全員バレーで快勝!ホームで慶大に雪辱

男子バレーボール

 春季関東大学リーグ戦(春季リーグ戦)が幕を閉じてから3週間。もう一つの熱い戦いが、早大の本拠地・戸山キャンパス記念会堂(戸山)で繰り広げられた。東京五輪開催に伴う改修工事のため、これが戸山でのラストマッチとなった第79回早慶定期戦。その記念すべき一戦で、セットカウント3-0(25-22、25-23、25-21)のストレート勝ち。全員バレーで格の違いを見せつけ、見事昨年の雪辱を果たした。

 春季リーグ戦では、早大が2位、慶大が12位で2部降格。今季の直接対決でも圧勝しており実力では優位に立っていたが、会場には早慶戦ならではの独特な緊張感が漂っていた。序盤は慶大ペース。相手の猛攻に圧倒され、サーブミスも目立つ不安な立ち上がりとなった。それでも何とか食らいつき、取っては取られのシーソーゲームが続く。一進一退の攻防に終止符を打ったのは、フレッシュな1年生トリオだった。カウント22-22の場面で、鵜野幸也(スポ1=東京・早実)が強烈なバックアタックを叩き込み勝ち越し。さらにピンチサーバーの小林光輝(スポ1=長野・創造学園)がサービスエースを決め、久々の連続得点に成功する。最後はレフトの藤中優斗(スポ1=山口・宇部商)がブロックポイントを挙げ、大事な第1セットを先取した。続く第2セットも辛勝。勝利に王手をかけた。

1年生ながらチームをけん引した藤中

 迎えた第3セット。調整不足のためスタメンを外れていた福山汰一主将(スポ4=熊本・鎮西)が登場しベストメンバーがそろった。序盤は苦しい立ち上がり。しかし田中健翔(スポ3=熊本・鎮西)が確実に得点を重ね流れを取り戻すと、福山がこの日初めてのスパイクを決め6連続得点。主将の活躍に会場が沸き、早大に一体感が生まれる。終始好調だったエース・喜入祥充(スポ2=大阪・大塚)を中心に試合をリードするが、慶大も簡単には引き下がらない。このセットも接戦となったが、苦しい状況を救ったのはまたしても伏兵だった。途中出場の関秀優(スポ3=静岡・浜松市立)、加賀優太(商2=東京・早実)がコースへ打ち分けるサイド攻撃を展開しマッチポイントを迎える。そして、歓喜の瞬間は訪れる。長いラリーの末、福山の放った打球が、相手コートのど真ん中に落ちた。「みんなしっかり自分のやることをやって最後は勝つことができたので、そこはみんなに感謝しています」(福山)。勝利を決めたのは、唯一の4年生としてチームを引っ張ってきた主将の一打だった。

エースとして役割を全うした喜入

 主力が試合をつくり、苦しい場面では1年生や控えの選手がカバーする。まさに全員バレーで伝統の一戦を乗り切った。だが、田中が「内容としてはミスも目立ち、課題の残る試合でした」と語るように、チームの目指すバレーはまだまだ発展途上である。次なる舞台は、今月末に開催される東日本大学選手権。学生日本一になるため――戸山を飛び立つ早大戦士が、新たな歴史を築くこととなるだろう。

(記事 川浪康太郎、写真 新庄佳恵)


両校の選手、関係者が親睦を深めた

セットカウント
早大 25-22
25-23
25-21

慶大
スタメン
レフト 喜入祥充(スポ2=大阪・大塚)
レフト 藤中優斗(スポ1=山口・宇部商)
センター 山﨑貴矢(スポ2=愛知・星城)
センター 加藤久典(スポ3=東京・早実)
ライト 田中健翔(スポ3=熊本・鎮西)
セッター 山口頌平(スポ3=長崎・大村工)
リベロ 後藤光明(社3=東京・早実)
関連記事

リーグ最終戦、法大に勝利!2位で終える/春季関東大学リーグ戦(5/25)

首位・中大に完敗。課題浮き彫りに/春季関東大学リーグ戦(5/24)

久々のストレート勝ちで、次戦へ弾みをつける!/春季関東大学リーグ戦(5/20)

コメント

福山汰一主将(スポ4=熊本・鎮西)

――きょうの試合を全体的に振り返ってみていかがですか

2週間自分がチームを抜けている状態で、きょうの早慶戦が帰ってから初めてみるチームだったのですが、どうなるのかなとちょっとわくわくして見させてもらいました。でも、まだ一人一人良いところがあまり出せていなかったんじゃないかなと思います。

