秋季関東大学リーグ戦が開幕し、昨季2位の早大は同11位の専大と対戦した。センターが相手ブロッカーに厳しくマークされる中で、加賀優太(商2=東京・早実)らサイドアタッカーが得点を重ねる。連続失点を喫する場面も見られたが、相手のミスもありセットカウント3-0(25-23、25-20、25-23)で勝利。2013年以来の優勝に向けて順調な滑り出しを見せた。
春季関東大学リーグ戦で2位、東日本大学選手権では優勝を果たした早大。決定率の高い福山汰一主将(スポ4=熊本・鎮西)と加藤久典(スポ3=東京・早実)のセンターを中心に、コンビバレーで勝利を積み重ねてきた。そのため、必然的に厳しくなる両選手へのマーク。この試合では専大のセンタープレーヤーにマンツーマンで対応される。常にブロックが1枚以上ついていたことに対し、「さすがにあそこまでとは思っていなかった」と福山も驚きを隠せなかった。このような状況でマークが手薄となったサイドアタッカーが役割を果たす。特に目立ったのはリーグ戦で初めて先発出場した加賀だ。藤中優斗(スポ1=山口・宇部商)がU-21日本代表に招集され、チームを離脱。その代役として練習態度や技術、気持ちの強さが評価されての起用だった。第1セットの序盤こそ動きに硬さが見られたが、要所ではブロックアウトなどでポイントを挙げる。得点後には、持ち前の明るさでチームのムードを盛り上げた。「初めて(スタメンで)出た割には満点をあげてもいいぐらいの内容だったと思う」と松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)も納得の内容で、起用に応えた。
初スタメンながら、充分な働きを見せた加賀
初戦の難しさが表れた試合だった。第1セット、サイドアタッカーがセンターに回り込んでスパイクを放つなどコンビバレーを展開。しかし、相手のクイックに対応できず接戦になると、中盤ではジャンプサーブに崩されて5連続失点を喫する。終盤まで一進一退の攻防が続いたが、最後は田中健翔(スポ3=熊本・鎮西)がブロックアウトで得点を挙げてこのセットを取った。第2セットも連取し、迎えた第3セット。ここまで打数の少なかった福山がクイックを決め、序盤から試合を優位に進める。だが、相手のジャンプサーブにレシーブが乱されると6連続失点し、逆転を許してしまう。それでも中盤に5連続得点で再びリードすると、最後は喜入がブロックポイントを挙げてこの試合を制した。松井監督は「点数としては30点」としたうえで、「勝ったということでは合格点を与えようと思う」とこの結果に胸をなでおろした。
警戒されながらもクイックを決めた福山
優勝を目指すうえで、初戦を1セットも失うことなく勝利したことの意味は大きい。精彩を欠く場面も見られたが、修正して次週以降の試合に臨みたい。
(記事 渡辺新平、写真 谷口武、藤原映乃)
セットカウント | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 3 |
25-23 25-20 25-23 | 0 | 専大 |
スタメン | ||||
レフト 喜入祥充(スポ2=大阪・大塚) レフト 加賀優太(商2=東京・早実) センター 福山汰一(スポ4=熊本・鎮西) センター 加藤久典(スポ3=東京・早実) ライト 田中健翔(スポ3=熊本・鎮西) セッター 山口頌平(スポ3=長崎・大村工) リベロ 後藤光明(社3=東京・早実) |
コメント
松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)
――開幕戦勝利でいいスタートを切りました
試合なので勝ち負けは大事にしなくてはならないです。自分たちで(勝ちを)取ったというよりかは取らせてもらったという感じがありますね。
――初戦を取れたということは、今後の見通しも明るいですか
そうですね。初戦というのは非常に怖くて、どのチームも緊張などがあり自分たちのプレーができない中で、セットも落とさずよく踏ん張れたなと思います。
――センターがブロックに張り付かれた分、サイドの選手が活躍されました
センターに対するマークというのは予想できていました。サイドの決定率というのも夏の合宿を経てだいぶ上がってきたので、それを試合でも出せたのはいい点ですね。
――加賀優太選手(商2=東京・早実)をスタメン起用した決め手は何でしょうか
まず一つは練習を真面目に取り組んでいるということ。それと1部リーグで通用するだけの高さ、技術、そしてハートのある選手なので、(U-21代表遠征で抜けた)藤中(優斗、スポ1=山口・宇部商)の穴を埋めるには適材だなと判断しました。
――実際に加賀選手はきょうフル出場でしたが、プレー面はいかがでしたか
初めて(スタメンで)出た割には満点をあげてもいいぐらいの内容だったと思いますね。下級生としてコートを走り回るなど、自分のこと以外もできていたのは落ち着いてプレーできていたということではないのかなと思います。
――チーム全体として出だしは硬さがあったように見えましたが
そうですね。やはり出だしは硬かったですね。東日本(大学選手権)を優勝したということが頭にあるのかないのかはわからないけれど、やはり初戦は難しいということを改めて私も選手本人たちもわかったと思います。
――では改めてきょうの出来としてはいかがでしたか
点数としては30点。けれども試合に勝ったということでは合格点を与えようかなと思っています。初戦なぜできなかったかというのは今週もう一度話し合いながら、調整していかなくてはならないですね。
――東日本王者として迎えるリーグ戦ですが、何か心掛けることは
やはり王者という立場ではなく、挑戦するというか、普段からやってきたことを全部出すことが非常に大事です。最終的には全日本インカレ(全日本大学選手権)で優勝することが目標ですから、それに備えて、全日本に向けての反省ができるように取り組みをしていかなければならないということですね。
――リーグ戦の日程的に、中大戦が最終戦となりますが
