控え選手の活躍もあり、まずは初戦突破

男子バレーボール

 ついにこの時がやってきた。1年間の戦いの締めくくり、そして4年生にとっては集大成の舞台となる全日本大学選手権(インカレ)が開幕。昨年、61年ぶりの偉業を達成したワセダにとって、この大会での目標はもちろん連覇だ。きょうの試合は、インカレ初戦ということで立ち上がりは硬さも見られたが、尻上がりに調子を取り戻し終盤は圧倒。格下相手にセットカウント3-0(25-20、25-10、25-12)で堂々のストレート勝ちを収めた。

 やはりインカレにはリーグ戦とは違う、独特の雰囲気があるのだろうか。試合開始からいきなり相手サーブでレシーブが崩れると、セッターの山口頌平(スポ2=長崎・大村工)のトスも乱れる。勢いに乗った相手に時間差攻撃などを仕掛けられ、なかなかリードを奪えない。しかし、レシーブが崩れながらも得意のセンター線をうまく使い、主導権は渡さなかった。

サービスエースも奪った田中

 第2セットからは完全にワセダペースで試合が進む。ブロックで相手の攻撃を遮断し、付け入る隙を与えなかった。また、控え選手も積極的に起用。専田和也主将(スポ4=神奈川・弥栄)と喜入祥充(スポ1=大阪・大塚)に代わり、ウイングスパイカーに田中健翔(スポ2=熊本・鎮西)と真鍋佑輔(人2=香川・高松一)が入る。田中本人も「合格点をあげてもいい」と振り返るように、サーブ、スパイク面で活躍を見せる。真鍋も確実なスパイクで得点を挙げていたが、最後の最後で課題が残った。マッチポイントを握った場面から連続でトスを託されながら、そこで決めきることができなかった。結局、25点目を決めたのは濱松啓陽(スポ4=佐賀商)。「自分の良さをぶつけることがまだまだ足りない」と、松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)も語ったが、それだけ期待が大きいということの裏返しだろう。

専田、喜入に代わり出場し、はつらつとしたプレーを見せた真鍋

 サーブレシーブという課題、そしていまのチーム状態を確認できたという収穫を得られたきょうの試合。あすは2戦あり、2戦目では関東の大学と対戦することも予想されるため、課題は早めに修正しておきたいところだ。「軸をぶらさず全部出す」(松井監督)。これまでやってきたことを出し切れば、負けることはない。頂点まで残り5試合、全力で挑む。

(記事、写真 谷口武)

セットカウント
早大 25-20
25-10
25-12

川崎医療福祉大
スタメン
レフト 専田和也(スポ4=神奈川・弥栄)
レフト 喜入祥充(スポ1=大阪・大塚)
センター 濱松啓陽(スポ4=佐賀商)
センター 福山汰一(スポ3=熊本・鎮西)
ライト 山﨑貴矢(スポ1=愛知・星城)
セッター 山口頌平(スポ2=長崎・大村工)
リベロ 後藤光明(社2=東京・早実)
コメント

松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)

――いよいよインカレ(全日本大学選手権)が開幕しましたが、きょうをどのような気持ちで迎えましたか

やはり4年生が成長した一年だったというのを感じており、悔しい場面も多かった代ですけれど、最終的には4年生が最後なので、4年生の良さを出せるように指揮を執っていきたいなと思っています。

――きょうはどのような戦いをしようと臨まれましたか

まずは自分たちのかたちを作ろうと。あとは試合に慣れようと。インカレはきょねんもおととしも1回戦は(1セット内で)23点ぐらい取られたりしているので、そういう独特の雰囲気の大会であるということを1年生に知ってもらいたかったです。あるいは、優勝したメンバーもまた新たな大会ということで慣れてもらいたかったですけれど、やはり第1セットがあまりうまくはいきませんでしたね。

――その苦しんだ第1セットはいかがでしたか

第1セットは硬さが目立ちましたよね。自分たちの中で一生懸命やっていたんだろうけれども、雰囲気というものに関してはことしも同じなんだなと感じました。学生の中でもこの大会に対する思いが、ある意味硬さにつながったのかなと感じたので、逆にこれからいい緊張感を持ってやれそうな気がしています。

