筑波大、慶大といった強敵を破り、準決勝まで勝ち進んできたワセダ。秋季関東大学リーグ戦(リーグ戦)で最後まで優勝争いを繰り広げた明大と激突した。第1セットは序盤こそ劣勢ながら、中盤からは自分たちのペースに持ち込み、このセットを奪う。第2セット以降はワセダが優位に試合を運び、第3セットも連取する。尻上がりに調子を上げていった早大がセットカウント3-0(25-23、25-22、25-21)で勝利。あす行われる日体大との決勝戦に駒を進めた。
気迫溢れるプレーでチームをけん引した吉村主将
観客も思わず息をのむほどの、白熱したラリーが続いた。立ち上がりは一進一退の攻防となるが、次第に明大が強烈なスパイクを決め、9-13と点差を広げていく。しかし、「だいたいこうなることは予想できていた」(専田和也、スポ3=神奈川・弥栄)と語るように、タイムアウトを挟んでからはクイックやバックアタックなどの多彩な連携攻撃を披露。徐々に本来の力を発揮し始める。17-18と、一気に追い上げたい場面で早大はピンチサーバーに北地航(スポ4=東京・早実)を起用。好サーブを連発して味方を勢い付け、逆転に成功する。明大もタイムアウトを取り反撃を試みるが、七里幸洋(社4=大阪・清風)のスパイクやブロックの前に屈する。食らいつく相手から逃げ切り、第1セットを25-23で先取した。
安定したレシーブでリズムを作った本間
相手に流れを渡さないためにも、正念場となる第2セット。またもや最初は点の取り合いになったが、空気を変えたのはやはりエースの七里だった。厳しいコースに突き刺さるサーブを繰り出し、サービスエースを決めると、そこから選手たちが躍動する。吉村康佑主将(スポ4=長崎・佐世保南)の気迫のスパイクや本間隆太(スポ4=神奈川・弥栄)のガッツあふれるレシーブなどで波に乗ると、それらに圧倒された明大の選手たちにミスが目立ち始める。第3セットでもワセダの勢いは止まらず、福山汰一(スポ2=熊本・鎮西)や専田のスパイクが相手のブロックを弾いていく。サーブミスが目立つ場面もあったが、最後は七里と福山のブロックが決まり、ゲームセット。ことしの東日本大学選手権(東日本インカレ)の覇者・明大をストレート勝ちで破り、昨年は惜しくも果たせなかった決勝進出を成し遂げた。
「きょうは結構余裕がありました」(福山)というように、試合後も選手たちは淡々としていた。優勝を狙っている彼らにとって、きょうはあくまで通過点に過ぎなかったということだろう。そう思わせてくれるほど、いまのワセダのバレーの完成度は高く、技術面でも精神面においても最高潮なのは間違いない。これで舞台は整った。あしたも全員バレーを見せつけ、51年ぶりの『日本一』という栄冠をつかみ取る。
(記事 谷口武、写真 山辺剛士、三上雄大)
セットカウント | ||||
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早大 | 3 | 25-23 25-22 26-21 | 0 | 明大 |
スタメン | ||||
レフト 吉村康佑(スポ4=長崎・佐世保南) レフト 専田和也(スポ3=神奈川・弥栄) センター 濱松啓陽(スポ3=佐賀商) センター 福山汰一(スポ2=熊本・鎮西) ライト 七里幸洋(社4=大阪・清風) セッター 山口頌平(スポ1=長崎・大村工) リベロ 本間隆太(スポ4=神奈川・弥栄) |
コメント
吉村康佑(スポ4=長崎・佐世保南)
――準決勝でしたがどのような意気込みで臨まれましたか
前の試合をいいかたちで終わることができたので、その流れに乗っていいかたちでいきたいと思っていたので、勝つことよりも自分たちのバレーをすることを目標に試合に臨みました。
――第1セット競る展開となりましたが出だしはどうでしたか
相手に拾われたりミスも多かったりと、出だしが少し悪かったですけど、後半になるにつれて自分たちのバレーができて、きのうの慶大戦のようなバレーができたので、すごく自分たちもやりやすかったし、主将の目線から見てもすごくやりやすかったです。みんなも安定していてすごく良かったと思います。
――試合の中で修正すべき点はありましたか
いまの課題はディグがあまり上がっていないことですね。ブロックは出ているのですが、ブロックとレシーブの関係でディグが上がっていなかったので、あしたはディグをもう少し上げられるように頑張っていきたいと思います。
――次戦に生かせる点はありましたか
