悔しさ残る3位、次こそは頂点へ

男子バレーボール

 4日間にわたり行われてきた東日本大学選手権(東日本インカレ)もいよいよ大詰め。きのう明大との準決勝に敗れたワセダは順大との3位決定戦に臨んだ。ここ二日間で4試合を戦い抜いた選手たちだが、疲れた様子も見せず、目の前の試合に全力を注ぐ。前期最後となる公式戦で、新チーム始動からこれまでいくつもの激戦をくぐり抜けてきたチームの成長を示すかのような『ワセダのバレー』を披露し、順大を圧倒。3-0(25-21、25-17、25-20)のストレート勝ちで見事3位に輝いた。

高さをものともせずスパイクを決めた福山

 「切り替えて集中することができた」(七里幸洋、社4=大阪・清風)。その言葉通りきのうの敗戦のショックを感じさせない、躍動感ある攻撃で序盤からスパイクが次々と決まる。順大が誇る高さのあるブロックに対しても、「そんなに(高さに対する)意識はなかった」(吉村主将、スポ4=長崎・佐世保南)と苦にすることはなく、自分たちのバレーを展開。ライトから七里、レストから専田和也(スポ3=神奈川・弥栄)が交互に得点を重ねていく。第1セットを取ると、その後もワセダが圧倒し、相手に反撃の隙を与えない。第2、第3セットも危なげのない内容で、いとも簡単に3セットを連取。ストレートで順大を下し、勝利を飾った。

 2-0となり決着は着いたかに思われたこの試合。3セット目に入っても一進一退の攻防であることに変わりはないが、七里、専田和也(スポ3=神奈川・弥栄)のスパイクを中心に得点を重ね、ワセダがリードでマッチポイントを迎える。しかし、ここまで接戦を演じてきた中大も簡単に終わるはずがなかった。24-23から3連続ポイントを奪われこのセットを落とすと、流れは中大へ。その勢いのまま4セット目も大差で落とすとフルセットに持ち込まれる。

銅メダルを獲得したが笑顔はなかった

最後のポイントを決めた直後、選手たちは喜ぶ様子もなく、軽くハイタッチをして淡々と整列した。「どうしても3位を越えられないカベがある」(吉村主将)。昨年の全日本大学選手権で3位、ことしの春季大学リーグ戦でも3位と立て続けに好結果を残してはいるが、優勝という目標には手が届かずにいた。そして、またしても越えられなかったカベ。吉村主将の言葉にはうれしくもあり、悔しくもある今回の結果に対する複雑な感情が表れている。3位という結果自体は6年ぶりの好結果。しかし、それさえ手放しには喜べないほど、ことしのチームの目指すところは高い。「優勝を狙うにはもう一歩ステップアップしないと上のチームには勝てない」(吉村主将)と言う通り、負けてしまった試合では得意とするサーブでミスが多かったり、速いトスにブロックがつけずにフリーで打たせてしまうなどの課題も見つかった。悲願の優勝のためには夏の期間にどれだけ成長できるかがカギとなる。次こそ頂点へ――。今大会で得た自信と悔しさを胸に、勝負の夏を迎える。

(記事、写真 中澤佑輔)

結果

早大3-0順大(25-21、25-17、25-20)

◆個人賞

ベストスコアラー賞、サーブ賞  七里幸洋

リベロ賞            本間隆太(スポ4=神奈川・弥栄)

コメント

吉村康佑主将(スポ4=長崎・佐世保南)

――ミスも少なく良いバレーができていましたが

むこうも春季関東大学リーグ戦(春リーグ)よりあまいプレーがあったので自分たちのバレーをすれば絶対勝てると思っていました。きのうに比べたらそれができていたので楽に勝てたと思っています。

――高さのあるブロックは苦になりませんでしたか

高かったんですけど大きい分レシーブはそんなにうまくないので、自分たちの持ち味であるサーブで攻めてこっちでコンビをつくるという作戦ができていたのでチームとしてそんなに(高さに対する)意識はなかったですね。

――3位という結果はうれしさと悔しさどちらが大きいですか

正直、日本一を目指してやってきたのにきょねんの全日本大学選手権(全日本インカレ)でも3位、ことしの春リーグも3位なのでどうしても3位を越えられないカベがあるので、自分たちの実力不足でもあるし練習不足でもあるので優勝を狙うにはもう一歩ステップアップしないと上のチームには勝てないと思います。夏が勝負だと思うのでしっかり練習して秋季関東大学リーグ戦に臨んで最終的には全日本インカレで優勝できるようにみんなで頑張っていきたいです。

――順大に3-0ということでチームの成長に手応えは感じていますか

縦と横がしっかりできていて、組織としても成り立っているのでそういった面からしたら個人個人ではなく全員でやるというチームワークの良さがでて春リーグも結果が残せたし、早慶戦も勝てたし、東日本も3位になれたと思っています。上昇気流にあると思うのでこれをきっかけにもう一歩ステップアップできるように頑張っていきたいです

――優勝のためにあと何が足りないと思いますか

プレーもそうですけど、二段トスとかサーブとかゲームの中で見られる基礎のプレーが日体などの固いチームに比べたら劣っていると思うので夏にしっかり基礎から練習して戦えるようにしたいです。

――一番成長を期待している選手は

やっぱりセッター(山口頌平、スポ1=長崎・大村工)ですかね。半年経ちましたがまだ周りからやらされている部分もあると思うので。チームの軸はセッターだと自分は思っているので、下級生ですけど上げてくれたトスは僕ら上級生が打つのでしっかりチームの柱として頑張ってほしいです。

七里幸洋(社4=大阪・清風)

――順大と戦った感想はいかがですか

春リーグも勝ったチームで、きのう負けましたが切り替えて集中することができたので自分たちのバレーもできてスムーズにいけたと思います。

――きのうの試合で七里選手自身ミスが目立った気がしたのですが、きょうはいかがでしたか

きょうはサーブと二段トスの打ち込みにミスがでて、ちょっと負傷している部分もあったんですけど勝ててよかったと思います。

――サーブが決まる時と決まらない時の差はどんなところですか

きょうはそこまで集中しきれなかったのかなと思うんですけど、集中しているときは攻めていけるんじゃないかなと思います。

――3位という結果はうれしいというより悔しい気持ちですか

きょねんの全日本インカレからずっと3位だったのでもっと上を目指したかったかなというのが正直な気持ちですね。

――いまのチームに足りないものは何ですか

今回はファーストブレイクが一本で切れていなくて、速いトスに対してブロックが一枚になったり、バラバラになっていたので速いトスに対してしっかりこっちのブロックとレシーブの関係が上手くできたらもっと上を目指せると思います。

――秋まで時間がありますが、夏の間に一番練習したいことは

期間が長いので後輩を教育して来年も強いチームを作りたいなあというのが一つと、全体的にレベルアップできれば良いと思います。