ミスに泣き、二連覇ならず

男子バレーボール

 東日本大学選手権(東日本インカレ)を目前に控えた早慶両校による、負けられない戦いがことしも開催された。昨年の早慶定期戦(定期戦)では4年ぶりに早大に軍配が上がり、ここから再び早大の時代を築きたいところ。慶大のホームである日吉で行われた伝統の一戦は、最後の最後まで一進一退の攻防が続く。しかし、早大のミスがこの激戦の勝敗を分けてしまった。セットカウント2-3(23-25、25-19、25-23、23-25、17-19)で敗れ、敵地に『紺碧の空』を響かせることはできなかった。

 試合前からスタンドの熱気は高まっていた。定期戦では二年連続、今季のトータルでも春季関東大学リーグ戦(リーグ戦)に続き二連勝を飾りたい早大。対するは、そのリベンジに燃える慶大。両校の一戦は、まず立ち上がりは慶大がペースをつかんだ。中盤からは早大も連続得点を奪い巻き返すが、サーブミスでマッチポイントを取られると、続く相手サーブのレセプションに失敗し、第1セットを落とした。第2セットでも激しい攻防は続く。1点を取っては取り返される、これぞシーソーゲームという展開に。この均衡状態の中、エース・専田和也主将(スポ4=神奈川・弥栄)が魅せた。カウント21-19の場面で見事バックアタックを決めると、相手のスパイクを濵松啓陽(スポ4=佐賀商)とのブロックで遮断。4連続得点で逃げ切り、セットカウントをタイに戻した。第3セットでは点差を広げるが、この点差が油断を生んだのか、その後猛追を許してしまう。「早大も慶大もミスして、点のやり合いだった」(専田)と語るように、このピンチは慶大のミスに救われ、辛くも2セットを先取した。

クイックを決める福山

 第4セットは慶大にこの日最大となる5点ものリードを奪われたが、早大も諦めない。専田の二連続スパイクなどで同点に追いつく。アウェーながら、沸き立つ早大スタンド。だがそんな空気も、一人の男によって引き裂かれた。慶大の絶対的エース、柳田将洋主将(4年)にスパイクとサービスエースを決められ、慶大スタンドが息を吹き返す。試合はフルセットに。まさに意地と意地のぶつかり合いの試合となった。序盤は、定期戦初出場となる喜入祥充(スポ1=大阪・大塚)がリーグ戦時と変わらない活躍を見せ、早大がリードを奪う。慶大もホームとしての地の利を生かし、声援を背にじりじりと点差を詰めていく。そして試合はついにジュースに突入。勝利の女神はどちらにほほ笑むのか。しかし、その前に早大にほころびが出てしまった。カウント17-17とジュースが長引く中、セッターの山口頌平(スポ2=長崎・大村工)が上げたトスは無常にもコートに落ちてしまう。この痛恨の失点を取り返すことはできず、78回目の定期戦は早大の敗戦により幕を閉じた。

初の早慶定期戦の舞台でも躍動した喜入

 「ミスが多い早大というのが勝敗に結びついてしまった」と専田も振り返った通り、スコア自体は僅差の好ゲームであったものの、どちらもミスの目立った試合だった。リーグ戦でもフルセットやミスに苦しんだように、この二つの課題を早急に対策しなくては『真の学生日本一』は見えてこないだろう。栄冠への道は厳しいが、愚直に練習を積み重ね、まずは東日本インカレの覇者を目指す。

(記事 谷口武、写真 曽我部美紗、谷口武)

セットカウント
早大 23-25
25-19
25-23
23-25
17-19

慶大
スタメン
レフト 専田和也(スポ4=神奈川・弥栄)
レフト 喜入祥充(スポ1=大阪・大塚)
センター 濱松啓陽(スポ4=佐賀商)
センター 福山汰一(スポ3=熊本・鎮西)
ライト 三宅徹(人4=岡山・金光学園)
セッター 山口頌平(スポ2=長崎・大村工)
リベロ 後藤光明(社2=東京・早実)
コメント

専田和也主将(スポ4=神奈川・弥栄)

――大接戦の末勝つことができませんでしたが、いまの心境を教えてください

負けたのは悔しいです。最後マッチポイントを取った時に二段トスが僕のところに上がってきてそれをミスしてしまったのですが、そこで決めていれば勝っていた試合でしたし、結局一人の1点のミスで勝敗が決まることはよくあることなので、ミスが多い早大というのが勝敗に結びついてしまったのかなと思います。

――松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)も「接戦というわけではなかった」とおっしゃっていましたが

