明大との決戦を制し、天皇杯の出場権を獲得!

男子バレーボール

 Vリーグをはじめとする全国の強豪が集まる天皇杯全日本選手権(天皇杯)。12月に行われる本戦出場を懸けた予選が開催された。春季関東大学リーグ戦(リーグ戦)の結果による推薦枠で関東ブロックラウンドからの登場となったワセダ。初戦で社会人チームの富士通カワサキレッドスピリッツを撃破し、関東代表の座を勝ち取るべく明大との決戦に臨んだ。後日、秋季リーグ戦での対決を控える両チームは互いに手の内を隠すように主力選手を温存。普段とは異なる編成で試合に臨んだ。第1セットこそ緊張からかミスが目立ったが、徐々に落ち着きを取り戻すと各々が持ち味を発揮する。層の厚さで勝ったワセダがセットカウント2-1(20-25、26-24、25-18)で勝利し、2セット先取で行われた短期決戦を制した。

攻撃の軸として活躍した太田

 現在リーグ戦暫定1位の明大と3位のワセダの一騎打ち。白熱した試合展開が予想されたが、優勝争い真っただ中の両チームの思惑が見え隠れする。「あんまりデータを取られないように」(吉村康佑主将、スポ4=長崎佐世保南)というように七里幸洋(社4=大阪・清風)や本間隆太(スポ4=神奈川・弥栄)ら主力選手が出場を回避し、明大も大幅にメンバーを入れ替えてきた。リベロを任された後藤光明(社1=東京・早実)ら公式戦初出場組を含む下級生中心のメンバーで挑んだ一戦はチームの底力が試される試合となった。序盤はプレーに固さが見られ、ミスが増え波に乗ることができない。吉村、専田和也(スポ3=神奈川・弥栄)のレギュラー組を中心に攻撃を組み立てるが、明大に押し切られ第1セットを落としてしまう。第2セットからは吉村に代わり、北地航(スポ4=東京・早実)を投入。リーグ戦では主にピンチサーバーとして活躍する北地と太田義樹(商3=京都・洛南)の二人が攻撃の軸としてフル回転する。中盤に一時は6点差をつけられてしまうが、太田のサーブや北地のスパイクが次々と決まり点差を詰める。このセットを奪われると敗北が決まってしまう状況で22-24とマッチポイントを迎えても焦ることはなかった。勝負どころで粘りを見せ、4連続ポイントで試合を振り出しに戻した。

 徐々に調子を上げてきたワセダ。「普段のAB戦とかのBチームがほとんどメインだったのでチーム的にはやり慣れているチーム編成」(太田)というように緊張がほぐれると、本来の力を発揮し始める。高さのある加藤久典(スポ1=東京・早実)のクイックが決まり、太田のフェイントが陣形の穴を突き、芸術的な弧を描いてコートに落ちる。第3セットは完全に主導権を握ったワセダが圧倒し、逆転勝利。見事、天皇杯本戦の出場権を獲得した。

高さを生かしたクイックを決める加藤

 「ワセダらしく21人全員で一丸となってバレーができた」(吉村)。その言葉通り、レギュラー選手が控えに回る状況の中、全部員の総力を結集した真の全員バレーを体現してみせた。各自が自分の役割をしっかりと果たし勝利をつかみとれたことは、さらなる結束力を生むだろう。来週からはいよいよリーグ戦が再開する。残り4試合、優勝のためには一つも落とせない戦いが続くがいまのチームに不安要素はない。臆することなく、力を出し切ることに集中すれば必ず結果は付いてくるはずだ。まずは土曜日の専大戦に照準を合わせ、全力で倒しにいく。

(記事、写真 中澤佑輔)

セットカウント
早大 20-25
26-24
25-18

明大
スタメン
レフト 吉村康佑(スポ4=長崎・佐世保南)
レフト 専田和也(スポ3=神奈川・弥栄)
センター 三宅徹(人3=岡山・金光学園)
センター 加藤久典(スポ1=東京・早実)
ライト 太田義樹(商3=京都・洛南)
セッター 大木翔馬(教3=東京・早実)
リベロ 後藤光明(社1=東京・早実)
結果