3-0で勝てたということと、サーブがよかったということと、アタッカー陣のファーストブレイクがすごく高かったので、そうしたところはあしたの日体大戦に生かせる点だと思います。
――個人的にはいかがですか
キャプテンの立場ですごくつらいですけど、プレーでしか引っ張れないので、全プレーで引っ張っていきたいと思います。
――チームの調子はどうですか
きのう少し悪かったですけど、会場にも慣れていい感じにきているので、優勝できるんじゃないかと思います。
――決勝戦への意気込みを教えてください
エンジのユニフォームを着るのも最後なので、思い残すことがないよう、日本一を目指して頑張ります。
七里幸洋(社4=大阪・清風)
――きょねん敗退した準決勝を突破しました。どのように感じていますか
きょねんはきょねんで先輩の分まで頑張ろうという気持ちがあったのですが、きょうはまず明大に勝つということだけを考えていました。
――明大戦に向けて何か対策はありましたか
秋季リーグでいいかたちで対策を練れていたので、その通りにできたかなと思います。
――第1セット序盤は明大の粘りに苦戦していたように感じましたが
きれいに打ったら相手がレシーブをしっかりと上げてくるので、工夫してぶつかっていかないと勝てないなというのは試合中に思いました。
――第2セット以降は早大ペースになったかと思いますが、戦い方において序盤と変えた点はありますか
そんなに変えたことはないんですけど、こっちのミスが多かったのでそれをなくしていこうというのと、流れはこっちに傾いていたのでそんなに変える必要はなかったかなと思います。
――現在のチームの状態をどのように感じていますか
雰囲気はいいですし、あした日体大との決勝戦があるので、しっかりと勝ちたいと思います。
専田和也(スポ3=神奈川・弥栄)
——きょうの試合を振り返って
きょうは展開もかなり楽だったので、明日につながる勝ち方ができたと思います。
——第1セットは一進一退の攻防でした
うちは七里さん(幸洋、社4=大阪・清風)がバチバチ決めていて、向こうは決めづらい状況だったのでその分最後は抜けるかなと思っていたので、そんなに焦らずにやれたと思います。
——第1セットはタイムアウトをきっかけにリードを奪いましたが、どのような話がありましたか
だいたいこうなることは予想出来ていたので、1セット目は落ち着いてやっていればそのうち転がってくるからという感じでした。タイム中もそんな感じで普通に話していました。
——第2セットは際どい球を拾ってラリーを制する場面が見られました
それはうちの4年生の方が相手の4年生よりも気持ちが強かったというか、試合に対する準備が出来ていたからラリーに勝てるんだなと思います。
——第3セット終盤で追い上げを許しましたが、焦りはなかったですか
そうですね。ワセダは最後の方に気を抜くのがいつも通りというか。そこが甘さなんですけど。いつもそのまま勝てるのでまあ大丈夫だろうという感じでした。
——良い流れで明日の日体大との決勝を迎えますが、意気込みをお願いします
相手も強いので勝てるかどうかちょっと分からないですけど、全力でやって勝てるように頑張ります。
福山汰一(スポ2=熊本・鎮西)
――きょうは準決勝で相手は明大でしたが、どのような意気込みで臨まれましたか
1試合目の結果を見て、決勝の相手が日体大だとわかったので、きょうはとりあえず勝つことだけを考えてやりました。
――第1セットは点を取り合う競った展開となりましたが、どのような心境でしたか
自分の中では結構余裕があったので、あまり焦りなどはなかったです。
――では第2、3セットも同じような感じでしたか
はい、きょうは余裕がありました。
――クイック、ブロック共によく決まっていましたが
ブロックは良かったと思いますが、クイックは途中でアウトを何本も打ってしまいました。調子が悪いわけではなかったのですが、体が突っ込みすぎてしまっていたので、あしたは調節しようと思っています。
――チームとしてサーブミスが目立ちましたが、対策などはありますか
減らそう減らそうと言ってはいたのですが、結局出てしまったので、あしたは攻めつつミスをしないようしっかり打っていこうと思っています。多分精神面の問題なので。
――あすの決勝に向けて意気込みをお願いします
4年生もいっぱいいますし、ベンチで試合に出ていない人とかもいるので、あしたしっかり勝って優勝したいと思います。