まさかのアクシデントも、2連勝で4回戦進出

男子バレーボール

 1年間の集大成となる全日本大学選手権。秋季関東大学リーグ戦の王者として優勝を狙える戦力を整えているワセダは昨年の3位を上回る結果を目指し、大舞台に臨んだ。第2シードとして、2回戦から登場すると初戦の相手は志学館大。約1ヶ月ぶりの公式戦で感触を確かめるようにプレーを続け、セットカウント2-0(25-14、25-11)と余裕を持って突破する。続く3回戦の相手は立命館大。全国の舞台ならではの『エンジ対決』が実現した。第2セット途中に吉村康佑主将(スポ4=長崎・佐世保南)が負傷退場するアクシデントはあったものの、2セットを連取し、セットカウント2-0(25-20、25-23)で勝利。優勝へ向け確実に駒を進めた。

好調のスパイクで得点を重ねた福山

 「リーグ優勝したからといってまだ日本一になったわけではない」(吉村)。最終目標を目指す負けられない戦いが始まった。3回戦では立命館大と対戦。慣れない関西のチームを相手に手こずり、リードはするもののなかなかペースをつかめない。鋭いジャンプサーブを放つ立命館大の勢いに押される場面もあり点差はつかずに試合が進むが、関東の強豪との戦いをくぐり抜けてきた経験と地力の差が違った。「今が一番調子がいい」と語る福山汰一(スポ2=熊本・鎮西)がブロック、スパイクを立て続けに決めると徐々にリードは開き、25-20で第1セットを奪うことに成功する。

 そのまま勝利までたどり着くことに疑いの余地はなかったが第2セット序盤、思わぬアクシデントがワセダを襲う。吉村が本間隆太(スポ4=神奈川・弥栄)と接触し、目の付近を打撲。無念の途中交代となる。嫌な空気が漂う中、その隙をつくように立命館大が勢いを増し始め、暗雲が立ち込める。まさかの事態に動揺は隠せず接戦となったがチーム全員で主将の抜けた穴をカバーする。代わりに吉村のポジションに入った北地航(スポ4=東京・早実)は「正直びっくりしました」と突然の出場に驚きながらも、冷静に自分の役割を全う。普段はピンチサーバーとして活躍する北地だが、この日はサーブだけでなく、スパイク、ブロックを決めるなど幅広い活躍を見せた。最終的に苦戦はしたもののこのセットは25-23で逃げ切り迫る立命館大を振り切った。

途中出場で吉村主将の抜けた穴を埋めた北地

 2連勝で優勝へ向け、順調なスタートを切ったワセダ。ほとんどリードを許すことのない余裕の試合運びとなったが、試合後に吉村は「イージーミスが多いので自分たちのミスをなくさないとこれからは勝てない」と気を引き締めた。あすは昨年の覇者・筑波大、そして互いに勝ち上がることになれば昨年の準優勝校である慶大との試合が控える。「あしたの2試合が正念場」(福山)というように激戦は必至。何としても乗り越え、準決勝進出を果たしたい。

(記事 中澤佑輔、写真 田中竣)

2回戦

セットカウント
早大 25-14
25-11

志学館大
スタメン
レフト 吉村康佑(スポ4=長崎・佐世保南)
  レフト 専田和也(スポ3=神奈川・弥栄)
  センター 濱松啓陽(スポ3=佐賀商)
  センター 福山汰一(スポ2=熊本・鎮西)
  ライト 七里幸洋(社4=大阪・清風)
          セッター 山口頌平(スポ1=長崎・大村工)
     リベロ 本間隆太(スポ4=神奈川・弥栄)

3回戦

セットカウント
早大 25-20
25-23

立命館大
スタメン
レフト 吉村康佑(スポ4=長崎・佐世保南)
  レフト 専田和也(スポ3=神奈川・弥栄)
  センター 濱松啓陽(スポ3=佐賀商)
  センター 福山汰一(スポ2=熊本・鎮西)
  ライト 七里幸洋(社4=大阪・清風)
          セッター 山口頌平(スポ1=長崎・大村工)
     リベロ 本間隆太(スポ4=神奈川・弥栄)
コメント

吉村康佑主将(スポ4=長崎・佐世保南)

――お体は大丈夫ですか

多分大丈夫だと思うんですけど腫れているのであしたに影響しないようにしたいです。

――具体的に何があったのでしょうか

ちょっと接触がありました。本間の頭が当たってしまって・・・多分打撲です。

――リーグ戦(秋季関東大学リーグ戦)が終わってからどのような準備をしてきましたか

リーグが終わってから1ヶ月しかなくてそう簡単にスキルは上がらないと思うので、日本一をとるんだという気持ちをぶらさずにいつでもチャレンジャー精神を持って戦うことを意識して練習してきました。リーグ優勝したからといってまだ日本一になったわけではないと思うので。それプラス課題であるブロックとレシーブを一からやり直したことがこの1ヶ月で取り組んだことです。

――きょうの試合ではブロックがよく決まっていましたが、手応えはありますか

そうですね。練習の時からAB戦とかでどちらもブロックの良さが出ていて、それが試合の中で出ていたので、練習したことが結果として表れたのだと思います。

――途中アクシデントがあり、コートから離れることになりましたが、外からチームを見てどう感じましたか

キャプテンである自分がコートから出てしまって、ほかのメンバーがその分頑張ってくれました。最後は危なかったですけど勝つことは勝ったので良かったです。僕もベンチからチームを見るということはあまりなかったので逆に違う視点からコートの中を見ることができて、あしたからこういうことをやっていかなければいけないということが見えたのでそれを頑張っていきたいと思います。

――見つかった課題とは何ですか

つなぎというか、イージーミスが多いので自分たちのミスをなくさないとこれからは勝てないと思うのでまずはミスを少なくする事を意識して戦っていきたいと思います。

――あすへの抱負をお願いします

筑波と慶応は前年度の優勝、準優勝のチームなのでチャレンジャー精神を持って全部出し切るつもりで2試合とも戦っていきたいと思います。

北地航(スポ4=東京・早実)

――きょうの試合では途中から出場となりましたが

あまり準備していなかったので、正直びっくりしました。

――ブロックやスパイクの機会がありました

普段からチームの練習でやっていたので対応できました。

――インカレ(全日本大学選手権)の目標は

日本一になることです。

――次の試合へ向けて

次の試合は吉村が戻ってくると思うので、自分はピンチサーバーとしてチームに貢献したいと思います。

福山汰一(スポ2=熊本・鎮西)

――リーグ戦が終わってからきょうまで、どのような準備をしてきましたか

一番には、メンタルが弱いので試合に向けてしっかり調整することと、細かいコンビネーションなどを念入りにチェックしながらやっていました。

――2試合をストレート勝ちで終えられましたが、きょうを振り返っていかがですか

きょうの相手は関東の1部ほど強い相手ではなかったので、やりやすかったです。

――立命館大戦では第2セット、アクシデントもありながら逃げ切りました。どのような気持ちでプレーされていましたか

ちょっと何が起こったのかよくわからなかったのですが、目のところを押さえていたので、吉村主将が代わったのをしっかりみんなでカバーできるよう頑張ろうと思いました。

――ブロック、クイック共に自分のものになってきているような感じですが

ことしだと今が一番調子がいいのだと思いますけど、まだもう少し合っていない部分などもあるので、試合をやりながらしっかり合わせていこうと思います。

――インカレの目標をお願いします

あしたの2試合が正念場だと思うので、しっかり勝って優勝したいと思います。