両校の意地とプライドを懸け、繰り広げられる熱戦。ことしも早慶バレーボール定期戦が開催される。早大・福山汰一主将(スポ4=熊本・鎮西)と慶大・野瀬将平主将(環4=東福岡)の二人に、最後の『早慶戦』に対する思いを伺った。
※この取材は5月24日に慶応スポーツ新聞会と合同で行ったものです。
早慶戦への思い
――お互いをプレーヤーとして見てみるといかがですか
福山 将平がリベロという立場で、自分がスパイカーで、試合をやるときは意識しすぎると自分も調子が悪くなります。クロス方向にレシーバーとして入っている中で、友達とかそういう立場として拾われるということはされたくないといつも感じていますね。
野瀬 彼は見ての通り強いので、直接お互いのプレーでサーブカットとかクイックのスパイクレシーブとかでしか関わりはないのですが、相手にいると嫌ですね。
――お互いのチームの印象はいかがですか
野瀬 春に戦ったのですが、隙がないというかバレーの熟練者が多いので戦いづらかった印象があります。
福山 去年と全然雰囲気とチームの特徴も違う中で、慶応との試合前に警戒していたことは、乗らせると一気に雰囲気も良くなってガッとこられるので、いかに乗せないようにするかを意識しています。
――早慶定期戦に向けて、チームを強化したい点についてお聞かせください
福山 自分たちはサーブレシーブが悪いのと、ブロックからの切りかえしでほとんど点数取れないので、その点をこれから強化していきたいなと思います。
野瀬 僕たちはすべてのプレーなのですが、今年の強みっていう部分をもっと強化して、その強みというものは何かというのも考えなくてはなりません。すべてのプレーの強化プラス、慶應の特徴というものを何か見つけてそれを強化していけたらなと思います。
――早慶定期戦のキーマンは
福山 うちのチームだったら今年からライトを始めた田中君(健翔、スポ3=鎮西)だと思います。
野瀬 キーマンは誰というわけでもないですけれど、下級生3人の布川(智規、商3=東京・桐朋高)・池田(裕哉、環3=京都・北嵯峨)・黒田(彪斗、環2=富山第一)。この3人がうまく機能するとチームもうまくいくので、負担が大きいとは思いますけど、彼らに期待しています。
――田中選手のどのようなプレーに期待していますか
福山 彼は動きながらでも中に入ったり、バックアタックやオープンでもしっかり打ってくれるので、その決定率がチームに響くのではないかなと思います。
主将としてチームをけん引する二人
――リーグ戦の早慶戦と定期戦の違いを感じることは何かありますか
福山 早慶定期戦になると応援も普通のリーグ戦より盛り上がりますし、去年負けているので、一つの試合にしっかり集中できるところは自分たちにとってメリットだと思います。
野瀬 リーグ戦とは違って独特な雰囲気で、OBや学生も来てくれます。バレーの1試合のためにみんなが期待してくれていて、そういった良い意味でのプレッシャーというか、もう4回目なのでそれは結構楽しいですね。
――話は変わりますが、練習以外のオフの時間はどのように過ごされていますか
福山 自分たちは月曜日がオフで基本的にみんな授業とかもあるので、特に何かしていると言われたら何もしていないですけど・・・(笑)。まあ一応バレーから離れる唯一の日が月曜なので、自分なりにゆっくりやりたいことをしているという感じですね。ごろごろしたり、友達と飲みに行くなりしています。
野瀬 僕たちは火曜日がオフなのですが、そこにみんな授業を詰め込んでいるので。基本授業で僕もゼミがあるので、睡眠時間をとることは重要だと思います。午前中は寝ていて、午後からは学校行き勉強して、という感じですね。あとは録りためたドラマを一気に見ます。
――バレーボール部の方とは一緒ではないのですか
福山 そうですね。みんなオフのときは一緒になることはほとんどないですね。月曜日に関してはバラバラに過ごすので、火曜日からまた集まるという感じです。特別バレー部だから集まろうとかいうのはあまりないですね。
――お二人は2013年の東アジア地区バレーボール男子選手権大会で全日本のメンバーとして帯同されていらっしゃいましたが、その時の思い出は何かありますか
福山 一つ思ったのは海外の試合となると日本とは違って観客がすごいです。完全なアウェーの中でやるということで、一人ひとりプレッシャーもかかりますし、その中で自分のプレーもしなくてはいけないのでとても難しいです。日本のVリーグでもそこまで観客とかはいないので、どちらかというと海外の大勢の観客の前で、それに一番近いのは春高だと思うのですが、あのような空気でやる方がプレーヤーとしても楽しいのではないかなと思います。
野瀬 一つ海外って思ったのはご飯がおいしくないなということです。僕にとってご飯は自分のコンディションを作る上で重要なので、その部分は難しかったです。また、さっき言ったように極端なアウェーだったので、日本はそんなことはないと思います。結構アウェーだったよね?
