持ち味だせず、苦しみながらつかんだ勝利

男子バレーボール

 秋季関東大学リーグ戦で後半戦に突入した第6日。早大は駒大との一戦に臨んだ。接戦ながら、第1セット目を先取。しかし、ミスが目立ち始め、第2、3セットを連続で失う。第4セットを取り返し、迎えた最終セットはジュースの末、セットカウント3-2(25-22、19-25、24-26、25-19、22-20)で勝利を収めた。開幕から全勝をキープしているものの課題の残る一戦となった。

 第1セットで田中健翔(スポ3=熊本・鎮西)のサーブが光る。コースを狙ったサーブで何度も相手を崩し、サービスエースを取った。終始リードする試合展開となり、順調に1セット目を奪う。しかし、第2セットに入り状況は一転。序盤からブロックの位置取りがうまくいかない。サイド、センターから得意のかたちで打ち込まれてしまい、連続得点を許す。また、ブロックでワンタッチを取りながらも、レシーブで拾うことができず得意のコンビバレーにつなげることができない。悪い流れを絶ち切りたいが、要所でサーブミスが重なり、第2セットを落とす。続く第3セットも第2セット同様に戦術通りの試合運びができず、駒大に先制を許す。厳しい口調で松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)が喝を入れたタイムアウトの後、サイドアタッカーの加賀優太(商2=東京・早実)が奮起し、巻き返しを図る。ジュースに持ち込むも、チームとしてまとまらずこの力に頼るかたちとなり、第3セットも落としてしまう。

跳躍しスパイクを放つ加賀

 セットカウント1-2と後がない第4セット。出だしで意地を見せつける。加賀がスパイクで1点目を先制すると、そのままサーブで相手を崩し序盤から一気に突き放す。ブロック、レシーブでのミスもある中、加賀に代わって入った藤中優斗(スポ1=山口・宇部商)らサイドの選手がスパイクやブロックで得点を重ね、差を広げる。終盤、連続で得点を許す場面もあったが、難しいボールを幾度と得点につなげ、主導権を握ったまま第4セットを奪取し試合は最終セットへ。「最後はもう下級生に決めさせるんじゃなくて、3年生、4年生で決めようって言って」と田中が語るように福山汰一主将(スポ4=熊本・鎮西)、加藤久典(スポ3=東京・早実)、田中ら上級生が得点を取る場面が増えた。15点で決着がつかず、ジュースへ。観客席ではワンプレーに対して歓声とため息が混じる。そんな中、きょう高い決定率を挙げた田中が何度も気持ちのこもったスパイクでピンチを救い、一進一退の苦しい試合を早大が制した。

強打を打ち込むライトの田中

 思うようなバレーができず苦しみながらもつかんだ勝利は大きい。しかし、試合後の選手の表情はさえない。自分たちが納得できる内容ではなかったからだ。きょうの試合で明らかになったブロックとレシーブ、そしてサーブという課題をいかに早く修正することができるかが混戦の中での早大の順位を左右する。しかし何よりまずは気持ちを入れ直し、チーム一丸となって試合に臨むことが大切だ。

(記事 藤原映乃、写真 稲満美也)


セットカウント
早大 25-22
19-25
24-26
25-19
22-20

駒大
スタメン
レフト 喜入祥充(スポ2=大阪・大塚)
レフト 藤中優斗(スポ1=山口・宇部商)
センター 福山汰一(スポ4=熊本・鎮西)
センター 加藤久典(スポ3=東京・早実)
ライト 田中健翔(スポ3=熊本・鎮西)
セッター 山口頌平(スポ3=長崎・大村工)
リベロ 後藤光明(社3=東京・早実)
コメント

松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)

――きょうの試合を振り返ってみていかがですか

おごりはないんだろうけれども、自分たちの良さを全部出し切るということを忘れてしまっている部分はありますね。もっと基本に忠実になって全員で一つのボールを追いかける、ということをちょっと忘れて個人に頼ってしまう部分が目立つような試合でした。

――きょうはなかなかサイドアタッカーの調子が上がりませんでした

田中(健翔、スポ3=熊本・鎮西)が高い数字を出してくれたので助かりました。サイドっていうのはそれだけ責任があるポジションなので大変だと思うけれども、もう少し決められるところは決めなければいけないと感じましたね。

――きょうは第2セット以降にミスが目立ちましたが、その原因をどのようにお考えでしょうか

まず一つはサーブを簡単に打って、それが8本のミスという多すぎるようなかたちで進んでいってしまったので、とにかく相手が良い状況で自分たちが与えた点数でゲームを運んだので自ずと苦しい展開になってしまいましたね。

