【競走】監督・選手コメント集/全日本大学駅伝

駅伝

 11月2日、大学駅伝日本一を懸けた戦い、全日本大学駅伝対校選手権(全日本)が開催された。出雲全日本大学選抜駅伝(出雲)では惜しくも準優勝に終わった早大は、優勝を目指しスタートラインに立ったが、駒大や中大、国学院大といった強豪校が圧巻の走りを見せ、早大は最後まで粘りを見せながらも総合5位でフィニッシュ。それでも、、工藤慎作(スポ3=千葉・八千代松陰)が30年間塗り替えられることのなかった渡辺康幸氏(平8人卒)のもつ8区日本人選手最高記録を更新し、チームとしても早大新記録を樹立するなど、確かな前進を刻む大会となった。本記事では花田勝彦駅伝監督(平6人卒=滋賀・彦根東)と出走した選手のインタビューを掲載する。

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花田勝彦駅伝監督(平6人卒=滋賀・彦根東)

ーーまず、結果を振り返っていかがですか

 やはり駒沢が強かったというのが終わった後の第一印象です。チームとしては、前半で先頭に立ち、どこまで逃げて、自信を持っていた後半の7・8区で勝負できるか、というところでした。3区、4区で堀野や吉倉といった下級生の選手に無理をさせてしまったので、結果から考えると完敗かなと思います。ただ、チームとしては、5時間8分半から5時間11分以内を想定していました。5時間10分前後でいけば、良ければ3番、悪くても5番以内という位置でした。トータル的に見ると、ある程度想定通りなので、点数をつけると80点ぐらいはつけられると思います。

ーー区間配置の意図を教えてください

 本来であれば、山口竣平を7区に入れて、山口智規を前半区間に配置したかったのですが、竣平が走れないことになり、急遽山口智規が7区に行きました。中盤はどうつなぐかというところで、堀野が練習をよくできていたので、厳しいかなとは思いましたが、度胸試しの意味も込めて、3区に配置しました。5区、6区は、三大駅伝が初めての選手を起用し、全体的に多少でこぼこもありましたが、それなりにうまくまとめられたと思います。

ーー選手たちにはどのような言葉をかけて送り出しましたか

 3〜6区の選手が三大駅伝が初めてだったり、厳しい区間であったりして、緊張しているのではないかと思い、「普段通りの走りをすればいいよ」と言いました。出雲の時に、前半に突っ込んで、後半に失速することが目立ったので、そういう展開にならないように、「前半は落ち着いて」と指示をしました。

ーー箱根に向けての手ごたえはいかがでしょうか

 箱根は種目としては少し違う感じもあります。ただ、チームとしては、三大駅伝で先頭の景色を見るというところと、区間賞を獲るような選手を育成しなくてはならないというところでしたので、今回は工藤が区間賞を取ってくれましたし、前半の1、2区で想定通り先頭争いに加われたので、今のチームの力はある程度出せたと思います。そういった意味では、箱根につながる収穫もたくさんありましたし、もちろん課題も見つけられたというふうに思っています。

間瀬田純平(スポ4=佐賀・鳥栖工)

ーーまず、夏の練習で意識的に取り組んだことを教えてください

 夏はとにかく継続することを意識して練習に取り組みました。

ーー4年連続の1区となりましたが、勝負どころはどこだと考えていましたか

 やはり勝負どころは、ラスト1・5キロの上り坂に差しかかるあたりから、最後の下りを経て中継所までの区間だと思っていました。

ーー本日のコンディションはいかがでしたか

 自分としては調子も良く、絶好調の状態でレースに臨めたと思います。

ーーレースプランはどのように考えていましたか

 やはりラストでレースが動くと思っていたので、前半は冷静に運び、最後の勝負で負けないよう余裕を持って臨むというプランでした。

ーーマークしていた選手などはいらっしゃいましたか

 国学院大の尾熊迅斗選手は意識してマークしていました。

ーー結果的に区間2位という結果でしたが、有力校に先着するかたちでたすきをつないだ印象はいかがですか

 有力校に先着できたことよりも、区間賞を逃した悔しさのほうが大きいです。2年前も区間賞を獲れなかったので、今回もあと少し詰めきれなかったなという思いがあります。

ーー最後の全日本となりましたが、どのような思いで駆け抜けましたか

 この4年間を思い返したときに、やはり最後は感謝を伝えたいという気持ちが強かったです。その思いだけを胸に走りました。

ーー最後に、箱根向けて今後2カ月間の取り組みを教えてください

 自分にとっては、現役選手として臨む最後のレースになります。後悔のないよう、全力でやり切りたいと思います。

鈴木琉胤(スポ1=千葉・八千代松陰)