福山 あれは凄い。
野瀬 逆に楽しめたというか、すごく良い経験になりました。
――大会中の食生活はどのようなものでしたか
野瀬 まず野菜を食べられませんでしたね。お腹壊すから。揚げ物しか出てこないし、臭いし、よくわからない料理が出てくるし。大学とかだとインカレなどでコンビニとかでホテルのご飯が合わなくても行けるのですが、まず外に行けなかったので・・・。コンビニすら行けなかったですね。
主将の苦悩
――キャプテンとしての苦悩などはありますか
福山 自分は同級生がアナリストの子しかいません。その中で練習中は彼女がリーグのデータとかをまとめているので、練習のメニューは自分で考えています。試合に出ているメンバーも自分以外は下級生というところで、そこをこれからどうやってまとめていこうかなと思っています。
野瀬 僕は逆に同期が10人いるので、副将の吉田(純、環4=東京・東亜学園)とかとメニューを考えたりしています。僕はそういうのが苦手なのですごく助かっているのですが、試合となるとリベロはレシーブしかやらないので関わらないプレーがすごくあったりして難しい部分もあります。そこはさっき言った池田・布川・黒田の下級生に頑張ってもらわなくてはいけなくて、あいつらなりに頑張っているとは思いますが、そこがうちのまだまだ足りないところだと思います。自分がかかわらないプレーですし難しいですね。
――福山主将は同期がいませんが、3年生の選手たちはいかがですか
福山 自分がいても、3年生がコートで最上級生という意識でやってもらうのが一番良いとは思うのですが、彼らもまだまだ3年生ですし、そこまで意識を持っていくのは今のところは難しいかなと思います。
――キャプテンとして質問してみたいことは
野瀬 自分がコートにいないとき難しい?下級生頼みになるときって結構難しいよね。
福山 そこが一番弱いローテだから・・・。自分で何もできなくて負けるときが一番つらいのかなと思いますけど、それはポジションがそうなので何にも言えないですが。そうなることは分かっていて、チーム全体にも言ってあります。そこの2人がもうちょっと意識を高めに持って、自分を高めてほしいところですね。
――これまでの試合の中で印象に残っている試合は何ですか
福山 一昨年の全日本インカレでの優勝でプレッシャーもあったとは思うのですが、去年の全カレで明治に2セット取った後、3セット一気に取られたということが自分の中で結構衝撃的でした。勝ち試合だったのにもかかわらず自分たちのミスで点数取られたので、それだけが今のところ悔いが残っている試合です。
早大・福山主将
野瀬 僕は去年の早慶戦ですかね。結構ひやひやして半分負けたのかなと思ったのですが、あれが早慶戦なのかなと。独特な雰囲気があり、ホームだから勝てたのではないかと思います。慶應を応援してくれるお客さんとかの勢いがあって終盤乗れたので、その試合は印象に残っています。
慶大・野瀬主将
「単純に自分の代で負けたくない」(野瀬)
――ことしは早大のホームの試合となりますが
福山 慶應で早慶戦をするときにいつも思うのが、観客席の人たちが点数慶應に入るごとにすごく雰囲気で押してくるので、それが今年はない分助かるのかなと思います。
野瀬 一昨年は早稲田の体育館のセンターコートで完敗したので、借りを返したいのですね。あの場所で。
――お互いのチームで特に警戒している選手は
福山 自分たちはライトの黒田選手ですかね。結構パンチの効いたスパイク打ってくるので、ブロックがバラバラになって簡単に飛ばされないようにしていきたいと思います。
野瀬 うちはセンター線ですかね。汰一だったり加藤(久典、スポ3=東京・早実)なりセンターをセッターがうまく使ってくるので、そこを警戒しています。
――お二人にとって最後の早慶戦となりますが
福山 最後の早慶戦なので気持ちよく終われたらいいなと思います。
野瀬 正直そんなに考えてなかったのですが、単純に自分の代で負けたくないなって。自分の代の早慶戦で黒丸がつくのは嫌だなっていうのが正直な感想ですね。
――最後に意気込みをお願いします
福山 とりあえず勝ちます!
野瀬 負けません!
――お忙しい中、いろいろとお話しいただきありがとうございました!
最後の『早慶戦』に対する意気込みを語った両主将
◆福山汰一(ふくやま・たいち)
1993(平5)年12月20日生まれ。190センチ。熊本・鎮西高出身。早稲田大学スポーツ科学部4年。センター。ブロックと高い決定率を誇るクイックでチームをけん引する。オフの日はごろごろしたり、飲みに行ったすると語ってくれた福山主将。その素顔は普通の大学生と変わらないようです
◆野瀬将平(のせ・しょうへい)
1993(平5)年7月20日生まれ。170センチ。東福岡高出身。慶應義塾大学環境情報学部4年。リベロ。大きな声でチームを鼓舞する守護神。コンディショニングを作る上で、特に食生活に気を使っているそうです。野瀬主将のガッツ溢れるプレーの源は、食事にあるのかもしれません