30点に及ぶデュースを制し、専大にストレート勝利

男子バレーボール

秋季関東大学リーグ戦 9月8日 船橋アリーナ

  秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ)の2試合目は専大との対戦。パリ五輪日本代表の甲斐優斗(専大)がチームに戻り、前日には東海大を3―1で下して勢いに乗る相手だ。第1、2セットともに一進一退の攻防が続いたが、終盤の連続得点で逆転しセットを連取した。第3セットは序盤、最大5点のリードを許す。しかし、サイド陣の勝負強いスパイクで得点を重ね同点に追いつく。試合はデュースにもつれ込んだが、制したのは早大。セットカウント3―0(25―22、25-21、30-28)で勝利を収めた。

 セッター前田凌吾主将(スポ3=大阪・清風)のサーブで試合が幕開けた。専大は1本目で甲斐がボールに触れることが多くありながらも、序盤から彼を中心に攻撃を組み立てる。早大はトスを散らし、多彩な攻撃を展開。両チーム、サーブやアタック、ネット際のプレーでミスが散見され、取って取られての状況が続いた。ややリードされていたが、相手のミスに助けられ20-20と同点で終盤へ。OP畑虎太郎(スポ3=福井工大福井)とMB麻野堅斗(スポ2=京都・東山)のブロックが相手のレフトスパイクを阻み、貴重なブレイクを得る。この流れのまま、25-22で第1セットを先取した。

布台の二段トス

 続くセットも拮抗(きっこう)した展開が続く。強打と、穴をつくようなゆるいボールに翻弄(ほんろう)され、6-10とリードされるが、前田も負けじとツーアタックで応戦。中盤は2本のブロックを含む得点で同点に追いつくと、MB菅原啓(教2=山形南)のサービスエースで逆転した。前田がブロックのワンタッチではじいたボールを、そのまま押し込み19ー18。23ー21の場面では、菅原に代わり伊東昌輝(商2=山梨・日本航空)がサーバーとしてコートへ送られる。最後は伊東のサービスエースでこのセットも奪取。

佐藤のレフトからのスパイク

 第3セットは序盤から先行されるが、佐藤遥斗(スポ2=東京・駿台学園)の器用な二段バックトスから畑、前田の二段トスからOH徳留巧大(スポ1=長野・松本国際)が決めきるなど、丁寧なプレーが光る。徳留のサービスエースで勢いづくと、その後は佐藤を中心に5連続得点。普段のレフトからではなく、ライトから打つローテーションで、何度も上がるトスを打ちきり14-13とした。終盤、畑の鋭いスパイクで22-20とするが、すぐさま追い越される。佐藤のストレートスパイクと徳留のアタックで連続得点し、24―23。次の得点は専大に献上し、早大が一歩リードしてデュースへ突入した。落ち着いてサイドアウトを取り、ブレイクを狙う。甲斐のスパイクを畑が高くあげてつなげると、佐藤が決めきり決勝点とした。

徳留のサーブ

 若き日本代表を擁する大学同士の対決ということで、第1試合にもかかわらず多くの観客が足を運んだこの試合。応援している大学にこだわらず、素晴らしいプレーには称賛の声と拍手が送られていた。早大としては序盤こそミスが多くあったものの、どのセットも競った展開で終盤に逆転し、ものにすることができた。特に第3セットは点差の大きい状況から逆転し、我慢の時間となったデュースも自力で点をもぎ取った。大学トップクラスの攻撃力を持つエースが復帰した専大に対し、早大らしいプレーでストレート勝ちを得たことは自信になることだろう。秋季リーグの一戦一戦を大事に、成功体験を積み重ね、全日本大学選手権(全カレ)へとつなげていきたい。

(記事 五十嵐香音、写真 指出華歩、高津文音)

 

