明大との直接対決を制し、27年ぶりのリーグ戦制覇!

男子バレーボール

 秋季関東大学リーグ戦(リーグ戦)もいよいよ大詰め。最終戦は首位・明大との優勝決定戦となった。勝利すればセット率で明大を上回り逆転優勝となる何としても負けられない試合。高いレシーブ力が武器の明大に対し、次々とスパイクを打ち込んでいくもなかなか決まらずハイレベルなラリーが続く。予想通りの緊迫した展開。互いの意地がぶつかる激しい攻防が繰り広げられる中、徐々に勢いで上回り始めたのはワセダだった。セット終盤に気持ちの入った好プレーを連発し、明大に先行を許さない。終わってみればセットカウント3-0(25-23、25-21、25-23)という圧巻の勝利。執念で勝り、1セットも相手に与えない完璧な試合運びで悲願の優勝をつかみとった。

勝利を決める吉村主将のスパイクがコートに突き刺さった瞬間

 会場は異様な空気に包まれていた。勝ったチームが優勝となる直接対決、そしてリーグ戦全試合を締めくくる最終戦。全観客の視線が集まるコートで試合が始まった。ここまでリーグ戦10試合を戦いチームの完成度を高めてきた両チーム。なかなかボールが床に落ちず、白熱したラリーが続けられる。先に主導権を握りたいワセダ。エース七里幸洋(社4=大阪・清風)にトスを集め相手を突き放しにかかる。中盤に3連続ポイントを許し、追いつかれたものの濱松啓陽(スポ3=佐賀商)のブロックで反撃の芽を摘み取る。どちらに転ぶかわからない接戦で終盤に進むが20-20から七里が4本のスパイクを決める大車輪の活躍を見せ、大事な1セット目を奪った。第2セットの立ち上がりは明大ペースで幕を開ける。だが、七里が3連続でスパイクを決め逆転に成功すると、その後は吉村康佑主将(スポ4=長崎・佐世保南)、専田和也(スポ3=神奈川・弥栄)らアタッカー陣が躍動し点差を広げていく。粘り強いレシーブに負けず、力で突破していく勢いは凄まじいものがあった。最後は吉村が渾身のバックアタックをコートに突き刺し、2セットを連取した。

 優勝に王手をかけたワセダ。第3セットに入っても勢いは止まらなかった。開始早々に4連続ポイントでリードを広げると濱松が立て続けにブロックを決める。「練習してきたことが結果として表れてすごく良かった」(吉村)というように成長を続けるコンビプレーとブロックがこの大一番でも威力を発揮する。一時5点差まで開いたリード。だが、明大にも意地がある。徐々に流れを奪われると終盤、ついに同点に追いつかれてしまう。本間隆太(スポ3=神奈川・弥栄)が「明大も良いバレーをしてきていました。決まったと思ってもつないできていたので、余裕はなかったです」と語るように、ワンプレーで状況が一変する恐れもあった。20-20、食い下がる明大の猛追を振り払ったのは最後のリーグ戦に懸ける優勝への執念だった。「自分がキャプテンとしてチームを引っ張っていかなくてはいけない」(吉村)。ここぞの場面で吉村がブロックとスパイクを決めると、盛り上がりは最高潮に達する。そして、勝利を託された最後のトスは主将のもとへ。見事に決めて見せると27年ぶりのリーグ戦制覇という快挙に喜びを爆発させた。

明大を倒し、逆転優勝に沸く選手たち

 ついに訪れた歓喜の瞬間。この結果をもたらしたのはチーム全員の『諦めない心』だ。前半戦で早々と2敗を喫し、優勝への道のりは困難なものとなった。それでも、本間が「コーチからもどんな時にも自分をぶらさずに戦えと言われていて、それがリーグを通してできたのが優勝できた要因」と語るように、一戦一戦に集中し、後半戦は着実に勝利を積み重ねた。望みを捨てずに自分たちのバレーをすることに徹した姿勢が最終戦での逆転優勝を呼び込んだのだ。4年生にとって最後のリーグ戦で得た最高の結果。しかし、これに満足して足元を見失うことはない。目指すのは『真の学生日本一』。それを達成する場が1ヶ月後に迫る、全日本大学選手権だ。「最後は日本一で終われるように」(吉村)――。まだまだバレーボール部の挑戦は続いていく。

(記事 中澤佑輔、写真 田中竣、森田夕貴)

