組織的な守備で天皇杯ファイナルラウンド初戦突破

男子バレーボール

 バレーボール日本一を決める戦い、天皇杯のファイナルラウンドが開幕した。今大会は福山汰一主将(スポ4=熊本・鎮西)が率いる最後の大会となる。今までの集大成として、チーム全員が気持ちを引き締めて初戦に臨んだ。相手は全日本大学選手権(インカレ)でも対戦した近大。近大はインカレとはメンバーを変えてきたものの、早大はサーブと守備からの攻撃を徹底した。セットカウント3-0(25-22、25-20、25-21)で初戦を突破し、Vリーグのチームとの戦いに駒を進めた。

 第1セット、表情は落ち着いているものの、慣れない東京体育館になかなかリズムがつかめず一進一退の攻防が続く。早大らしさが出始めたのは10-10と中盤に差し掛かった場面だった。山口頌平副将(スポ3=長崎・大村工)がサーブで崩し、相手のスパイクを福山らがしっかりとブロックで仕留める。スパイクも決まり16-10と6連続ポイントで近大を引き離した。終盤、サーブやスパイクのミスで点差を詰められるが、最後は相手のサーブレシーブミスで返ってきたボールをキャプテンがダイレクトで相手のコートにたたきつけた。第2セットは守備が光った。スパイクとレシーブの関係が良く、組織的な守備を見せる。安定した守備から、加藤久典(スポ3=東京・早実)の速攻や、喜入祥充(スポ2=大阪・大塚)のセンターに回り込んで放つスパイク、田中健翔(スポ3=熊本・鎮西)のバックアタックと多彩な攻撃で終始主導権を握った。

高さを生かしたクイックを放つ加藤

 第3セット、それまで控えていた近大のエースがコートに入り、サーブ、スパイクで攻め込まれるシーンが増える。レシーブが乱れ、二段トスからスパイクで決めきることができない。さらに、チャンスボールを拾うことができず簡単に相手に点数を与えてしまう場面も見られた。しかし、ミスが出た後の大事なところでしっかりと決めて相手に流れを譲らない。また、士気が下がらないように選手自ら大きな声やガッツポーズでチームを鼓舞する。途中、エースの喜入の足がつりコートを離れたが、代わりに入った加賀優太(商2=東京・早実)がスパイク、レシーブで役割を果たした。最後は、途中出場の関秀優(スポ3=静岡・浜松市立)がクイックを決めストレート勝ちを収めた。

ストレート勝ちで初戦を勝利し、笑顔を浮かべる選手たち

 早大らしい試合を組み立てた一方で、チャンスを得点に結びつけられない場面が目立った。「あしたはもっと思い切ったプレーをやっていかないと簡単に点数を取れないと思う」と勝利を収めたものの厳しい表情で山口は言った。あすはVリーグの首位に立つ豊田合成との一戦。きょうのようなプレーで勝てる相手ではない。チーム一丸となって、必死に相手に食らいつき、下剋上を起こせ。

(記事 藤原映乃、写真 稲満美也)


セットカウント
早大 25-22
25-20
25-21

近大
スタメン
レフト 喜入祥充(スポ2=大阪・大塚)
レフト 藤中優斗(スポ1=山口・宇部商)
センター 福山汰一(スポ4=熊本・鎮西)
センター 加藤久典(スポ3=東京・早実)
ライト 田中健翔(スポ3=熊本・鎮西)
セッター 山口頌平(スポ3=長崎・大村工)
リベロ 後藤光明(社3=東京・早実)
コメント

福山汰一主将(スポ4=熊本・鎮西)

――今大会に向けてどのような準備をされてきましたか

インカレ(全日本大学選手権)が終わって、これから4年生になる3年生に自覚をもってもらわなければいけないのでメニューから一つずつ考えさせて、修正があるときだけ自分が「これを入れてこれを省く」みたいなことをやっていました。オフ明けで体を戻すことしかできなかったのですが、ゲーム形式とかを入れてしっかりと体を動かすことをメインにやっていました。