――第2セットからは控え選手を積極的に起用していきました

この一年の成長を感じたということと、もし誰かにアクシデントがあった場合でもリザーブの選手が活躍してくれる環境を整えた中で、活躍してくれそうなプレーをしてくれました。

――特に田中健翔選手(スポ2=熊本・鎮西)は好プレーが目立ちましたが、いかがでしたか

そうですね。彼はけがをしていましたが元々いいものがあって素晴らしいと思うので、どちらかのサイドの選手にアクシデントがあった時にはすぐ切り替えるつもりはあります。

――一方で最後マッチポイントを握ってから決めきれない展開が続き、結局は濱松啓陽選手(スポ4=佐賀商)が締めましたが

真鍋(佑輔、人2=香川・高松一)に関しては人間的に優しくてすごくいいものがありますが、勝負ということに関してはそうではなくて。自分の良さをぶつけることがまだまだ足りないかなと思っていますね。23、24点目の時にスパイクを2本ミスし、次はフェイントをしてと。そこは思い切って打ってほしかったですね。スパイクを打ってブロックされるのは構わないけれど、そうではなくて簡単に点を取りに行ってしまいました。悪い言葉でいえば逃げてしまったようなところが見えたので、そこは練習してきたことを精いっぱい出せなかったのだなというところで、物足りなさを感じます。

――ブロックが非常に良かったですが、練習の成果が表れているのでしょうか

そうですね。秋季リーグ(秋季関東大学リーグ戦)が終わってからブロックの強化が課題の一つであったので、相当いいかたちで、この大会ではブロックの決定率が上がるのではと思っています。

――きょう見つかった課題はありますか

やはりサーブレシーブですね。それが崩れると、どうしても両エースにボールが集まってしまうので、その戦いになるとうちも厳しいので、その1本目をしっかりセッターに返さなくてはといったところを確認できました。

――収穫としてはどのようなことが挙げられますか

自分たちのかたちが、あるいは誰が出てもチームとしては非常にいい状態であると思っています。硬さというのもきょうの試合で取れたと思いますので、それがとにかくきょうの収穫ですね。

――あすは2戦ありますが、あす以降への意気込みをお願いします

トーナメント戦なので、そして4年生の引退がかかっている大会なので、とにかく全部出すというところですね。このぐらいでいいやとか、相手がどうというところではなくて、軸をぶらさず全部出す。そういったことを3年間教えてきたので、それができれば負けることはないと思います。

田中健翔(スポ2=熊本・鎮西)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

久しぶりの公式戦でしたが、そんなに緊張はしなかったです。普通にいつも通りのプレーはできたと思いますし、合格点はあげてもいいかなと思います(笑)。

――ご自身のプレーを振り返っていかがでしたか

僕はサーブレシーブが苦手な方なんですけれど、サーブレシーブが返ってセッターがいい組み立てができたので、第2セット以降は簡単に差をつけて勝てたのではないかなと思います。

――サービスエースを決める場面もありました

サーブも、僕の目標としてはミスをしないということだったのですが、最後にミスをしてしまったので、そこは悔やまれますね。

――第1セットは硬さが見られたと思うのですが、ベンチから見ていてコート内はどのように映りましたか

体育館になれていないというのもおそらくありますが、やはりサーブレシーブが返っていなかったので慌てたのではないかなと思いますね。サーブでのってきて、向こうも時間差攻撃などを仕掛けてきたので、でも1試合目なのでよくあることだとは思います。

――第2セットからの出場でしたが、専田和也主将(スポ4=神奈川・弥栄)などからアドバイスは何かありましたか

安心できるプレーをしてくれと言われました(笑)。

――ブロックが非常に良かったですが、いかがでしたか

向こうのチームの選手は身長も低かったので、上から打たれるということもなかったのでしっかり手を出していけば止まるブロックだったなと思います。

――きょう見つかった課題はありますか

課題としては安定感がないので、この先強くなってきた相手にはこのままだところっと足元をすくわれてしまうので、出だしからしっかりと安定していきたいです。

――インカレへの意気込みをお願いします

4年生を勝たせたいです。