攻めきれず耐えきれず、悔しい1敗

男子バレーボール

 社会人の強豪と大学、高校から選抜されたチームが一堂に会して対戦する、黒鷲旗全日本男女選抜(黒鷲旗)の第2戦が行われた。早大はV・プレミアリーグ所属のFC東京を相手に、第1セット序盤リードすることに成功。しかし相手の強力なサーブに対し、徐々に後手に回ってしまう。攻めのプレーをすることができず、セットカウント0-3(21-25、17-25、19-25)でストレート負けを喫した。

 第1セットの立ち上がりでは、加藤久典(スポ4=東京・早実)のクイック、喜入祥充(スポ3=大阪・大塚)のバックアタックが決まるとリードを奪い、流れに乗る。「雰囲気良く走り回っていこうと心掛けていた」(藤中優斗、スポ2=山口・宇部商)というように、選手それぞれが声を出し、チームに勢いをもたらしていた。しかし、このままセットを奪うかと思われた矢先、相手の強烈なサーブにレシーブが崩され、それに伴い攻撃のリズムも狂い始めた。雰囲気も次第に重くなっていき、コート内の声も小さくなっていく――。そのまま反撃することはできず、第1セットを落とした。

スパイクを決める喜入

 何とか流れを変えたい第2セット。しかし依然として相手の攻撃に太刀打ちできず、大差でこのセットも奪われてしまった。後がない第3セット、相手のミスや、加藤、田中健翔(スポ4=熊本・鎮西)の攻撃で16-16まで粘りを見せる。しかし終盤、相手の攻撃に耐えきることができず、自身のミスでずるずると失点を重ね、第3セットも落としてしまった。

失点に悔しさを見せる選手たち

 早大にとって高いレベルのチームと競うことができるのが、黒鷲旗の魅力である。早大は今回の試合も『攻めの姿勢』を貫くことができなかったのが、最大の課題であろう。「攻撃面にしても自分の組み立てだとか、思い切ったプレーも少なかった」と山口主将は振り返る。あすの大分三好ヴァイセアドラー戦は、早大にとって黒鷲旗最終戦となる。ここで1つでも多くの収穫を持ち帰り、春季関東大学リーグ戦後半への活路を見いだしたいところだ。

(記事 鎌田理沙、写真 藤原映乃)

セットカウント
早大 21-25
17-18
19-25

FC東京
スタメン
レフト 喜入祥充(スポ3=大阪・大塚)
レフト 藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)
センター 加藤久典(スポ4=東京・早実)
センター 山崎貴矢(スポ3=愛知・星城)
ライト 田中健翔(スポ4=熊本・鎮西)
セッター 山口頌平(スポ4=長崎・大村工)
リベロ 堀江友裕(スポ1=和歌山・開智)
コメント

山口頌平主将(スポ4=長崎・大村工)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

勝つチャンスはあったと思います。そんな中でキャッチで崩されてしまったりだとか、あっちの早い攻撃に対してなかなかブロックとレシーブの関係もうまくつくれなくなりました。ブレイクできず、リズムが最後までつくれないまま終わってしまったと思います。

――1セット目の序盤は良い流れでしたが、途中の連続失点から何かがおかしくなってしまいました

ジャンプサーブで連続失点があった後に、だんだん他のサーバーにも連続失点を引きずって後手後手に回ってしまった感じはありましたね。

――3セット目は自らのミスで流れをつかみ切ることができませんでした

3セット目も18点目くらいまでは粘って点差を詰めていけたのですが、そこから自分たちのミスがあったりだとか、サーブで崩されたりして最後まで我慢できなかったと思います。

