リーグ戦初勝利!再スタートを切る

男子バレーボール

 開幕戦でまさかの黒星発進となった早大。大会第2日目、対するは前日筑波大に勝利を収め、勢いのある日体大だ。ここで負けるわけにはいかない。選手それぞれの『自覚』が今回の試合のカギとなった。サイドの攻撃とセンターの速攻を効果的に使い得点を重ねる。途中、攻め込まれる場面も粘り強くこらえセットカウント3-1(25-20、25-21、20-25、25-21)で貴重な初勝利を挙げた。

 きのうの結果に対する不安は杞憂(きゆう)であった。試合を終え、選手たちは自らのチームでの役割を見つめ直していたのだ。きょうの試合、一貫して目覚ましい活躍を見せたのは喜入祥充(スポ3=大阪・大塚)だ。小さな体から放たれる強烈なスパイクが何度も相手コートを突き刺ささる。また、誰よりも大きな声を出し、得点後は力強いガッツポーズでチームを鼓舞した。まさにエースとしての自覚が表れたプレーだった。そんな喜入に触発されたのが藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)とルーキー堀江友裕(スポ1=和歌山・開智)だ。藤中はスパイクやレシーブで積極的にプレーに絡みチームに貢献。ルーキー堀江も開幕戦では緊張からか表情や動きに硬さが見られたが、きょうはがむしゃらにボールを追い、思い切ってプレーする姿が見られた。下級生たちの頑張りがチームを活気づけた。そして、スーパーエースポジションであるオポジットを担う4年生の田中健翔副将(スポ4=熊本・鎮西)もまた自らの役割を自覚。きのうの試合ではスパイクやサーブでミスが目立ち持ち味を発揮することができずにいた。しかし、きょうは一変、苦しい場面に任された球をミスを恐れずに打ち込み流れを引き寄せる。「(4年生)全員がキャプテンのつもりで臨んでいきたい」と田中は語る。早大の攻撃を組み立てるセッターの山口頌平(スポ4=長崎・大村工)が主将の重荷でトスの精彩を欠くことのないよう、田中自身がチームの大黒柱となることを誓った。

要所で得点を決めた田中

 センターへのマークが厳しくなる中、サイドや時間差攻撃の本数が増える。田中、喜入、藤中がきっちりと仕事をこなすことでセンターのマークをばらし、要所では速攻で得点を奪うことができた。そのようなかたちで第1セット、第2セットを奪取。第3セットは相手の攻撃に押され惜しくもセットを落とす。しかし、続く第4セットでは、相手の流れになっても我慢し、得点の機会を逃さずに勝ち切った。第3セットから気持ちを切り替え、第4セットを取れたことは大きな収穫だ。

喜びを全身で表す喜入

 二試合を通して早大は自分たちが勝つために必要なチームの雰囲気を確かめることができた。それは選手たちにとってこれからに向けての確かな指針となるはずだ。プレー面ではサーブレシーブやブロックとレシーブの関係などで良さが見えた一方、スパイクやサーブでのミスがあり改善の余地を残す。ここからが本当のスタート。見つかった課題と収穫を生かし、次戦は因縁の相手・明大との大事な一戦に挑む。

(記事 藤原映乃、写真 越智万里子)


セットカウント
早大 25-21
25-21
20-25
25-21

日体大
スタメン
レフト 喜入祥充(スポ3=大阪・大塚)
レフト 藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)
センター 加藤久典(スポ4=東京・早実)
センター 山崎貴矢(スポ3=愛知・星城)
ライト 田中健翔(スポ4=熊本・鎮西)
セッター 山口頌平(スポ4=長崎・大村工)
リベロ 堀江友裕(スポ1=和歌山・開智)
コメント

山口頌平主将(スポ4=長崎・大村工)

――きのうチームの中で何か話し合われましたか

きのう負けた後に4年生でミーティングをしました。まだまだ4年生が甘い、4年生が引っ張る姿勢を見せないと下級生もついてこれないし、下級生には思い切りプレーしてもらうだけなので自分たちがもっと引っ張らないとということを話しました。スタメンに入っているのは3人なのですが、ベンチの4年生も一人一人が4年生としての役割を果たせた結果がこうなったのかなと思います。