その通りですね。ミスが多くて、 早大も慶大もミスして、点のやり合いだったので、あまり良い試合とは言えないですが、

――早慶主将対談の際など、全力でぶつかりたいとおっしゃっていましたが、いかがでしたか

全力でやってはいるんですけれど、まだどちらも甘いチームです。まあ実力ですよね。ミスが多いというのも実力だと思います。全力というのは出たと思います。

――試合は第2セット以外いずれも2点差以内のゲームでしたが

それも1点2点の差で、どのセットもそれぐらいミスがあるので、そのミスの差になってしまったということです

――柳田主将をはじめ、慶大への対策などはされましたか

柳田に関しては打ってくるコースなどはもう分析してあるので、そのコースに誰が入るかというのは分析していたんですけれど、やっぱ彼の方が力は上なので、拾いきれないところがありました

――東日本大学選手権も来週に迫りましたが、意気込みをお願いします

もうちょっと精度を上げないと最後ミスがあったりと無駄なミスが多いので、そこを改善していかないと優勝は見えてこないと思うので、ミスを減らすことを目標に頑張ります。

三宅徹副将(人4=岡山・金光学園)

――きょうの大会を振り返っていかがでしたか

良い試合が出来たと思います。でも勝てたかなと思います。春季リーグからフルセットが課題だったのですが、そこがまだ取りきれてなかったです。ブロックフォローなども課題だったのですが、みんな意識してすることが出来ました。でも、まだまだ、ツメの部分では甘いかなと思いました。

――最後の早慶戦でしたがどのような意気込みで臨まれましたか

僕はスタメンで早慶戦に出るのが最初で最後なので、絶対に勝とうと思って臨みました。

――慶大の印象はいかがでしたか

勢いに乗ったらガンガンくるという感じでした。サーブが強かったので、そこで崩されて、相手が勢いに乗って、という流れで、サーブレシーブさえ返せていれば、勝てない相手ではなかったです。

――東日本インカレに向けての意気込みを聞かせてください

くじ的にも結構いいところに入ったので、ベスト4以上を狙っていきたいと思います。

濱松啓陽(スポ4=佐賀商)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

リーグ戦と同様、柳田をつぶしに行くという作戦で、リーグ戦と同じようにやろうということでやって、でも最初は何でもないサーブにやられて、こっちでリズムを作れなくて、終盤ちゃんとキャッチがかえってリズムが作れて、これいけるなというところで、でもちょっと油断があったのかなとは思いますね。それで結果としてこうやって負けた、まあアウェーの雰囲気でのまれた部分もありますけれども、これはこれでいい経験だったと思います。

――最後の早慶戦となったわけでしたが、どのような意気込みで臨まれましたか

まだ僕は早慶戦が1勝2敗で、これで勝ってもとんとんだったのですけれども、五分にして終ろうと思っていたのですけれども、こういう結果になって、ちょっと悔しいです。

――きょうブロックの調子がよかったように見えましたが、慶大のスパイク、柳田さんとの相性などはいかがでしたか

もう柳田とこれだけずっとやってくると、癖というか打ち方、こうくるなというのはわかっているので、それが型にはまったという部分はありますね。

――東日本インカレに向けて、意気込みをお願いします

東日本インカレでは慶大と当たるとしたら決勝ですが、どことやっても自分たちのバレーをやるだけなので、就活で4年生が抜けているところもありますので、これをチャンスにしっかり決勝まで駒を進めたいと思います。

福山汰一(スポ3=熊本・鎮西)

――きょうの試合を振り返って

ミスが重なった結果、負けにつながったと思います。

――どのような気持ちで早慶戦に臨みましたか

特別な気持ちはそんなにないですけど、慶大とやる時はいつも勢いがすごいので、それにのまれないように試合に臨みました。

――どのセットも接戦でしたがどのような気持ちでプレーしていましたか

きょねんも勝ってリーグ戦でも勝っているので絶対に負けたくなかったんですけど、自分たちのミスで負けたという感じでした。

――東日本インカレまでに改善したい課題などはありますか

前からブロックが甘かったのでその練習をしていて、今回はあまり打たせなかったんですけど、そこかなと思います。

――東日本インカレに向けての意気込みをお願いします

勝てるところは勝って、全日本インカレにつなげていきたいと思います。

喜入祥充(スポ1=大阪・大塚)

――試合を振り返っていかがでしたか

普通のリーグ戦とは雰囲気がとても違って、普通の試合では味わえないような雰囲気でできたので良い経験になったと思います。

――初めての早慶定期戦はいかがでしたか

一言で言うと、とても楽しかったです。遠い所から応援団の方々が来て下さったので、自分自身とても楽しんでプレーできたと思います。

――慶大と試合をする上でなにか対策はありましたか

1番の柳田さんだけではないですが、やはり中心となる選手なので、柳田さんをどうしていくかということをチームで話し合いながらプレーしました。

――なにか新しく見つかった課題などはありますか

終盤の大事な所で自分のサーブカットミスが目立ったので、大事な所でミスをしないようにこれから頑張っていこうと思います。

――東日本インカレに向けて意気込みをお願いします

目指しているのは優勝なので、その優勝にふさわしいプレーが自分自身できるように頑張りたいと思います。