――きょうはブロックフォローが拾えない場面も見られました

やっぱりブロックされたボールに関してブロックフォローができていないなという感じはもっていました。そこも含めてきょうは個になってしまったのは大いに反省しなければいけない部分だと思いますね。

――第3、4セットは厳しい口調で指示を出されていましたが、どのような内容だったのでしょうか

自分たちの良さを出すということができていないから、やっぱり情けないというか。自分たちの良ささえ出せば負けるチームにはつくっていないので、相手を勝手に力関係をつけてしまったりだとか、そういう軸がぶらつくのは良くないですね。

――きょうは加賀優太選手(商2=東京・早実)と藤中優斗選手(スポ1=山口・宇部商)を併用されていました

加賀も良くジャンプして打っていたんですけど、藤中もU-21から帰ってきたばかりなのでキャリアを積ませていかなければならないところがあったので併用しながらやっていきました。

――リベロも当面は併用というかたちになるのでしょうか

土屋(健太郎、スポ2=群馬・高崎)も悪くはないので、二人をうまく使えていけたらと考えています。

――あしたの試合に向けての意気込みをお聞かせ下さい

きょうは全て悪いところが出切ったと思うので、これ以上悪いところは出てこないと思うので自分たちの良いところを全て出し切るということをもう一回やってもらいたいと思います。

福山汰一主将(スポ4=熊本・鎮西)

――きょうの試合を振り返ってみていかがですか

ミーティングでやってきたことが何もできなかったということと、ブロックとレシーブの関係が機能せずにこちらからイージーミスやサーブミスなどが8本、9本と1セットにあったので、相手に簡単に点数をあげていたところがなかなかセットを取れなかった原因だと思います。

――ミスがで出てしまった原因をどのようにお考えでしょうか

そんなに打ち込んでこない状態だったんですけど、チャンスボールからスパイクまでのリズムが悪かったです。チャンスボールを返さなければいけないボールがずれたり、ネットを越えたりしたのでそういった点から少しずつずれが出てきたのかなと思います。

――ブロックとレシーブの関係が良くなかったとおっしゃっていましたが、その要因は何でしょうか

ブロックとレシーブの関係を作るうえでブロックの位置取りというのがすごく大事になってくるんですけど、序盤の方にセンターというよりライトとレフトを止めることができませんでした。4番には得意コースに打たれていてレシーブができず、レフトの速いものに関してはブロックが流れていたことで間が空いてそこを抜かれていたりしたので位置取りがまだまだできていなかったなと思います。

――きょうは相手の7番と23番の対応に手を焼きました

7番はいつもあのような感じでやってくるとは分かっていたのですが、あそこまでネット際に落ちると難しくなってくるので本当は序盤にクセとかを見抜けていればよかったのですが、まだうちに対応力がなかったのかなとは思います。

――きょうは第3、4セットは松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)から厳しい口調で指示が出ていました

(セットカウント)3-0で勝てる相手だったんですけど、きょうはフルセットになって一人一人気持ちが入っていなかった部分が自分も含めてあったと思います。

――次の試合に向けて意気込みをお聞かせ下さい

東日本(大学選手権)で勝ったとしてもメンバーが違うので、一人一人気持ちを入れて頑張っていきたいと思います。

田中健翔(スポ3=熊本・鎮西)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

接戦で勝てたことはとても嬉しかったです。1セット目、2セット目サーブが全然入らなくて、こちらからブレイクを取ることができなくて、ファーストブレイクが取れない最悪な試合でした。まとまりもなくて、本当よく勝てたなって感じがしました。

――チーム全体でどんなプレーを心がけてきょうの試合に臨みましたか

向こうの両サイドがスパイクでストレートでの攻撃がなくて、クロスをブロックで閉めろということでミーティングをやりました。それでセンターの7番の人が決定率が高くて強かったので、そこをしっかり対処しようということをミーティングでやって臨みました。あとすごくサーブが入らなかったので、そこかなと思います。

――サーブが入らないとおっしゃっていましたが、1セット目でサービスエースを取る場面が見られましたがいかがでしたか

僕、きょうは攻めてないんですけど、あっちが勝手に崩れてくれたのでもうけものでしたね。

――サイドアタッカーのきょうの調子や出来はいかがてしたか

両レフトが、加賀(優太、商2=東京・早実)と藤中(優斗、スポ1=山口・宇部商)が交代交代で入ってたんですけど、チームとしてもどっちで行くかまだ完全に決めてなくて、二人とも調子が良くもなく悪くもなくって感じでした。喜入(祥充、スポ2=大阪・大塚)も良くもなく、最後はもう下級生に決めさせるんじゃなくて、3年生、4年生で決めようって言って、自分も最後はしっかり呼んでましたね。