――きのうときょうのチームの雰囲気の違いは

きのうも気持ちとしては全然油断は無かったと思ういます。しかし、一人一人どこかで去年(全日本大学選手権で)3位であったりという変なプレッシャーを感じ、何か違うなと思いながら何もできずにきのうは終わってしまいました。きのう負けたことによって、もうこれ以上悪くはならないと吹っ切れました。そして、下級生にはお前たちは思い切りやればいいからとずっと言っていたので下級生もよく思い切りの良いプレーをしてくれました。また、きのうよりも4年生が少しは戦う姿勢やプレーで引っ張れたのではないかと思います。

――きょうは粘り強さがありました

きのうは点を取られて下を向く選手がいたり、修正をするための声が全然出ず、ミスしたらミスしたままでは終わってしまっていました。全体のミーティングの中でもそういうのはやめてミスした後でもみんなの目を見たり、もっと会話を増やそうということを話しました。集中を切らさずに一試合戦い抜けたと思います。

――序盤は速攻のタイミングが合いませんでした

相手のセンターに対するブロックのマークがきつく、センターもそれを感じて思い切り打てない場面がありました。なので、速攻と時間差の本数を増やして少しでもマークをバラバラにしようということをしました。そして、要所で速攻を自分が使えば決めてくれるというのがありました。今回はセンターを多用するというよりはしっかり決められるところで使って、センターに多くマークが来ていたので、時間差やサイドの本数が他の試合に比べて多くなりました。

――サイドの選手の活躍が多くありました

喜入(祥充、スポ3=大阪・大塚)、藤中(優斗、スポ2=山口・宇部商)が二段トスとかでも思い切り打ち抜いて決めてくれました。

――3セット目を落としてしまいました

相手が要所で良いサーブを打ち、崩されてしまいました。しかし、3セット目を取られてしまったというよりは、4セット目切り替えて取り返せた収穫の方が今回は大きいです。

――2戦目をを終えて改めてこれからの意気込みをお願いします

この土日で悪い試合となかなかいい試合を経験することができました。きょうはアップの段階から一人一人がきょうこそ絶対やらないといけないという気持ちを持ち、負けられないという気持ちがきのうよりも強かったです。どんなチームが相手でも簡単に勝つ試合はないと思うので、きょうのモチベーションや勝つためにしたことをずっと出して、このレベルを維持しないと勝てないということを一人一人が理解したと思います。今後の試合は自分たちの力がどれだけ出せるかということと、どれだけ準備の段階からやっていけるかということが課題だと思います。きょうのレベルを忘れずにやっていきたいと思います。

田中健翔副将(スポ4=熊本・鎮西)

――きのうの敗戦から気待ちをどのように切り替えて、きょうの試合に臨まれましたか

きのう僕がミスをしてチームが乗っていけないという状態になってしまいました。きょうはミスを怖がらずにしっかりとやってきたことを出そうと、4年生を中心にしっかり引っ張って行けるように意識しました。さらに、きのうもきょうも後輩たちが頑張ってくれたのできょう勝てたのかなと思います。

――副将としてチームに声かけなどされましたか

松井監督(泰二、平3人卒=千葉・八千代)から、頌平が(山口主将、スポ4=長崎・大村工)キャプテンとしての重荷があると、やはりトスの配球とかが考えられなくなってしまうから、お前がキャプテンのつもりでやっていけということを言われていたので、そういう気持ちは持っていました。

――きょうの試合はチームの雰囲気が良かったですが、振り返って

喜入(祥充、スポ3=大阪・大塚)も藤中(優斗、スポ2=山口・宇部商)もルーキーの堀江(友裕、スポ1=東京・開智)も明るくフレッシュな感じですごく盛り上げて声出してくれたので、まあ本来は4年生がそれをするべきではあるんですけど、下に助けられたなというのがきょうの試合の印象ですね。

――逆に改善点などは今試合を通して見つかりましたか

土日でワセダの一番いいバレーと一番悪いバレーをして、チームの中でどういうバレーとか空気づくりをしていけばいいのかというイメージができたのでそれを忘れないようにしたいです。あとはキャッチが安定していたのに対して、スパイカーのミスが多かったのは明らかだったのです。この一週間でセッターとも息を合わせて、サーブを攻めて、ブロックを引っ掛けるという基本的なことから見直していきたいと思います。

――今大会から4年生、副将という立場として戦いますが、その上で気持ちの変化などはありましたか

まだまだ頌平に一人でやらせてしまっている部分があるので、そこを副将の自分を含め4年生全体でカバーしていって、全員がキャプテンのつもりでこの一年間臨んでいきたいと思います。