――具体的にはどのようなところでしょうか

一番悪かったと思うのは2セット目の雰囲気ですね。すごく悪くて、リーグ戦と比べても喋る人もいなくて、暗い状態でした。ホームでやっているのに、慶大にわいわい押されてしまって、アウェー感がちょっと出てしまったのではないかなと思います。

――この戸山記念会堂でやる試合も最後となりましたが、この会場に思い入れなどはありますか

特別にはないのですが、試合などなどでちょくちょく使わせてもらったので。また新しくなるということで、この真ん中位置のの光が入る部分をどうにかしてくれれば、選手たちもちょっとやりやすくなるのではないかなと思います(笑)。

――福山選手にとっては最後の早慶戦でした。どんな意気込みで臨まれましたか

練習ができていなかったのでしょうがないのですが、自分が出る予定は全くなかったです。でも、自分が抜けたチームとして新しい状態の時にしっかり勝てるのかなというのが1つありました。結局出たのですが、その中でもみんなしっかり自分のやることをやって最後は勝つことができたので、そこはみんなに感謝しています。

――福山選手は第3セット目からの出場でしたがご自身のプレーを振り返ってみていかがですか

ひどかったですね(笑)。スパイクもブロックもできてるかと言ったらなにもできなかったです。3セット目しか出ていないのに、2、3本しか止められないというのは自分の中でどうなのかなというところがあります。それは2週間やってないので、跳んでないしトスもやってないという状況だったんですけど、そこら辺はもうちょっとしっかりできたらきょうは合格だったのかなと思います。

――次は東日本インカレとなりますが、試合に向けてチームとしてどう取り組んでいきたいですか

あと1週間あるのでチーム練習で固めていきつつ、関東(のチーム)は慶大とも当たるので、決勝で中大と当たるまでは絶対に負けないようにチームとしてもしっかり集中してやっていきたいです。

田中健翔(スポ3=熊本・鎮西)

――きょうは早慶戦でしたが、どのような意気込みで臨まれましたか

昨年はベンチの方に入っていて、フルセットで負けるというかたちで悔しい思いをしていました。ことしはスタメンで、ホームゲームの早慶戦だったのでぜひ勝ちたいなという意気込みでした。

――勝ちましたがいまのお気持ちは

3対0で勝てたことはうれしいですが、内容としてはミスも目立って。個人的にもミスが多くて、課題の残る試合でしたね。

――早慶戦という独特な雰囲気の中での試合はいかがでしたか

僕、バスケットボールの試合の早慶戦を見に行ったのですが、早慶戦のすごさや盛り上がりというものがありました。それを試合の中で体感できて、楽しみつつも勝ちにこだわるという面白い試合ができたので嬉しかったですね。

――緊張はありましたか

緊張はそんなになかったですね。春リーグの方で慣れていたので。

――きょうはご自身のスパイク決定率が高かったと思いますがいかがですか

いやあ、きょうは全然でしたね。来週東日本インカレなので切り替えて、優勝を狙いたいと思います。

――サーブは序盤こそミスがありましたが、中盤からはエースを決められていました。ご自身のサーブを振り返ってみていかがですか

もうすぐ、2本目から切り替えるべきだったのですが、3本、4本と何回もミスをしてしまいました。体育館に慣れていないというところもあったと思いますが、これからの試合も体育館が変わってくるので、しっかり試合の中で調整できるように自分を磨きたいと思います。

――改めて東日本インカレに向けて意気込みをお聞かせください

もちろん優勝したいと思います。監督も不在になってしまうので、自分たちでしっかりとチームを組み立てて試合を運んでいきたいと思います。

喜入祥充(スポ2=大阪・大塚)

――2回目の早慶戦でしたが、この早慶戦独特の雰囲気はいかがでしたか

思い入れの数といいますか、やはりきょねんと違いことしはホームだったのでワセダの応援を背中に感じつつプレーできたと思います。

――戸山(体育館)での最後の早慶戦でしたが何か特別な思い入れはありますか

いろいろな人がここで(プレーを)やってきたのでそれの最後を締めくくる舞台で戦えたことはよかったと思います。

――たくさんのスパイクが決まり素晴らしかったと思いますが、きょうのプレーをご自身ではどうお考えですか

上を目指すにはまだまだ不合格だったので、ミスの出ないような選手になりたいと思います。

――東日本インカレに向けてチームとして取り組んでいることはありますか

ブロックとレシーブの関係であったり、サーブであったり、サイドアウトを取りつつどのようにブレイクしていくかというのが課題になると思います。

――東日本インカレに向けて意気込みをお願いします

春リーグは2位だったのでとりあえず優勝を狙ってひとつひとつ頑張っていきたいと思います。