――2セット目、3セット目を落としてしまった原因はどこにあると思いますか

監督にはサーブが入らないっていうのと、全く戦術が見えないというのを言われました。あしたはもっと強い相手になるので、しっかりと対応して受け身にならず、攻めて戦えたらいいなと思います。

――チームで話し合ったことはありますか

サーブが入っていないのでとりあえずサーブを入れようっていうのと、先にミスを出さないように、相手のセンタークイックに対してのブロックの位置取りとかをタイムアウトとかに話してましたね。

――あしたの東海大戦に向けて一言お願いします

あした、今週の山場だと思っているので、また、東海大学さんがフルメンバーの時と戦ったことがないのでどういう試合になるかわからないんですけど、きょうみたいな試合やってたら勝てないので、きょうしっかり休んで勝ちにいきたいと思います。

加賀優太(商2=東京・早実)

――フルセットの末に勝利しましたが、試合を振り返っていかがですか

油断していたつもりはないんですが、1セット目の入りからうまくいっていない部分があって、4セット目まで自分たちのバレーができていなかったかなと思います。

――ご自身は打数が多かったですが、スパイクを振り返っていかがですか

練習の時はあまり調子がよくなくて、(試合では)あまり考えずに高いところから奥に打つことだけを心掛けたのでスパイクはよかったんですが、会場も暑くて体力的な部分でもう少しできればよかったかなと思います。

――疲労もあって、藤中(優斗、スポ1=山口・宇部商)選手と交代されたのでしょうか

そうですね。途中でけいれんし始めて、明大戦の時は完全にけいれんし切ってから交代したんですが、藤中がいるということで早めに交代して、すぐに処置をしてもらいました。

――いまお話にも出ましたが、これから藤中選手とポジション争いにもなってくると思いますが、それについてはいかがですか

タイプがだいぶ違うので、それぞれの役目を果たせればいいと思います。藤中がもしかしたらサイド以外のポジションをやるかもしれないんですが、自分の色を出していけたらいいかなと思います。

――ブロックではワンタッチを取りながらも後ろが拾い切れない場面が何度かありましたが、振り返っていかがですか

自分自身はあまりブロックが得意ではなくて。(チームとしては)何でうまくいかなかったのかなという感じです。

――そこが課題ということですか

そうですね、(チームとして)あまり噛み合っていなかったという感じです。

――あすの東海大戦に向けて、意気込みをお願いします

東海大とは春季リーグと東日本(インカレ)で対戦しているんですが、相手がフルメンバーでない状態での勝利だったので、相手がフルメンバーの中でどう戦っていくか考えて臨みたいと思います。

藤中優斗(スポ1=山口・宇部商)

――フルセットでの勝利となりましたが、試合を振り返っていかがですか

自分たちの力が100パーセント出せていればフルセットになるような相手ではなかったので、課題が見つかった試合だったと思います。全カレに向けてやっているので、一戦も負けられないということを頭に置いて、あしたの東海大戦もそう甘くはないと思うんですが、相手どうこうよりも自分たちのプレーをもう一回見直して頑張りたいです。

――課題を具体的に挙げるとすれば、どんなところですか

2セット目は自分たちのサーブミスから流れを失ったり、あとはちょっとしたフォローやスパイクエラーが一人一人目立ったので、そういう部分を個人が修正してチームとして戦っていけたらいいなと思います。

――早大としての試合は久しぶりだったと思いますが

(U-21では)リベロとしてプレーしていてスパイクを打つ機会が全くなくて、この2週間でちょっとだけスパイクを打ってきた感じなので、きょうはスパイクでは全然貢献できなかったです。1年生で出たからには雰囲気をつくってやっていこうという気持ちがあったんですが、その目標が全然果たせなかったので、あす以降も出場機会があれば1年生らしくプレーしてスパイクで貢献できればいいなと思います。

――U-21に参加されてみていかがでしたか

世界という高いレベルを経験して、自分の技術のなさと精神的な弱さを痛感させられたので、世界で学んだことをワセダで発揮してチームに一つでも貢献できるようにこれから取り組んでいきたいです。

――最後にあすの東海大戦に向けて意気込みをお願いします

自分たちが100パーセントの力を出せれば勝てる相手だと思うので、相手どうこうではなくて自分たちのバレーをして、雰囲気もつくって、あしたしっかり勝ちたいと思います。