今回の組み合わせを見ると前半5日分はどのチームもメンバーが不在の中で、うちは組み合わせ的にメンバーがそろっているチームと戦うわけですね。ある意味不利な状況ではあるわけだけれども、うちも一人抜けたぐらいでバタバタするようなチームをつくってきているわけではないです。そういう意味では本人たちが正面から向き合って戦えるか、楽しみに見ています。
――長丁場のリーグ戦ですが、カギを握る選手は誰でしょうか
やはりキャプテンの福山(汰一、スポ4=熊本・鎮西)には期待したいです。あとはリベロには期待したいですね。1本目と3本目はものすごく大事で、山口(頌平、スポ3=長崎・大村工)もその点はしっかりしているので、1本目と3本目がもう少し安定すれば。それだけ期待しているということです(笑)。
――きょうのリベロは併用というかたちでしたが
2人(後藤光明、土屋健太郎)ともまだまだなところがあるので、2人でうまく補い合いながらやっていければいいかなという思いもあります。
――監督自身もこの夏、ユニバーシアード大会に帯同されましたが、振り返っていかがでしたか
世界を見るということはとても大事なことでした。そういう視点からすると、ユニバーシアードのメンバーとワセダのメンバーではやはり意識が違います。ユニバーシアードに選ばれたメンバーというのは上への志を持っているなと感じてきましたね。でもそのチームが勝てない(日本チームの結果は6位)ということは、世界一の選手たちというのはどういった志やスキルを持っているのだろうと。予想できない桁外れなものを持っていると思うので、それを早稲田大学の学生もそういった高みを見て、もう少し自分を高める必要があるという自覚しなくてはいけないなと思いましたね。
――改めて、秋季リーグ戦への意気込みをお願いします
結果はどうなるかわかりませんが、学生たちがやってきたことを全て出せる、あるいは出してほしいと思います。その部分だけを期待しています。そうすれば結果は付いてくると思いますので。
福山汰一主将(スポ4=熊本・鎮西)
――きょうの試合を振り返ってみていかがですか
今回の試合で日ごろ出ている藤中(優斗、スポ1=山口・宇部商)がU-21の合宿のために(チームから)抜けて、そこにいままであまり試合に出ていなかった加賀(優太、商2=東京・早実)を入れた状態で合宿に挑んでいました。企業相手にもスパイクを決めて良い数字を残していたためあまり心配はしていませんでしたが、大学生同士の初めての試合だったのでちょっと硬くなっていた部分もあったと思います。少しでもきょう慣れてもらい、みんなも今回新しいチームというかたちになるので、その点で何が悪いのかはっきりした試合だったと思います。
――シーズン前はどのような取り組みをされてきましたか
自分は国体で少し(チームから)抜けていたのですが、残ったメンバーで合宿に入りました。加藤(久典、スポ3=東京。早実)を中心に残っているメンバーみんなでやってもらい、企業相手にいくつかセットを取っていたので手応えを感じていましたが、二日目に全敗してしまいました。自分たちはそこから合流しました。国体があり、山口(頌平、スポ3=長崎・大村工)はトスを長崎国体の選手に合わせていたため、合流してからはそれを調整するところから始まりました。しっかりと試合前には(早大の選手に合わせたトスに)戻してくれましたし、それぞれが自覚を持って練習してきたのではないかと思います。
――きょうの試合では早大のセンターがブロッカーにマンツーマンでマークされていました
昨年からセンターライン中心でやり、ことしの春には自分と加藤で多く(スパイクを)打ってきたのでマークがくるとは分かっていたのですが、さすがにあそこまでとは思っていませんでした。その中で加藤と頌平のトスが合ってくればもう少し全体の決定率が上がると思います。
――一方でマークが手薄になったサイドアタッカーの決定率は高かったと思います
きょうに関しては相当楽だったのではないかと思います。しかし、(ブロックが)1枚で止められるシーンがあったので、一人一人工夫させていきたいと思います。
――今季もセンターからの攻撃が中心になるのでしょうか
センター線が軸になることは変わらないのですが、マークが厳しいときは頌平があまり(トスを)上げないで、サイドの選手が少し動いてくれれば相当楽になると思います。合宿を通して一番やってきたことがファーストブレイク率を上げることで、サーブからしっかりと切り返せるようになればまた違った試合展開になるのではないかと思います。
――今季の意気込みお聞かせ下さい
春2位、東日本1位ときたので、中大などはメンバーがいない中でどうなるか分からないのですが、最終戦までしっかりと負けずに戦っていきたいと思います。
――次の試合に向けて一言お願いします
下から当たっていくのでしっかりと勝てるように頑張っていきます。
加賀優太(商2=東京・早実)
――リーグ戦初先発となりましたがいかがでしたか
試合前は全然緊張していなくて、スパイク練習してても結構調子良かったんですけど、試合になって全然決まらなくて緊張しちゃいましたね。
――今日の試合を振り返っていかがでしたか
初戦ということで多少硬かったとこもあると思うんですけど、自分がレシーブ上げてればスパイクはだめでも他の人が決めてくれるのでそれなりに思い切ってやることができたと思います。
――大事な場面や終盤で得点もありましたが、どんなところに力を入れてプレーしていましたか
スパイク決まらなかった分、レシーブで貢献できたらなと思っていました。最後のスパイク決まった部分は完全にまぐれです、運ですね。
――フル出場でしたがスタミナ面で不安はありましたか
正直、すぐに疲れてしまうのでとても不安だったのですが、夏合宿で10日間やって、1回もつったりしなかったので自信は持ってました。
――開幕戦でしたがチームの雰囲気はどうでしたか
いつもと変わらずという感じでしたね。それなりに自分達のバレーやればっていう気持ちでした。
――次の試合に向けて意気込みをお願いします
今日そんなにいいバレーができなかった分、来週は自分達のバレーができればと思っています。