――きょうの試合を通して得た課題と収穫を教えてください

キャッチをする藤中(優斗、スポ2=山口・宇部商)と 喜入(祥充、スポ3=大阪・大塚)と堀江(友裕、スポ1=和歌山・開智)がもう少し我慢できるようなメンタルだとか、高いレベルのものをチームとして求めて行ってそれに応えてもらうしかないんです。攻撃面にしても自分の組み立てだとか、思い切ったプレーも少なかったと思います。収穫としてはキャッチが返れば高いブロック相手でも速攻も決まるし、時間差やサイドも相手ブロックを1枚にすれば決めきることができるスパイカーがそろっています。あとはそういう場面をどう多くつくるだとかそういうところだと思います。

――あすの試合への意気込みをお願いします

こうやって高いレベルのチームと試合できる機会はそうないです。あした最後の試合なので、勝つことはもちろん春リーグ(春季関東大学リーグ戦)を通して自分たちのバレーがどれだけできるかというのが勝敗問わず課題になっていると思うのであしたはその準備をしっかりして臨みたいと思います。

加藤久典(スポ4年=東京・早実)

――きょうの試合の手ごたえは

序盤はシーソーゲームで取ったり取られたりという展開に持ち込めたのですが、終盤で向こうの強いサーブにうまく耐えられなかったり、3本目で決められなかったこともありました。セットを取ることはできませんでしたが、最初はいいかたちでできていたのかなと思います。

――ご自身のクイックの調子はいかがですか

きょうは向こうのブロックが厳しくなかったのもあり、結構決まったのかなと思います。

――相手のスパイクが強力でしたが、レセプションはいかがでしたか

全体的に返ってはいたのですが、連続得点を与えてはいけない要所で得点を与えてしまったのかなと思います。

――ブロックはどうでしたか

ブロックは1本も止められなかったのですが、きのうから言われていたのは「真っすぐ出して、レシーバーが拾いやすいように」ということだったので、そこはできていなかったかなと思います。

――あしたの試合への意気込みを

今大会でプロと対戦する最後の試合になると思うので、向かっていくという姿勢を忘れず頑張りたいと思います。

藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)

――きょうの試合を振り返ってみていかがですか

きのうは負けたのですが、自分たちの力が出せたゲームでした。きょうも少しでも食らい付いていけるように、きのうのように向かっていく姿勢を見せていこうと思っていました。サーブで崩されてしまって、僕たちの思うようにいかなくて何もできなかったと思います。

――FC東京には強力なサイドアタッカーがいますが、どのような対策をしてこの試合に臨みましたか

外国の方と6番の山本さんが打ってくるコースは具体的に(データとして)出ていました。少し(レシーブに)入るところが甘く、もっとデータを頭に入れていかなければいけないと実感しました。

――サーブに関しては終始山本選手を狙っていました

片方がリベロでもう片方が山本さんだったので、スパイカーを狙って少しでもプレッシャーをかけようと思いました。

――きょうは立ち上がりは良かったと思いますが、振り返ってみていかがですか

自分たちのいいプレーが少しでも出せたら通用すると思っていたので、雰囲気良く走り回っていこうと心掛けていました。

――きょうはチーム全体としてブロックはいかがでしたか

きのうのミーティングでは、きのうよりしっかりやっていこうということになっていました。きのうより速いトスワークで絞り切れない部分があったので、ブロックに関しては全然だったと思います。

――きょうはサーブで崩されてしまう場面があり、打数が多かったと思います。スパイクで意識していたことは何でしょうか

相手がきのうよりサーブを打ち込んできたので、崩れることは分かっていました。もし崩れたときはリバウンドを取って、もう一回自分たちの攻撃にしていこうということできのうときょうやってきました。ただ、それがうまくいきませんでした。勝負どころで打ち込んでいこうという気持ちはあったのですが、覚悟が決め切れていなかったと思います。

――あすの大分三好ヴァイセアドラーとの試合に向けて、意気込みをお聞かせください

相手はV・チャレンジリーグなので、勝つという強い気持ちを持って、僕たちのやってきたことを出したいです。きのうの良かったところは自信につなげて、締めくくりとしてしっかりとやっていきたいと思います。