○早大2-1明大

コメント

吉村康佑主将(スポ4=長崎・佐世保南)

――本戦出場を決めて、いまのお気持ちは

自分たちが4年間やってきて初めて経験することなので正直よくわからないですけど、いろんなVリーグのチームとか格上のチームと戦えるということで来年にもつながる試合ができると思うのでファイナルラウンドに進出できることは素直にうれしいです。

――天皇杯の予選はどのような位置づけで戦っていたのですか

自分たちは春リーグで3位という結果を残したので予選はなしで推薦という形できょうの試合に出場して、4チームしかファイナルラウンドに出れないので関東のVチャ(Vチャレンジリーグ)とか一緒の大学のリーグの人たちとこうやって競い合ってこうやって上位に食い込めたということは来週からのリーグ後半戦にもつながると思うのでそれに関してはよかったと思います。

――社会人チームとの試合はいかがでしたか

富士通とは練習試合とかでよく対戦する機会があって、負けたことはなかったし、ワセダらしいバレーをすれば勝てると思ったのでそれよりは明治のほうが気になっていました。やってみないとわからない部分もあったんですけどやってみてああいう形で勝てたことはリーグ戦で今度やる明治にはすごくプレッシャーをかけられたんじゃないかと思います。

――七里選手や本間選手などレギュラー選手が出ていなかったのは、リーグ戦での対戦を意識してのことですか

そうですね。データバレーがいま流行っているのであんまりデータを取られないようにしようと思って、だから向こうも主力選手を出さなかったというのもあるのでお互いそういうライバル心をもっていますね。来週も頑張って戦いたいと思います。

――普段はベンチで控えることが多い選手がスタメンで活躍されていましたが、それを見てどう感じていますか

この間の駒澤大学のときに普段出ていない選手にここぞという場面で1点決めてくれる選手になってほしいとお話したと思うんですけど、今回最初から出してみて本当にそういう選手が多くなってきて、練習から全員でまとまって練習しているので僕ら4年も不安を持っていなかったしスタッフの方も不安はなかったとおみます。個々でやる試合じゃなくてワセダらしく21人全員で一丸となってバレーができたと思っています。

――来週から再開するリーグ戦に向けて抱負をお願いします

残り4試合ですが、優勝を目標としているのでもう負けられません。一戦一戦ワセダらしい全員バレーで勝てればいいと思います。

太田義樹(商3=京都・洛南)

――本戦出場を決めて、いまのお気持ちは

レベルが高い大会に出れるということで自分たちのレベルアップにつながると思いますし、全カレの後なので4年生との少し長い時間バレーをすることができるのでいい思い出になると思います。

――普段試合に出ることが少ないメンバーでの試合となりましたがプレーしてみていかがでしたか

あのメンバーは普段のAB戦とかのBチームがほとんどメインだったのでチーム的にはやりなれてるチーム編成だったんですけど、普段試合に出てないので1セット目はみんなちょっと緊張があったかなあという感じでしたけど、その後はいつも通りの力で勝てたと思います。

――太田選手はピンチサーバーでの起用が多いと思いますが、アタッカーとしての自分のプレーはいかがでしたか

序盤は不甲斐ないプレーが多かったんですけどだんだん調子が上がってきてきょうは結構満足のいく出来だったと思います。

――エースである七里選手がやっているポジションでのプレーでしたが、自分の持ち味はどんなところだと思いますか

七里さんは高さがあって、僕にはそこはない部分なのでそれ以外のフェイントとか小技と速さとかでカバーすることを心掛けてプレーしています。

――リーグ戦再開に向けて抱負をお願いします

いまもう2敗してしまっていて、あと4戦かなり強いチームと当たるので1個も落とすことがないように勝てればまだ優勝の可能性があるので4つとも落とすことなく勝ちたいです。