主将の不調が響き、無念の敗退

男子バレーボール

 シーズン前半戦の締めとなる東日本大学選手権(東日本インカレ)。第1シードの早大は、産業能率大、富山大と格下相手にどちらもストレート勝ちを収め、準々決勝まで順当に駒を進めた。そして準々決勝の相手となったのは、昨年の準優勝校の日体大。試合は第1セットから白熱する。スコア34-32で辛くもこのセットを制すが、第2セットの途中で専田和也主将(スポ4=神奈川・弥栄)がベンチに下がってしまう。その後は波に乗れないまま、セットカウント1-3(34-32、12-25、23-25、22-25)で敗北を喫す。昨年以上の成績を残せず、前半戦を終えることとなった。

 出だしから熱い展開が繰り広げられた。1点ずつを取り合い、2点取られては2点取り返すといった、一進一退の攻防が続く。そして、早大はスコア20-20の場面から喜入祥充(スポ1=大阪・大塚)がスパイクを2本決めるなど3連続得点を挙げる。1点奪われた後には濱松啓陽(スポ4=佐賀商)の速攻でセットポイントまでこぎつけた。しかし、ここからが長かった。専田のミスが続き、第1セットからジュースへ。それからも互いに一歩も譲らず、スコアは30点を越えていく。終止符を打ったのは、成長著しいルーキーだった。喜入がバックアタックを決め9度目のセットポイントを握ると、相手のミスによりなんとか1セットを手に入れた。

専田の不調をカバーする働きを見せた喜入

 その一方で、主将の体は限界に近づいていた。けがの影響か本来のプレーができず、精彩を欠いていた専田。第2セット序盤で無念の交代となった。代わって、田中健翔(スポ2=熊本・鎮西)がコートに立つ。しかし、「選手たちも緊張してしまい、ごちゃごちゃしてしまった」と三宅徹副将(人4=岡山・金光学園)も語るように、大黒柱を失った動揺もあったのか。思うようなバレーができず、その隙を日体大につけ込まれる。第2セットを12点しか奪えなかった早大は、第3セットから再び専田をコートに戻す。それでも流れを変えることはできず、このセットもわずかに及ばず、日体大に追い込まれる。後のなくなった第4セットも、6連続得点を許し、その差は8点に広がってしまう。濱松の速攻を機に5連続得点で2点差まで追い上げたが、時すでに遅し。ヤマ場の一戦で勝利できず、ベスト8での東日本インカレ終幕となった。

逆転はならず、ベスト4に進むことはできなかった

 改めて専田の重要さを思い知らされた試合だった。専田がチームに欠かせないことは言うまでもないが、やはり理想的なかたちは全員バレーとなるだろう。「みんなで攻撃してみんなで守るというチームのかたちを作っていきたい」(三宅)。チーム一丸となり、最高のチーム作りが求められる。夏に積み重ねた努力が秋以降の結果に結びつくのは間違いない。逆襲へ向け、稲穂戦士たちの夏が始まる。

(記事、写真 谷口武)

セットカウント
早大 34-32
12-25
23-25
22-25

日体大
スタメン
レフト 専田和也(スポ4=神奈川・弥栄)
レフト 喜入祥充(スポ1=大阪・大塚)
センター 濱松啓陽(スポ4=佐賀商)
センター 福山汰一(スポ3=熊本・鎮西)
ライト 三宅徹(人4=岡山・金光学園)
セッター 山口頌平(スポ2=長崎・大村工)
リベロ 後藤光明(社2=東京・早実)
コメント

専田和也主将(スポ4=神奈川・弥栄)

――勝ちきることができずに敗退となってしまいましたが、日体大戦を振り返っていかがでしたか

単純に相手の時間差を全く止められなかったことと、自分たちのサーブが弱かったということです。向こうにサーブを攻められた分、その差が出たのかなと思います。

――第1セットは非常に長いセットとなりましたが、勝ち取れた要因はなんでしょうか

別にあれは時の流れなので、なぜ勝ったかと言われたら運としか言いようがないですね。

――第2セットでベンチに下がられましたが調子が思わしくなかったのでしょうか

第1セットと第2セットの序盤出た感じ、自分が出るより田中(健翔、スポ2=熊本・鎮西)を出した方がチームにとってプラスだろうという判断をして、そこで監督に言ってチェンジしました。

――第2セットはベンチに下がっていましたが、ベンチから映るチームの光景はいかがでしたか

ちょっとぎくしゃくしていて、いつもの力が出せていないなというのは感じましたが、みんな一生懸命やってはいると思うので、僕のせいでこういう事態になってしまったので、何も言えないです。

――東日本インカレベスト8という数字はどのように受け止めていますか

全然だめですけれど、現状このぐらいだという風に思っているので、東日本の優勝を目指してはいましたが、結果がこういう風になっているので、もっと練習しないといけないなと思いました。

――この夏強化したいのは、具体的にどのようなところでしょうか

もっとバレーを大きくしないといけないので、個人のスキルアップは必須ですが、やはりライトを使えるようにして、幅を利かせていかないときついので、ライト攻撃を作ることとあとはレセプションです。他にもブロックのシステムとか、まあ課題はたくさんあります。やらなくてはいけないことがたくさんあるので、伸びしろはあると思います。

三宅徹副将(人4=岡山・金光学園)

――無念の敗退となってしまいましたが、試合を振り返っていかがでしたか

専田がけがしていたので、みんなでその分をカバーしていこうと言っていましたが、やはりどうしても専田にボールが集まるときにフォローしきれず、みんなの力が足りなかったのかなと思います。あと早慶定期戦に続き、サーブがだめで、そこをやられたかなと思います。

――第1セットは非常に長い試合となりましたが、勝ち取れた要因はなんでしょうか

第1セットはリードしていた展開だったので、気持ち的にも上回っているという余裕があったことが、最後の最後まで諦めずにいけました。その分そのあとのセットはリードされて余裕がなかったです。

――第2セットでは途中専田主将がベンチに下がってしまいましたが、どのようにプレーされていましたか

専田が下がり、僕が副将としてみんなに声をかけていろいろやっていましたが、その代わりに入った選手たちも緊張してしまい、ごちゃごちゃしてしまいました。

――第3セット以降は粘り切れませんでしたが

結局、競ってて最後逃げられるというあたり、詰めが甘いのかなというのを痛感しました。フルセットを春季リーグから取り損ねていることが多いというのが、ここにいまつながっているのではないかと思いました。

――東日本インカレのベスト8という結果をどのようにお考えでしょうか

妥当と言ったらよくないですが、いまのレベルでいうとそんなものかなと思います。春季リーグも6位とベスト8みたいなものですし、いまの自分たちの力はこの程度だと思うしかないです。これを今後どう修正していくかが夏にかかっていると思います。

――夏に具体的に強化したい箇所はどのような部分でしょうか

やはりライトだと思います。レフトとセンターの、コートの半分でしか試合できていないので、もっとみんなで攻撃してみんなで守るというチームのかたちを作っていきたいです。