三つどもえの戦いは慶大に軍配

男子バレーボール

 秋季関東大学リーグ戦(リーグ戦)の閉幕から2週間。しのぎを削った三校が再び顔を合わせる全早慶明定期戦が行われた。3セットマッチというエキシビションではあるが、リーグ戦1位の早大、2位の明大、4位の慶大が激突するハイレベルな戦い。まずは全早大と全慶大の試合で幕を開けた。順位では勝ったものの直接対決では敗れていた相手に対しリベンジを期した全早大。リーグ戦を制した勢いそのままに攻め込みたかったがミスで連続失点を許す苦しい展開となる。さらに、センターから福山汰一(スポ2=熊本・鎮西)の速攻で挽回を図るがマークに会い、思うように決めきれない。得意のパターンを封じられ、歯車が狂うと試合は完全に全慶大ペースに。二大エース・岡田拓巳(4年)と柳田将洋(3年)の圧倒的なパワーに押され気味になると本来のコンビバレーは輝きを失い、セットカウント0-2(21-25、20-25)で大敗を喫した。

ブロックに付くものの、慶大・岡田を止められず

 全慶大が全明大にも勝利し優勝を決めた後、最終戦は全早大と全明大の対戦となった。リーグ戦優勝決定戦の再現となった試合。リーグ戦時とは対照的に戦況が大きく動く展開になる。第1セット、全慶大戦の敗戦を引きずるようになかなか調子が上がらない全早大は、全明大に連続得点を許してしまう。それでも中盤に4連続ポイントですぐさま追いつくと終盤は怒涛の7連続ポイント。流れが行き来する中、最後に突き放しこのセットを奪う。第2セットは再び全明大が主導権を握り、点数を重ねる。離される度に追いつき、接戦に持ち込むが最後は粘りきれずこのセットを落とした。勝負が決まる第3セット。意地でも負けられない両者の攻防が熱を帯び、点差が広がらずに中盤まで試合が進む。この状況を打破したのはエース七里幸洋(社4=大阪・清風)だった。13-13からブロックをすり抜けるようにコースを打ち分け、立て続けにスパイクを決める。直後に吉村康佑主将(スポ4=長崎・佐世保南)のサービスエースが決まると一気に点差は開き、そのまま押し切ってセットカウント2-1(25-20、22-25、25-22)で勝利を収めた。

エースとして攻撃陣を引っ張った七里

 最終結果は全慶大が優勝(2勝)、全早大が2位(1勝1敗)、全明大が3位(2敗)。リーグ戦とは全く異なる順位となった。このことからもわかるように、関東1部リーグの実力はどこが勝ってもおかしくないほど拮抗(きっこう)しており、全日本大学選手権(インカレ)では厳しい戦いが予想される。リーグ戦優勝を決めた後、七里が「ちょっと気が緩むと思うのでここで気を引き締めていきたい」と語ったように、少しの油断もできないことは選手たちも自覚しているだろう。現状に満足することなく練習を積み、少しでも良い状態でインカレを迎えたい。

(記事、写真 中澤佑輔)

★かつてのエースが元気な姿見せる

 全明大戦にはOBの倉坂正人(平23社卒=現三菱UFJリース)がピンチサーバーとして登場。現在も社会人チームでプレーを続ける倉坂が再びエンジのユニホームに袖を通し力強いサーブを披露した。いまとなっては1部リーグで優勝するまでに成長したワセダだが、3年前は2部リーグに低迷。そんな状況で倉坂は3年時にチームを1部へと引き上げた立役者でもある。倉坂がコートに入るときには選手たちも笑顔で迎え、先輩を歓迎した。苦しい時代を乗り越え、栄光にたどり着いた現在まで――。確かにバトンは受け継がれている。

倉坂(中央)を迎え入れる選手たち

 ※掲載が遅くなり、申し訳ありません。

セットカウント
全早大 21-25
20-25

全慶大
スタメン
レフト 吉村康佑(スポ4=長崎・佐世保南)
  レフト 専田和也(スポ3=神奈川・弥栄)
  センター 濱松啓陽(スポ3=佐賀商)
  センター 福山汰一(スポ2=熊本・鎮西)
  ライト 七里幸洋(社4=大阪・清風)
          セッター 山口頌平(スポ1=長崎・大村工)
     リベロ 本間隆太(スポ4=神奈川・弥栄)
セットカウント
全早大 25-20
22-25
25-22

全明大
スタメン
レフト 吉村康佑(スポ4=長崎・佐世保南)
  レフト 専田和也(スポ3=神奈川・弥栄)
  センター 濱松啓陽(スポ3=佐賀商)
  センター 福山汰一(スポ2=熊本・鎮西)
  ライト 七里幸洋(社4=大阪・清風)
          セッター 山口頌平(スポ1=長崎・大村工)
     リベロ 本間隆太(スポ4=神奈川・弥栄)