セットカウント
早大 25-22
25-21
30-28
  0 専大
スタメン
アウトサイドヒッター 佐藤遥斗(スポ2=東京・駿台学園)
アウトサイドヒッター 徳留巧大(スポ1=長野・松本国際)
ミドルブロッカー 麻野堅斗(スポ2=京都・東山)
ミドルブロッカー 菅原啓(教2=山形南)
オポジット 畑虎太郎(スポ3=福井工大福井)
セッター 前田凌吾(スポ3=大阪・清風)
リベロ 布台聖(スポ2=東京・駿台学園)
途中出場
板垣慧(政経3=京都・洛南)
伊東昌輝(商2=山梨・日本航空)
コメント

佐藤遥斗(スポ2=東京・駿台学園)

――今日の試合を振り返って

 まず対戦相手である専修大学さんに関しては、甲斐選手(甲斐優斗、専大)が相当な高さで打ってくるので、(取りに)いけるボールと無理なボールを割り切って、雰囲気が沈まないようにしていました。実際に取れるボールはしっかりと取れて、確実に得点に繋げていけたので良かったと思います。個人としては、途中まではレセプションもスパイクも良かったのですが、セットの最後の場面では崩れてしまって、少し勝ち急ぎすぎたと思うのでもっと冷静にプレーができたら良かったかなと思います。

――試合の最後、打ち切る場面が多く見られました。振り返ってみて

 普段からやっている奥に強く打つスパイクはできていました。ただ、まだ得点の幅があり、精度が高くないので、もう少し精度を上げられたらと思います。

――夏に力を入れてきたことは

 夏の間は企業さんと練習させてもらいました。長いラリーが続く時に決め切らないといけない部分があるのですが、そこを打ち切れるかどうかというところを突き詰めてやってきて、今日の最後のような場面でしっかりと打ち切れたので、その成果は出たのではないかと思います。

――対角の徳留巧大選手(スポ1=長野・松本国際)も1年生で、下級生主体の若いチームですが、コートの中でのご自身の役割は

 下級生が多い中で1年生も頑張ってくれていて、伸び伸びとプレーしてもらいたいので、最後を託しすぎるのではなく、自分が決め切らないといけないところでは自分が決められるように心がけています。

――秋リーグの目標

 春リーグ(春季関東大学リーグ戦)と東日本インカレ(東日本大学選手権大会)と自分たちの思うような結果でなかったのですが、見つかった課題は多いと思うので、自分たちの課題とする部分を徐々に潰していきながら、全カレ(全日本大学選手権)に向けて、頑張ろうと思います。

徳留巧大(スポ1=長野・松本国際)

――今日の試合を振り返って

 昨日は緊張もあって本調子を出せず、みんなに迷惑をかけてしまったのでそこを改善しようという気持ちでした。1セット目から緊張せずに入れたことが今日ストレートで勝てた要因かなと思っています。

――入学してから約半年が経過しましたが、夏を経て自身の変化や成長は感じられましたか

 夏合宿前、自分はレギュラーではなくて交代しながらの出場でしたが、夏合宿を通して自分の実力を多くの人に認めてもらえました。自分なりの特徴を生かすこと、自分を表現することにこだわったことがスタメンという結果につながったと思います。自分で自分を表現することは難しいですが、自分の中でこの夏一番成長できたことだと感じています。

――この試合ではサーブミスが少なかったと思うのですが、何か意識したことはありますか

 もともと自分はミスを出さない選手でずっとやっていて、自分でもそれが特徴だと思っています。練習ではサーブレシーブやスパイクといった自分で解決できることはミスを減らそうと思って取り組んでいます。ミスを出さないというよりかは、ミスのことを考えてしまうとミスにつながってしまうので、あまりそのことは考えず、ミスしてもすぐ切り替えるようにしています。

――今日が秋リーグ2戦目で、これからさらに多くのチームと戦っていきますが今後の目標などはありますか

 春リーグに達成できなかった優勝ですね。あとは自分のゴールはまだここではなくて、その通過点として重要なので、どんどん上を目指していきたいです。自分の目標を達成するために勝つことを第一として、さらにその上のカテゴリーに行くために自分を成長させられるようなリーグにしたいと思います。