足をつりそうになりました
いつまでたってもそこは課題なのですが、うまくきょうはやりきれました。ケアをしっかりしてリーグに響かないようにしたいと思います。
――きょうはタイムアウト中に松井監督からブロックの指示があったようですが、どのような内容だったのでしょうか
自分はブロックの出し方が下手なので、(手を)前に出せと言われました。
――今大会を総括して、収穫や課題はありましたか
リーグを通してワセダらしいバレーができていなくて、そのワセダらしいバレーを格上相手に出していこうと臨んだ大会でした。初戦の豊田合成さんに1セット取れたり、最終戦の大分三好さんに勝つことができたりしたので、少しずつワセダらしいバレーを取り戻せてきたと思います。これをリーグ戦でも出せていけたらいいと思います。
――リーグに向けて意気込みをお聞かせください
前半戦が終わって3勝3敗と厳しい結果ですが、ここから全勝して少しでも順位を上げたいです。順位は今後の(東日本大学選手権の)シード権に響いてくると思うので、セット率などを考えながら無駄な点数、無駄なセットを与えないようしたいです。一本一本、気の抜けたプレーがないように頑張っていきたいと思います。