集合

セットカウント
早大 25-23
25-21
25-23

明大
スタメン
レフト 吉村康佑(スポ4=長崎・佐世保南)
レフト 専田和也(スポ3=神奈川・弥栄)
センター 濱松啓陽(スポ3=佐賀商)
センター 福山汰一(スポ2=熊本・鎮西)
ライト 七里幸洋(社4=大阪・清風)
セッター 山口頌平(スポ1=長崎・大村工)
リベロ 本間隆太(スポ4=神奈川・弥栄)
最終結果

優勝 9勝2敗(セット率3.444)

▼個人賞
最優秀選手賞 吉村康佑主将
サーブ賞 七里幸洋
リベロ賞 本間隆太

コメント

吉村康佑主将(スポ4=長崎・佐世保南)

――優勝を決めて、いまの率直な気持ちをお聞かせください

やっと3位のカベを越えられたというのが非常にうれしいということと、ワセダのバレーは全員で一致団結して勝つというバレーなのでそれが最後に完成したので良かったです。

――今週は絶対に負けられない日体大と明大にストレート勝ちという会心の試合でした

まさかストレートで思い通りに勝てるとは思ってなかったんですけどやっぱり自分たちがやってきたディグとレシーブの関係とかサーブとか本当に練習してきたことが結果として表れてすごく良かったし、一回も勝てていなかった相手にこうやって気持ちよく勝てたことは次の全日本インカレ(全日本大学選手権)にもつながるいいかたちで終われたと思っています。

――練習してきたことがこの場で出せるということは精神的にも成長したのではないですか

3年と4年がチームを引っ張っていくことができていて、コートの中でも浜松、専田を中心として僕と本間と七里だけでなく下級生の福山(汰一、スポ2=熊本・鎮西)と山口(頌平、スポ1=長崎・大村工)をどんどん引っ張っていけるような存在になっているのでこれを継続して全日本インカレにつなげることが次のステップかなと思います。

――試合後、きょうは吉村選手にやられたという明大サイドの言葉を耳にしたのですが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか

そうですね(笑)。きのうに比べたらあんまり本調子ではなかったと思うんですけど。1週間前からちょっと体調を崩していて。

――リーグ戦終盤はいつも以上に見事な活躍だったと思います

ほんとに体調を崩していて、あえてチームのみんなには言わなかったんですけど、きょうの試合中も咳込んでふらふらの状態でやっていました。でもここまできたら優勝するしかないし自分がキャプテンとしてチームを引っ張っていかなくてはいけないので顔に出してはいけないしプレーで引っ張ることが自分に求められていることだと思っているので終わるまでは一生懸命頑張ろうと思ってプレーしました。

――全日本インカレに向けて意気込みをお願いします

今度はほかの大学がチャレンジャーとして僕らに当たってくると思うので、それに立ち向かうためにはいままで以上の練習と話し合いとかもっともっとみんなと団結していってチームが強くなるような練習をしなければいけません。そこを1ヶ月間修正して、どこと当たるかわからないですけど当たったところに絶対勝てるように一戦一戦戦って、最後は日本一で終われるように頑張っていきたいと思います。

七里幸洋(社4=大阪・清風)

――優勝を決めてどんなお気持ちですか

勝つしかなかったので。春リーグ(春季関東大学リーグ戦)も3位で東日本(東日本大学選手権)も3位で、今回は1位しか狙っていなかったのでチームみんなで全力でやりました。今週は練習も追い込んでやったかいがあったなあと思います。

―優勝できた要因はなんだと思いますか

気持ちがしっかり入っていて、ミスした時に落ち込んでも変わらないので、しっかり切り替えてできたのが勝因だったと思います。

――全日本インカレに向けて意気込みをお願いします

たぶんちょっと気が緩むと思うのでここで気を引き締めていきたいです。あと1ヶ月ぐらいしかないのでしっかり気持ちを切り替えてまた一から頑張っていきたいと思います。

本間隆太(スポ4=神奈川・弥栄)

――優勝した瞬間のお気持ちはいかがでしたか

本当に嬉しいです。優勝できると思ってなかったので。

――比較的余裕のある試合展開でしたが

そう見えるかもしれませんが、明大も良いバレーをしてきていました。決まったと思ってもつないできていたので、余裕はなかったです。

――リーグ戦を通して成長した点は

コーチからもどんな時にも自分をぶらさずに戦えと言われていて、それがリーグを通してできたのが優勝できた要因ではないかと思います。

――本間選手自身もリベロ賞を獲得されました

みんなのおかげで優勝出来たので、そのオマケみたいなものです。

――インカレへ向けて意気込みをお願いします

追われる立場になりましたが、きょねんのインカレは3位なので、チャンピオンという気にならずに上を目指していきたいです。