――春季関東大学リーグ戦が始まりましたが、チームと個人それぞれの目標を教えてください

去年とメンバーもそれほど変わっていないんですけど、去年はあくまでも去年なので。プレッシャーとかもあるかもしれませんが、ことしはことしのチームなので、一戦一戦勝っていけたらいいと思います。それで最終的にはインカレ(全日本大学選手権)で優勝するつもりで臨みたいと思います。個人的にはオポジット2年目で、4年生ですがチームの中で大黒柱のような存在にまだまだなりきれてはいないので、そこに到達できるように精進していきたいと思いますね。

喜入祥充(スポ3=大阪・大塚)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

きのうよりもいいプレーは増えて、試合の流れは結構つかめていたかなという部分はあります。

――きのうの試合からはどのように切り替えられましたか

初戦はやっぱり何が起こるか分からないというか、自分たちのミスが多すました。きょうはそれを減らそうというのと、4年生が一つになって自分たちがどうしたらいいかということを言ってくれました。4年生がいい環境をつくってくれたというのが大きかったと思います。

――きょうの試合ではスパイクがよく決まっていましたが、調子はいかがでしたか

勝ちたかったのでやるしかないと思って、頑張りました。

――ガッツポーズも多く出ていました

そうですね、やはり雰囲気をつくっていかないといけないなと思ったので、ガッツポーズは多めで頑張りました。

――レシーブも安定していましたが

そうですね、課題はそこでした。やはり自分たちは大きくないのでそういう安定したレシーブからはちゃんとレセプションからの攻撃を一回で切れるようにというのをこの春の課題にしているので、これからもそこは頑張っていきたいと思います。

――次戦の明大戦への意気込みをお願いします

自分たちのやることをやるだけというか、一戦一戦全力で勝ち抜きたいと思います。

藤中優斗(スポ2=山口・宇部商)

――きのうの敗戦から気待ちをどのように切り替えられましたか

春リーグ(春季関東大学リーグ戦)は長い戦いですし、ズルズル引きずっても仕方ないので、やってきたことを信じてとにかく切り替えようとしていました。自分のプレーを信じてとにかく明るくやっていこうというのは心掛けていました。

――チーム全体で話し合ったことなどはありましたか

盛り上げる役目は僕とリベロの堀江(友裕、スポ1=和歌山・開智)の役目ということになっているのですが、そこで喜入さん(祥充、スポ3=大阪・大塚)が一番に盛り上げてくれたので僕らもやりやすかったです。

――ムードを盛り上げながら積極的に攻撃に絡んでいた印象がありました

1年生の時はミスしないようにつないでいかなくてはいけないという思いがあり、僕自身の中でそれがチームでの役割だと意識していました。やはり2年生になってチームの中で点を取らなくてはならないという思いが出てきたので、積極的に頌平さん(山口主将、スポ4=長崎・大村工)にトスを持ってこいと呼んでいたところが良かったかなと思います。

――今回課題などは見つかりましたか

具体的に言えばサーブレシーブですね。まだ堀江が出てきたばかりで、間のボールとかを落としてしまうことが2、3本あったので、そのようなボールを無くしたいです。あとは個人的にはサーブの精度だったり、スパイクをもっと決められるようにしたりしていけたらいいかなと思います。

――1年生が入部し先輩という立場になりましたがご自身の中で変化などはありましたか

今までは先輩方について行くという立場だったので気楽にやれていた部分もあったのですが、やはり2年生になって僕がしっかりやって引っ張っていかなくてはいけないと思います。そこはしっかりと自覚を持って、コートの中で声を出すだけではなくプレーでも引っ張っていかないといけないなと思います。

――ことしの春季関東大学リーグ戦での目標を教えてください

チームとしては一敗してしまったのですが、まだ(優勝の)可能性は消えたわけではないので、これから全て勝っていけるようにしたいです。負けた試合では甘さが目立ったので、火曜日からの練習をもう少し厳しさを持ってやっていきたいです。個人的にはラリー中の二段トスの決定率をもう少し上げたいです。今二枚キャッチをしているので、守備範囲をもう少し広くして、サーブレシーブにも積極的に参加して攻撃を組み立てられるように頑張っていきたいと思います。