――いまのチームの雰囲気はいかがですか

悪くはないと思います。みんなここ(東京体育館)であまりやらないので、そこだけしっかりきょう慣れてもらえれば良かったと思います。

――きょうの試合を振り返ってみていかがですか

まだまだじゃないですかね。あまり集中できていなかったので、あしたはちゃんとやってくれると思います。

――インカレでの対戦から近大はメンバーを大きく変えてきました

とりあえずあれが新チームだと思うので、来年のためにも勝てたので良かったと思います。

――ブロックとレシーブの関係は良かったと思いますが、振り返ってみていかがですか

ブロックがかかったり、後半はレシーブが上がったりしていて良かったと思います。

――サーブの出来についてはいかがでしょうか

いや、まだまだですね。あしたはしっかりとやります。

――リザーブの選手の活躍も目立ちました

きょうみたいに急に喜入(祥充、スポ2=大阪・大塚)が足をつっちゃったりする場合もあるので、そこでしっかりと代えが働いてくれたと思います。

――あすは豊田合成との試合になりますが、意気込みをお聞かせください

何とか食らいついてセットを取るという、まぐれでも何でも勝てれば勝ちは勝ちなのでしっかりと戦っていきたいと思います。

山口頌平副将(スポ3=長崎・大村工)

――全日本大学選手権(インカレ)から天皇杯までの2週間どのような調整を行いましたか

3位決定戦が終わった後は3日間くらいオフをつくってしっかり休みました。そこからは特にそんな追い込んだ練習はしてないんですけど、ゆっくり調整して、こっちが良いコンディションで臨めるような準備をして試合に臨みました。

――今大会が現体制での最後の試合となりますがどのようなお気持ちで臨まれましたか

まずは自分らがいままでやってきたことをしっかり出しきるっていうことと、今年度も最後の試合なので、しっかりみんなで楽しんでやろうというように頑張りました。

――きょうの近大戦はどのような作戦で臨まれましたか

インカレで1回やってるチームなのでそこでのやり方の徹底と、インカレでやったときと一緒のような感じでまずレセプションアタックをしっかりやりました。絶対相手もミスが出るチームだし、強いエースは一人だけなので、そこをしっかりマークするというの徹底しました。

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

ちょっとサーブで攻め込まれて二段トスとなると、こっちがしっかりたたき込めるようなスパイカーがいまはちょっとまだそろっていないので、連続失点が生まれるときがあります。あしたはV(リーグ)の方と公式戦でできる貴重なときなのでレセプションアタックを磨きたいです。もっと思い切ったプレーをやっていかないと簡単に点数は取れないと思うので、やっていきたいと思います。

――ブロックとレシーブの関係は良かったように見えましたがいかがでしたか

もっとこっちが崩して相手が二段トスになってフェイントとかで逃げるような場面で失点してしまってることが何度もありました。強打とかいうよりもフェイントとかそういうボールが落ちてしまうと、相手が逃げてきてるボールなので、それを得点に結び付けていかないとあしたはもっとキツイなとは思いました。

藤中優斗(スポ1=山口・宇部商)

――インカレ後2週間空きましたが、どのような調整をして挑みましたか

インカレに照準を合わせてきたので難しいものはあったのですが、やはり汰一さん(福山主将、スポ4=熊本・鎮西)と阿部さん(あずさ、スポ4=神奈川・洗足学園)とできる最後の大会というのと、このチームでできるのも最後ということで、もう一度気持ちを引き締めました。近大は勝って当たり前ということで、豊田合成とどれだけやっていけるかということに照準を合わせて頑張っていこうとやってきました。

――インカレで対戦した近大相手でしたが、対策は

まず1セット目は体育館に慣れるということが重要だと思い、みんなで声を掛け合いました。相手のミスもあったのですが、いつも通りサーブで攻めてキャッチで1本で切るというバレースタイルができたかなと思います。

――ご自身のサーブはいかがでしたか

いや、マイナスです。

――スパイクは何度も決まっているように見えましたが、手応えは

良いときは決まるのですが、最後に二段トスをカットされて決まらないというのが3本あったので、その3本を自分がしっかり3点にできるようにまた取り組んでいきたいと思います。

――サーブレシーブなど、守備面はいかがでしたか

自分もこの体育館で1回しかやったことがないので、どんなもんなのかなという怖い部分はあったのですが、いつも通りやれば大丈夫かなと思ってやりました。でも、合格点はあげられないと思います。

――あすは豊田合成との対戦ですが、どんな思いで臨みますか

Vでも1位のチームということで、自分たちの力がどれだけ通用するのかということを示したいです。守りに入ったら戦えないと思うので、自分たちの気持ちの中では汰一さんと阿部さんとできる最後の大会なので強い気持ちを持って勝ちにいきたいと思います。