ーー出雲後はどのような意識で練習に取り組んできましたか

 体調が悪かったので、まずは走れる状態に戻すことを一番に考えていました。

ーー本日のコンディションはいかがでしたか

 名古屋に入るまではすごく悪かったのですが、入ってからの2日間で結構仕上げられて、走る前にはしっかり走れるかなというコンディションになりました。

ーー先頭と秒差なしの2位でのタスキリレーでした。出雲に続き競った状況でタスキが来ましたが、心境はいかがでしたか

 どのように走るかというパターンは決めていました。前で(タスキを)もらった時は少し落ち着いて入って、最後の方に上げられればなと思っていました。

ーー他大の選手らとの集団走だったと思いますが、仕かけどころについてはどのように考えていましたか

 最後の走りで仕かけられればと思っていたのですが、思っていたより最後に上げられなくて、そこは力不足でした。

ーー今日のご自身の走りに点数をつけるなら何点ですか。その理由も教えてください

 85点くらいですね。タイムとしては良かったのですが、チームの流れとしてはそんなに良くなかった気がしています。1位で持っていければ良かったなという意味での85点です。

ーー箱根に向けて2カ月間、どのような取り組みをしていきたいですか

 今回のレースで体の弱さをすごく感じたので、体をしっかりつくって長い距離にも対応できるようにしたいです。

堀野正太(スポ1=兵庫・須磨学園)

ーー本日のコンディションはいかがでしたか

 出雲のときの方が調子は良かった気がします。今日はあまり体が軽くないように感じました。

ーー出雲からの3週間はどのような調整や練習を行ってきましたか

 出雲では結果があまり良くなかったので、全日本に向けては距離が長くなることを意識して、ジョグの距離を増やして取り組みました。

ーー出走を伝えられた時の気持ちを教えてください

 伝えられた時は特に緊張はしなかったですが、結構前半の区間だなと感じました。

ーーレースプランはどのように考えていましたか

 出雲のときは最初から突っ込みすぎて失敗したので、今回はペースを抑えて入ろうと考えていました。でも実際には、変に前の選手についてしまってペースが速くなってしまいました。

ーー1位と3秒差という位置でタスキを受け取りました。どのように走ろうと考えていましたか

 最初から先頭に追いつこうと思っていました。駒大とほぼ同時にタスキを受けたので、一緒に行くつもりだったのですが、駒大がなかなか前に来ませんでした。それで焦って、自分が前に出たら出たで、ペースがかなり速くなってしまいました。

ーー今回のレースで得られた収穫と課題を教えてください

 正直、収穫はあまりなかったです。課題としてはペース配分が全然うまくいかなかったことです。もし箱根を走るなら、ペース配分と体力強化が必要だと感じました。

ーー今後2カ月間、箱根に向けてどのような取り組みをしていきたいですか

 箱根の方が距離が圧倒的に長いので、ジョグの距離をさらに増やしたいです。また、どのような状況でも走れるように、メンタル面をもっと鍛えていきたいと思います。

吉倉ナヤブ直希(社2=東京・早実)

ーー出雲後はどのような意識で練習に取り組んできましたか

 全日本はおそらく1区ではないと感じていたので、単独走ができるように単独走の練習をしていました。

ーー本日のコンディションはいかがでしたか

 コンディションはいつも通りで、結構よかったです。

ーーレースプランはどのように考えていましたか

 花田さんと話して最初はあまり速く行き過ぎず、青学が後ろからおそらく来ると思ったので、それについていけたらいいなと思いました。

ーー7位でタスキを受け取りましたが、その時の心境について教えてください

 前との差が結構開いていて、後ろに何校かいたので、青学の力を使って前に行けたらと思っていました。

ーー塩出翔太(青学大)選手に追いつかれてから引き離しにかかるまで、どのようなことを考えていましたか

 できるだけついていくことで、そこで力を使わずにラストでしっかりと離せたらなと思っていました。

ーー6位に順位を上げてからのタスキリレーでしたが、ご自身の結果をどのように受け止めていますか

 途中(青学大に)ついていっている時にだいぶ楽な時があり、そこで積極的な走りができずに、そのままついて行ってラスト上げるという感じだったので、もう少し積極的な走りができてもよかったかなと思います。

ーー箱根に向けて2カ月間どのような取り組みをしていきたいですか

 全日本よりも距離が伸びると思うので、その中で単独走を今日のような感じのペースで走ることができるように頑張っていきたいと思います。

小平敦之(政経3=東京・早実)

ーー本日のコンディションはいかがでしたか

 自分の体のコンディションとしては上り調子できていて、前日刺激の感じからもそれなりに走れるかなといった感じの状態ではあったと思います。

ーー初の三大駅伝でしたが、スタート前はどのような気持ちでしたか

 緊張するというよりかは、自分自身いい状態で来れていたというのもあり、楽しみだったという気持ちが大きかったと感じます。

ーーレースプランはどのように考えていましたか

 後ろから追ってくるかなと予想していたので、最初速めに入ってあとは1キロ2分55秒で押していくというようなイメージを持ちながら走りました。

ーー早実の後輩である吉倉選手からタスキをもらった時の心境を教えてください

 単純ですが、やはりナヤブとタスキリレーができたのはとても嬉しいなと思いました。また高校の都駅伝(東京都高校駅伝)も翌日にあるということで、2人でいい走りをして勢いづけられればいいなと思ってました。

ーー青学大や日体大に抜きつ抜かれつの展開でしたが、どのようなことを考えて走りましたか

 青学大の選手が自分と高校の頃東京都で戦っていた選手でもあったので、一緒に走れる楽しさなどを噛みしめながら走りました。その中でも自分自身の走りをするというところで冷静な走りができたのかなと思います。

ーー初の全日本の感想を聞かせてください

 沿道の歓声や世間の反響、周りの友達の応援などがやはり大きいなと感じました。三大駅伝の影響の大きさを感じることができたので、とても良かったです。

ーー箱根に向けて2カ月間どのような取り組みをしていきたいですか

 自分自身、どちらかというと長い距離の方が得意ですが、しっかり2週間後の上尾ハーフ(上尾シティハーフマラソン)で走った上で、箱根の10区を走りたいと思っています。上尾での走りをうまく箱根10区につなげていければ良いと思います。

宮岡凜太(商4=神奈川・鎌倉学園)

ーー三大駅伝初出走が決まった時の気持ちを教えてください

 (走れるのは)8人だったので、今までの練習の流れでいけるかなとは思いつつ、やはり選ばれた時は素直にうれしかったです。

ーー本日のコンディションはいかがでしたか

 新しい調整方法を試してみたのですが、昨日の前日練習ないし今朝の練習ですごく足の状態が軽かったので、自信を持って臨めるコンディションでした。

ーーどのようなレース展開を予想していましたか

 先頭ではないにしても、やはり周りと競りながら来るかなと思っていたので、最初は若干速く入って、そこから後半粘るレースになるのかなという想像はしていました。

ーーレースプランはどのように考えていましたか

 監督や他のチームメイトから「最初は抑えるように入ろう」と言われていたので、それで抑えよう抑えようと思った結果、逆にあまり速く入れなくて、それで少し焦りがちな展開にはなりました。

ーー前半は青学大の飯田翔大選手と抜きつ抜かれつの展開でしたが、どのように対応しましたか

 そこは逆に選手の存在を気にせず、自分が走りたいペースで走ろうというふうになっていました。それで結果的に中間地点くらいまで飯田選手のことをアシストするような、自分が引っ張るかたちになったのかなと思います。

ーー単独走になった時はどのようなことを意識して走っていましたか

 やはり青学さんの背中が遠くなりましたし、本当に息も苦しかったのですが、そうなった時にタスキのことやこれから走る選手のことを考えて、自分のせいで離れるわけにはいかないというところで、足をなるべく動かし続ける意識で頑張りました。

ーーご自身の走りに点数をつけるなら何点ですか。また、その理由も教えてください

 70点くらいです。結局監督が設定していたタイムよりは速く走れたのですが、自分が思い描いていた展開や体の動きではなかったので、そこはやはり残り1カ月、箱根に向けて詰めなくてはいけないポイントかなと思います。それが残りの30点分になります。

ーー箱根初出走に向けて2カ月間どのような取り組みをしていきたいですか

 今日で三大駅伝でエンジを着ること、タスキをつなぐことが経験できてすごく良かったです。ですが、箱根で区間賞や区間3番以内で走るために足りないところも見つかったので、これを残り2カ月頑張りたいなと思います。

山口智規駅伝主将(スポ4=福島・学法石川)

ーー出雲から全日本にかけて、チームの雰囲気はいかがでしたか

 主力がなかなかそろわなそうなピンチな状況でしたが、「自分がヒーローになるぞ」というぐらいの気持ちで皆が取り組んでくれました。

ーー7区が決まった時の心境はいかがでしたか

 若干不安はありましたが、やるしかないと腹をくくって覚悟を決めました。

ーー本日のコンディションはいかがでしたか

 7区に向けて準備してきたので、疲労が若干気になったのと、向かい風が厳しかったです。

ーー全体的にご自身の走りを振り返っていかがですか

 思い切って行き切れなかったことが、自分の納得する走りにつながりませんでしたが、8割がたは自分の役割を果たせたのかなと思います。

ーー主将として、箱根に向けてもチーム全体の結果はどのように感じていますか

 正直ほっとする部分がありますが、ここでほっとしてしまうと、また5〜7番争いになってしまうので、今回の結果に対してはしっかり危機感を持っていければなと思います。

工藤慎作(スポ3=千葉・八千代松陰)

ーー本日のコンディションはいかがでしたか

 特に良くもなかったですが、悪くもなかったので、ちょうどいい感じだったのかなと思います。

ーー2年連続の8区出走が決まった時の心境を教えてください

 本当に自分に与えられた役割を果たすような走りをするだけなので、特に印象というのはなく、本当にもう最大のパフォーマンスを発揮しようという感じでした。

ーー決めていたレースプランを教えてください

 中盤くらいまで余裕を持って、後半のラスト5キロのアップダウンで勝負するというイメージでした。

ーーOBである渡辺康幸氏のもつ日本人最高記録を塗り替えました

 あわよくば日本人最高記録を狙っていたので、とても嬉しく思います。

ーー記録の更新はどのあたりで確信しましたか

 10キロ通過時点である程度余裕があったので、後半のために力を溜めていた分、いけるかなと思っていました。